Webセキュリティーとは何か

執筆者

Mesh Flinders

Staff Writer

IBM Think

Ian Smalley

Staff Editor

IBM Think

Webセキュリティーとは何か

Webセキュリティーは、組織が多様なセキュリティー・リスクから自社のネットワーク、ユーザー、資産を保護するために用いる各種ソリューションとセキュリティー・ポリシーの総称です。

企業にとって、Webセキュリティーは、マルウェア、フィッシング、分散型サービス妨害(DDoS)攻撃といった、中核となるビジネスを混乱させ、組織の評判を大きく毀損する可能性のある、多大な損害をもたらすサイバー攻撃を防ぐために不可欠です。

サイバー犯罪者が組織のデータやリソースに不正にアクセスする方法(「攻撃対象領域」と呼ばれる脆弱性)の数は飛躍的に増加しています。Webセキュリティーが効果的に適用されていれば、企業活動に必須のWebアプリケーションを、さまざまな悪意のある行為から保護します。こうした行為は、データの盗難につながる単純なマルウェアやフィッシング攻撃から、何百万人ものユーザーを標的とした、数日にわたって事業活動を停止させる可能性のある複雑なサイバー攻撃まで多岐にわたります。

一般的なWebセキュリティー・ソリューションには、ファイアウォールやアンチウイルス・ソフトウェアに加え、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)のセキュリティー・ツールなど、複数のテクノロジーの組み合わせが含まれます。さらに、クラウド・コンピューティング人工知能(AI)モノのインターネット(IoT)といった新たなテクノロジーを活用し、より広範な悪意ある行為に対抗する先進的なアプローチも採用します。

サイバー攻撃は年々、件数と巧妙さが増しており、Webセキュリティー・ソリューションへの需要は急速に高まっています。最新のレポートによれば、世界市場は年平均成長率(CAGR)約13%で拡大し、2030年には5,000億米ドルに達する見込みです。1

Webベースのソフトウェア・アプリケーションのセキュリティーに特化したアプリケーション・セキュリティー市場だけでも、CAGRが14%強で成長しており、2030年までに250億米ドルに達すると見込まれます。2

クラウドベースのWebセキュリティーとは?

Webセキュリティーの重要なサブセットに、クラウド・セキュリティーとも呼ばれるクラウド型Webセキュリティーがあります。これは、機能にクラウド・インフラストラクチャーを必要とするリソースを保護するためのテクノロジーとベスト・プラクティスの集合です。

他のクラウド・テクノロジーと同様に、クラウド・セキュリティーはインターネット経由で提供される物理的および仮想的なリソースに依存します。クラウド・セキュリティー・ソリューションは、世界各地のサーバー・ネットワークを活用して、Webフィルタリング、強化されたEメール・セキュリティー、データ損失防止(DLP)侵入防止システム(IPS)などの専門的なツールと機能を提供します。

クラウド型Webセキュリティーへの移行は、組織がサイバーセキュリティーに取り組む方法における大きな進化を示しています。このアプローチは、急速に変化する脅威の状況に歩調を合わせるために設計された、より動的で適応性の高いソリューション群を提供します。

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Webセキュリティーの仕組み

高度にカスタマイズ可能で組織の個別ニーズに適応できる一方で、Webセキュリティー・ソリューションは、サイバー攻撃を防ぐために4つの基本原則に依拠します:

  • 認証
  • 暗号化
  • ネットワーク・セキュリティー
  • インシデント対応

ここでは、各項目の詳細と、効果的な実装方法について説明します。

認証

認証は、アクセス制御とも呼ばれる、Webセキュリティーの最も基本的な構成要素の1つです。本質的には、がデータ、システム、アプリケーションにアクセスできるかを、多要素認証(MFA)ロールベースのアクセス制御(RBAC)など、複数の手順を通じてユーザーの本人性を検証することで管理します。適切に実装すれば、認証はネットワークやシステム内の機密情報にアクセスできるユーザーとアプリケーションを制御します。

暗号化

暗号化は、テキストを解読不可能な形式に変換し、解読に復号鍵を必要とするプロセスであり、機密データを保護するもう1つの方法です。暗号化することで、ネットワークやシステム上で安全に情報を共有し、復号鍵にアクセスできる第三者のみが読み取ることができるようになります。認証とともに、暗号化は機微情報への不正アクセスを防ぐためにユーザーや組織が備えている、最も重要なツールの1つです。

ネットワーク・セキュリティー

ネットワーク・セキュリティーは、コンピューター・ネットワークとシステムをさまざまな内部および外部のセキュリティー脅威から保護することに重点を置いたセキュリティーの一種です。認証や暗号化と同様に、ネットワーク・セキュリティーは、ファイアウォール、侵入検知システム(IDS)、仮想プライベート・ネットワーク(VPN)などの手法やツールを使用し、不正アクセスが発生する前にネットワークの脆弱性を特定し、解決します。

インシデント対応

ベスト・プラクティスを厳格に順守し、最新のサイバーセキュリティー・ツールを多数導入していても、組織は依然としてハッカーによる侵入被害をたびたび受けています。有効なインシデント対応機能(リアルタイムの脅威検知、イベント管理、ログ分析など)によって、ネットワークや組織が直面するサイバー脅威の種類が何であっても、迅速に復旧し、事業運営を回復できるようにします。

Webセキュリティーにおける課題

サイバー攻撃は、毎年、収益の損失という形で組織に数百万単位のコストをもたらします。IBMの「データ侵害のコストに関する調査」によれば、セキュリティー侵害の世界平均コストは444万米ドルとなっています。攻撃ベクターや悪意あるユーザーは、Webアプリ、API、組織が依存するその他のリソースに存在するセキュリティー上の脆弱性を突く新たな手口を絶えず生み出しています。

Webセキュリティーに関して利用できる最良のリソースの1つに、非営利団体のOpen Web Application Security Project(OWASP)があります。以下では、同リストに頻繁に挙がる、特に持続的な脅威の一部を紹介します。

マルウェア

マルウェアは「悪意あるソフトウェア」とも呼ばれ、コンピューター・システムやユーザーに害を及ぼすことを意図して作成されたソフトウェアの総称です。代表的な種類には、ランサムウェア、トロイの木馬、スパイウェアなどがあり、巧妙に用いられると深刻な被害を引き起こします。

フィッシング

フィッシングは、Eメール、テキスト、電話、さらには偽のWebサイト全体などの不正なメッセージを使って、パスワードやクレジットカード情報といった機密データの提供を人々に迫る攻撃手法です。マルウェアなどのより複雑なサイバー攻撃とは異なり、フィッシング攻撃は見かけ以上に単純で、ネットワークやソフトウェアの脆弱性ではなく人為的なミスを悪用します。

ハイジャック

もう1つのよくあるサイバー攻撃は、ページやブラウザーのハイジャック攻撃で、ハッカーがユーザーを偽のWebサイトに誘導したり、ブラウザーをリモートで乗っ取り、悪意のある行為を実行させたりします。ハイジャック攻撃は通常、ユーザーが知らないうちにキーストロークを記録するため、悪意のある攻撃者がパスワードを使用してユーザー・データを盗むことができます。

インジェクション攻撃

インジェクション攻撃は、WebサイトやWebアプリケーションの入力欄を利用して、システムに悪意あるコードを注入し、ソフトウェアを改ざんして攻撃者がデータやプログラムに不正アクセスできるようにします。例えば、構造化問い合わせ言語(SQL)は、データベースを管理するための専用言語です。

SQLインジェクション攻撃はWebアプリケーションが使用するデータベースを標的にし、財務記録や社会保障番号などの機密・限定情報へのアクセスを攻撃者に許します。

分散型サービス拒否(DDoS)攻撃

分散型サービス拒否(DDoS)攻撃は、Webサイト、アプリケーション、クラウド・サービスなどのオンライン・リソースに不正なリクエストを大量に送りつけ、過剰なトラフィックで機能を麻痺させることを狙います。この攻撃によって、処理が極端に遅くなったり、完全に停止したりすることがあります。他の種類のサイバー攻撃ほど一般的ではないものの、DDoS攻撃はダウンタイムを引き起こして中核業務を脅かすため、依然として多大なコストを伴います。

クロスサイト・スクリプティング(XSS)

クロスサイト・スクリプティング(XSS)攻撃は、ユーザー入力を適切に検証できないWebページの弱点を突くものです。XSS攻撃では、通常はJavaScriptのコードを注入し、そのサイトの訪問者のブラウザー上で実行させます。ブログやWebフォーラムなど、検証が難しいユーザー生成コンテンツが多いサイトが標的となり、資格情報の窃取や、ユーザーの許可なく不正な操作を実行します。

Webセキュリティーの利点

高度なWebセキュリティー・ソリューションは、クレジットカードを危険にさらすわかりやすいフィッシング詐欺から、組織全体を停止させる高度なDDoS攻撃まで、幅広いサイバー攻撃から組織を保護するように設計されています。エンタープライズ・レベルのWebセキュリティー・ソリューションに投資する主なメリットは次のとおりです。

  • 包括的な保護:効果的なWebセキュリティー・ソリューションは、通常、幅広い脅威から組織を保護します。多様なツールと戦略を組み合わせて安全性を高めることで、高度な持続的脅威(APT)の多くに対しても、システムやデータベースに長時間(数時間から数年)潜伏する不正アクセスの障壁を築きます。

  • コスト削減:Webセキュリティー・ソリューションの導入には投資が必要ですが、サイバー攻撃の成功によって生じるダウンタイム、業務中断、データ侵害、風評被害のコストの方がはるかに大きくなります。

  • プロアクティブな検知:最新のWebセキュリティー・ツールは、多くの場合、攻撃がネットワークに侵入する前に検知し、拡散しないように隔離できます。このプロアクティブな検知と隔離(コンテインメントとも呼ばれます)により、被害を最小化し、復旧コストの削減につながります。

  • 認証の強化:最新のWebセキュリティー・ソリューションの多くは、(多要素認証(MFA)などの)高度な認証ツールに依存して、不正な第三者が機密情報にアクセスするリスクを低減します。

  • 安全なリモートワーク:ハイブリッドやリモートで仕事をする従業員が増えていることから、従業員がインターネット経由で資料やデータを安全に共有できるようにすることは組織にとって非常に重要です。VPN、暗号化、認証のほか、最新のWebサイト・セキュリティー・ツールを活用することで、リモートワーカーはオフィスで働くワーカーと同じレベルのセキュリティーを享受できます。

  • 自動化されたコンプライアンス:最新のWebセキュリティー・ソリューションのほとんどには、関連する国や地域の規制に自動的に準拠するよう設定可能なコンプライアンス管理システム(CMS)が備わっています。例えば、組織は、地域によってルールが異なる場合でも、データ交換に関する特定のルールに従うよう、APIセキュリティー機能を設定することができます。

  • 事業継続性と災害復旧(BCDR):包括的なWebセキュリティーの取り組みには、障害やサイバー攻撃後の事業回復を支援するプロセス、すなわち事業継続性と災害復旧(BCDR)のためのプロセスやツールが、ほぼ必ず含まれます。BCDRは、ネットワーク、データセンター、クラウド・リソースなど、基幹業務にとって最重要なITインフラのあらゆる側面に適用されます。

企業におけるWebセキュリティーの主なユースケース

現代の企業は、基幹業務にデジタル・テクノロジーをいっそう依存するにつれて、サイバー攻撃やデータ窃取にさらされる機会も増えています。今日のWebセキュリティー・ソリューションは、物理・仮想の多様なITインフラ・コンポーネントの脆弱性に対処する必要があります。以下に、エンタープライズ向けWebセキュリティーの主要ユースケースを示します:

Webアプリケーションのセキュリティー保護

Salesforce、SAP、Oracle NetsuiteなどのWebアプリケーションは、成功している多くの企業にとって日々の業務に不可欠となっています。システムをダウンさせたり、機密データを盗もうとするハッカーは、SQLインジェクションやXSSなどの高度な方法で脆弱性を突こうとします。Webアプリケーション・ファイアウォール(WAF)などのWebセキュリティー・ツールは、こういった攻撃を阻止し、アプリケーションの稼働を維持するうえで重要な役割を果たします。

情報漏えい対策

ダウンタイムに加えて、機密データの損失は、サイバー攻撃の中でも最も重大な影響の1つです。高度なDLPツールを備えた堅牢なWebセキュリティー体制により、Eメールやクラウド・サービスを介した機密データの不正共有を防止し、お客様からの信頼を維持できます。

クラウド・インフラストラクチャーの強化

企業がクラウドの柔軟性と拡張性の活用を模索する中、クラウド・コンピューティングを実現するハードウェアとソフトウェアのコンポーネントである、クラウド・インフラストラクチャーの重要性が高まっています。ほぼリアルタイムで侵入に対応する、強力なアクセス制御、暗号化、脅威の検知と対応機能により、クラウド・セキュリティー・ソリューションはクラウド・インフラストラクチャー・コンポーネントを保護します。

DDoS攻撃の低減

DDoS攻撃は、世界でも最も巧妙で危険なサイバー攻撃の一種です。成功すると、Amazon Web Services(AWS)、Netflix、X(旧Twitter)を含む、世界有数の大企業の中核的なビジネス活動をも混乱させてきました。

最新のエンタープライズ・レベルのWebセキュリティー・ソリューションには、DDoS攻撃を阻止するための最先端ツールが備わっています。これらのソリューションには、トラフィック・フィルタリング、レート制限、そして不正なWebトラフィックを「スクラビング・センター」に転送して有害要素を除去する仕組みなどが含まれます。

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    脚注

    1. Cyber security market summary、Grandview Research、2024年

    2. Application security market size、Fortune Business Insight、2023年