会話型AI

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会話型AI

会話型AIの概要と、それがどのように組織の顧客エンゲージメントとサービス提供に役立つのかを説明します。

会話型AI とは

会話型 人工知能 (AI)とは、ユーザーが話しかけることができるチャットボット仮想エージェントなどの技術のことを指します。 大量のデータ、機械学習、 自然言語 処理を使用して、音声とテキストの入力を認識し、その意味をさまざまな言語間で翻訳して、人間のやり取りを模倣します。

 会話型AIの構成要素

会話型AI は、 自然言語 処理 (NLP) と機械学習を組み合わせたものです。 これらの NLP プロセスは、 機械学習 プロセスとともに継続的なフィードバック・ループに入り、AIアルゴリズムを継続的に改善します。 会話型AI は、自然な方法で処理し、理解し、応答を生成するための原理的な構成要素を備えています。

機械学習(ML)は、経験によって継続的に自己改良される一連のアルゴリズム、機能、データ・セットで構成された人工知能の一分野です。 入力が増えれば増えるほど、 AIプラットフォーム 装置はパターンを認識する能力を高め、それを使って予測をするようになります。

自然言語 処理 は、会話型AIで使われている 機械学習 の能力を借りて言語を分析する最新の手法です 。 機械学習以前は、言語処理の方法論は言語学から計算言語学、そして統計的自然言語処理と進化してきました。 今後は、ディープ・ラーニングが会話型AIの自然言語処理能力をさらに進化させるでしょう。

NLPは4つのステップで構成されています。 それらは、入力生成、入力解析、出力生成、および強化学習です。 コンピューターが読み取ることができる形式に変換された非構造化データが解析され、適切な応答が生成されます。 このとき、基礎となるMLアルゴリズムによって、学習しながら応答の品質が向上します。 NLPの4つのステップの詳細は、以下のとおりです:

  • 入力生成: Webサイトやアプリケーションからユーザーが入力します。入力形式は音声とテキストです。
  • 入力解析: 入力がテキスト・ベースの場合、会話型AIソリューション・アプリケーションは自然言語理解(NLU)を使用して入力の意味を解読し、その意図を導き出します。 入力が音声ベースの場合、自動音声認識(ASR)とNLUを組み合わせてデータを解析します。
  • ダイアログ管理: NLPの構成要素である自然言語生成(NLG)が応答を生成します。
  • 強化学習: 最後に、機械学習アルゴリズムによって、時間をかけて応答を精緻化し、正確性を確保します。

会話型AIの作成方法

会話型AIは、潜在的なユーザーがどのように製品を使いたいのか、彼らが持つ可能性のある主な疑問について考えることから始まります。 そして、会話型AIツールを使用して、関連する情報への誘導を支援できます。 このセクションでは、会話型AIの計画と作成を開始する方法を説明します。

1. エンド・ユーザー向けのよくある質問(FAQ)リストの確認

FAQは、会話型AIの開発プロセスの基礎となるものです。 これは、エンド・ユーザーの主なニーズや懸念事項を明確にするのに役立つため、サポート・チームの電話応対の負担をある程度軽減できます。 製品にFAQの一覧がない場合は、カスタマー・サクセス・チームと協力して、会話型AIが対応できる適切な質問リストを作成します。 

例えば、あなたが銀行員だとします。 その場合、初歩的なFAQの一覧は以下のようになります:

  • 自分の口座にアクセスするにはどうすればよいですか。
  • ルーティング番号や口座番号はどこで確認できますか。
  • デビット・カードはいつ届きますか。
  • デビット・カードを有効にするにはどうすればよいですか。
  • 小切手を発行するにはどうすればよいですか。
  • 地元の銀行員に相談するにはどうすればよいですか。

時間をかけていつでも質問を追加することができるので、まずは、会話型AIの開発プロセスのプロトタイプとして、いくつかの質問を作成します。

2. FAQを使用した会話型AIツールでの目的の策定

FAQは、アカウントへのアクセスなど、ユーザーの入力の中で表現される目的、つまりインテントの基礎を形成します。 目的を概説したら、それをインテントとしてWatson Assistantのような競争力のある会話型AIツールに組み込むことができます。

ユーザーがインテントを作成する場所のWatson Assistantの画面ショット

 

ここから、会話型AIに、ユーザーがこの種類の情報について話す場合や質問する場合の言い回しを教える必要があります。 「アカウントへのアクセス方法」を例にとると、「ログイン方法」、「パスワードのリセット方法」、「アカウントへのサインアップ方法」など、ユーザーがサポート担当者とチャットする際に使う他のフレーズを考えてみてください。

ユーザーがインテントのリストを作成する場所のWatson Assistantの画面ショット

もし、お客様が使う可能性のある他のフレーズがわからない場合は、分析チームやサポート・チームと連携するとよいでしょう。 チャット・ボットの分析ツールが適切に設定されていれば、分析チームはWebデータをマイニングし、サイト検索データから他の照会を調査できます。 また、Webチャットの会話やコール・センターの記録データを分析することも可能です。 分析チームがこのような分析に対応していない場合は、サポート・チームがお客様の質問の一般的な言い回しについて貴重な洞察を提供することもできます。

3. 関連する名詞とキーワードを理解して構築するための目的の使用

インテントに関連する名詞やエンティティーを考えてみましょう。 この例では、ユーザーの銀行口座に着目しました。 そのため、銀行口座の情報に関連するエンティティーを作成することは理にかなっています。

ユーザーがエンティティーを作成する場所のWatson Assistantの画面ショット

「ユーザー名」、「パスワード」、「口座番号」など、多くの値がこのカテゴリーの情報に該当する可能性があります。

ユーザーがエンティティーのリストを作成する場所のWatson Assistantの画面ショット

特定のユーザーのインテントに関連するエンティティーを理解するために、ツールやサポート・チームから収集した同じ情報を使用して、目的やインテントを策定できます。 これらの名詞は、1次的な質問の前または後に置かれます。

4. ユーザーとの有意義な対話の創出のために全てを統合

これら全ての要素を連携して、エンド・ユーザーとの会話を生み出します。 インテントにより、ユーザーが何を求めているかを機械で解読できるようになります。エンティティーは、関連する応答を提供する手段として機能します。 例えば、会話型AIとパスワードを忘れたユーザーとの対話は、次のように展開すると想像できます:

会話型AIとの対話の画面ショット

目的と名詞(IBMではインテントとエンティティーと呼んでいます)が一緒になって、ユーザーのニーズに基づいた論理的な会話の流れを構築するために機能します。 独自の会話型AIの構築を開始する準備ができたら、IBMのWatson Assistant Liteバージョンを無料でお試しいただけます。 

会話型AI のユースケース

会話型AIというと、顧客サポート・サービスやオムニチャネルの展開のための、オンライン・チャットボットや音声アシスタントが思い浮かびます。 ほとんどの会話型AIアプリケーションは、バックエンド・プログラムに広範な分析機能が組み込まれており、人間と同じような会話体験を確保するのに役立っています。 

専門家は、会話型AIの現在のアプリケーションは、非常に狭い分野のタスクの実行に焦点を当てているため、弱いAIであると考えています。まだ理論的な概念である強いAIは、さまざまなタスクを解決し、幅広い問題を解決できる人間のような能力に焦点を合わせています。

会話型AIは、狭い範囲ではありますが、企業にとって非常に有利な技術であり、企業の利益向上に貢献しています。 会話型AIの最も一般的な形態はAIチャットボットですが、企業内にはまだ他にも多くの使用例があります その例として、以下のようなものがあります。

  • オンラインの顧客サポート:  オンライン・チャットボットは、顧客向けサービスの過程で人間に代わってサポートします。 チャットボットは、配送などのトピックに関するFAQに答えたり、ユーザーに合わせたアドバイス、商品のクロスセルやサイズの提案などを行い、Webサイトやソーシャル・メディアのプラットフォームにおける顧客エンゲージメントについての考え方を変えています。 例えば、仮想エージェントによるe-コマースサイトのメッセージング・ボット、SlackやFacebook Messengerなどのメッセージング・アプリケーション、そして仮想アシスタントや音声アシスタントが通常行うタスクなどがあります。
  • アクセシビリティー: 企業は、特に支援技術を使用するユーザーにとって、参入障壁を減らすことで、より利用しやすくすることができます。 会話型AIは、音声読み上げや言語翻訳などの機能でよく利用されています。
  • 人事プロセス: 会話型AIを使用することで、従業員研修、オンボーディング・プロセス、従業員情報の更新など、多くの人事プロセスを最適化できます。 
  • ヘルスケア: 会話型AIは、患者にとって医療サービスをより身近で安価なものにし、業務効率の向上や請求処理などの事務処理をより合理化できます。
  • モノのインターネット(IoT)デバイス: 現在、ほとんどの家庭は、Alexaスピーカー、スマート・ウォッチ、携帯電話など、少なくとも何らかのIoTデバイスを所有しています。 これらの機器は、自動 音声認識によってエンド・ユーザーと対話します。 人気のアプリケーションは、Amazon Alexa、 Apple Siri 、 Google Homeなどです。
  • コンピューター・ソフトウェア: Googleで何かを検索したときの検索オートコンプリートやスペル・チェックなど、オフィス環境における多くのタスクが会話型AIによって簡略化されています。

現在、ほとんどのAIチャットボットやアプリケーションは、初歩的な問題解決能力を備えていることに加えて、繰り返し行われる顧客サポートのやり取りにかかる時間を短縮し、コスト効率を高めることができるため、人員のリソースを解放してより複雑なお客様とのやり取りに集中させることができます。 全体として、会話型AIアプリケーションは人間の会話体験をうまく再現でき、顧客満足度の向上につながっています。

    会話型AIのメリット

    会話型AIは、多くのビジネス・プロセスにおいて費用対効果の高いソリューションです。 会話型AIを活用することで、以下のような効果が期待できます。

    優れたコスト効率

    特に通常の営業時間外に質問に答えようとする場合、顧客サービス部門に人員を割くのはかなりコストがかかります。 会話型インターフェースによる顧客サポートは、特に中小企業において、給与や研修に関わるビジネス・コストを削減できます。 チャットボットや仮想アシスタントは即座に対応できるため、潜在顧客に対して24時間対応することが可能です。

    人間同士の会話では、潜在的な顧客に対して一貫性のない対応になることもあります。 サポートとのやり取りの多くは、情報を求めて繰り返し行われるため、企業は会話型AIをプログラミングしてさまざまなユースケースに対応させ、包括性と一貫性を確保できます。 これにより、顧客体験に継続性が生まれ、より複雑な問い合わせに貴重な人的資源を割り当てることができます。

    売上と顧客エンゲージメントの向上

    消費者の日常生活にモバイル・デバイスが浸透したことで、企業はエンド・ユーザーにリアルタイムの情報を提供するよう準備する必要があります。 会話型AIツールは人間の従業員よりも気軽にアクセスできるため、お客様はブランドとより迅速かつ頻繁にやり取りすることができます。 このような迅速なサポートにより、お客様はコール・センターでの長い待ち時間を回避でき、全体的な顧客体験の改善につながります。顧客満足度が高まると、顧客ロイヤルティーの向上や紹介による追加収益に反映されます。

    また、会話型AIに搭載された個人別設定機能により、チャットボットはエンド・ユーザーに推奨情報を提示でき、お客様が最初は検討していなかった製品のクロスセルを可能にします。

    拡張性

    会話型AIをサポートするためのインフラストラクチャーを追加することは、新しい従業員の雇用や入社手続きよりも安価で迅速なため、会話型AIは非常に拡張性が高いとも言えます。 このことは、特に、製品が新しい地理的市場に拡大するときや、休暇シーズンなどの予期せぬ短期的な需要の急増に対応するために役立ちます。

    会話型AIのメリットについての詳細は、マスタークラスのWebセミナーのシリーズをご覧ください

    会話型AI技術の課題

    会話型AIはまだ黎明期であり、広くビジネスで採用されるようになったのは最近のことです。 新しい技術の進歩と同様に、会話型AIアプリケーションへの移行にはいくつかの課題があります。 その例として、以下のようなものがあります:

    言語入力

     会話型AIにとって言語入力は、入力がテキストであっても音声であっても、悩みの種になることがあります。 方言、なまり、背景音は、AIが生の入力を理解するのに影響を与える可能性があります。 スラングや台本にない言葉も、入力の処理に問題を発生させることがあります。

    しかし、会話型AIにとって最大の課題は、言語入力に含まれ人間的な要素です。 感情、口調、皮肉などは、会話型AIがユーザーの意図する意味を解釈し、適切に対応することを難しくします。

    プライバシーと安全性

    会話型AIは、ユーザーの問い合わせに答えるためのデータ収集に依存しているため、プライバシーや安全性の侵害の危険性があります。 高いプライバシーと安全性の基準と、視システムを備えた会話型AIアプリケーションを開発することは、エンド・ユーザーの信頼構築につながり、最終的にはチャットボットの利用率を長期的に向上できます。

    ユーザーの不安感

    ユーザーは、人間ではなく機械と会話していることを認識した場合、個人情報や機密情報の共有に不安を感じることがあります。 全てのお客様が早期導入者になるわけではないため、よりよい顧客体験を生み出すために、これらの技術のメリットと安全性について、ターゲットとなる人々を啓発し、社会化することが重要になります。 これは、ユーザー体験の悪化やAIの性能低下を招き、プラスの効果をマイナスにすることになりかねません。

    さらに、チャットボットはユーザーの幅広い問い合わせに答えられるようにプログラムされていないこともあります。 その際、間違った回答や不完全な回答が提供されると、エンド・ユーザーにとってフラストレーションが溜まるため、より複雑な問い合わせに対応するための別のやり取りのチャネルを提供することが重要です。 このような場合、お客様には、企業の担当者とつながる機会を提供する必要があります。

    最後に、会話型AIは企業内のワークフローを最適化し、特定の職能の人員削減にもつながります。 これが社会経済的な活動を誘発し、企業へのネガティブな反発を招く可能性があります。

    IBMと会話型AI

    IBM Watson® Assistantは、お客様の問題を最初に解決するクラウド・ベースのAIチャットボットです。 アプリケーション、デバイス、チャネルを問わず、お客様に迅速かつ一貫性のある正確な回答を提供します。 AIを活用したWatson Assistantは、お客様との会話から学習し、問題を最初に解決する能力を高めるとともに、長い待ち時間、面倒な検索、役に立たないチャットボットによる不快感を解消するのに役立ちます。 IBM Watson Discoveryと組み合わせることで、AIを活用した検索により、文書やWebサイトからの情報でユーザーとの対話を強化できます。

    Watson Assistantは、お客様のあいまいな発言の前後の文脈を確認することで、対話を最適化します。 これにより、質問を何度も言い直すという不快感を解消し、ポジティブな顧客体験を提供できます。 また、Watson Assistantは、お客様の質問に対して、さまざまな選択肢を提供します。 特に複雑なお客様の問題を解決できない場合は、同じチャネルでシームレスに人間のエージェントにお客様を引き継ぐことができます。

    Watson Assistantは、顧客サービスのエコシステムに接続できるように設計されており、お客様のプラットフォームやツールと統合することで、顧客体験を、最初から最後までよりスマートでシンプルなものにします。 こうした流れを確立することにより、貴社とのやり取りを、見知らぬ相手との不規則で断片的な会話ではなく、心から気にかけてくれる人との有意義な関係のように感じられるになります。

    IBMは、顧客体験は会話のみでなく、機密データの保護も重要であることを理解しています。 そのため、全てのWatson製品の設計には、世界トップクラスの安全性、信頼性、およびコンプライアンスに関する専門知識が導入されています。 さらに、IBMは、Watson Assistantをオンプレミス、IBM Cloud®、またはIBM Cloud Pak® for Dataを使用して選択した別のクラウド・プロバイダーに展開する柔軟性を提供することで、お客様の投資を保護します。

    この5分間の評価で、顧客サービスとのやり取りをAIで最適化し、顧客満足度を高め、コストを削減し、収益を上げることができる個所を確認してください。

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