チャットボットとは
チャットボットは、人工知能(AI)と自然言語処理(NLP)を使用して、顧客の質問を理解し、人間の会話をシミュレートして自動的に返答するコンピューター・プログラムです。
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チャットボットとは

チャットボットとは、「チャット」と、ロボットから派生した「ボット」とを組み合わせた言葉であり、自動会話を行うコンピューター・プログラムのことです。
チャットボットに、人工知能(AI)と自然言語処理(NLP)を適用することで、顧客の質問を的確に理解するとともに、人間の会話を模倣した返答を自動的に行えます。

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人工知能(AI)

自然言語処理(NLP)

対話型AI

チャットボットの価値

チャットボットは、テキスト入力、音声入力、またはその両方を通じてユーザーの質問や要望に応えることで、人間が介在することなく、ユーザーが必要な情報を簡単に見つけることができるようにします。

チャットボットの技術は、家庭用のスマート・スピーカーから職場のメッセージング・アプリケーションまで、最近ではいたるところで使用されています。 最新のAIチャットボットは、「バーチャル・アシスタント 」や「バーチャル・エージェント 」と呼ばれることがあります。AppleのSiriやGoogleアシスタント、Amazon Alexaなどのように音声入力を利用したり、SMSのテキスト・メッセージで対話したりすることができます。 いずれの場合も、顧客は会話形式で必要なことについて質問することができ、チャットボットはその回答やフォローアップの質問を通じて、検索結果を改善することができます。

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バーチャル・アシスタント

バーチャル・エージェント

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チャットボットの仕組み

これまで、チャットボットはテキスト・ベースで、限られた一連の単純な照会に対して、チャットボットの開発者が事前に用意した回答で応答するようにプログラムされていました。 チャットボットは対話型FAQのように運用されていました。トレーニングされた特定の質問や回答に関してはうまく機能しましたが、複雑な質問や、開発者が予想していなかった質問を提示されると機能しませんでした。

時間が経つにつれて、チャットボットはより多くのルールと自然言語処理を統合し、エンド・ユーザーが会話形式で体験できるようになりました。 実際、最新のチャットボットは文脈を認識し、より多くの人間の言葉に触れながら学習することができます。

最新のAIチャットボットは、自然言語理解(NLU)を使用してユーザーのニーズを識別します。 高度なAIツールを使用して、ユーザーが何を達成しようとしているかを判断します。 これらの技術は、機械学習やディープ・ラーニングといったAIの要素に依存しており、微妙な違いがありますが、ユーザーとの対話に基づく質問と回答の知識ベースをより詳細に開発することができます。 これにより、ユーザーのニーズを正確に予測し、時間とともに正しく対応する能力を向上させることができます。

例えば、あるユーザーが明日の天気を尋ねると、単純なチャットボットは雨が降るかどうかにシンプルに回答できます。 しかし、AIチャットボットの場合は、ユーザーに対して、(雨のために)朝の通勤時間が長くなるので、目覚ましを早めに設定したいかどうかを聞いてくるかもしれません。

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機械学習

ディープ・ラーニング

チャットボット、AIチャットボット、バーチャル・アシスタントの比較

チャットボットとAIチャットボットバーチャル・アシスタントという用語は、時に混同して使用されていることがあります。 一部のチャットボットが、今では複雑なアルゴリズムを使って、より詳細な応答を提供しているのは事実です。

しかし注目すべきは、AIチャットボットのディープ・ラーニング機能では、多種多様な応答が織りなすネットワークを人間との対話を介して構築することで、時間の経過とともに対話の正確性を高められる点です。 AIチャットボットは運用期間が長ければ長いほど、反応が強力になります。 このため、ディープ・ラーニングを利用するAIチャットボット は、アルゴリズム・ベースの知識を統合したばかりのチャットボットよりも、照会とその背後にある意図に対して、より詳細かつ正確に応答できる可能性があります。

チャットボットの一般的な使用

消費者は、モバイル・アプリケーションでの予約から、インテリジェント・サーモスタットやスマート・キッチン家電などの専用デバイスの使用に至るまで、多様な作業にAIチャットボットを利用しています。 ビジネスでの使用も同様に様々です。マーケティング担当者はAIチャットボットを使って顧客体験をパーソナライズし、ITチームはセルフサービスを可能にし、カスタマー・コンタクト・センターはチャットボットを使って受信したコミュニケーションを合理化し、顧客をリソースに誘導します。

会話型のインターフェースにもいろいろな種類があります。 AIチャットボットは、一般的にソーシャル・メディア・メッセージング・アプリ、スタンドアローン・メッセージング・プラットフォーム、Webサイト上のアプリケーションで使用されます。 代表的な使用例としては次のようなものがあります。

  • 地元のレストランを見つけて道順を案内する
  • フォームや財務アプリケーション内のフィールドを定義する
  • 健康管理の質問に答えて、予約を取る
  • お気に入りのブランドから顧客向けの一般的なサービス支援を受ける
  • 時間や場所に応じてタスクを実行するリマインダーを設定する
  • リアルタイムでの天気情報やおすすめの服装を表示する
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カスタマー・サービス

人事

マーケティング

チャットボットのメリット

最新のAIチャットボットは、人間の言語内のデータを処理して、高度にパーソナライズされた体験を提供し、企業や顧客に明確な利益をもたらします。

顧客エンゲージメントとブランド・ロイヤルティーの向上

eコマース時代が成熟する以前は、質問、懸念、苦情などを抱えた顧客は、メールや電話で人間からの返答を得なければなりませんでした。 しかし、予測できない需要に対応するためにカスタマー・サービス部門に人員を配置し、昼夜を問わず類似した、あるいは繰り返しの問い合わせに対し、一貫性のある回答を提供できるようスタッフを再教育することは、多くの企業にとって常に困難でコストのかかる作業です。

今日、チャットボットは24時間年中無休で、常時顧客とのやり取りを管理しながら、対応の品質を継続的に向上させ、同時にコストを抑えることができます。 チャットボットはワークフローを自動化し、従業員を反復作業から解放します。 またチャットボットは、一度に多数のユーザーに即座に対応できるため、電話ベースのカスタマー・サポートの長い待ち時間や、Eメール、チャット、Webベースのサポートのさらに長い待ち時間をなくすこともできます。 これは素晴らしいユーザー体験であり、満足した顧客はブランド・ロイヤルティーを持つ可能性が高くなります。

コストを削減して、運用効率を高める

カスタマー・サポート・センターに昼夜を問わずスタッフを配置するのはコストがかかります。 また、人事部門などの一部の部門では、このような人員配置が不可能なことがあります。 この機能のアウトソーシングに対応する産業が登場しましたが、これには大きなコストがかかります。 また、それはブランドの顧客との対話のコントロール力を弱めてしまいます。

しかし、チャットボットは24時間年中無休で、問い合わせに対応することができます。 さらに、新しい第一線のサポートの提供、ピーク期間中のサポートの補完、追加サポート・オプションの提供が可能になります。 少なくとも、チャットボットを使用することで、人間と話す必要のあるユーザーの数を減らすことができ、企業は需要増によるスタッフの規模拡大や、24時間体制のサポート・スタッフの導入を避けることができます。

リードを創出し、顧客を満足させる

チャットボットはセールスのリード・ジェネレーションに役立ち、コンバージョン率を向上させることができます。 例えば、ある商品またはサービスをWebサイトで閲覧している顧客は、さまざまな機能、特性、またはプランに関する質問があるかもしれません。 チャットボットはその質問に対する回答を提供することで、顧客にとっては、購入する商品やサービスを選択する上で役立つほか、最終的な購入に向けて次の論理的な段階を踏む後押しになります。 また、多段階のセールス・ファネルを持つ、より複雑な購入の場合、チャットボットは、訓練を受けた販売担当者にお客様をつなげる前に、リードを適格化することができます。

チャットボットを選択するためのベスト・プラクティスとヒント

チャットボット・プラットフォームの選定は簡単で、企業やユーザーにとって大きな見返りが期待できます。 顧客に応答性の高い会話型チャネルを提供することで、コストを抑えながら、即時性と常時利用可能なインタラクションへの期待に応えることができます。

例えば、e-コマース企業がチャットボットを導入することで、製品を閲覧中のお客様により詳しい情報を提供したり、モデル間の違いを強調したり、追加のユーザー・ガイドとハウツー・ビデオを提供したりすることができます。 同様に、企業の人事部門は、従業員が24時間いつでも福利厚生に関する情報にアクセスでき、その情報に容易にナビゲートしてくれるチャットボットを見つけるようにと開発者に依頼するかもしれません。そうすることで、人間が対面で話す手間が省けます。

どのようなケースやプロジェクトにも当てはまる、チャットボット・プラットフォームを選択するための5つのベスト・プラクティスとヒントをご紹介します。

  1. 当面の目標を達成でき、かつ将来の拡張を制限しないソリューションを選ぶ。 チームが独自のチャットボットを求める理由は何か。 この目標に対して、現在どのように取り組んでいるのか、また、チャットボットの必要性を高めるための課題は何なのか。 どのようにすればこのテクノロジーは、組織内の他のグループでも、エージェント・アシスタンス、社内ITや人事サポート、さらには医療給付の登録などのニーズのために利用できるのかを検討します。
  2. AIが顧客体験に与える影響を理解する。 多くのバズワード同様、AIという言葉は至る所で使われているため、AIがどこでどのように使用されているかを把握する必要があります。 AIは、顧客が何をしようとしているのかを理解するのに役立ち、さまざまな表現方法を理解し、会話を自然な、非ロボット的な方法で管理するのに役立つものでなくてはなりません。 その目標は、顧客が行き詰まることなく、必要とする情報を得られるようにすることです。 これが達成できなければ、単にFAQ(よくあるご質問)の内容が増えただけに過ぎなくなります。
  3. チャットボットを構築し、訓練し、時間をかけて改善するために必要なことを知る。 AIは素晴らしいツールであるにもかかわらず、初めから必要なことをすべて把握しているわけではありません。どのような意図(目標)や事前構築済みのコンテンツがあらかじめ用意されているのか、何をユーザー自身で作成する必要があるのかを明確にする必要があります。 一部のチャットボットには、履歴のチャット・ログとトランスクリプトを使用して、これらのインテントを時間を節約して作成できる機能があります。 機械学習を使用している仮想アシスタントには、時間の経過とともに応答を自動的に調整して改善させる機能があります。
  4. 既存の投資を、置き換えるのではなく、そこに接続する方法を探す。 多くの場合、新興のチャネルまたはテクノロジーは、すでに確立されたチャネルやテクノロジーを置き換えると見られがちです。 しかしそうではなく、これらは組織にとって管理すべき新たな媒体に過ぎません。 チャットボットは、新興のチャネルと顧客システムに接続して、この両者の長所を提供します。つまり、顧客体験をモダナイズする一方で、ユーザーを、問題解決につながる情報や個人により正確に導きます。
  5. チャットボットが、要求するデプロイメント、拡張性、セキュリティーに合っているかを判断する。 あらゆる組織と業界には独自のコンプライアンス要件とニーズがあるため、その基準を明確に定義することが重要です。 多くのチャットボットは、他の顧客の会話から得られた学習や成果を利用するためにクラウドを介して提供されます。そのため、オンプレミスでのソリューションやシングル・テナント環境を求める場合、利用可能なプロバイダーの選択肢は少なくなります。 また、お客様のデータが使用されているか、使用されている場合はどのように使用されているかを理解することも重要です。規制の厳しい業界では、これらが大きな影響を持ってくる可能性があるためです。
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次のステップ

チャットボットは、コスト削減、リソースの最適化、サービスの自動化において重要な役割を担っています。 組織のニーズを把握して選択肢を評価することで、目標達成に役立つAIソリューションを選択し、最大利益を実現することが重要です。

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