Business Challenge story

カードデータの十分な分析・活用の制約となっていた既存のツール

遠州鉄道では、2008年9月からえんてつカードを発行しています。同カードは、グループ各社共通のポイントカードで、「ポイント専用カード」、クレジット機能をプラスした「ポイント&クレジットカード」の2種類があります。現在のポイントカード発行枚数は40万枚を超えており、遠州鉄道が主に事業を展開している静岡県浜松市の人口約80万人の半数以上をカバーしていることになります。

えんてつカードのポイントは、電車や路線バスなどの場合で利用100円ごとに1ポイントが付与されるのをはじめ、遠鉄百貨店や遠鉄ストア、スポーツクラブなどでは購入105円ごとに1ポイント、アパート・マンション賃貸成約時には500ポイントが付与されるなど、毎日の生活のさまざまな場面での利用で、ポイントが自然に貯まることから、休眠カードになってしまうことが少ない、利用率の高いポイントカードです。

えんてつカードを通じて捕捉できる「利用データ」は年間で3,000万件に上ります。遠州鉄道では、2008年の同カード発行の際に、データウェアハウスを構築しました。1日分のデータを一括してデータウェアハウスに移行する、日次バッチ処理が行われ、3年分のデータが蓄積されています。またBI(Business Intelligence:企業内で発生・蓄積する膨大なデータを効率よく活用して意思決定を改善し、事業展開や経営活動の改善・向上に活用する手法)ツールも併せて導入し、さまざまな分析を行ってきました。

しかし、当初導入したBIツールにはいくつかの問題がありました。1つには、処理スピードが遅いこと。たとえば、「RFM分析」(顧客の購買行動を「最終購買日(Recency)」「購買頻度(Frequency)」「累計購買金額(Monetary)」の3つの指標で分類し、再購入の可能性がある顧客を判定する分析手法)を行う場合、データを読み込んで、分析結果が出るまでに1週間近くもかかるなど、迅速な意思決定の障害となっていました。

もう1つは、分析手順を組むのが面倒であったこと。月次データを集計するといった程度であれば問題ありませんが、年間のトレンド(時系列)の変化を見たい場合などは、分析手順を組むのに手間がかかるだけでなく、その手順を保持できないため、毎回ゼロベースで組み直さなければなりませんでした。

この分析ツールについて営業推進部長の宮田洋氏は次のように振り返ります。

「以前の分析ツールでは、グループ各社の一定期間にわたるトレンドを追う分析を行うことはできませんでした。それに近い結果を得るためには、各社ごとに毎月のデータを集計して分析し、それらを積み重ねて分析を行う方法がありますが、これにはたいへんな時間、手間と労力がかかる上、各社ごとのデータを理解し、分析手法にも精通した担当者が必要であるため、実際にはこの方法も使うことはできませんでした」。

遠州鉄道では、えんてつカードをさらに活用して、遠鉄グループ全体の収益拡大を図ることを目指しています。このため、分析ツールの制約によって、せっかくの貴重なデータが十分に活用できないという問題を早急に解決する必要があったのです。

Transformation

SPSS Modelerの処理スピード、多機能性、操作性の高さに驚き、導入を即決

遠州鉄道のITシステムの運用管理を行っている同社営業推進部では、2011年11月、IBMの営業担当者から、グループ共通ポイントカードの利用情報分析にSPSS Modelerを活用している鉄道会社の事例の紹介を受けました。

同社では、この事例に刺激を受け、SPSS Modelerの採用を早速検討することにしました。まず、SPSS Modelerの性能・機能を検証するため、IBMに対し、一部のデータ分析を依頼しました。その分析結果のデモンストレーションを見た宮田氏は次のように語ります。

「従来なら1週間ほどもかかっていた分析が、わずか数分で完了してしまうスピードに驚きました。さまざまな分析手法が利用できるだけでなく、『分析結果がもう出るの!』という印象でした」

また、操作性の高さに対しても高い評価が与えられました。画面上にアイコンを配置して分析手順を組んでいくことができるだけでなく、分析手順を「ストリーム」として保持し、同じ分析手順をあらためて組み直す必要がない点が、従来のツールと異なるメリットとして評価されたのです。

実際にSPSS Modelerを操作する分析担当者の一人である、同社営業推進部 IT戦略課 副課長の中村 桂氏は、操作についての印象を次のように述べています。

「分析手順が可視化されているので、他のスタッフへの共有がしやすいですね。しかも、そのストリームをもとに、新たな分析手順を加えてさらに高度な分析が可能になる。組織として、分析についての知見を積み上げていけるのは大きなメリットです。また、個々の分析担当者のレベルアップにもつながると期待しています」

SPSS Modelerによる分析でデータの有効活用への道を開くことができるとの評価を得て、2011年の年末にSPSS Modelerの採用が決定しました。

Benefits

既存の分析手順をSPSS Modelerに移行中処理スピードの速さ、高い操作性を実感

遠州鉄道におけるSPSS Modelerの本格的な活用はまだこれからです。データ分析体制としては、営業推進部内の「営業推進課」および「IT戦略課」の両部署から1人ずつ、2人ペアを組んで5チームを編成して、各チームがグループ各社を手分けして担当し、各社のデータ分析に基づく課題発見や、具体的なマーケティング施策立案に取 り組んでいます。

現在は、従来のBIツールで行っていた各種分析をSPSS Modelerに移行しています。以前よりも操作が楽で、かつ処理スピードが速いというメリットを、分析担当者は日々の分析業務の中でも既に実感しつつあるそうです。

近年は、新聞折り込みチラシなどの効果が薄れてきたこともあり、マーケティング施策としてダイレクト・メールやe-メールを活用することが増えてきています。300~500件程度の小サンプルでのテストを繰り返すことにより、対象とする顧客層(ターゲット・セグメント)の切り口や反応率についての知見も蓄積されつつあり、こうした分析にもSPSS Modelerの出番が増えていく見込みです。

 

将来の展望

顧客のクラスタリングによる、ターゲット・セグメンテーション精緻化の取り組み

SPSS Modelerの導入によって分析機能を大きく拡張し、遠州鉄道として顧客(カード保有者)の「クラスタリング」に力を入れたいと考えています。すなわち、ポイントカード保有者をさまざまな切り口からグループ化し、特定製品・サービスに対するそれぞれの購入見込み度など予測することで、ダイレクト・メールのターゲット・セグメントの効率的な絞り込みに活用するといった取り組みが始まっています。

SPSS Modelerの今後の活用について、宮田氏は次のように語っています。

「『クラスタリング』を行って、商品を買っていただけそうなお客様をこちらから予測することは今までまったくやったことがありませんでしたので、SPSS Modelerを活用して、ぜひ取り組みたいと思います。遠鉄グループは静岡県西部の限定された地域で事業展開しているため、顧客の購買行動についてたいへん良いデータが蓄積しています。顧客が一緒に買われる商品を見つけ出す『併売分析』の成果についてはわれわれ遠州鉄道だけではなく、遠鉄グループ各社が大きな期待を寄せています」。

例えば、遠鉄グループのA社とB社の両方を利用している顧客、また、両方を利用する可能性のある顧客グループを抽出し、「共同企画」を実施することで、グループ内での買い回りを促進するという施策が可能になります。また、ポイント専用カードから、クレジット機能付きポイントカードへの切り替え促進や、公共料金などの継続決済が発生するものに、クレジット機能付きカードを利用してもらうことで、「メインカード」化を図るための各種マーケティング施策にも、SPSS Modelerによる掘り下げた分析を活用していくことが検討されています。

宮田氏は「使いやすく、処理スピードが速いことに加えて、高機能なSPSS Modelerを採用したことで、可能性の幅が広がった。今後どのようなデータ分析を行うべきなのか?行えるのか?という次の展開が見えてきた」と高い期待を寄せています。

 

お客様情報

1943年設立。静岡県浜松市で鉄道路線1路線、静岡県西部で路線バス、タクシーを運営。その他、流通業、不動産業など多様な業種業態の事業を「遠鉄グループ」として展開している。従業員数は、正社員、契約社員、パートなどを含め、遠州鉄道単体で約1500人、遠鉄グループ全体では約7,000人。2011年には、浜松市内唯一のデパートである「遠鉄百貨店」の新館を開業。20代後半から40代の働く女性をターゲットにしたブランド構成によって開業当初から多大な人気を博し、浜松駅周辺の活性化に寄与している。

 

テクノロジープラットフォーム

IBM Business Analytics について

IBMのビジネス・アナリティクス・ソフトウェアは、業績改善に取り組む意思決定者に対し、実践的な洞察を提供します。IBMは、ビジネス・インテリジェンス、予測分析と高度な分析、財務パフォーマンスと戦略の管理、ガバナンス、リスクおよびコンプライアンス(GRC)、そしてアナリティック・アプリケーションからなる包括的なポートフォリオを用意しています。 IBMソフトウェアは、ビジネスの傾向やパターンあるいは異常の発見、仮説に基づくシナリオの比較、潜在的な脅威や機会の予測、重要なビジネス・リスクの特定および管理、さらには経営資源に関する計画、予算および予測を実現します。IBMの世界中のお客様は、この充実したアナリティクスを使うことで、業績への理解を深める一方、成果への予測を高め、目標への確かな道筋をつけることができます。

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