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Watsonを駆使した学習プラットフォーム「Your Learning」で学び続ける文化を醸成

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本ブログでは、日本IBMが第5回 HRテクノロジー・アワードにて大賞を受賞したことを受け、これまでの取り組みを人事担当者より紹介させていただきます。


学び続ける文化

「教育に飽和点はない」IBM創始者トーマス・ワトソン・シニアの言葉です。

IBMでは、1911年にアメリカ・ニューヨーク州で創業されて以来、社員のスキル育成、学習機会提供について経営陣がコミットし、社内に学び続ける文化、互いに学び合う文化の醸成に尽力してきました。現IBM会長のジニー・ロメッティ(Ginni Rometti)は2013年に「THINK40」を提唱し、全IBM社員が年間最低でも40時間を自らスキル開発に充てることを薦め、2019年には日本IBM社員の平均学習時間はTechnology Skill、Industry Skill、People Skillなど様々な分野で100時間に達しています。2020年4月に社長に就任したアービンド・クリシュナ(Arvind Krishna)も、全社員向けの就任挨拶で、「学習は一時的なものでなく継続的なプロセスであり、常に成長のためのGrowth Mindsetを持つことが重要」と説いています。

かつては、ある分野で深い知識、スキルを身につければ、社員は長い年月にわたりそのスキルをお客様のために活用することができました。しかし、21世紀になってビジネス環境は目まぐるしく変わり、お客様の状況は日々変化しています。テクノロジーの進化に伴い、IBMの製品・サービスも絶え間なく進化を続けており、今やスキルの半減期は5年以下であると言われています。そして、今我々が地球規模で経験している未曾有の新型コロナウイルス感染症の影響で今後何が起こるのか、誰にも確かな予想はできていません。これまで当然だと思っていた働き方や働く環境は、今後大きく変わっていくことでしょう。このような環境下において、世の中で変わりゆく需要の高いスキルを見極め、学習し、そして習得し続けることが求められるのではないでしょうか。しかしながら、市場に即した最適なスキルは、一朝一夕で身につけることはできません。そのため、忙しい毎日の中で学習時間を継続的に確保できるよう、自ら学びを習慣化することが大切です。それを支えているのが、IBMの学習プラットフォーム、Your Learningです。

継続学習を支える学習プラットフォーム Your Learning

社員が今、そして未来の事業戦略に必要なスキルを迅速に、なおかつ確実に身に付け、常に最新の状態に保つためにはどうしたらよいでしょうか。

急速に変化するビジネス環境において、従来型のLMS(Learning Management System)ではこの課題を解決することができませんでした。常に学び続けるには、飽きることなく学びに取り組める環境の整備が必要です。そこでIBMでは、一人一人にパーソナライズされた学習の推奨に基づき、社員が場所を問わず、楽しみながら能動的かつ継続的に学ぶことができる、”体験”を重視したデジタルプラットフォーム、LXP(Learning Experience Platform)の構築を目指し、2016年にYour Learningを導入しました。

参照:https://yourlearning.ibm.com/about/

Your Learning導入以前は、複数のラーニング関連システムが混在する等、自分の求める学びに対し、いつでも手軽にアクセスできるとは決して言えませんでした。新システムの構築にあたっては、社員(ユーザー)側の体験を最重視するため、全世界の社員をランダムに選び意見を収集。導入後はリアルタイムで全社員からのフィードバックを吸い上げながらシステム改良を重ねるとともに、日本を含めた各地で啓蒙イベントやデモを通してユーザー側のメリットも同時に訴求することを試みました。特に、学習する者同士が、Your Learningに備えたソーシャル・ネットワーク機能を介して学ぶ機会に参加し、相互に共有し、評価することができる点を強調することで、人事や研修部門が介在しなくとも活用が進む仕掛けを促しました。

Your Learning導入から4年が経過し、今では世界中の99%超の社員が四半期に1回は必ずYour Learningにアクセスし、いつでもどこでも自分に最適な、パーソナライズされた学びを実践するようになりました。中でも日本IBM社員の活用率や学習時間は世界でも常にトップクラスです。経営層をはじめとする全社員が真摯に学びに取り組んでいる結果です。ラーニング部門としても大きなやりがいと責任を感じています。

新型コロナウイルス感染症による学び方の変化、Learning DXの兆し、そしてHRテクノロジー大賞受賞

2019年に社員の平均学習時間が大きく伸びましたが、今年に入り新型コロナウイルス感染症の影響で在宅勤務が増えたことにより、Your Learningを使ったDigital Learningの活用が一層進むこととなりました。多くの社員がSelf-paceで実施できるe-learningにこれまで以上に取り組むと共に、ラーニング部門としても、これまで教室で対面実施していた研修のほとんどを自宅からオンライン参加できるように再設計することで、環境が変わっても学びを継続できる環境を整備しました。

4月に入社した新入社員向けの研修もすべてオンラインで実施しました。Digital Native世代である彼らは、社内の様々なDigital Toolを難なく使いこなし、研修メニューを順調に修了しています。また、2020年上半期での日本の学習完了数は、前年同期と比べて63%増え、平均学習時間も30%増加しました。まだまだLearning DXが進化していく可能性を感じています。

こうした取り組みの結果、この度「HRテクノロジー大賞」実行委員会主催(後援:経済産業省、産業技術総合研究所など、事務局:ProFuture株式会社様)による「HRテクノロジー大賞」にて、大賞を授与いただきました。評価いただいたことを大変光栄に思います。Your Learningは、現在お客様にもご使用いただける環境が整っております。受賞を機に、改めてIBM社員とYour Learningの魅力や活用方法を共有し、学び続ける文化、互いに学び合う文化を共に作り上げていくと共に、お客様のLearning DX推進のご参考にしていただけるような事例を一つでも多く創出できればと考えています。


HRテクノロジー大賞受賞に関するプレスリリース


藤本 亜子
著者:藤本 亜子 人事 ラーニング Japan Learning Lead
お客様企業向けIT研修、IBM社内人材開発研修等を担当後、2013年より学びのプロ集団である人事ラーニングをリード。
「最高のラーニング体験により、IBMに『継続して学ぶ文化』を加速させ、共に未来を創る」を部門のPurposeに掲げ、グローバルおよびローカルのIBM Learningの仲間と共に、時代や環境に則した「学び方」を追究する日々を送る。
高橋 直武
著者:高橋 直武 人事 ラーニング Senior Learning Partner
日系製造業2社にて人事給与制度設計、グローバル人事等を経験した後、2014年にIBM入社。Compensation、HRBP担当を経て2018年にラーニング部門へ異動。事業部門へラーニングコンサルテーションを提供すると共に、Your Learningを用いた全社のLearning DXを推進中。
2020年より、Japan Geo Career Squadおよび新任マネージャー向け研修を全世界で推進するGlobal Portfolio Focalを兼務し、社員の効果的な社内キャリアの構築と、“Talent Builder”としてのマネージャーの育成をリード。
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