このガイドでは、仮想プライベートクラウドが機能する方法を見ていきます。パブリッククラウドのテナントにプライベートクラウドのようなエクスペリリンスを提供するこの新たなオファリングの機能とメリットを説明します。
仮想プライベートクラウド(VPC)は、企業が共有パブリッククラウドインフラストラクチャー上に独自のプライベート。クラウドのようなコンピューティング環境を確立できるようにするパブリッククラウド・オファリングです。 VPCを使用すると、企業は、他のすべてのパブリック・クラウドのテナントから論理的に分離された仮想ネットワークを定義・制御して、パブリック・クラウド上に自社だけの安全な場所を作成できるようになります。
クラウド・プロバイダーのインフラストラクチャーが、複数の家族が住むアパートだと想像してみてください。 パブリック・クラウドのテナントであることは、数人のルームメートとアパートを共有することに似ています。 それに対して、VPCは自分専用のコンドミニアムを所有しているのに似ています。他の誰もその部屋の鍵を持っておらず、所有者の許可なしにその部屋に入ることはできません。
VPCの論理的分離は、仮想ネットワーク機能およびセキュリティー機能を使用して実装されます。これらの機能により、企業のお客様は、どのIPアドレスまたはアプリケーションが特定のリソースにアクセスできるか詳細な管理をすることができます。 これは、公開投稿を表示できる人と表示できない人を制限するのに使用される、ソーシャル・メディアのアカウント上の「友だちのみ」や「パブリック/プライベート」などのコントロールに似ています。
IBM Cloud Virtual Server for VPC
VPCはクラウド・コンピューティングへの「両者の長所を生かす」アプローチです。 VPCはパブリッククラウドのリソースや節約を活用しつつ、顧客にプライベートクラウドのメリットを多く提供します。 VPCモデルの鍵となる特徴には、次のようなものがあります。
各VPCの主な機能は容易にメリットに変換され、お客様の企業が俊敏性、イノベーションの向上、迅速な成長を実現する助けとなります。
VPCでは、クラウド・リソースを独自の分離された仮想ネットワークにデプロイできます。 これらのクラウド・リソース(論理インスタンスとも呼ばれます)は、3つのカテゴリに分類されます。
今日のアプリケーションの大多数は、3層アーキテクチャーを使って設計されています。そのアーキテクチャーは、次のような相互接続する層で構成されています。
3層のアプリケーション・アーキテクチャーをVPCで作成するには、各層を独自のサブネットに割り当て、それによって独自のIPアドレス範囲を与えます。 各層では独自の固有ACLが自動で割り当てます。
VPCでこのアーキテクチャーを作成し、アプリケーションにデプロイする詳細な方法は、『仮想プライベートクラウド:技術とテスト』というブログ投稿を参照してください。
VPCのハイレベルなセキュリティーは、従来型のデータセンターに格納されているリソースへのアクセス制御に使用されるセキュリティー機能の、仮想レプリカを作成することで実現されます。 このようなセキュリティー機能により、お客様はパブリック・クラウドの論理的に分離された部分に仮想ネットワークを定義し、どのIPアドレスがどのリソースにアクセスできるかをコントロールできます。
VPCのセキュリティー層を構成しているのは、以下の2つのタイプのネットワーク・アクセス制御です。
仮想プライベート・ネットワーク(VPN)は、情報が移動する暗号化されたトンネルを作成することで、プライベート・ネットワークへの接続と同じくらいセキュアなパブリック・インターネットへの接続を構築します。 VPCでVPN-as-a-Service(VPNaaS)をデプロイし、セキュアなサイト間通信チャンネルをVPCとオンプレミス環境、またはVPCと他の場所との間に確立します。 VPNを使用して、複数のVPC内のサブネットに接続し、そのサブネットがまるで単一のネットワークに存在するかのように機能させることができます。
プライベートクラウドと仮想プライベートクラウドは時々、(間違えて)区別なく使用されます。 実際、仮想プライベートクラウドは、 プライベートクラウド のオファリングです。 プライベートクラウド は、企業が所有・運用・管理するシングル・テナント・クラウド環境で、一般的にはオンプレミスまたは専用のスペースや施設でホストされます。 対照的にVPCはマルチ・テナント・アーキテクチャーですが、それぞれのお客様のデータやワークロードは、それらの他のテナントすべてから論理的に分離されます。 クラウド・プロバイダーには、この論理的分離を保証する責任があります。
仮想プライベートクラウドは、パブリッククラウドのアーキテクチャー内にプライベート・スペースを作成する機会を与える、シングル・テナントの概念です。 VPCは従来のマルチ・テナント・パブリッククラウド・オファリングよりも強力なセキュリティーを提供しますが、お客様は、高可用性、柔軟性、コスト効率性といったパブリッククラウドの利点を活用し続けられます。 一部のケースでは、VPCやパブリッククラウド・アカウントを拡張する方法が他にある場合があります。 例えば、追加のストレージ容量は、VPCでは特定のサイズのブロック内でしか利用できない場合があります。 すべてのパブリッククラウド機能がすべてのVPCオファリングでサポートされているわけではありません。
仮想プライベートクラウドに関してよく聞かれる質問の一部については、『VPCに関するよくある質問』を参照してください。
様々なクラウド・プロバイダーは、自身のVPCオファリングで異なる料金体系モデルを提供している場合があります。 個別のVPCリソース(ロード・バランサー、VSIまたはストレージなど)に別々の料金設定がされることは、よくあることです。 ボリュームに基づいたデータ転送料金が適用されることもよくあることですが、プライベート・ネットワークでのデータ転送に対して請求をしないクラウド・プロバイダーもあります。
自社のニーズを満たす料金体系モデルのVPCオファリングを見つけるには、デプロイしようとしているアプリケーションの要件を検討することが重要です。 そのアプリケーションの要件は計算主体ですか? 大容量のメモリーとCPUを必要としますか? あるいは、CPU、ストレージ、メモリーの要件という観点ではよりバランスのとれたものですか? これらの質問に正確に答えることにより、使用状況に応じたニーズを予測できるようになります。そして、結果的には、オプションを比較する時に潜在的なコストを見積もられるようになります。
IBM Cloud® Virtual Private Cloud (VPC)はIBM Cloudインフラストラクチャーの最新オファリングです。 現在利用できる複数のマルチゾーン・リージョンでは、IBM Cloud VPCはクラウドネイティブなワークロードのために、ゼロから設計されており、クラウド・アーキテクチャーの構築や管理をしてきたIBMの経験がその基盤となっています。
IBM Cloud VPCは、既存のアプリケーションやツールセットとの統合を容易にする新しいAPI、複数の接続オプション(IBM Cloud Direct Linkなど)、すべてのコアIBM Cloudプラットフォームとの完全統合を特徴としています。
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