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企業規模の自動化を、Cognitive Enterprise Automation で描く

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日本の企業は今、少子高齢化による生産労働人口の減少や政府主導の「働き方改革」によって、全社規模での業務の効率化、自動化(オートメーション化)に迫られている。その鍵となるのが近年話題となっているRPA(Robotic Process Automation)やAIなどのデジタルテクノロジーだ。IBMではRPAのみならず、 IBM Watsonや長年培ってきた技術を結集したCognitive Enterprise Automationを提供することで、企業全体のオートメーション化を支援している。本記事ではCognitive Enterprise Automationとは何か。その活用範囲や導入意義、それにより企業にもたらされるメリットについて、日本アイ・ビー・エム技術理事の田端真由美に話を聞いた。

田端真由美

日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス事業 先進技術・自動化ソリューション統括 技術理事
田端真由美


1994年日本IBM入社。金融機関向けのシステム開発プロジェクトでITアーキテクトとして活動後、IBM Watsonを活用したシステムの設計・開発をリード。現在はAIの活用とオートメーションの推進を担当する。

 

企業全体のオートメーション化の支援を

――多くの企業がコスト削減や人員削減のためにRPA導入を検討するなか、IBMでは既存のRPAではなくCognitive Enterprise Automationという新たなソリューションを打ち出しました。その狙いはどこにあるのでしょうか。

田端 最初に、IBMは「RPAベンダーとは見なされていない」ということをお伝えしておきます。むろんRPAもご提供しているのですが、お客様の目から見るとIBMという会社のイメージはもっと広く、IBM Watsonや、その他さまざまなテクノロジーを保有する企業なのです。当然、包括的なソリューションに対する期待値も高くなります。

Cognitive Enterprise Automationは、そうしたお客様の期待やご要望に応えるために、IBMの持つテクノロジーやノウハウを組み合わせたオートメーション化のオファリングとして打ち出しています。

日本アイ・ビー・エムの田端真由美

日本アイ・ビー・エム株式会社 グローバル・ビジネス・サービス事業 先進技術・自動化ソリューション統括 技術理事 田端真由美

――Cognitive Enterprise Automationと既存のRPAとの具体的な違いは何でしょうか。

田端 これまでのRPAが業務部単位で導入されることが多かったのに対し、Cognitive Enterprise Automationは、エンタープライズ(企業全体)を対象としています。RPAは手軽さが魅力ですが、単体で適用できるのはバック・オフィスの業務が主で、フロント・オフィスやその他のインフラ管理やアプリケーション開発といった部門までカバーするには、AIや機械学習、ビジネスプロセスマネジメント(BPM)、チャットボット、OCR(Optical Character Reader、光学式文字認識装置)などとの組み合わせが不可欠となります。

「Cognitive Enterprise Automation」の全体像

IBMが推進する「Cognitive Enterprise Automation」の全体像

――日本IBMでは、Cognitive Enterprise Automationをお客様に深く理解いただき、企業としての自動化の戦略を立案するための「場」として、インド、中国に次いで世界で3番目となるAutomation Innovation Center(以下、AIC)を東京本社にオープンしました。

田端 AICでは、主に企業の経営層やオートメーション化の担当部署の方々に先進的な自動化ソリューションをご体感いただくとともに、アドバイザリー・サービスとしてお客様のご要望を聞いたうえで、自動化戦略の立案を個々にご支援させていただいております。

ロボットやAIのデモンストレーションを行う「自動化体験ゾーン」、弊社のデザイナーやコンサルタントなどの専門家がデザイン・シンキングの手法でお客様の課題を解決していく「自動化共創スペース」、システムの実装についてご説明する「自動化デリバリー&イノベーション・アリーナ」、弊社と協業しているRPAベンダーのソリューションなどをご説明する「自動化パートナー・コーナー」の4つのゾーンがあります。自分たちの企業にどんな自動化サービスが必要なのか、AICに来ていただければ見えてくるはずです。

AICの内観

AICで行われる自動化に関する相談は、すべて「個社」対応。事前の予約を経て、専用スペースで企業ごとにさまざまなプログラムが用意される

 

オートメーション化は「ジャーニー」と捉える

――日本でも2016年頃から急速に導入が進んでいるRPAですが、グローバルでは50%の企業が導入に失敗していると聞いています。

田端 日本の企業でも部署単位でRPAを導入して、それが思ったほどの効果を挙げていないということが多くあるようです。専門職よりも多能工が多いという日本独特の事情もあり、一部門でのオートメーション化をしてもなかなか全社的な人員削減にはつながらないのです。一方で、気が付くと似たようなロボットが社内に乱立して管理が困難になっている。そういうケースもよく耳にします。

――そのような状況を回避する、または改善するためになすべきことは何でしょうか。

田端 やはり全社規模で自動化に取り組む観点を持つことです。単なる人員削減やコスト削減ではなく、オートメーション化の先にある自社のサービスの品質向上、新しいビジネスへのチャレンジといった戦略的な目標を導入のフェーズから設定しておく。そこで必須となるのがプロジェクト全体を統括する組織、CoE(センター・オブ・エクセレンス)の設置です。

弊社ではCognitive Enterprise Automationによるオートメーション化を、長期的な「ジャーニー(旅)」と捉えています。まず自分たちがどこにいるのか現在地を知り、到達すべき目的地を設定する。そして旅のガイドとして全社横断の推進組織であるCoEを立ち上げ、効果的なPDCAサイクルを確立する。ガバナンスの面でもそうした進め方をお勧めしています。

CoEの役割

自動化ジャーニーにおいて、CoEが果たす役割の全体図

――加えて、貴社は「顧客中心のイノベーション」を提唱されていますね。

田端 AICはその原理にもとづき設立されました。自動化というジャーニーにおいて、自社の現在地はどこなのか。それを確かめたうえでお客様の目的や最新ITのケイパビリティ(能力)を理解し、未来を見越した戦略を共に描いていく。現実にはプロジェクトをスタートすると、それまで表層的だったお客様の認識がより深く具体的になったり、オートメーション化を適用したい範囲がどんどん広がっていったりと変わっていくケースが少なくないのですが、そのたびにしっかりしたKPI評価を出しながら、お客様とともに次の一手を考えていくのが弊社の使命です。

――IBM Cognitive Enterprise Automationの導入事例をいくつかご紹介いただけますか。

田端 フロント・オフィスですと、チャットボットを使った自動化の事例が多くあります。例えば、ある航空業界の企業様ではハワイのおすすめ情報を提供するバーチャルアシスタントサービスを。また、ある食品メーカー様ではチャットボットでの対話を通じてお客様の問合せ内容を理解したうえで、迅速に回答するといったサービスをご提供しています。

バック・オフィスですと、ある飲料メーカーの請求伝票入力をOCRとRPAを適用することで省力化しました。OCRを用いた事例では、他に、大手の製作所で設計・製造における図面などの紙情報を電子データ化し、Watson APIを使って整理することで簡単にデータを利活用できるようにしたというケースがあります。

その他、大手のクレジットカード会社や大手保険会社などの経理部門やシステム部門でも自動化を推進し、効果をあげています。

――金融系やメーカーが多いように感じられますが、どのような業界にも導入できるソリューションなのですね。

田端 金融業界のお客様は帳票処理が多いので、自動化に興味を持たれるケースが多いです。しかし、ビジネスプロセスやシステム運用が存在するならば、IBM Cognitive Enterprise Automationは業種を問わず、どんな企業にも適用できます。とりわけ、メーカー様は常に改善を繰り返すという文化的な背景をお持ちのせいか、率先して取り組まれる企業が多いですね。

日本アイ・ビー・エムの田端真由美

 

日本が全社を挙げた自動化の先進的ロールモデルとなるために

――Cognitive Enterprise Automationを経て、日本企業にどのような活路が開けるか展望をお聞かせください。

田端 現在、日本ほど高齢化が急速に進んでいる国は他にないという点を改めて認識いただきたい。熟練のスタッフがどんどんいなくなっていく状況下で、AIやRPAを組み合わせてそれをカバーする道を見出せたら、間違いなく世界の先進事例になり得ると思います。それと日本人独特のサービス残業、こうした習慣を改善しようと「働き方改革」があるわけですが、これをCognitive Enterprise Automationで後押しできたらと思います。

――導入する企業側にはどのような心構えが必要ですか。

田端 自社の発展のためにどういった目的でオートメーションを活用するのか、戦略を持ったうえで全社的に意識統一していくことが大事です。そこが定まっていれば実装面のフェーズでぶれることがないし、見直しが必要な場合でも的確な対応が可能です。

RPAやオートメーションに興味がある、またすでに一部でスモールスタートしてはいるがそれを全社的な範囲に広げたいといった経営者の皆様には、是非一度AICをお訪ねいただければと思います。

テクノロジーの知識が十分でなかったとしても、全社的な自動化戦略が未定だとしても、弊社が共創という形であらゆる観点でご支援させていただきます。IBMが長年培ってきたAIをはじめとする技術と経験から得たノウハウ、それを存分に活用していただきたいですね。

 

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