Sai Vennam

Summary

クラウド・コンピューティングについて学び、それが企業に何をもたらすかを見極めましょう。

クラウド・コンピューティングとは何か

しばしば略して「クラウド」とも呼ばれるクラウド・コンピューティングとは、インターネット経由でアプリケーションやデータ・センターなどのコンピューティング・リソースを、従量課金制で提供するオンデマンド・サービスです。

  • 弾力的なリソース: 変化する需要に応じて拡張、縮小が素早く簡単にできます。
  • 課金サービス: 使用した分に対してのみ課金されます。
  • セルフサービス: 必要なすべてのITリソースにセルフ・サービスでアクセスすることができます。

IBMクラウドでのクラウド・コンピューティングの詳細を見る

クラウド・コンピューティングの歴史の概要

クラウド・コンピューティングの起源は1950年代に遡ります。その後長年にわたり、グリッド、ユーティリティー、オンデマンド・コンピューティングなど、IBMが初めて開拓した多くの段階を経て進化してきました。

メインフレームから、仮想化が最新のクラウドをもたらした方法に至るまでの、クラウド・コンピューティングの道程について詳しくは、IBMのクラウド・コンピューティングの歴史のブログ投稿でご確認ください。

クラウド・コンピューティングの長所と短所

「クラウド」という用語は抽象的なものと思われるかもしれませんが、お客様にとってクラウド・コンピューティングのメリットは、非常に現実的で明白なものです。IBMは世界中のお客様と同様に、ITサービス・デリバリーの即応性、有効性、効率性の新しい時代を迎えるために、クラウド・コンピューティングの可能性を認識して採用しています。

コンピューティングの世界でクラウドが人気を博して受容されていくにつれ、より多くの企業が切り替えています。実際、既存の非クラウド・アプリケーションの75%が今後3年以内にクラウドに移行される見通しです。

新しいサービスの追加、妥協しない研究の実施、そして基盤となるテクノロジーとアーキテクチャーの限界を絶え間なく押し広げるイノベーションの創出によって、クラウド・コンピューティングのメリットは進化を続けています。

企業のアーキテクチャーの観点から見たクラウドの7つのメリットは次のとおりです。

  • コスト効率
  • 選択
  • スケール: 柔軟性と弾力性
  • スピード
  • 統合
  • 監査およびコンプライアンス
  • 事業継続計画

クラウド・コンピューティングは大きな機会をもたらす一方で、ビジネス・リーダーやIT部門に課題を突きつけることもあります。クラウド・コンピューティングについての認識を悪化させ続けている最も一般的な欠点は、何といってもセキュリティー問題と一貫性のないパフォーマンスです。

よい面は、お客様のワークロードに特化して構築されたクラウド・アーキテクチャーや、強固で信頼性の高いクラウド・サービス・プロバイダーの努力によって、これらの課題は克服できるということです。

クラウド・コンピューティングの長所と短所についてまとめた記事をお読みください。

クラウド・コンピューティングのタイプ

Platform as a Service (PaaS)

Platform as a Service(PaaS)は、クラウド・ベースのアプリケーションのライフサイクル全体、つまりアプリケーションの開発からサービス提供までをサポートするのに必要なものすべてを提供する、クラウド・ベースの環境です。これにより、環境構築に必要であった、ハードウェアおよびソフトウェアの購入手続やプロビジョニング、そしてホスティングの管理コストと複雑な運用がすべて解消されます。

PaaSの利点:

  • アプリケーションの開発と市場への投入にかかる時間を短縮します。
  • 新しいWebアプリケーションを数分でクラウドに導入します。
  • Middleware as a Serviceにより複雑さを軽減します。

PaaSの詳細

Infrastructure as a Service (IaaS)

Infrastructure as a Service(IaaS)は、サーバー、ネットワーク、ストレージ、データセンター・スペースなどのコンピューティング・リソースを企業に従量課金制で提供します。

IaaSの利点:

  • ハードウェアに投資する必要がありません。
  • 動的なワークロードをサポートするためにインフラストラクチャーをオンデマンドで拡大できます。
  • 柔軟かつ革新的なサービスをオンデマンドで使用できます。

IaaSの詳細

Software as a service (SaaS)

クラウド・ベースのアプリケーション、つまりSoftware as a Service(SaaS)は、遠く離れた「クラウドの中の」コンピューターで稼動しています。そのコンピューターはサービス・プロバイダーによって所有、運用され、ユーザーはインターネット経由で、(通常は)Webブラウザーを使って、そのコンピューターに接続します。

SaaSの利点:

  • 登録すれば、革新的なビジネス・アプリをすぐに使い始めることができます。
  • 接続しているどのコンピューターからでもアプリとデータにアクセスできます。
  • データはクラウドにあるので、コンピューターが中断してもデータが失われることはありません。
  • 使用ニーズに合わせてサービスを動的に拡大したり縮小したりできます。

SaaSの利点トップ5の詳細を確認してください。

SaaSの詳細を見る

クラウド・コンピューティングのデプロイメント・モデル

さまざまなタイプのクラウド・コンピューティングのデプロイメント・モデルには、パブリック・クラウド、プライベート・クラウド、ハイブリッド・クラウド、マルチクラウドなどが含まれます。

パブリック・クラウド

パブリック・クラウドとは、クラウドを所有・運営する企業が、手頃な価格でコンピューティング・リソースへの迅速なアクセスをパブリック・ネットワーク上で提供するサービスです。パブリック・クラウド・サービスを使用すると、ユーザーはハードウェア、ソフトウェア、またはサポート・インフラストラクチャーを購入する必要はありません。そのすべてがプロバイダーによって所有および管理されるのです。

パブリック・クラウドの重要な側面:

  • 顧客リソース管理(CRM)からトランザクション管理やデータ分析まで、幅広い用途の革新的なSaaSビジネス・アプリへのアクセスを提供
  • すぐに利用できる、ストレージ・サービスおよび計算サービス向けの柔軟で拡張可能なIaaS
  • クラウド・ベースのアプリケーション開発とデプロイメント環境向けの強力なPaaSの実現

パブリック・クラウドについての詳細

プライベート・クラウド

プライベート・クラウドとは、社内で管理するか、サード・パーティーが管理するか、また、内部でホストされるか、外部でホストされるかを問わず、1つの企業のためだけに運用されるインフラストラクチャーです。プライベート・クラウドは、所有する企業がリソースをきめ細かく管理したり、他企業との共有環境となるのを避けると同時に、クラウドの優れた能力を利用できます。

プライベート・クラウドの重要な側面:

  • サービスを制御するセルフサービス・インターフェースを提供することにより、ITスタッフがオンデマンドITリソースを迅速にプロビジョン、割り振り、送達することが可能
  • 計算機能からストレージ、分析、ミドルウェアまであらゆるものを対象に、高度に自動化されたリソース・プールの管理を促進
  • 企業の固有の要件に合わせて設計された、洗練されたセキュリティーとガバナンスを提供

プライベート・クラウドについての詳細

ハイブリッド・クラウド

ハイブリッド・クラウドでは、プライベート・クラウドの基盤を、パブリック・クラウド・サービスとの戦略的な統合と利用を組み合わせて使用します。現実には、プライベート・クラウドは企業の他のITリソースやパブリック・クラウドから分離して存在することはできません。プライベート・クラウドを所有するほとんどの企業は、やがてワークロードを複数のデータセンター、プライベート・クラウド、パブリック・クラウドにまたがって同時に管理するようになり、その結果ハイブリッド・クラウドを構築するようになります。

ハイブリッド・クラウドの重要な側面:

  • 企業は、重要なアプリケーションや機密データを、従来のデータセンター環境またはプライベート・クラウドに保存可能
  • 最新のアプリケーション用にはSaaS、柔軟な仮想リソース用にはIaaSのように、パブリック・クラウド・リソースを活用可能
  • データ、アプリ、サービスのポータビリティーの促進と展開モデルの選択肢の増加

ハイブリッド・クラウドの概要については、「ハイブリッド・クラウドの説明」のビデオをご覧ください。

アーキテクチャーの詳細については、IBMのハイブリッド・クラウド・アーキテクチャーについて説明するビデオ・シリーズをご覧ください。

ハイブリッド・クラウドについての詳細

マルチクラウド

多くの企業では、さまざまなクラウド・サービスを活用して、新たな収益源の創出、製品やサービスの追加、利益率の向上など、イノベーションを推進してビジネスの俊敏性を促進しています。マルチクラウド環境にはこのような広範で価値ある潜在的利点があるため、デジタル時代に生き残って成功するためには不可欠です。

マルチクラウドの主要な側面:

  • 企業の85%は既にマルチクラウド環境で稼働しています。さらに複雑なことに、これらの環境の大部分は、複数のハイブリッド・クラウドで構成されています。ハイブリッド・クラウドは、1つ以上のパブリック・クラウド、プライベート・クラウド、またはハイブリッド・クラウドをオンプレミス・システムに接続したり、1つ以上のクラウドを他のクラウドにネットワーク接続することができます。
  • 企業の76%が少なくとも2から15のハイブリッド・クラウドを既に使用していると報告しており、98%が3年以内に複数のハイブリッド・クラウドを使用するようになると予測しています。

マルチクラウドについての詳細

クラウド・コンピューティングにおけるセキュリティー問題

お客様のクラウド・インフラストラクチャーは、調整したとおりにのみ保護されます。クラウドを保護する責任は、セキュリティー・チームだけにあるのではなく、適切なセキュリティー管理が使用されていることを確認する担当であるDevOpsチームや運用チームにもあります。企業は、個人識別情報、金融情報、または医療情報を管理したり含んでいるアプリケーションなど、より規制の高いワークロードをクラウドに導入することを望んでいます。

クラウド・コンピューティングのリスクを回避するために、クラウド・マネージド・サービス・プロバイダーは、データセンターからオペレーティング・システムまでのあらゆるレベルに標準装備のセキュリティー層を組み込む必要があります。業界最高レベルの物理的セキュリティーや、高度なスキルを持つ専門家によって行われる定期的な脆弱性スキャンを含む、完全に構成されたソリューションを提供するものです。

企業向けのクラウド・コンピューティング

デジタル変換を進めてアプリケーションを最新化したい企業は、クラウド・コンピューティング・プラットフォームを採用する価値をいち早く理解しています。そしてソフトウェアのレンタルによってビジネスの俊敏性やコスト削減を次第に見い出しています。それぞれのクラウド・コンピューティング・サービスとデプロイメント・モデル・タイプは、さまざまなレベルのコントロール、柔軟性、管理を提供します。ですから、それらの違いを理解することが重要です。

デリバリー・モデルとしてパブリック・クラウドを選択することが一般的です。しかし、自社のアプリケーションやワークロードに適したクラウド・コンピューティングのアーキテクチャーを検討する場合、まずは自社の業務に固有のニーズに対応することから始める必要があります。

これには規制、セキュリティー、性能、データの所在、サービス・レベル、提供までの時間、アーキテクチャーの複雑さ、技術力、ベンダー・ロックインの回避など、さまざまな項目が含まれます。そのうえ、先進テクノロジーを導入する必要もあるので、クラウド・コンピューティングへの移行が簡単であるという考えに対し、ITリーダー達が異を唱えている理由は明らかです。

一見すると、クラウド・コンピューティングのタイプはシンプルに思えます。パブリック、プライベート、または両者を混合したハイブリッドです。しかし、実際には選択肢は多数存在します。パブリック・クラウドのデリバリー・モデルには、共有、専用、およびベアメタルがあります。さらに、フルマネージド・クラウドと部分的マネージド・クラウドの選択肢もあります。特に既存のアプリケーションの場合には、アーキテクチャーが複雑すぎてクラウドに移行できない、あるいは費用対効果が最適でないなどといった点で、クラウドがふさわしくないこともあります。

どのモデルが適切であるかは、ワークロードによって異なります。各クラウド・モデルの長所と短所を理解したうえで、最大の利益を得るにはどのワークロードをどのタイプのクラウドに移行するかを判断するための方論的アプローチを策定する必要があります。

特定のクラウド・サービスやデプロイメント・モデル、クラウド・コンピューティング・アーキテクチャー、クラウド・コンピューティングの例を深く掘り下げます。

クラウド・コンピューティングのストレージ

ストレージは、アナリティクス、ビデオ、モバイル・アプリケーションなどの新しいワークロードにより、急速に増え続けています。ストレージの需要は増加していますが、ほとんどのIT組織は、共有クラウド・コンピューティング・リソースを使用してITインフラストラクチャーのコストを削減するという圧力を受け続けています。ソフトウェア設計者とソリューション・アーキテクトが、ワークロードの特定の要件を適切なストレージ・ソリューションに合わせること、または多くの企業の場合、混合することが不可欠です。

クラウド・ストレージの最大の利点の1つは柔軟性です。あなたのデータやあなたが求めるデータを持つ企業が、データすべてを1つのダッシュボードから管理、分析、追加、転送することができます。データセンター内に単独で設置されたストレージ・ハードウェア上では現在不可能なことを行えるのです。

ストレージ・ソフトウェアのもう1つの大きな利点は、ハードウェア、プラットフォーム、またはフォーマットにかかわらず、どんな種類のデータがどこにあろうともアクセスして分析できることです。ですから、ご利用の銀行にリンクしたモバイル・デバイスから、構造化されていないソーシャル・メディア情報を満載したサーバーに至るまで、データはクラウドを介して理解できるのです。

クラウド・ストレージについての詳細

クラウド・コンピューティングの価格設定

ビジネス上重要な他のいかなる意思決定とも同様に、クラウド・サービスを選択することには、公表されている単位あたりの料金だけではない、詳細な調査が必要です。ワークロード・パフォーマンスの特性とニーズについて深く理解し、それらのニーズを複数のクラウド・ベンダーの実際のオファリングに合わせる能力が必要です。

クラウド・サービス・プロバイダーには、クラウド・キャパシティーに対する共有された基準の「単位」、つまり一般的な価格設定構造がありません。また、クラウド・アプリケーションを実行する基盤となるハードウェアに共通の仕様もありません。その結果、プロバイダーの基本的な「単位あたり」の料金に基づくワークロード・コストの合計の想定は、簡単に桁違いに割り引かれることがあります。

企業のクラウド調達のための10のヒント

  • 下調べをしましょう。現在価格値下げのニュースになっているプロバイダーが、お客様のワークロードにとって最善の価格のプロバイダーになるとは考えないでください。
  • クラウド・ワークロードのコストと運用に影響を与える、(計算とストレージだけではなく)すべてのワークロード要件を理解してください。各コアのソフトウェアのライセンスや、インターネットまたはプライベート・ネットワークおよび永続ストレージへのデータ転送に関連するコストを検討します。
  • プロバイダーが地理的に分散したワークロードをサポートする方法を把握します。お客様のアプリケーションが、世界中でデータを移動する必要がある場合は、お客様がビジネスを行う地域にプロバイダーのデータセンターがあるだけではなく、高性能で専用のグローバル・ネットワークも提供されることを確認します。また、プロバイダーがクラウド・センター間でのデータ転送に料金を請求するかどうかも検討します。これらの料金は、企業がグローバルに拡大した場合に、コストを大幅に増やすことになる可能性があります。
  • 「俊敏性」との兼ね合いを含めて、ビジネス要件について検討します。たとえ割引されるにしても、特定のプロバイダー、ユニット・タイプ、ボリューム、または時間フレームにロックインされることは差し支えありませんか?
  • 長期価格オプションを評価する際には、「お金の正味現在価値」を考慮します。前払い支払いオプションを検討している場合は特に、財務部門から情報を求めます。これにより、比較が有効であることを確認して、正味現在価値に関する会社の会計ルールに準拠させることができます。
  • 技術サポート、エンジニアリング、専門サービスなどを含めて、企業がワークロードを最適に実行するために必要な、ワークロード固有ではないコストを計算に入れます。
  • ワークロードのニーズの変化を考慮に入れます。必要に応じてワークロードを、例えば、ベアメタルから仮想サーバーに、大きな労力を必要とせずに移動できる必要があります。
  • 全体像を検討します。各クラウド・ワークロードは、複数のデプロイメント・モデル、ジオグラフィー、およびベンダーで構成される可能性がある、包括的なクラウド戦略に適合する必要があります。
  • 個々のクラウド・ワークロードに基づいて価格パフォーマンスを検討する場合であっても、OpenStack対応のプラットフォームや、統合ソリューション、モデル間のシームレスな移行によって、より幅広いハイブリッドIT戦略をプロバイダーがサポートする能力を検討します。
  • 最後に、ワークロードの価格だけを見てはいけません。そうではなく、クラウド・オプションやどんなタイプのITオプションでも検討する際には、価格パフォーマンスを比較の基本単位として検討してください。

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クラウドの将来

今後3年以内に、既存の非クラウド・アプリケーションの75%がクラウドに移行される見通しです。現在のコンピューティングの状況は、企業がクラウドを採用するだけでなく、複数のクラウド環境を使用することを示しています。それでも多くの企業にとってクラウドの行程は始まったばかりで、ローエンドのInfrastructure as a Serviceから、より高いビジネス価値の確立へと進んでいます。

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