バーチャル・エージェントとは

デスクワークをしているオフィスの若い女性

バーチャル・エージェントとは

バーチャル・エージェントは、自然言語処理、インテリジェント検索、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を対話型UI(通常はチャットボット)に組み合わせたものです。

バーチャル・エージェント・テクノロジーとは

バーチャル・アシスタント・テクノロジー(VAT)は、自然言語処理インテリジェント検索ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を単一の対話型ユーザー・インターフェース(通常はチャットボット)に組み合わせたもので、エンド・ユーザーとの対話を自動化し、情報を提供し、ユーザーの要求を満たすアクションを直接実行します。

主要なバーチャル・アシスタント・ソリューションは、チャットボットの実用面での飛躍的な進化を示しています。対話型AIにおける最近の進歩は、Speech to Text光学式文字認識(OCR)、感情分析と組み合わせて活用することで、バーチャル・アシスタントが自由記述されたユーザー入力を解釈し、ユーザーの特定の目標、つまり「目的」を正確に識別できるようになったことです。CRMプラットフォームや課金インフラストラクチャーなどの関連するバックエンド・システムに統合することで、バーチャル・アシスタントは多くの場合、人間のさらなる介入がなくとも、目的を達成するためのアクションを自動化できます。

バーチャル・アシスタントを動かす機械学習や自動化技術の一部は何年も前から存在していますが、それらの構成要素を組み合わせて単一の自立型システムを構築したことで、VATの汎用性と生産性が高まりました。

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バーチャル・エージェント、チャットボット、バーチャル・アシスタントの違い

バーチャル・エージェントチャットボットバーチャル・アシスタントの使用法と機能には重複がある部分もあり、これらの用語や類似用語の正式な定義がないため、結果として同じ意味で使用されることもあります。

このような曖昧さにもかかわらず、これらの関連ツールのそれぞれを分ける技術的な違いについては、一般的なコンセンサスがあります。

チャットボットとは、ユーザーとの間で行われる、リアルタイムの人との対話をシミュレートするプログラムの総称です。文字ではなく音声でのプロンプトを通じて操作されるチャットボットは、音声自動応答(IVR)システムとして知られています。通常、チャットボットはDecision Treeフローを使用して顧客とのやり取りを管理します。チャットボットは必ずしも人工知能を使用していません。多くのチャットボット は、認識可能なあらかじめプログラムされた一連の入力内容を利用しており、入力された内容に対応する、あらかじめ用意された回答を提供します。初歩的なチャットボットは、認識のためにプログラムされたものと正確に一致しない入力を解析することができないため、ユーザーは自分の言葉で入力する(または話す)のではなく、あらかじめ記述された一連の単純なオプションから選択する必要があります。

ほとんどのバーチャル・エージェント・テクノロジーにはリクエストを受信して応答するチャットボットが含まれていますが、すべてのチャットボットが真のVAT機能を提供しているわけではありません。多くのチャットボットやIVR(音声自動応答)システムは、店舗時間の伝達やコールセンターにおける顧客の誘導先の決定など、基本的な情報の提供または収集のみを目的としています。

バーチャル・アシスタントとは、第一義的にはソフトウェアではなく、リモート、つまり仮想でサポートを提供する人間を指します。少し混乱するかもしれませんが、「バーチャル・アシスタント」(または「バーチャル・アシスタント・ソフトウェア」)は、Apple社のSiriやAmazon社のAlexa(音声アシスタントデジタル・アシスタントとも呼ばれます)のようなサービスを含む、サポートを提供するすべてのバーチャル製品の総称として使用されることがあります。

バーチャル・エージェントとは、インテリジェント・バーチャル・エージェント(IVA)またはインテリジェント・バーチャル・アシスタント(同様にIVA)とも呼ばれ、単なる高度なチャットボットではありません。バーチャル・エージェント定義は、ユーザーの自由記述テキストや音声に込められた目的を識別する対話型AIであるだけでなく、その目的を達成する手順の自動化を含み、かつ双方を実行する能力を継続的に向上させていることです。チャットボットが応答しかできないのに対し、バーチャル・エージェントは理解し、学習し実行することができます。

この定義によるとSiriやAlexaのような音声アシスタントもバーチャル・エージェントとみなされますが、「バーチャル・エージェント」という用語は より一般的には、組織での使用や、カスタマイズされエンタープライズ・システムと統合されたものを指します。言い換えれば、音声アシスタントは通常、個人の延長線上にあるものとして機能します。テキスト・メッセージの送信、公開情報の検索、曲の再生など、個人が行うであろうアクションを自動化します。バーチャル・エージェントはビジネスの延長線上にあり、請求書の支払いやログイン認証情報の更新など、顧客や従業員のアクションを自動化します。

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バーチャル・エージェントの種類

バーチャル・エージェント・テクノロジーを使用してビジネスを最適化したいと考えている企業には、幅広い選択肢があります。それぞれカスタマイズと統合の度合いが異なり、実装と保守に必要な工数とスキルも異なります。ビジネスに最適なバーチャル・エージェント・ソリューションは、VAT が対応する具体的なニーズと、取得および管理を行うリソースによって決まります。

  • エンド・ツー・エンド・ソリューション:実装、メンテナンス、関連するアプリケーション、システム、ワークフローへの統合を管理するプロバイダーによる専門的な支援が充実したフルサービスの提供。
  • スケーラブルなプロ用開発ツール:複雑な実装を直接管理する専任の技術リソースと開発者を抱える組織に最適な、APIアクセス可能なプラットフォーム。
  • ローコードおよびノーコードSaaS:技術的な専門知識がなくとも簡単に構築・管理できるよう設計された柔軟なVATソリューション。
  • 統合ソリューション:コンタクトセンターのソフトウェアに組み込まれたチャットボットなど、独自の企業ツールに直接統合された補完機能。

バーチャル・エージェントを作成する方法

バーチャル・エージェントを効果的に機能させるには、自社のカスタマー・ジャーニーを徹底的に理解することが不可欠です。顧客の目的と達成のために必要なステップを適切に特定することで、そのステップに自然に対応するようバーチャル・エージェントを設定することができます。

1. スコープの決定:バーチャル・エージェントがどのような問題や機会に対処するか定めます。

間違った目標に焦点を当てると、バーチャル・エージェントの可能性が制限されます。スコープが広すぎたり狭すぎたりしても同様です。どのような反復的な問題、質問、タスクがカスタマー・サポートの工数を過度に消費していますか?どのような従業員のニーズが十分に満たされていませんか?コスト削減や時間削減のメリットを最も受けられる部門はどこですか?スコープ決定の第一歩として、ウェブサイトのFAQセクションは多くの場合、知識ベースとして役立ちます。

2. メッセージング・チャネルの決定:ユーザーがどこでバーチャル・エージェントとやり取りを行うか定めます。

バーチャル・エージェントは、ウェブサイトやアプリの一般的な問題に対応していますか?コンタクト・センターにおける通話量を減らすことを目的としていますか?Slackでよく聞かれる質問に答えていますか?エンド・ユーザーがバーチャル・エージェントとやり取りするチャネルは、当然、そのバーチャル・エージェントを提供する目的と一致している必要があります。メッセージング・チャネルは、ユーザーの目的がどのように表現されるか、バーチャル・エージェントの対話型AIがそれらをどのように解釈して対応するか、どの関連ツールとシステムが統合可能かにも影響を与えることがあります。

3. 要求をインテリジェントに解釈し、応答するための対話型AIモデルのトレーニング

バーチャル・アシスタントは、顧客のクエリーを正確に解釈し、ユーザーの目的を認識できなければなりません。メニューベースの選択以外で実現するには、高度な自然言語理解が必要です。人間である実際のユーザーが、予測どおりの言葉、あるいはまったく同じスペルで、目的を明確に表現することはほとんどありません。主要なチャットボットにおいて、ブランドを適切に代表し、対話を継続するようトレーニングされた生成AIの使用が増加しています。

4. スコープ外の目的のライブ・エージェントへのエスカレーション

バーチャル・エージェントは、可能な限りすべての要求を処理する必要はなく、実際に処理できません。数多くある目的への対処を誤るよりも、限られた数の問題に対して高品質のソリューションを提供する方が賢明です。ユーザーの目的がスコープ外の場合、ユーザーを適切な担当者につないでサポートを提供します。

5. スコープ内の目的に対応するための必要なシステムの統合

スコープ内の各目的は、目的達成のために必要なツールとプロセスにマッピングする必要があります。情報のリクエストに応えるには、関連するデータ・ソースに接続されたインテリジェント検索が必要です。ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)を必要とするアクションを伴う目的では、CRMプラットフォーム、支払いインフラストラクチャー、スケジューリング・ソフトウェア、ITセルフサービス・ポータルなどのシステムとの統合が必要になる場合があります。

6. バーチャル・エージェントの継続的な改善

バーチャル・アシスタントが稼働し、結果データを生成し始めたあとも、引き続き改良と改善を行います。これらの改善は、AIの目的識別能力を進化させる機械学習などによって技術的に主導されることもあれば、バーチャル・アシスタントの適用範囲を拡大するために、対応できていない目的、まちがったフローや機会を評価することによって戦略的に主導することもあります。

バーチャル・エージェント・テクノロジーのメリット

VATの導入の成功は企業の財務、物流、従業員の士気にプラスの影響を与えることが証明されています。

  • 顧客満足度の向上: IBM Institute for Business Value(IBV)がOxford Economicsと共同で実施した、 12の業界と33か国において1,005人の回答者を対象とした調査では、AIベースのバーチャル・エージェント・テクノロジーを使用している組織の99%が顧客満足度の向上を報告しました。平均して、これらの組織の顧客満足度は8%、NPSは4ポイント向上しました。
  • 従業員の時間節約:最も反復的で時間のかかるタスクをバーチャル・エージェントに行わせることで、VATは多くの場合、人間の担当者の業務効率を向上させます。前述のIBVおよびOxfordの調査では、VATによって人間の担当者の処理時間が平均して12%短縮されたことがわかりました。
  • コスト削減:人間の担当者が問い合わせの解決にかける時間が短縮されることで、サービス提供コストが削減できるというメリットもあります。最近のForrester Consultingによる調査では、大規模な組織1ではIBM Watsonx Assistant ™を使用することで、1回の会話につき平均米6.00ドル節約できると推定されています。同調査では、バーチャル・エージェントが電話での問い合わせを正しく引き継ぐことで、正しく引き継がれた通話ごとに7.75米ドルが節約できることがわかりました。
  • 従業員満足度の向上:適切なツールとサポートを活かせるカスタマー・サービス担当者は、自身が組織にとって重要な存在であると実感しやすくなります。その結果、より良い顧客体験を提供する可能性も高まります。従業員の士気向上は、定着率の向上にもつながり、これ自体が財務面に影響を与えます。Gallupの調査によると、従業員一人を補充するコストは、退職した従業員の年間給与の50~200%にのぼる可能性があります。

バーチャル・エージェント・テクノロジーのユースケース

バーチャル・エージェントは、顧客体験、市場に対応した事業運営、社内の生産性と調整を向上させるさまざまな機会を提供します。

  • カスタマー・サービス:テキスト主導型のチャットボットや通話ベースの自動音声応答(IVR)システムの形をとるバーチャル・エージェントは、所有・運営するWebサイトからソーシャル・メディア・プラットフォーム、SlackやWhatsAppなどのメッセージング・プラットフォームまで、さまざまなチャネルで自動のカスタマー・サービス担当者として採用されることがよくあります。
  • Eコマースと販売:バーチャル・エージェントを導入することで、多様な小売環境においてリードの適格性を確認し、取引を完了させ、セールス・ファネルとリード創出を強化できます。
  • 従業員の生産性:バーチャル・エージェントは、反復的なタスクや問い合わせを自動化することで従業員の生産性を向上させ、従業員がより複雑なタスクに時間を割けるようにします。また、スケジュールの自動化、スタンドアップ・ミーティングの管理と文字起こし、SlackやMicrosoft Teamsなどの職場のコミュニケーション・ツールの機能強化を通じて、コラボレーション、ワークフロー、プロジェクト管理を合理化することもできます。

バーチャル・エージェントの主要なパフォーマンス指標

バーチャル・エージェント・テクノロジーが効果的に実装されているかの正確かつ包括的な評価は、ビジネスの具体的な課題や目的によって異なりますが、ここでは、VATが性能に対する期待にどの程度応えているかを測る3つの重要な尺度を紹介します。

  • 目的の認識:バーチャル・エージェントはユーザーの目的をどの程度正確に解釈しているかを測ります。ユーザーは多くの場合、単語の選択から構文、スペルまで、各々のやり方でニーズを明確に表現します。顧客は「口座で決済するにはどうすればいいですか?とたずねるかも知れませんが、バーチャル・エージェントは「請求書の支払い」に対応するようプログラムされています。ユーザーの目的の表現において当然に発生する違いに適切に対応することは、実装を成功させるための重要な要素であり、多くの場合、自然言語処理(NLP)機能がその役割を担っています。
  • スコープ内のセグメント:目的が正確に特定されていると仮定した場合、寄せられるユーザー・リクエストの何パーセントが、貴社のバーチャル・エージェントがプログラムされている目的に一致しているかを測ります。ほとんどの要求がVATが処理するようプログラムされた内容と一致している場合、ユーザーのニーズに合わせて適切に調整されたていることを意味します。ほとんどのリクエストがスコープ外の場合、VAT戦略を再評価する必要があるかもしれません。IBVおよびOxford Economicsの調査によると、全回答者におけるVATのスコープ内であった問い合わせの平均割合は63%でした。
  • 自己解決率:人間の担当者にエスカレーションすることなく、あるいは人間の担当者が関与することなく、VATがケースを解決した割合を測ります。これは微妙な差異が生じる指標です。分母にスコープ外の目的を持つリクエストが含まれる場合と含まれない場合があります。分子も、すべてではなくともいくつかの目的を自己解決した、複数の目的があるケースをカウントする場合としない場合があります。IBVおよびOxford Economicsの調査によると、自己解決率を「VATが対処するように訓練された問い合わせ総数のうち、エスカレーションなしで解決された問い合わせの割合」と定義しており、有意な回答者全体の自己解決率の平均は64%とのことです。報告された自己解決率の最高値と最低値の差は38%でした。
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脚注

1調査の目的のため、Forrester社はインタビュー対象者と調査回答者のエクスペリエンスを集約し、ひとつの複合組織として統合しました。この組織は年間70億米ドルの収益を上げる金融および保険サービス会社です。