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IVR(音声自動応答)とは

対話型音声応答(IVR)は、発信者がライブ・エージェントと話さなくても、音声またはメニュー入力を使用して情報を受け取ったり、提供したり、リクエストを行うことができる自動電話システムです。IVRは、デュアル・トーン・マルチ多周波数(DTMF)インターフェースを備えた、事前録音されたメッセージングまたはテキスト読み上げテクノロジーを使用しています。

IVRシステムが、発信者が求めている情報を検索できない場合、プログラムされたメニュー・オプションがコール・ルーティングのアシスタンスを提供し、発信者を適切な担当者に送ることができます。IVRソフトウェアにより、コンピューターと電話技術を統合してコール・フローを改善し、待ち時間を短縮し、全体的な顧客満足度の向上につなげることができます。

Moviefoneは、1990年代のIVRテクノロジーの最も有名で成功した例の1つです。当時は、今ほどインターネットへのアクセスが整備されていなかったので、映画を鑑賞したい人は電話で郵便番号を伝えて、近くの映画館のリストと上映されている映画、上映時間を入手していました。Moviefoneは過去の製品ですが、その基盤となるテクノロジーは、主にコールセンターでまだ活用されており、カスタマー・サポートを提供し、カスタマー・サービス担当者の労力の削減に貢献しています。

IVRソフトウェアは現在も進化を続けています。自然言語処理技術の発達により、発信者が電話でコンピューターと対話できる範囲が広がりました。プッシュホン・システムの代わりに、より高度なIVRソフトウェアを使用することで、発信者は電話で自分のニーズを伝えることができます。IVRシステムは、音声認識により、顧客の問い合わせをリアルタイムで理解し、応答することができます。

IVRシステムを通じて、顧客がカスタマー・サポートの支援を受けずに、必要な情報にアクセスできるセルフサービス・オプションを提供することで、顧客体験の向上を図ることができます。また、コールセンターの電話量を減らし、待ち時間と運用コストを低減できます。

IBMが、2023年Gartner Magic Quadrant™のエンタープライズ対話型AIプラットフォーム部門のリーダーに選出されました。

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IVRの仕組み

IVRは、公衆交換電話網(PSTN)とVoice over IP(VoIP)ネットワークの両方で使用できます。IVR電話システムは、通常、次のコンポーネントで構成されています。

  1. インターネットとイントラネット接続を提供するTCP/IP ネットワーク。
  2. IVRアプリケーションに関連データを提供するデータベース。
  3. IVRソフトウェア・アプリケーションが格納されているWeb/アプリケーション・サーバー。このサーバーは、すべてVoiceXMLで記述された複数のアプリケーションをホストできます。たとえば、コールセンター、発信するセールス・コール、音声テキスト変換などのアプリケーションなどがあります。

ここから、通常は3種類のIVRシステムのうちの1つが構築されます。

  • プッシュホンへの切り替え:発信者に、情報にアクセスするためにプッシュホン・キーパッドを押すように促します。たとえば、事前録音された「開店時間のご案内は1を押してください」というメッセージに対して、発信者は「1」を入力します。

  • ダイレクトされた対話:このタイプのIVRは、問い合わせ内容に応じて、特定の言語プロンプトを発信者に提供します。たとえば、事前録音された「店舗の営業時間や場所の情報をお探しですか?」というメッセージを返します。発信者は、「営業時間」などと回答します。

  • 自然言語:この高度なIVRシステムは、音声認識を使用してユーザーの要求をよりよく理解します。たとえば、システム・プロンプトが「どのような情報をお探しですか?」と尋ね、発信者が「店舗の営業時間情報を教えてください」などと答えます。
IVRのメリット

IVR技術は、大企業から中小企業まで、競争上の優位性をもたらし、自動化の取り組みを推進します。その他の主なメリットは次のとおりです。

  • 顧客体験の向上:IVRソリューションは、発信者から関連情報を得た後で、発信者を適切なコールセンター・エージェントにルーティングするので、待ち時間を短縮し、初回コンタクト時の解決率を向上できます。また、通常の営業時間外にコールセンターに人材を配置する必要もなく、24時間体制でカスタマー・サポートを提供することができます。

  • 運用コストの削減:IVRシステムは、極めて費用対効果の高いソリューションです。カスタマー・サービス担当者が対応しなければならない膨大な電話の量を減らすだけでなく、夜間や週末、休日といった営業時間外でも、よくある質問や情報にアクセスできるようになります。話し合いがしたいというリクエストがあった場合は、通常の営業時間内にかけ直せるように、ボイスメールを残すことを提案することもできます。

  • エラーの削減:IVRコールセンター・ソフトウェアは、効果的に展開すると、人間のカスタマー・サービス担当者がメモを取り、着信をルーティングする必要がないため、カスタマー・サービスにおけるプロセスのエラーを減らすことができます。

  • データの収集:顧客のリクエストを自動的に追跡して、最もよくあるアクションと問題に関する深いインサイトを得ることができます。

  • セキュリティーの強化:一部のIVRシステムには、音声認識(voice recognition)(「speech recognition」と混同しないでください)が組み込まれており、個人の身元を確認することで、セキュリティーを強化しています。これは、社会保障番号や電話番号、当座預金や普通預金口座の情報、医師の診察結果など、機密性の高い個人情報がある場合に役立ちます。
IVRの課題

IVRの導入は企業にとって大きなメリットがありますが、IVR技術には解決して最適化する必要がある制限がまだあります。組織は、少なくとも、最もよく使用されるオプション(平均保持時間と成功率)の指標を監視する必要があります。課題としては、次のようなものがあります。

  • 複雑なメニュー・オプション:IVRは、コールセンターのコール・フローを最適化できる一方で、自動メッセージング・システムが複雑すぎると、発信者をいらだたせることもあります。事前録音されたメッセージが長すぎると、電話をかけてきた人が目的のオプションを選択するまでに不必要に長く待たされる可能性があり、顧客満足度の低下につながります。

  • 長い待ち時間:技術が進歩しているにもかかわらず、多くのIVRシステムでは、長い待ち時間が問題になっています。コールバック機能は、カスタマー・サービス担当者がリクエストに対応できるようになるまで、発信者は他のことをして待つことができるので、フラストレーションを軽減できます。

  • 非人間的なコミュニケーション:顧客がサポート・ラインに電話をかけてくるとき、すでに製品やサービスの問題に強い不満を抱いている可能性があります。録音にはその問題に共感する能力がないため、自動メッセージング・システムでは不満がさらに深まる可能性があります。

IVRシステムが適切に導入されていないと、通話放棄率が高くなり、顧客の感情が悪化する可能性があります。顧客サービスの満足度が低いと、否定的なレビューやソーシャル・メディアでの不満の表明によってブランドに損害を与える可能性があるため、企業はIVRコールセンター・ソリューションの導入について、慎重に検討する必要があります。

IVRの業界別のユースケース

IVRソリューションは、さまざまな業界で利用されています。以下では、これらのユースケースについて詳しく見ていきます。

金融機関:IVR は、口座残高やローン申請状況などの口座照会や取引、アクティベーション、投資ポートフォリオの変更など、さまざまな銀行および金融業務に活用できます。

カスタマー・サービス:カスタマー・サービスのコールセンターは、複数の業界にまたがっています。組織は、自動化されたメニューと事前録音したメッセージを使用して、顧客の問い合わせや苦情に対処するための大量の着信を処理できるようにセンターを構成できます。一部のIVRソリューションには、顧客がキューで待機しており、エージェントが対応する準備ができたときに発信コールを受信するコールバック・オプションがあります。
 
教育:ある研究1では、 教育機関はIVRを実装して、親が子供の成績と出席状況に関する最新状況を取得できるように支援できることが示されています。保護者はシステムに登録し、ユーザー名とパスワードを入力して、今後の通話で重要になる情報にアクセスできます。
 
政府機関:有権者は、重要な情報を求めたり、要求に応じて、政府機関に電話をかけることがあります。投票所や投票時間、ライセンスや許可、税金や失業保険の確認など、多くをIVRで自動化できます。さらに、リクエストを適切な部門に転送して、話し合うこともできます。
 
医療:IVRは、治療前のアンケート、患者の満足度調査、検査と予約のスケジューリング、退院後のフォローアップ、検査結果、患者のモニタリングなど、医療分野において多くの実用的な用途があります。ある研究2では、服薬スケジュールを守るよう患者に注意を促すことで、患者全体の満足度を高めることができることが強調されています。

ホスピタリティーと旅行:予約、キャンセル、カスタマー・サービスへの連絡は、航空会社、ホテル、鉄道、レンタカー会社のカスタマー・サービスを迅速化し、向上させることができます。電話の理由(予約、プランの変更、遅延)を特定することで、顧客を適切な部門に誘導できます。

小売とeコマース:顧客は、配送状況や返品状況を迅速かつ簡単に確認できるようになりました。小売向けのセルフサービスまたはライブ・チャットでは、多くの顧客の質問に答えることができますが、電話をライブ・エージェントに転送して話し合うこともできます。

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