カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)とは
カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)ソフトウェアは、企業がリード生成と販売パイプラインを測定して管理するのに役立ちます。
Zインフラストラクチャー用のソフトウェアのアイソメトリック図
CRMとは

カスタマー・リレーションシップ・マネジメント・アプリケーションは、お客様ベースのビジネスの問題を解決し、販売プロセスをサポートし、エンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)イニシアチブを推進します。

Forrester社は、 カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM) (ibm.com外へのリンク)を「顧客をターゲットし、獲得し、保持し、理解し、協力するという重要な活動をサポートするビジネス・プロセスと、それを支える技術」と定義しています。

カスタマー・リレーションシップ・マネジメント・ソフトウェアは、会社によるリード生成と販売パイルラインの測定と制御を助けます。 それは、リード管理、売上予測、および見込み客とのコミュニケーションの管理にも使われます。 たとえば、コール・センター環境内では、セールスCRMシステムは、新しい見込み客とのフォローアップ・コミュニケーションの頻度、量、および結果を分析できます。 それから、データは全体的なカスタマー・リレーションシップの研究や分析、およびワークフローの改善に使われます。

今日のCRMソリューションには、導入規模、ビジネス・モデル、および業種に応じた複数の技術が含まれます。 CRMアプリケーションは、Mailchimpのようなe-コマースやマーケティングのツールをサポートするのに加え、注文、収益、ソーシャル・メディア、機会を管理します。

CRMの価値

Forrester社の最近のCRM Playbook(ibm.com外へのリンク)では、グローバル・ソフトウェアの意思決定者の61%はカスタマー・サービス・ソフトウェアを実装中、実装済み、または実装を拡大中であることが示されています。 一方、ソフトウェアの意思決定者の58%は、営業支援システム(CRM)アプリケーションに対して、同じことをしようとしていて、17%の意思決定者は、1年以内にカスタマー・サービス・ソフトウェアの採用を計画しており、18%の意思決定者は営業支援システムを導入するつもりであることが示されています。

適切にシステムに統合するとき、よいCRMは次のような2つの方法で企業に価値を与えます。

  1. ビジネス戦略の強化:効果的なCRM戦略は、企業の目的を特定して発展させ、カスタマー・サービス・プロトコルにメリットをもたらし、CRMの機能とプロセスを明確に関連づけ、機能的な需要に対応します。 それには、顧客情報、カスタマー・サービスの目標、従業員の役割、および戦略的機会が含まれる必要があります。 さらに、CRM戦略には会社の取り組みや全体的な目標に応じたメトリックが含まれる必要があります。

  2. クラウドの俊敏性と適応性:より多くのCRMプラットフォームとソリューションがクラウドに移行するにつれ、そのワークフローの自動化とそれらが実行されるインフラストラクチャーがより重要になります。 たとえば、SalesforceはAmazon Web Services (AWS) でその販売クラウドを増強し、MicrosoftはAzureで増強します。 各クラウド・プラットフォームには、洞察に大きな影響を与え、CRMの結果を決定する、判然とした分析と機械学習(ML)のスイートが備わっています。
CRMのメリット

CRMのビジネスの価値を定量化するとき、そのメリットは、収益の生成やコスト効率性に対応する必要があります。 したがって、CRMは、既存のビジネス・プロセスや技術的性能を支援する必要があります。 Forrester社によると、CRMのメリットは3つの異なるカテゴリーに分類されます(ibm.com外へのリンク)。

  • 収益の増加:製品の構成、価値、価格の目標実現を向上させることで、収益を増やします。

  • 直接費の削減: 採算の取れない顧客への露出を減らし、運用の効率と営業担当者の生産性を向上させます。

  • 間接費の削減:CRMインスタンスを統合し、CRMアプリケーションのカスタマズを最小化し、エンド・ユーザーのトレーニング回数を減らしつつ、技術の採用を増やして使いやすくすることで、ベンダーの契約と技術サポートを向上させます。

これらの利点は、顧客のライフタイム・バリューの構築を助け、結果として顧客維持率を向上させます。 実際に、CRMの自動化だけでも、顧客維持率を15%ほど増やしています1

CRMの実践

競争力を維持し、顧客満足度を達成するには、企業は、ベンダーの機能が詰まった製品やサービス(しばしば、業界特有のものであることもあります)を採用する必要があります。 複数のソリューションが利用可能なので、企業の目的全体を推進するものは何か検討することが重要です。 それが、アプリケーションのアーキテクチャー、機能、および使いやすさ、またはプロジェクトの全体のコスト、リスク、およびスピード、もしくはお客様が選択したベンダーによって提供された製品のバージョンやパートナー・サービスのいずれかであったとしても、CRMは企業の現在および将来の発展のために重要です。

4種類のCRMソリューションとは

小企業のCRMの需要と性能は、大企業のそれとは異なるのと同じように、Business-to-business (B2B) 企業のCRMの需要や性能は、Business-to-consumer (B2C)企業のそれとは異なるものです。 そのため、大企業、中小企業(SMB)、およびスタートアップに固有の4種類のCRMソリューションが存在します。

  1. 大規模組織向けのCRMスイート:完全な機能を提供し、複数の言語で利用でき、1,000人以上の従業員のいる様々な場所で使えるこれらのスイートには、様々な業界向けの専用のサポートとリソースが含まれます。 ベンダーは、手頃なパッケージ済みのソリューションを中規模組織に提供することもできます。

  2. 中規模組織または部署向けのCRMスイート:250人から990人までの従業員向けの限定機能を提供するこれらのスイートは、さまざまな部署(チャネル販売チーム、インセンティブ報酬、フィールド・サービスなど)に対応します。 ベンダーは、アップグレードしたソリューションを大規模組織に提供することもできます。

  3. 小規模組織向けのCRMスイート:最大250の従業員向けの限定機能(連絡先管理ツール、ソーシャル・チャネル・エンゲージメント、メール・マーケティング・キャンペーンなど)を提供するこれらのスイートは、個人事業主や小規模のチームに対応します。 ベンダーは、エンドツーエンドのCRMソリューションを営業担当者、カスタマー・サービス担当者、マーケティング・チームに提供することもできます。

  4. CRM専門ソリューション:250人から1,000人以上の従業員向けの詳細にカスタマイズ可能な限定的な一般機能(マーケティングの自動化、カスタマー・サービスなど)を提供するこれらのスイートは、さまざまな業界(金融サービス、ライフサイエンス、ヘルスヘア、官公庁・自治体、非営利団体など)に対応します。

Gartner社によると、より大きな組織はCRMアプリケーションの多様なポートフォリオを異なる成熟度で管理する必要があります。 企業は「1つにコアCRMベンダーにエンゲージし、広範な組織の目標を満たしつつも、他社はコアに統合する必要があることを受け入れる」ことが推奨されています。 2

一般的に小規模組織はCRMツールのみを必要としますが、大規模組織はその他のCRMアプリケーションやサード・パーティーの統合を必要とする場合があります。 企業の規模に関わらず、部署内のデータ入力、ビジネス・プロセス、およびセキュリティーを統合する、用途の広いCRMは市場でより卓越したものになっています。

  • マーケティング:マルチチャンネルのメッセージングと配信。

  • B2B/B2C:e-コマースと販売サイクルの自動化。

  • サポート:カスタマー・エンゲージメントと顧客満足度。
CRMのリスクと課題

カスタマー・エンゲージメントの変革は、CRMの主なメリットの1つであり、少しずつ達成する必要があります。 Forrester社はCRMの実装と関連するリスクの重要な3つの分野を特定します1

  1. サイズ:組織のプロジェクト管理チームは、大きなプロジェクトに対しては、小さなプロジェクトのときよりもCRMの価格設定と利益の見積もりの精度が低くなる傾向があります。 プロジェクトが大きくなるほど、リスクの範囲も広くなります。

  2. ベンダーのリスク:時には、CRMベンダーの製品が企業の需要に合わなくなったからという理由やベンダーが買収されたという理由で、CRMベンダーを変えることが必要になることがあります。 どちらの場合でも、CRMのコストは大幅に増えます。

  3. ユーザーの採用:組織は適切な準備をして営業担当者をトレーニングし、新しいCRMアプリケーションを運用する必要があります。そうしないと、営業担当者が新しいユーザー体験を受け入れる可能性が低くなります。
カスタマー・サービスのためのAI

AIを搭載した 仮想エージェント は、自然言語処理(NLP)を使用して、ビジネス・システムと対話し、新しい顧客にメッセージング・プラットフォーム、アプリケーション、チャネル、またはデバイス全体でハイレベルなソリューションを提供します。 これらの仮想エージェントは、顧客の問い合わせを解決するために必要な情報をサポート担当者に 提供することができる ため、顧客と人間のサポート担当者の体験を全体的に向上させます。 会話型のAIが機械学習主導の文字起こし機能とペアリングすると、音声による対話の最中に最初に接触した情報や解決策が大幅に向上されます。

一部の仮想エージェント は、既存のCRMシステムやカスタマー・ケア・システムと統合することができます。そうすることで、顧客を一回で適切なエージェントにつなぐことができ、問題のルーティングを改善するのに役立ちます。

カスタマー・サービスのためのAIの使用事例
  • 担当者の支援:カスタマー・サービスの自動化と人間を統合するのにおすすめの方法です。

  • 顧客のセルフサービス:単純な問い合わせに対応してそれらを抑止し、複雑な問い合わせを検索する、顧客向けのチャットボットを導入します。

  • 従業員のセルフサービス:人事部門とIT部門のへルプ・デスクを強化しながら、従業員の質問に社内で回答します。
カスタマー・サービスのためのAIのメリット
  • 顧客体験の自動化:あらゆるデジタル・チャネルや音声チャネルにおける顧客とのやり取りを合理化し、対応時間を短縮します。

  • CRMシステムに接続:自然言語処理(NLP)を介してKeap、Pipedrive、Hubspot CRM、ZohoCRM、SugarCRMなどの優れたCRMソフトウェアと統合します。

  • 顧客データからリアルタイムの洞察を引き出す:仮想エージェントは、データを抽出し、担当者と顧客に価値のある洞察を提供することができます。

  • 担当者の生産性を向上:人間の担当者がより短時間で問い合わせに回答してそれを解決できるようにするスマート・ツールを装備することで、担当者のパフォーマンスを向上させ、コストを削減します。
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出典

1 CRMのビジネス・バリューを定量化(IBM外へのリンク)、2021年3月3日

2 CRMアプリケーション機能タクソノミー・プロペラ、2021年3月19日