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原田 博植 氏 インタビュー Part2:デジタル・トランスフォーメーションの“触媒”となる企業の枠を越えたコラボレーションでグラフが果たす役割とは

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原田 博植 氏
株式会社グラフ 代表取締役社長CEO/株式会社CAMPFIRE 執行役員CIO/社団法人丸の内アナリティクス 代表理事

シンクタンク、外資ITベンチャー、リクルートにて、アナリストとして、データ分析を基軸とした事業推進に従事。データサイエンス組織を立ち上げ、多事業のマネタイズに貢献。2014年に業界団体「丸の内アナリティクス」を設立し主宰。2015年10月にデータサイエンティスト・オブ・ザ・イヤーを受賞。早稲田大学創造理工学部招聘教授。現在は経済産業省の「第四次産業革命に向けた競争政策の在り方に関する研究会」の委員を務める。

“文理横断”のノウハウと知見をデータサイエンスのビジネスで発揮

――社団法人丸の内アナリティクスを主宰されている原田さんですが、2016年10月に創業した株式会社グラフについてもご紹介をいただけたらと思います。まずはグラフという社名には、どんな由来があるのでしょうか。
 
原田 グラフの英文表記はGruffで、この言葉には「ガラガラ声」という意味があります。弊社はAI(人工知能)を活用した収益化事業を柱としていますが、世間でAIというと「得体が知れず何となく怖い」「人間味がなくて冷たい」といった印象を持っている人が、まだまだ少なくありません。私たちはそうしたAIに対する誤解や偏見を払拭したいと思っており、さまざまなコミュニケーションを通じて声が枯れるまで訴えていくつもりです。そんな思いをグラフという社名に込めました。
 
――なるほど、そういう深い意味があったのですね。てっきりデータを可視化する会社だからグラフなのかと・・・単純な発想ですみません(笑)。
 
原田 いえいえ、実際カタカナで書けば同じグラフですし、そのように受け取る方は少なくありません。むしろ、そう思っていただいたほうがデータ分析の会社であることが伝わりやすく、その効果も狙ったダブルミーニングになっています(笑)。
 
――今回は、原田さんご自身の経歴もお聞かせいただけたらと思っています。データサイエンティストというと数理統計などを専攻してきた理系出身者というイメージが強いのですが、原田さんは文系のご出身という話も伺いました。
 
原田 実はそうなのです。大学では英米文学を専攻しており、ナサニエル・ホーソーンやポール・オースター、チェーホフなどの作品を研究していました。データサイエンスに本格的に取り組むようになったのは社会人になってからです。
 
――ちょっと意外な気もします。
 
原田 生粋の理系人間ではないことに、正直なところ多少のコンプレックスはありました。ただ、今になってみれば、文系出身だったおかげでちょうど良いバランスが取れているのかな、とも思います。「生活者の行動を理解し、仮説を立てる」といったデータサイエンスの基本的な能力は、コンテキストを読み解く力に通じるところがあるからです。

グラフのビジネスにおいても、まずはユーザー・エクスペリエンスを具現化するフロント部分からお客様の課題を捉え、データベースなどのエンジニアリングにブレークダウンしていくというアプローチをとっています。私がこれまでのキャリアで培ってきた“文理横断”のノウハウと知見がそこに活かせると考えています。

物語の背後にはサイエンスがあり官能も解析できる

――原田さんが指向しているデータサイエンスの方向性が、なんとなく見えてきたような気がします。前回お話を伺った丸の内アナリティクスのみならず、グラフを中心としたビジネスの現場でもさまざまな活動に広がっていきそうですね。そうした中で原田さんが見据えているデータサイエンスの新たなテーマはありますか。
 
原田 個人的に興味を持っているのは、クリエイティブ分野へのデータサイエンスの展開です。先般、青山学院大学の学生映画祭「青山フィルメイト2017」にお招きいただき、「物語と科学、官能の解析」と題するトーク・セッションにゲスト・スピーカーとして参加しました。そこでも新しいクリエイティブに対する私の思いをお話ししました。
 
――それは非常に面白そうです。どんな内容なのですか。
 
原田 これまで世の中では、「感情や情緒」と「理論」は相反するものと捉えられてきましたが、実はまったく違っています。私たちの感性を揺さぶるコンテンツは、音楽であれ、映画であれ、小説であれ、すべてアルゴリズムがあります。だからこそ“学校”が存在するのです。背後に隠れていたアルゴリズムを解き明かしてカリキュラム化したものが学校です。たとえば米国のバークリー音楽院は「バークリー・メソッド」と呼ばれる音楽理論を確立し、学生たちを教えることで、現在のジャズやポピュラー音楽の発展に大いに貢献してきました。同様に映画の世界にも、小説の世界にも学校があります。
そのようなお話を、詳細に展開させていただきました。
 
――まさに物語は科学で成り立っており、官能も因数分解できるというわけですね。原田さんとしては、そうした新たなクリエイティブ活動を支援するために、どのような手法でアプローチしようとしているのでしょうか。
 
原田 非常に大きな可能性を感じているテクノロジーの1つがディープ・ラーニングです。たとえばソーシャルの膨大なタイムラインを学習させることで、あるクラスターに分類される人物、さらには特定の人物がどんな映画や音楽を好むのかといった嗜好を読み解くことができます。そうした感情分析やコンテンツ解析に関するような取り組みも新しいクリエイティブへの出発的となるような気がしています。

本気でイノベーションを起こすためにはオープンなコミュニティーが必要だ

――そうなると今後のグラフあるいは丸の内アナリティクスの活動において、何らかの方向転換を図っていかなければならないという考えもお持ちでしょうか。なぜこんな質問をするかというと、これまでのデータサイエンスはマーケティング戦略の支援をはじめ、企業の現状課題を解決するための道具に偏りすぎていたように思えてならないのです。もちろん、それはそれで重要なテーマであることは言うまでもありませんが、近視眼的な活動に陥ってしまうとイノベーションにつながっていきません。
 
原田 確かにご指摘はごもっともです。先ほどのクリエイティブ活動もそうですが、データサイエンスを通じて人々の新しい価値観やビジネスを生み出していくためにも、より大きなテーマを捉え、議論していく場の必要性を感じています。

実は同様の意見は、丸の内アナリティクスのメンバーの間からも起こっています。データサイエンスをベースとしたイノベーションを本気で起こすことを目指すのであれば、似た者同士の互助会の中だけで議論していたのではだめで、もっとオープンなコミュニティーが必要なのではないかというものです。OSS(オープンソース・ソフトウェア)がそうであるように、グローバル規模のオープンなコミュニティーで多様な個性を持った人材が交わりあって切磋琢磨しないと、決して生まれてこないような発想があります。
 
――丸の内アナリティクスとは別に、新たなオープン・コミュニティーを立ち上げる可能性もあるということですか。
 
原田 映画や音楽などのクリエイター、コンテンツ・ホルダーも巻き込んでいくとなると、そうなるかもしれませんね。ただ、そのオープン・コミュニティーがリベラル・アートとサイエンスの融合を研究・討議するような場になってしまうと、逆に丸の内アナリティクスのメンバーがそれぞれの会社を背負った形では参画しづらくなる面もありますので、おそらく別切り出しで場を設計すると思います。私は場の創出に注力する時はいつでも、その場所で生み出すものに集中します。

ただ、どういったコミュニティーを目指すにしても、異業種の“コラボレーション”に軸足を置くことに変わりはありません。この基本方針は、グラフとしてお客様に提供していくデータサイエンスのサービスやソリューションについても共通しています。少し話が飛躍するかもしれませんが、デジタル・トランスフォーメーションの本質はコラボレーションにあると考えています。
 
――いえ、まったく飛躍しているとは思いませんし、私も同感です。組織や業種の垣根を越えたコラボレーションに踏み出せない企業に、デジタル・トランスフォーメーションは成しえないと思います。では、それぞれ異なるカルチャーを持つ企業同士がどうやってコラボレーションを行うのか――。そこでの核となるのが、データというわけですよね。
 
原田 おっしゃるとおりです。今後の日本企業をさらに活性化させる上でデジタル・トランスフォーメーションは必須の取り組みであり、端的に言えばグラフはその“触媒”になりたいと考えています。産業横断のコラボレーションを支援するデータサイエンスの新たなサービスを、まもなく弊社グラフからリリースする予定ですので、どうかご期待ください。
 

 

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