ハードウェア資産管理(HAM)は、情報技術(IT)の物理的なIT資産を管理するための一連のプラクティスです。これらのハードウェア資産は事業運営に不可欠であり、ノートPC、サーバー、デスクトップコンピューター、データセンター、ネットワーク機器などが含まれます。
明確で直接的なHAMストラテジーは、コスト効率、コンプライアンス、セキュリティーなどのクリティカルなビジネス成果をサポートします。適切に管理された資産は、ITチームにとって有益なだけではありません。全体的なユーザー・エクスペリエンスを向上させ、ビジネス・ニーズを最適化できます。
実際、Future Market Insightsによると、2025年のHAM市場は335億米ドルと評価されています。市場は今後10年間で約640億米ドルにまで大幅に成長すると予想されており、これは組織全体でHAMの実践への関心が高まっていることを示しています。
HAMはIT資産管理(ITAM)のサブセットです。HAMは、ハードウェアの取得直後から始まり、そのライフサイクル全体を通じて、物理的なコンポーネントのみに焦点を当てます。資産のライフサイクルは物理的資産の廃止処理で終了します。
今日のIT管理ソリューションでは、人工知能(AI)を活用したテクノロジーにより、資産ライフサイクル管理が、自動化された追跡、需要の予測、およびインテリジェントな最適化を通じて、組織において大きく変革されています。
週2回配信されるThink Newsletterなら、AI、オートメーション、データ、およびそれらに関連する最も重要かつ興味深い業界トレンドの最新情報をいち早く確認できます。IBMプライバシー・ステートメント をご覧ください。
物理資産は高価であり、適切に管理することで、セキュリティ-・リスクを最小限に抑え、過剰購入を防ぎ、保証期間の失効を防ぐことができます。不適切なハードウェア資産管理(HAM)による経済的な負担は、企業や事業運営全体に悪影響を及ぼす可能性があります。
「見えないものは保護できません」ということわざは、HAMに関しては当てはまります。資産管理プロセスにより、エンドツーエンドのIT資産の可視性を実現し、紛失したデバイスや追跡されていないデバイスによるデータ侵害のリスクを低減します。
さらに、HAMは規制コンプライアンスを維持するうえでも重要です。監査や業界標準では、調達から廃棄までの明確な監査証跡が求められます。HAMプロセスにより、すべての資産が確実に管理され、耐用年数を迎えたハードウェアが適切に廃棄されるため、企業や顧客の機密データを保護できます。
最新のIT資産管理ツールは、過去のライフサイクル・データを資産管理のプロセスやツールに統合し、リアルタイム・データに基づく、より戦略的な意思決定を可能にします。ITリーダーは、ハードウェアの寿命とアップグレードサイクルについてデータ駆動型の意思決定を行うことができます。
オートメーション機能により、人的ミスを減らし、資産の追跡、設備の導入や廃止といった定型業務を効率化できます。HAMはITオペレーションやワークフローの最適化に役立ち、ITチームがより優先度の高いビジネス目標に集中するための時間を確保できます。
ハードウェア資産管理(HAM)とIT資産管理(ITAM)は、どちらも資産管理という共通の枠組みに属しています。ただし、ITAMはより広い概念であり、HAM、ソフトウェア資産管理(SAM)、ITサービス管理(ITSM)、ライセンス、およびクラウドを含みます。
ITAMは、組織が業務活動の一環として利用する、あらゆる情報、ソフトウェア、ハードウェアなどのIT資産を、ライフサイクル全体にわたって追跡および管理することです。
HAMは物理コンピューティング装置のみに焦点を当てており、ITチームが物理的なIT環境を管理できるように支援します。SAMはHAMと並行して実行され、HAM側の役割を果たします。SAMは物理資産ではなく、組織で使用されているすべてのソフトウェアアプリケーションに重点を置いています。これには、オンプレミス、クラウドベース、およびSoftware as a Service(SaaS)アプリケーションが含まれます。
これら3つの管理システムは連携して機能し、予算管理、計画、および監査の中核となるプロセスを支えます。それぞれがビジネスにおいて異なる役割を担っており、互いに混同すべきではありません。ソフトウェアに割り当てられるリソースは、物理的なハードウェア・インベントリーのコストとは異なります。そのため、ITインフラストラクチャー全体を適切に管理するには、それぞれのアプローチにITリーダーを配置することが重要です。
一方、エンタープライズ資産管理(EAM)は、産業用設備や大規模な運用設備に重点を置いた、別のライフサイクル管理フレームワークです。このライフサイクル管理の手法は、ビジネスの別の領域を対象としていますが、統合プラットフォーム上ではHAMやSAMと連携することがあります。
ハードウェア資産には、使用ライフサイクルのどの段階においても、あらゆる有形企業資産が含まれます。通常、ハードウェア資産は次の4つのカテゴリーに分類されます。
ハードウェア資産の保守と可視化を実現するには、複数の重要な要素が連携して機能する必要があります。これらのコンポーネントは、ハードウェア資産の追跡と最適化された資産利用の基盤を構築するうえで重要です。
ハードウェア資産管理(HAM)のライフサイクルでは、物理資産の調達、監視、保守、および廃棄に関するいくつかの主要なステップが重要です。ITチームは、より戦略的な予算編成や計画の意思決定を行うために、資産がライフサイクルのどの段階にあるかを把握しておく必要があります。
ハードウェア資産管理(HAM)は、膨大になりがちな業務用ハードウェアを管理するための、明確な実践方法と手順を組織に提供します。
主なメリットのいくつかを次に示します。
組織の規模によっては、数百台、あるいは数千台ものハードウェア資産を監視することは困難になる場合があります。
ここでは、組織が直面する可能性のあるハードウェア資産管理(HAM)の主な課題と、それらへの対処方法を紹介します。
組織では、資産のインベントリーを維持するためのツールや、資産を追跡するための運用方法が不足していることがよくあります。このような監視不足は、データ・セキュリティー上の懸念や、IT部門が把握していないまま企業ネットワーク上でITリソースが使用されるシャドーITにつながる可能性があります。この状況が発生すると、組織は脆弱性や誤りにさらされることになります。
対処方法:この問題を解決する方法の1つは、ライフサイクル全体を通じてインベントリーを管理するHAMツールを導入することです。これにより、より適切な意思決定とコスト削減が可能になります。
ビジネス資産を選択するときは、それらがどこで調達されているかを考慮することが重要です。調達プロセスは、資産が複数の国または地域から調達される場合、複数の地域ベンダーと異なる税関規制が必要になるため、複雑になる可能性があります。さらに、複数の通貨の為替レートが影響する場合があり、その結果、デプロイメントの遅延や料金体系ポリシーをめぐる混乱が生じる可能性があります。
対処方法:このような状況を回避するには、ハードウェア資産を1つの地域または国に限定して、調達、配送、回収のプロセスを簡素化することが有効です。
ITハードウェア資産管理では、管理ライフサイクル全体を通じて多大なリソースが必要になります。ITチームは、資産の計画、調達、インストール、トラブルシューティング、保守、廃棄のために、リソースとサポートを必要とします。限られた労働力や優先事項の競合により、ITサービスが滞り、ITチームに負担がかかる可能性があります。
対処方法:このようなリソース不足を回避するには、必要なリソースを早い段階で伝え、最初から期待値を設定することが重要です。
コンプライアンス要件は、ハードウェア資産の数や組織の規模によって異なります。組織に明確な監査証跡が欠如している場合、特定のコンプライアンス要件を満たすことが困難になる場合があります。
対処方法:この問題を回避するには、組織はコンプライアンスを追跡し、メンテナンスが必要なときに従業員がサービス・デスクに警告できるようにするHAMシステムを使用する必要があります。
ハードウェア資産管理(HAM)は、テクノロジーの進歩と新しいツールやユースケースの出現に伴い、進化しています。先進的で革新的な組織はすでにAI駆動型ツールを採用し、信頼性と可視性を提供しています。
HAMの未来は予測分析にあります。機械学習(ML)アルゴリズムを導入した資産管理ツールは、資産データを分析して、ハードウェア障害、最適なハードウェアの寿命、交換時期を予測できます。
また、自動化されたライフサイクル・ワークフローにより、組織はシームレスな資産管理を実現できます。ライフサイクル内のある段階から次の段階へ、手動による介入や人の監視を必要とせずに資産を移行できるようになっています。
こうしたインテリジェントな自動化は、より広範なIT環境との整合性を高めます。AIは現代の企業におけるIT機能において変革的なツールであることが証明されています。
IBM Institute for Business Valueのレポートによると、高度に自動化された組織では、デジタル・トランスフォーメーションの取り組みにより、収益が10%増加し、ITコストが約30%削減されるとしています。