テクノロジー・リーダーシップ

IBM Zに関するIBMの戦略的取り組み(IBM Z憲章:2020年版)

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今回、IBM Zに関する将来的な投資に向けたコミットメントとして、「IBM Z憲章(2020年版)」を発表いたしました。

IBM Z は、お客様のデジタル変革を推進するため継続的に年間約1000億円の投資を行っております。最新モデルz15は4年間の開発の集大成であり、3,000件以上の関連特許を取得済み、または申請中です。これは、100社を超えるお客様からのご意見およびコラボレーションによる成果です。IBMは、2003年に「メインフレーム憲章」を発表し、イノベーション(革新的なテクノロジー)、バリュー(柔軟なソフトウェア料金体系、使いやすさ)、コミュニティーの育成、の3つの柱を掲げ、着実に実現してまいりました。

今回も、変化し続けるお客様のビジネス課題に対応する発表を行なっております。デジタル変革を支えるハイブリッドクラウドの中核を担うIBM Zの新たな役割をぜひご確認ください。

イノベーション:
IBM Zに関する10年超のプロセッサー・ロードマップを公開しました。 LinuxやAIを含む新しいワークロードがIBM Z プラットフォームの大幅な成長を促進し、お客様は主要なレガシー・ワークロードをモダナイズすることで、クラウドへの移行の道のりへ踏み出しています。z15では、企業のハイブリッド・マルチクラウド全体にわたるデータ・アクセスの管理が可能な業界初の機能、データ・プライバシー・パスポートを実現しています。

バリュー:
クラウドのような従量課金モデル(IBM Z 向けTailored Fit Pricing)を導入し、ピーク時間帯の処理量に対する月額ではなく、お客様の総処理量に対して、お支払いいただけるオプションをご用意しました。また、クラウド上のコンテナ環境に新規に構築されたアプリケーションからも、IBM Zのリソースを最小限のアプリケーション変更で、直接かつ安全にアクセスできます。

コミュニティーの育成:
2019 年には、ミートアップ、ハッカソン、デジタル・トレーニング、コンテスト、ワークショップなどを通じて、グローバルで140,000 人を超える新たな開発者や担当者とつながりました。Master the Mainframe 学生コンテストは、z/OS およびz/OSアプリケーションを学生に紹介するもので、154 カ国の4,000 の学校から25,000 人を超える応募がありました。また、日本IBM独自の取り組みとして本年、直接対話・議論・共創の場として、お客様の次世代リーダーや技術者の方とのコミュニティーを発足いたしました。

以下、IBM Global Z Brand メッセージを日本語抄訳いたしました。
ダウンロードはこちら


IBM Zは、お客様のデジタル変革を推進し、ビジネスの成長と変化の継続を半世紀以上にわたって実証してきた実績あるテクノロジーです

IBM Zは、世界の中核を担う企業や公的機関のITインフラを担い、基幹業務のワークロードの処理エンジンであり続けています。

  • Fortuneトップ100社の3分の2の企業がIBM Zを使用[*1]
  • 世界の銀行のトップ50行のうち44行がIBM Zを使用[*2]
  • 世界の保険会社のトップ10社のうち8社がIBM Zを使用
  • 世界の航空会社のトップ5社のうち4社がIBM Zを使用して年間5億人の旅客を運送
  • 世界の小売業のトップ10社のうち7社がIBM Zを使用
  • 世界の通信会社のトップ10社のうち8社がIBM Zを使用

IBMは、絶えず変化するお客様の課題に対応するために、継続的に年間約1000億円の投資を行い、一貫してIBM Zを変革しています

たとえば、IBM Zプラットフォームの最新モデルz15は4年間の開発の集大成であり、3,000以上のIBM Z関連特許[*1]を取得済みまたは申請中です。これは、100社を越える企業からのご意見およびコラボレーションによる成果です。

IBM は精力的にミッション・クリティカルな業務のハイブリッドクラウドへの移行をサポートし、イノベーションを推進しています。IBM Zはその戦略の重要要素です

  • 約3兆5000億円を投入してRed Hatを買収したことは、ハイブリッドクラウドへのIBMのコミットメントを反映しています。これは全社規模の取り組みで、IBM Zはその戦略の重要部分です
  • IBMは、「単一のクラウドで全てをカバーする」アプローチでは十分な効果が出せないことを理解しています
    • 企業のお客様の94%がすでに複数のクラウドを使用しています
    • お客様とパートナーの80%が、コンテナやオーケストレーションなどの、ハイブリッドクラウドをサポートするソリューションを求めています

今、セキュアなハイブリッドクラウドが求められています。ハイブリッドクラウドが、業界固有のコンプライアンスやデータレジリエンシー(復元性)などの要件が必要とされるあらゆるビジネスのIT環境を牽引します。そういった要件を満たし、特に企業がビジネス変革や拡大を行うためには選択肢が必要です。

  • 私たちはハイブリッドクラウドの未来を築き、お客様に理想的な環境を提供します。これは、お客様がビジネスに対して必要とする管理を行うことができる統合された柔軟なアプローチです。
  • IBM Zで「クラウド・ジャーニー」を歩み始めるお客さまのために、Red HatポートフォリオがIBM Zの製品ロードマップに緊密に組み込まれています。OpenShift[*3]はすでに IBM Z上のLinuxで稼働しz/OSからも連携可能です。
  • さらに重要なことは、IBM Cloudは、ブロックチェーンおよびHyper Protect Services[*4]を実行するためのプラットフォームとしてIBM Zを選択しました。セキュリティー、レジリエンシー、可用性、およびスケーラビリティーにおける、IBM Zの業界トップ・クラスの品質に対する大きな確信の表れです。

ビジネスの最前線では、LinuxやAIを含む新しいワークロードがIBM Zプラットフォームの大幅な成長を促進し、お客様は主要なレガシー・ワークロードをモダナイズすることで、クラウドへの移行の道のりへ踏み出しています。

  • MIPS(処理能力)[*5]での導入実績は、過去10年間で 5倍に増加しています。
  • z14が市場に投入されて以降、MIPS容量は25%以上増加し、新しいワークロードのMIPSは汎用CPU MIPSの2倍の速度で増加しています。私たちは市場の長期的な変化に適応し、現在ではインストール済みMIPSの55%以上がLinuxに代表される新しいワークロード分野となっています。
  • z15出荷後の2019年、これまでで最大規模のMIPS[*6]を出荷しました。

IBM Zはイノベーションの最先端にあり続け、その製品ロードマップには最先端テクノロジーが詰め込まれています。2018年12月、IBMは、アーキテクチャーと設計を引き続き所有して革新を続け、将来のプラットフォームのコア・テクノロジーを構築するために、Samsung[*7]との提携(15年間の研究開発の契約)を発表しました。現在、7nmから5nmのプロセッサー・テクノロジーに取り組んでおり、10年以上にわたってプロセッサー・レベルで幅広く多様な選択肢と安定性を基盤として提供していきます。さらに重要な点は、イノベーションを単にプロセッサー・テクノロジーに依存するのではなく、IBM Zシステム全体に活用してお客様にとってのビジネス価値を高める取り組みをしていることです。2017年、IBM z14で提供した業界初の全方位型暗号化[*8]では、SLAへの影響がなくアプリケーションの変更も不要で、ユーザーデータを100%暗号化し、最も貴重な資産であるお客様のデータを保護できるようになりました。続いてz15では、お客様がデータの保存と共有方法を制御するために使用できるデータ・プライバシー・パスポートによるあらゆる場所での暗号化[*9]を実現。これは暗号化だけでなく、データを保護したり、プロビジョニングすると同時に、z15環境内だけでなく、企業のハイブリッド・マルチクラウド環境全体で、いつでもそのデータへのアクセスを取り消すことが可能な業界初の機能を実現しています。

IBM-z15

IBM Zは、最もスケーラブルで、セキュアな信頼できるデータ・トランザクション・プラットフォームを目指して進化し続けます。私たちの「目的」と「存在理由」は、最も複雑なビジネスや社会の問題を解決することです。その目標を目指して、IBM の研究所は、画期的なテクノロジーで未来を想像することに積極的に取り組んでいます。Quantum Safe Security(耐量子暗号化/量子安全)などのテクノロジーや、基幹システムのトランザクションの速度で複雑なAIを実行する処理などは、現在研究中の分野のひとつです。また、規制や監査要件についてもお客様と協力して検討しています。コンプライアンスのエビデンス収集の自動化への投資、IBMやサードパーティーのホワイトペーパーなどの販促資料を活用したお客様のコンプライアンス・ジャーニーの促進、ファームウェアからミドルウェアまでの製品拡張による「迅速なコンプライアンス」の実現、業界で最もセキュアな次世代計算ノードの構築、IBM Securityを含むIBM製品全体の統合、Promontory(米国企業)の買収、その他の戦略的分野により、ソフトウェアとサービスの両方の観点からコンプライアンスのエビデンスを収集しやすくします。

IBMのイノベーションは、ソフトウェアの価格設定アプローチまで拡大されました。お客様のワークロードのプロファイルは明らかに変化しており、ITリソースに対する要求はますます厳しくなりました。ソフトウェアの価格設定アプローチ全体を評価し、2020年以降のワークロードに革新的な価格設定をいくつか採用しました。IBM Z向けのTailored Fit Pricing[*10]では、クラウドのような従量課金モデルを導入し、ピーク時間帯の処理量に対する月額ではなく、お客様の総処理量に対して、お支払いいただけるようにしました。

これは、お客様に3つの重要な価値を提供します。

A)課金モデルは、高いピークに達する期間や処理がほぼ無いような期間が頻繁に見られる最新のワークロード・プロファイルに非常に適しています。

B)お客様は、サブキャパシティー・ソフトウェアのコストを抑えるために、到達するピークを制限するのではなく、所有するすべてのインフラストラクチャーを使用できるようになります。その結果、応答時間が改善され、バッチ時間枠が短縮されます。

C)そして重要なのは、あらゆる種類の成長に対応できるさらに優れた経済性を提供することです。これは新しいワークロードの分野だけでなく、メインフレーム上の既存の資産を使用する処理が増加することでもあります。

Tailored Fit Pricingに対するお客様からのかつて無いほどの需要は、私たちがお客様のニーズを的確に捉えて対応していることを物語っています。

市場とお客様の期待から、企業のハイブリッドクラウドの統合と機能に対する新たな需要が生まれています。IBMは、変化しているビジネスのダイナミクスと環境により、業界全体のリーダーたちが、俊敏性を向上させ、価値と発展に向かう新たな道となるテクノロジーを採用していることを認識しています。IBM Zは、お客様が現段階でそれぞれ固有の課題に対応して、クラウド・ジャーニーを成功させるために差別化を図ったシステムとソフトウェアを提供します。個々のお客様はすでに、ハイブリッドクラウド・エコシステムをまたがって日々何億ものz/OSと連携するAPIリクエストを処理し、企業全体のアプリケーションを向上させています。IBM Zは、ミッション・クリティカルなワークロードに対するハイブリッドクラウド戦略をサポートするために、オープン・スタンダードとツールに基づくスピード、信頼性、セキュリティーという前例のない組み合わせを提供します。IBM Zは、ハイブリッドクラウドの中核として、お客様のITエコシステムのあらゆるところで価値を生み出し、最終的にお客様にお役に立つものを提供します。

さらに重要なことは、IBM ZとIBM Researchには親密で豊富なコラボレーションの歴史があり、セキュリティー、量子コンピューター、マイクロエレクトロニクス、AI、ハイブリッド・マルチクラウドなどのトピックスが継続的に調査され、製品ロードマップに組み込まれてきました。たとえば、ハイブリッド・マルチクラウドの分野では、IBM Z開発者とIBM研究員がスケーラビリティー、セキュリティー、およびパフォーマンスの最適化を提供しており、IBM Zでは他のプラットフォームと比較して最大6.6倍以上ものDockerコンテナを実行でき、Spark、MongoDB、Postgres、Blockchain、その他のLinuxワークロードのコアあたりのパフォーマンスは、最大2倍以上です。
AI周辺では、IBM ResearchとIBM Zは共同でZシステム用の人工知能ソフトウェアを作成、お客様が一般的なオープンソース・フレームワーク(TensorFlow、Caffe、Kera、Scikitなど)を使用してAIモデルを作成し、これらのモデルをZで最適化して実行できるようにしました。これらのモデルも、IBM Zハードウェア機能を使用して高速化されます。トランザクションが完了する前に不正検出を実行することを想像してみてください、事業部門に大きなコスト最適化効果をもたらします。

スキル・ギャップは、IT環境全体の共通テーマです。「Gartnerは、2020年までに、75%の組織がI&O(インフラストラクチャーと運用)のスキル・ギャップによるビジネス危機を経験すると予測しています。この予測は、2016年の20%未満から増加しています。」IBM Zと、広範なIBM Zの企業コミュニティーでは、さまざまなルートを通じてエンタープライズ・コンピューティングにおけるITスキル・ギャップの解消に積極的に取り組んでいます。開発と運用の観点では、多くの領域で専門スキルの必要性を減らすために、ツールやインターフェースのモダナイズとシンプル化が進んでいます。さらに、エンタープライズ・コンピューティングにいっそう深いスキルを取り込んで構築するために、学生や専門家向け支援プログラムが成長を続けています。2019年には、ミートアップ、ハッカソン、デジタル・トレーニング、コンテスト、ワークショップなどを通じて、140,000人を超える新たな開発者や担当者とつながりました。Master the Mainframe学生コンテストは、z/OSおよびz/OSアプリケーションを学生に紹介するもので、154カ国におよぶ4,000の学校から25,000人を超える応募がありました。そのうち7,000人を超える学生が、Major League Hackingと提携した実践ワークショップに参加するのに、選択可能な他のテクノロジー・オプションではなく、メインフレーム・テクノロジーを自主的に選択しました。コンテストやその他のプログラムへの参加が世界規模で多いということが、学生がエンタープライズ・コンピューティング・テクノロジーにますます興味をそそられていることを裏付けています。また、メインフレーム・システムの登録管理やアプリケーション開発の実習など、従来とは異なるプログラムを展開して、再就職する可能性がある人や学士号を持っていない人、転職を考えている人などに向けて、人材パイプラインを拡大および多様化させています。IBM Zはまた、地元の雇用者と学生を結びつけるITキャリア・コネクション・イベントを通じて雇用者と人材の結び付きを支援するとともに、雇用者がMaster the Mainframeの学生と対話するためのデジタル・タレント・ラウンジの作成を支援しています。New to Z Professionalグローバル・コミュニティーも、世界中のさまざまな地域のイベントやネットワークで大きく発展し、活発に活動しています。こちらで人材募集、トレーニング、雇用などに関する、雇用者に役立つ多くのリソースを検索できます。

Zプラットフォームの将来に情熱を注いでいるのはIBMだけではありません。外部のアナリストやステークホルダーも、私たちが実践している取り組みに気付き始めています。たとえば、最新のIDC Perspective「メインフレームの次世代のフロンティア[*11]」では、特にセキュリティー、マルチクラウド、ブロックチェーン、量子コンピューティングおよびハードウェア・アクセラレーションに関して、長期的なIBM Zの考慮事項をIT戦略に含めることをお客様に推奨しています。Gartnerは最新のレポート「インフラストラクチャーおよびオペレーション・リーダーにとってのIBM z15の発表の意味[*12]」で、お客様がセキュリティーおよびビジネス・ユニットの担当者と連携してデジタル資産を保護し、必要に応じて現在の機密情報漏洩の状況を特定して、z15にアップグレードすることを推奨しています。Forresterの最新レポート「ハードウェアはソフトウェア・デファインド環境でも重要であり続ける:インフラストラクチャー・トランスフォーメーション[*13]戦略」では、ハードウェアレベルでゼロトラストを徹底的に実行する手段としてIBM Zの全方位型暗号化機能がハイライトされています。Forresterはまた、ITリーダーに、規模、セキュリティー、および可用性の特性の恩恵を受ける専門的なワークロードについてIBM Zプラットフォームを検討するよう推奨しています。


* 補足

  1. IBM Unveils z15 With Industry-First Data Privacy Capabilities
  2. IBM Z
  3. Into the hybrid cloud future: Red Hat OpenShift is now available for IBM Z and LinuxONE
  4. IBM Cloud で提供される極めてセキュリティーの高いパブリッククラウド・サービス
  5. この文書では本来の正確な意味(Million instruction per sec)ではなく処理キャパシティを表現する一般的な用語として使用しています。
  6. MIPS Go Mad: IBM Hits “Historical” Mainframe Highs
  7. IBM Expands Strategic Partnership with Samsung to Include 7nm Chip Manufacturing
  8. Pervasive Encryption Simplifies Mainframe Security
  9. Encryption solutions
  10. IBM Z Tailored Fit Pricing
  11. Harness the full power of your IT infrastructure
  12. Gartner
  13. Hardware Remains Critical In A Software-Defined World

齊藤 貴之
著者:齊藤 貴之
日本IBM サーバー・システム事業部IBM Z事業統括部長 Z プラットフォーム・ブランド・リーダー
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