Hybrid Data Management

AWS上のIBMデータベースでAIのデータ課題に挑む

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人工知能(AI)アプリケーション用にデータを準備する際、企業は大きなハードルに直面します。データサイロや重複の存在、データ品質に関する懸念など、企業が管理すべき環境は多面的です。

また、バックアップ、アップグレード、定期的なメンテナンスなど、従来のデータベース管理作業は貴重な時間とリソースを浪費し、イノベーションの妨げとなっています。これらの課題は目新しいものではありませんが、柔軟性の高いクラウドネイティブなインフラストラクチャの必要性を強調しています。このようなインフラは、これらの問題に対処するだけでなく、AIのワークロードの要求に応じて拡張し、ビジネスの成果を高める必要があります。

 

ソリューション: AWS上のIBMデータベース

これらの課題を解決するために、Amazon Web Services (AWS) 上の IBM の SaaS データベース・ソリューションのポートフォリオは、企業がハイブリッド・クラウドのランドスケープ全体でアプリケーション、アナリティクス、AI をスケールできるようにします。これには、 ネイティブの統合機能を使用し、オープンフォーマットをサポートすることでIBM® watsonx.data™、IBM® Db2®、IBM® Db2® Warehouse、IBM® Netezza®にわたって、データとメタデータの単一コピーを統一して共有することが含まれます。 マイグレーションや再カタログ化の必要はありません。

目的に適合したデータベースを使用することで、お客様はワークロードを効率的に実行し、最適なコストで適切なエンジンを使用してアナリティクスを最適化することができます。AWS上のIBMのデータ・ファブリック・アーキテクチャとのネイティブな統合により、信頼できるデータ基盤が確立され、ハイブリッドクラウド全体でAIの高速化とスケーリングが容易になります。これは、データの自動化されたリネージュ、ガバナンス、再現性によってサポートされ、シームレスな運用と信頼性の確保を支援します。

IBMとAWSは、お客様のクラウドベースのデータモダナイゼーション戦略を加速させるために提携しました。IBMが数十年にわたり蓄積してきたデータベースのパフォーマンスに関する専門知識を活用し、AWSのスケーラビリティ、セキュリティ、ガバナンス機能と組み合わせることで、お客様はクラウドにおける柔軟性、俊敏性、コスト効率の向上を実現することができます。

既存の IBM オンプレミス・データベースのお客様にとって、AWS への移行はシームレスであり、リスクのない同種のアップグレードを提供します。このアプローチにより、お客様はご自身のペースでインフラを最新化することができます。さらに、AWSとIBMの製品およびサービス間の統合は、AWSのオファリングでそれらを補完することにより、IBMの投資の価値を増幅します。

クラウドデータベースのイノベーションを再定義: IBMとAWS

2023年後半、IBMとAWSは共同でAmazon relational database service (RDS) for Db2の一般提供を発表しました。このサービスは、ハイブリッド・クラウド環境におけるAIワークロードのデータ管理を合理化し、最小限の労力でAWS上のDb2データベースのスケーリングを容易にします。また、IBM Consulting®とAWSは、生成AIのユースケースにおいて、相互のお客様がデータを運用し、その価値を引き出すことを支援するために協業しました

これらの戦略的イニシアチブは、現代経済を牽引する次世代のアプリケーション、アナリティクス、AIのワークロードのためにデータを準備する企業を支援します。IBMとAWSは、クラウドデータベースのイノベーションを再定義し、モダナイゼーションプロセスを簡素化し、企業がデータの可能性を十分に活用できるようにします。AWSで利用可能なIBMのデータベース・ポートフォリオを掘り下げてみましょう。

Amazon RDS for Db2

IBM Db2 は、トランザクションの量や複雑さに関係なく、データのセキュリティ、パフォーマンス、回復力を確保できます。Amazon RDS for Db2 を使用すると、AWS クラウドで Db2 のセットアップ、運用、スケーリングを簡単に行うことができます。このフルマネージド・リレーショナルデータベースサービスは、Amazon RDSサービスのシンプルさと可用性、そして世界中のミッションクリティカルなデータベースワークロードを実行してきたDb2の専門知識を兼ね備えています。

世界規模でのエクスペリエンスを構築するための機能として、例えばクロスリージョンでの災害復旧、マルチアベイラビリティゾーン、および優れた障害回復性を備えています。また、AWS Key Management Service を使用することで、トランジット時および静止時のデータの安全な暗号化を保証し、HIPAA や FedRAMP などのコンプライアンス・プログラムをサポートします。AWS 上の IBM Db2 Warehouse SaaS および IBM watsonx.data SaaS とのネイティブな統合により、お客様は Db2 トランザクション・データを Db2 Warehouse および watsonx.data のデータとシームレスに組み合わせることができ、信頼できる Db2 データを使用して新たな洞察を得たり、アナリティクスや AI ワークロードを展開したりすることが可能になります。

このサービスは、Amazon Key Management System、Amazon Identity Access Management、Amazon CloudWatch、AWS Database Migration Service、Amazon S3といったAWSの必須サービスと統合されています。IBMは、IBM® Cognos® AnalyticsIBM Sterling® Order ManagementIBM® OpenPages®など、マネージド・サービスで機能する一連の製品を認定しています。今後、さらに多くの認定を取得する予定です。オンプレミスの Db2 のお客様は、わずか数クリックで簡単に Amazon RDS for Db2 の利用を開始しすることができます。使用分だけお支払いいただき、前払い料金や長期の契約は必要ありません*。

*訳注: Db2 ラインセンスについてはEligible Public Cloud BYOSL Policyを参照お願いします。

Request a live demo or start a proof of concept with Amazon RDS for Db2

 

Db2 Warehouse SaaS on AWS

クラウドネイティブの Db2 Warehouse は、ミッションクリティカルなオペレーショナル・アナリティクス、ビジネス・インテリジェンス(BI)、および混合ワークロードのための価格とパフォーマンスの目標を解決します。Db2 Warehouse は、エコシステム全体でアナリティクスと AI のためのセキュアなデータ共有を可能にします。
次世代の Db2 Warehouse on AWS は、クラウド・オブジェクト・ストレージをネイティブ・サポートし、高度なキャッシング技術と多層ストレージ・オプションにより、4 倍高速なパフォーマンスを実現し、ストレージ・コストを 34 分の 1 に削減します。

Db2 Warehouse は、Parquet、Avro、ORC、Iceberg テーブルフォーマットなどのオープンフォーマットを完全にサポートしており、 複製したり、抽出、変換、ロード (ETL) を追加したりすることなく、チーム間でデータを共有し、新たな洞察を引き出すことができます。Amazon RDS for Db2、watsonx.data SaaS、および IBM data fabric、Amazon S3、Amazon EMR、AWS Glue などの他の IBM および AWS サービスとシームレスに統合します。これにより、信頼できるデータを使用して、企業全体のすべてのアナリティクスとAIのワークロードをスケールできます。

既存の Db2 Warehouse ソフトウェアまたは Integrated Analytics Appliance (IIAS) アプライアンスをご利用のお客様は、オンプレミスでデプロイされたアプリケーションを AWS 上のクラウド上でシームレスに、ワークロードの完全な互換性を維持したまま変更することなく実行することができます。 AWS Db2 Warehouseは、フルマネージドのクラウドデプロイメントでDb2warehouseを提供し、インフラストラクチャ管理、インデックスの作成、チューニングの手間をかけずに、自動メンテナンスを提供します。

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Netezza SaaS on AWS

IBM® Netezza® Performance Server は、ハイブリッド・クラウド全体であらゆる種類のデータを統合、アクセス、スケーリングすることで、ディープ・アナリティクス、データ・マイニング、BI を運用できるように設計されたクラウド・ネイティブのデータウェアハウスです。 Netezzaは、データベース内アナリティクスと機械学習(ML)、ガバナンス、セキュリティ、特許取得済みの超並列処理を組み込んでいます。

ParquetやApache Icebergなどのオープンフォーマットを新たにサポートすることで、Netezzaはデータエンジニア、データサイエンティスト、データアナリストがデータを共有し、複製や 追加のETLを行うことなく複雑なワークロードを実行できるようにします。NetezzaはAIを活用したきめ細かなエラスティック・スケーリングにより、エンタープライズ規模でのワークロードの効率性とコストの予測可能性を確保します。

watsonx.data SaaSや、IBMデータ・ファブリック、Amazon S3、Amazon EMR、AWS Glueなどの他のIBMおよびAWSサービスとシームレスに統合し、企業全体のアナリティクスとAIワークロードを拡張できます。 既存のNetezzaアプライアンスのお客様はリスクなくアップグレードでき、ハイブリッドクラウドへのモダナイゼーションを自分のペースで進めることができます。AWS上のNetezzaのフルマネージドクラウドデプロイメントにより、オーバーヘッドの排除、インデックス作成、チューニング、自動化されたメンテナンスが可能になります。

Try Netezza Saas on AWS

watsonx.data SaaS on AWS

IBM watsonx.data は、AI ワークロードを大規模に処理するための目的別データストアで、オープンなデータレイクハウス・アーキテクチャに基づいて構築されており、あらゆるデータソースを場所を問わず、スケーラブルに処理することができます。データランドスケープを簡素化し、データ共有を促進するために、すべての組織で単一のコピーのデータを共有することができます。これにより、ETL プロセスやデータの複製を回避することができます。

watsonx.dataでは、お客様は特定のワークロードのニーズに合わせて最適なオープンクエリエリエンジンを選択することで、価格パフォーマンスを最適化することができます。アドホック分析、データ変換、データ共有、データレイクのモダナイゼーション、MLや生成AIなど、柔軟に選択できます。また、お客様はすべてのデータを好みのAIモデルやアプリケーションとシームレスに統合でき、データガバナンス、リネージュ、再現性の確保に役立ちます。現在テクノロジープレビュー中の統合されたベクトル・データベース機能は、Retrieval Augment Generation(RAG)またはその他のMLおよび生成AIのユースケースのためにデータを準備します。

IBM watsonx.dataは、AIを搭載した会話型インターフェイスを通じて、迅速なデータ洞察力を提供し、SQLの専門知識を必要とせずに、企業が競争上の優位性を獲得できるようにします。watsonx.data を IBM データ・ファブリック、Amazon S3、Amazon EMR、AWS Glue などの IBM および AWS サービスとシームレスに統合し、アナリティクスとAIワークロードを企業全体でスケーリングします。

Try watsonx.data on AWS
AWS databases diagram

 

なぜAWSのIBMデータベースでのモダナイゼーションが選ばれるのでしょうか?

  1. フルマネージド: アプリケーション、アナリティクス、AI に集中し、残りは AWS が処理します。IBMのデータベースはAWS上で完全に管理されるため、お客様はAWSに運用を委ねることができ、24時間365日利用可能です。マイグレーション、プロビジョニング、バックアップ、リストア、ソフトウェアのパッチ適用などの管理タスクを自動化します。
  2. ゼロ ETL、データ準備のための統合ソリューション: IBM databases on AWSは、AWSが提供するAIのためのデータ準備においてETLプロセスを不要にする統合ソリューションと共に使用できます。この統合により、データ管理が簡素化され、準備プロセスが高速化されるため、顧客に直接的なメリットがもたらされます。
  3. 100% のワークロード互換性: IBMは、クラウドにおける既存のワークロードの互換性を保証します。この互換性により、データベースの移行や高価で長期にわたるサービス契約に関連するコストとリスクを最小限に抑え、総所有コストを劇的に削減します。
  4. ハイブリッド・クラウド環境における究極の柔軟性: IBMは、AWS上のSaaSを含め、デプロイメント・モデルにおいて比類のない柔軟性を提供します。 この柔軟性は、急速に進化するデジタル環境の中で俊敏性の維持を目指す企業にとって極めて重要です。
  5. データレイクハウス・テクノロジーのイノベーション: IBMのデータレイクハウスであるwatsonx.dataは、独自のイノベーションとオープンソースの長所を組み合わせています。その結果、クエリ・パフォーマンスの最適化、ビルトイン・ガバナンス、ワークロード管理、マルチエンジン・サポートなど、AWS上で利用可能な独自の利点を実現しています。
  6. エンド・ツー・エンドのアナリティクスとAIプラットフォーム: IBMは、データベース、データ・ファブリック、データ・コンシューマーをカバーする包括的なアナリティクスおよびAIプラットフォームをAWS上で提供します。このエンドツーエンドのアプローチにより、本番ワークロードの導入と管理が容易になり、Time-to-Value(TTV)が大幅に短縮されます。

 

お客様のサクセスストーリー

Profile Centevo、Amazon RDS for Db2でインフラコストを4分の1に削減し、クラウドネイティブなアプリケーションで北欧の銀行業務を変革

Profile Centevo は、Db2 on Amazon RDS を採用することで、Db2 ベースのクリティカルな資産管理アプリケーションの モダナイゼーションとマネージドDB化を実現しました。この移行により、トランザクション処理能力が大幅に向上し、高い可用性とセキュリティが確保されました。RDS のクラウドネイティブインフラストラクチャはシームレスなスケーラビリティを実現し、パフォーマンスや信頼性を損なうことなく、毎日数千のユーザーをサポートしました。 フルマネージド RDS サービスを利用することで、同社は Db2 データベースとアプリケーションをオンプレミスで自己管理する場合と比較して、インフラコストを 4 分の 1 に削減しました。

 

Conestoga Wood Specialties、Netezza on AWSとアプリケーションのダウンタイムゼロで急成長を実現

カスタムキャビネットドアと木製キャビネット部品の大手企業である Conestoga Wood Specialties は、Netezza on AWS を利用してデータ分析とマネジメントシステムを変革し、顧客サービスエクスペリエンスを最適化する新しい AI ユースケースに備えました。 NetezzaとCognosは現在、毎日5,200以上のレポートを処理し、ビジネス全体のリーダーシップに意思決定サポートを提供しています。Netezzaは1.2テラバイトのデータと1日1万件のクエリーをサポートしているため、Conestogaのビジネスインフラを必要に応じてスケールアップできます。 この迅速化によって、より迅速な意思決定と市場の需要への機敏な対応が可能になり、AWS上のIBMソリューションでデータインフラを近代化することの大きな効果が実証されました。 同社は、ガバナンスとメタデータの観点でwatsonx.dataとNetezza on AWSとを統合するレイクハウスを構築中です。

 

AWSでIBMデータベースを始めましょう

AWS上のIBMデータベースは、AIとアナリティクス機能を拡張する変革の機会を企業に提供します。AWS Marketplace**でDb2 on Amazon RDS、Db2 Warehouse、Netezza、watsonx.data SaaSを選択することで、企業はデータ管理を合理化し、柔軟性を高め、ビジネス成果を向上させることができます。 IBM と AWS Marketplace から直接 IBM ソリューションを試して購入し、データ・インフラストラクチャのモダナイゼーションを始めましょう。

**訳注: AWS Marketplace からの日本での直接購入は未定ですが、日本でDb2 on Amazon RDS、Db2 Warehouse、Netezza、watsonx.data SaaSのサービスの購入は可能です。担当のIBM営業にお問い合わせください。


Karan Sachdeva
Karan Sachdeva
Global Business Development Leader,
Strategic Partnerships
Ashley Bassman
Ashley Bassman
Sr Product Marketing Manager

この記事は英語版ブログ「Tackling AI’s data challenges with IBM databases on AWS」(2024年3月14日公開)を翻訳したものです。

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