構造化データと非構造化データの違い

ピンク、紫、青の立方体で構成された3Dイラスト

共同執筆者

Alexandra Jonker

Staff Editor

IBM Think

Alice Gomstyn

Staff Writer

IBM Think

構造化データと非構造化データの主な違い

「構造化」と「非構造化」は、データの形式とスキーマ・ルールの有無に基づいてデータを分類するために使用される用語です。

構造化データには固定されたスキーマがあり、名前と電話番号など、行と列で表現できるものにうまく適合します。非構造化データには固定されたスキーマがなく、オーディオ・ファイルやウェブページなど、より複雑な形式を取ることができます。

構造化データと非構造化データが異なる主要な領域は、次のとおりです。

  • フォーマット:構造化データには、厳密に定義されたデータモデルがあります。非構造化データには事前定義された形式がありません。
  • ストレージ:構造化されたデータ・ストレージ・システムには、リレーショナル・データベースデータウェアハウスのような厳格なスキーマがあります。非構造化データは、多くの場合、ネイティブ形式で非リレーショナル・データベースまたはデータレイクに保存されます。

  • ユースケース:組織は、人工知能(AI)と分析のユースケース全体で構造化データと非構造化データの両方を使用できます。構造化データは、機械学習(ML)でよく使用され、MLアルゴリズムを駆動します。非構造化データは、自然言語処理(NLP)でよく使用され、生成AIモデルにとって豊富で多様なデータ・ソースとなります。

  • 複雑さ:構造化データは、従来のツールを使用する一般的なビジネス・ユーザーにとって操作や分析が容易です。非構造化データはより複雑になる可能性があり、解析および分析には専門的なスキルとツールが必要です。

以下、構造化データと非構造化データの定義、ユースケース、メリットについて詳しく説明します。

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構造化データとは

構造化データは明確な事前定義された形式で整理されます。構造化データは標準化されているため、データ分析ツール、機械学習アルゴリズム、および人間のユーザーによって簡単に解読できます。

構造化データには、定量的データ(価格や収益の数値など)と定性的データ(日付、名前、住所、クレジット・カード番号など)の両方を含めることができます。例えば、会社名、経費値、調査対象期間が行と列に整理された財務レポートは、構造化データと見なされます。

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構造化データの使用方法

構造化データは通常、Excelスプレッドシートやリレーショナル・データベース(またはSQLデータベース)などの表形式で保存されます。ユーザーは、構造化照会言語(SQL)を使用して、リレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)内で構造化データを効率的に入力、検索、操作できます。1974年にIBM®によって開発された構造化照会言語は、構造化データの管理に使用されるプログラミング言語です。

構造化データのユースケースには、次のようなものがあります。

構造化データの長所と短所

構造化データのメリットは、その使いやすさとアクセスのしやすさにあります。

  • 機械学習との相性のよさ:機械学習は構造化データと非構造化データの両方を処理できます。ただし、構造化データは特定の体系的なアーキテクチャーを備えているため、MLアプリケーションで構造化データを分析し、そこから洞察を引き出すことが容易になります。

  • アクセスしやすく使いやすい:構造化データを理解するのに、データサイエンスの詳細な知識は必要ありません。標準的な形式と高度な組織化により、ほとんどのユーザーは構造化データに簡単にアクセスして解釈できます。

  • ツールが豊富:構造化データは非構造化データよりも古いため、使用やデータ分析に利用できるアプリケーションやツールがより多くあります。例えば、オンライン分析処理(OLAP)、SQLiteMySQLPostgreSQLなどがあります。

構造化データの課題は、データの柔軟性の欠如に関係しています。

  • 用途が限定される:構造化データには、あらかじめ定義されたデータ・モデルがあり、意図した目的にしか使用できないため、柔軟性や使用法が制限されます。より多くの洞察をマイニングするには、データの変更や追加が必要になります。

  • ストレージの選択肢が限定される:構造化データ・ストレージ・リポジトリーには通常、リレーショナル・データベースデータウェアハウス内にあるような厳格なスキーマがあります。データ要件を変更するにはすべての構造化データを更新する必要があり、時間とリソースを大量に消費します。

非構造化データとは

非構造化データには事前定義された形式がありません。非構造化データセットは通常、規模が大きく(テラバイトまたはペタバイト単位のデータ)、企業が生成するすべてのデータの90%を占めます。このように量が膨大になったのは、ビッグデータ(インターネットやその他の接続テクノロジーから得られる膨大で複雑なデータセット)の出現によるものです。1

非構造化データには、テキスト・データと非テキスト・データの両方、および定性的データ(ソーシャル・メディアのコメント)データと定量的データ(テキストに埋め込まれた図)データの両方が含まれます。

テキスト・データ・ソースからの非構造化データの例には次のようなものがあります。

  • Eメール
  • テキスト文書
  • ソーシャルメディアの投稿
  • 通話記録
  • Microsoft TeamsやSlackなどのメッセージテキストファイル

非テキスト非構造化データの例には次のようなものがあります。

  • 画像ファイル(JPEG、GIF、PNG)
  • マルチメディア・ファイル
  • ビデオ・ファイル
  • モバイル・アクティビティー
  • モノのインターネット(IoT)デバイスからのセンサー・データ

非構造化データの使用方法

非構造化データには事前定義されたデータ・モデルがないため、従来のデータ・ツールや方法では簡単に処理、分析できません。

あらゆる形式の未加工データを大量に扱えるように設計された非リレーショナル・データベースやNoSQLデータベース、またはデータレイクで管理するのが最適です。

多くの場合、非構造化データから貴重な洞察を抽出するために機械学習、高度な分析自然言語処理(NLP)が使用されます。

ユースケースには次のようなものがあります。

非構造化データの長所と短所

非構造化データには、データ形式、速度、ストレージにおける次のようなメリットがあります。

  • 柔軟性:非構造化データはネイティブ形式で保存され、必要になるまで未定義のままになります。このファイル形式の柔軟性により、利用可能なデータの幅が広がり、データサイエンティストは複数のユースケースでデータを使用できるようになります。

  • 蓄積速度が速い:ほとんどの組織では、このタイプのデータは構造化データの3倍の速度で増加しています。非構造化データを事前に定義する必要がないため、迅速かつ容易に収集できます。これは、生成AIや大規模言語モデル(LLM)のファイン・チューニングに役立ちます。2

  • 簡単かつ安価に保存:非構造化データには、構造化データよりも多くの保存方法があります。たとえば、ファイル・システムやデータレイクでは、大容量ストレージと従量課金制の料金体系が可能で、コストが削減され、拡張性が容易になります。

非構造化データの課題は専門知識と利用可能なリソースに集中します。

  • 専門知識が必要:非構造化データは定義されていない、またはフォーマットされていない性質があるため、非構造化データの準備と分析にはデータサイエンスの専門知識が必要です。これにより、専門的なデータトピックや分析を十分に理解していないビジネスユーザーが疎外される可能性があります。

  • 専用ツール:Excelなどの従来のツールは非構造化データの操作には適しておらず、データ管理者の製品の選択肢は限られています。非構造化データ管理用のツールには、MongoDBDynamoDBHadoopAzureなどがあります。
  • データのクリーンさ:非構造化データは量が多く、データ構造が均一ではないため、不整合、不正確さ、データ品質で問題が発生する可能性があります。そのため、データを処理する前に、データのクリーニングが必要になるかもしれません。

人工知能(AI)と非構造化データ分析

AIは大量のデータを迅速に処理できます。これは、膨大な量の非構造化データを実用的な洞察に変換したい組織にとって重要な機能です。

機械学習自然言語処理(NLP)を使用すると、AIアルゴリズムは非構造化データをふるいにかけてパターンを見つけ、リアルタイムの予測や推奨を行うことができます。組織はこれらの分析モデルを既存のダッシュボードやアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)に組み込み、意思決定プロセスを自動化できます。

半構造化データとは

半構造化データは、構造化データと非構造化データの橋渡しをするもので、ウェブ・スクレイピングやデータ統合に役立ちます。

半構造化データには事前定義されたデータ・モデルがありません。ただし、特定のデータ特性を識別し、データをレコードや事前設定されたフィールドにスケーリングするために、メタデータ(タグやセマンティック・マーカーなど)が使用されます。メタデータにより、最終的には半構造化データのカタログ化、検索、分析が非構造化データよりも適切に実行できるようになります。

半構造化データの例には、JavaScript Object Notation(JSON)、カンマ区切り値(CSV)、拡張マークアップ言語(XML)ファイルなどがあります。より一般的に引用される例としては、Eメールが挙げられます。それには一部のデータ・セクションに標準化された形式(ヘッダーや件名など)があるものの、そのセクション内には非構造化データ・コンテンツがあります。

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