エッジ人工知能(エッジ AI)とクラウド人工知能(クラウドAI)とは、ほとんどの最新のAIアプリケーションの開発に不可欠となっている2種類の人工知能(AI)です。
両者の間には類似点もありますが、ビジネス目的でそれぞれを評価する際には考慮すべき決定的な違いもあります。
エッジAIとは、スマートフォン、サーモスタット、ウェアラブル・ヘルス・モニターなどのエッジ・デバイスまたはモノのインターネット(IoT)デバイスでAIアルゴリズムとAIモデルを使用するプロセスを指します。エッジAIは、アプリケーションをデータ・ソースに近づける分散コンピューティングの一種であるエッジコンピューティングにちなんで名付けられました。
一方、クラウドAIは、クラウド・コンピューティング(インターネット経由の仮想コンピューティング・リソースへのオンデマンド・アクセス)に依存して機能するAIの一種です。
どちらのタイプも高度なデータ処理と分析をサポートしていますが、AIモデルを実行する方法やデータを保管・処理する場所が異なるため、用途とメリットは異なります。
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エッジ AIは、ネットワークのエッジ、つまり接続が失われる現実世界との境界に近い場所にあるデバイスにAIアルゴリズムを展開するタイプのAIです。このようなエッジ・デバイス(一般にエッジ・デバイスまたはIoT(モノのインターネット)デバイスと呼ばれる)には、スマートウォッチ、スマートフォン、産業用センサー、ウェアラブル・ヘルス・モニターなどがあります。
エッジAIは、特定の種類のアルゴリズムを使用して、最初にデータをクラウドに移動するのではなく、ソースに近い場所でデータを処理します。そのため、リアルタイムの意思決定が可能になます。これは、エッジAIを利用するデバイスの重要な機能となります。
エッジAIは、製造業やサプライチェーン管理などの複雑な業界でワークフローを最適化する方法としても人気が高まっており、企業がネットワーク全体のトラフィックとレイテンシーを削減する方法となっています。
他の種類のAIとは異なり、エッジAIデバイスはオフラインで機能するため、機能を実現するためにインターネットの常時接続に依存できないアプリケーションに最適です。
クラウドAIとは、データの処理と分析にクラウド・インフラストラクチャーを利用するタイプのAIです。クラウドAIでは、データはソースで収集され、インターネット接続を通じてクラウドに移動されます。そこから、データ処理、データ分析、データ・ストレージのために接続された仮想コンピューティング・リソースにアクセスできます。
クラウドAIは古く、エッジAIほど先進的ではないと考えられていますが、現代の企業にとって依然として多くの応用分野があります。エッジに展開するには複雑すぎて計算負荷が大きすぎるAIアプリケーションを導入できるよう開発者を支援します。例としては、トレンド分析や予測分析のためのディープラーニング(DL)モデルや特定の種類の自然言語処理(NLP)のトレーニングが挙げられます。
エッジAIモデルとクラウドAIモデルはどちらも、現代のほとんどのAIシステムのバックボーンとなっているAIの一分野である機械学習(ML)を通じてトレーニングされます。
しかし、エッジAIとクラウドAIの目的はどちらも、強力なAIアプリケーションのためにデータを処理して分析することですが、そのタスクを実行する方法は異なります。エッジAIが小型デバイス上でローカルにデータを処理するのに対し、クラウドベースのAIはクラウドの演算能力を活用します。ここでは、それぞれの方法を詳しく見ていきます。
エッジAIは、ニューラル・ネットワークとディープラーニングを使用してオブジェクトを識別するようにトレーニングされたAIモデルを使用します。エッジAI自体はデバイス上で展開されますが、モデルの作成に使用されるトレーニング・プロセスは、一元化されたクラウド・インフラストラクチャーに依存しています。トレーニングに不可欠な大量のデータをリアルタイムで処理するには、データセンターが必要です。
エッジAIモデルは導入後、時間の経過とともに「学習」し、その能力が徐々に向上します。ローカルで処理できないデータを見つけて、代わりにクラウドに移動できるようになるまで、学習し続けます。この継続的なフィードバックの手法により、導入された最初のエッジAIモデルは、最終的にはクラウドで時間をかけてトレーニングされた新しいAIモデルに置き換えられます。
エッジAIとは異なり、クラウドAIはその機能において、クラウド・インフラストラクチャーの膨大な演算処理能力と保存能力に依存しています。通常、これらのサービスは、Amazon(AWS)、Google、Microsoftなどの大手グローバル・クラウド・サービス・プロバイダー(CSP)によって提供されています。
このアプローチにより、ビッグデータ分析、高性能コンピューティング(HPC)、 コンピューター・ビジョンやNLPのような高度なAIアプリケーションの基礎モデルのトレーニングなど、計算集約型のタスクの場合、エッジ AIよりもクラウドAIの方が適した選択肢になります。
クラウドAIは、AIシステムをパブリッククラウド・プラットフォームとプライベートクラウド・プラットフォームの両方に統合することで、組織がエンタープライズ・レベルで高度なAIアプリケーションを導入できるよう支援します。これらのアプリケーションは、ビジネス・プロセスの最適化、知見の生成、顧客サービス・チャットボットの導入など、さまざまな目的に役立ちます。
エッジAIとクラウドAIには重要な違いがあり、それぞれが異なるユースケースに適しています。
クラウドAIは、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、データセンターなどの仮想コンピューティング・リソースの力をインターネット経由で活用できます。この能力は、クラウドAIがエッジよりも優れた計算機能を提供することを意味します。エッジAIは、エッジまたはIoTデバイスに適合するリソースの演算能力のみを利用します。
エッジAIは、データセンターではなくローカルでデータを処理することで、レイテンシー、つまりデータ転送に必要な時間とリソースを大幅に削減します。クラウドAIは、リモート・サーバーとデータセンターを利用して処理を行うので、使用するインフラストラクチャーのレイテンシーが大幅に増加します。
レイテンシーと同様に、ネットワーク・トラフィックの測定値である帯域幅の使用量も、エッジAIとクラウドAIの選択によって大きく影響されます。エッジAIはローカルでデータを処理するため、低帯域幅とみなされます。クラウドAIは、リモート・サーバーやデータセンターへのデータ送信にネットワークを必要とするため、高帯域幅とみなされます。
エッジAIの場合、機密データが収集、保存、処理されるデバイス上でローカルに保存されるため、クラウドAIよりも安全であると考えられています。一方、クラウドAIは機密データをクラウドとネットワーク上で移動させるため、権限のない当事者による機密漏れの可能性が高まります。
企業が新しいAIおよび生成 AIアプリケーションの構築を急いでいるため、クラウドおよびエッジAIモデルへの関心が急上昇しています。
最近のレポートによると、世界のエッジAI市場は2023年に204億5,000万米ドルと評価され、2032年までに2,700億米ドル近くに達すると予想されています。1ほぼ同期中に、クラウドAIの世界市場は780億米ドルから約5,900億米ドルにまで急増すると予想されていました。 2
ここでは、両タイプのAIによるビジネス上のメリットと、企業が目標を達成するためにそれらをどのように活用しているかを詳しく見ていきます。
各モデルの特定の強みを考慮すると、エンタープライズ・レベルでのエッジAIとクラウドAIユースケースは大きく異なります。ここでは、それぞれの最も一般的なユースケースを紹介します。
IBM Powerは、IBM Powerプロセッサーをベースとしたサーバー製品ファミリーです。オペレーティング・システムとしてIBM AIX、IBM i、Linuxが稼働します。
IBMのエッジコンピューティング・ソリューションで、運用の自動化、エクスペリエンスの向上、安全対策の強化を実現できます。
IBMのクラウド戦略コンサルティングは、ハイブリッド・マルチクラウド変革サービスを提供し、クラウドへの移行を加速し、テクノロジー環境を最適化します。
1. Edge AI market size、Fortune Business Insights、2024年
2. Cloud AI market size、Fortune Business Insights、2023年