オールフラッシュ・ストレージ(AFA)とは

タブレットで作業する2人の女性

執筆者

Josh Schneider

Staff Writer

IBM Think

Ian Smalley

Staff Editor

IBM Think

オールフラッシュ・ストレージとは

オールフラッシュ・ストレージ(AFA)は、永続的なデータ ストレージに フラッシュ メモリ ハードウェア メディア(つまり、 ソリッド ステート ドライブ(SSD) )のみを使用する外部 データ ストレージ システムの一種です。AFAは、ソリッドステート・ストレージ・ディスク・システムまたはソリッドステート・アレイ(SSA)とも呼ばれます。

回転ディスクのハードディスクドライブ(HDD)とは異なり、SSDには可動部品がなく、速度と耐久性が向上しています。SSDまたはSSDとHDD両方のハイブリッド・システムで構成されたオールフラッシュ・ストレージ・システムは、HDDのみを使用する場合と比較して、処理速度を向上させ、CPUの負担を軽減しながら、より高速なデータ・アクセスを可能にします。

フラッシュ・ストレージには、ストレージ容量とフォーム・ファクターの両方において幅があります。USBフラッシュ・ドライブに見られるような一部のSSDは、10セント硬貨よりも小さいものがあります。また、初期のSSDには少量のデータしか保持できませんでしたが、ムーアの法則に従ってテクノロジーが進歩するにつれて、そのストレージ容量は倍増しました。

今日では、SSDテクノロジーのおかげで、1テラバイトの(またはそれを超える)データを簡単に管理できます。コンパクトなサイズと堅牢なソリッドステート構造により、SSDはノートPC、タブレット、携帯電話やゲーム機などのあらゆる電子機器に普及しています。

SSDとAFAは、消費者向けグレードのアプリケーションを超えて、エンタープライズ・ストレージに革命的な影響を与えています。従来、組織のデータセンターでは、データの保存と取得にネットワーク接続ストレージ(NAS)またはストレージ・エリア・ネットワーク(SAN)、またはその両方として構成されたHDDに依存してきました。その状況が続いたのは、ソリッドステート・ストレージの進歩により、オールフラッシュ・ストレージがコスト効率の高い代替手段になり、高性能アプリケーションに適したいくつかのパフォーマンス向上が実現するまででした。

ソリッドステート・ドライブは、通常、ハードディスク・ドライブよりも優れています。しかし、同じシャーシ内でSSDとHDDを構成するハイブリッド・アレイを使用すると、ベンダーは固定メディアの一部のみをフラッシュに置き換えることで、既存のシステムに後付けできます。最近では、AFAまたはハイブリッド・アレイが、大規模なNASソリューションとSANソリューションにおいて主要な選択肢となっています。

The DX Leaders

AI活用のグローバル・トレンドや日本の市場動向を踏まえたDX、生成AIの最新情報を毎月お届けします。登録の際はIBMプライバシー・ステートメントをご覧ください。

ご登録いただきありがとうございます。

ニュースレターは日本語で配信されます。すべてのニュースレターに登録解除リンクがあります。サブスクリプションの管理や解除はこちらから。詳しくはIBMプライバシー・ステートメントをご覧ください。

フラッシュ・メモリー・ストレージとは

フラッシュ・メモリーは、半導体トランジスターを使用してデータを保管および取得する不揮発性メモリーのストレージの一種です。フラッシュ・メモリーに保存されているデータは永続的かつ不揮発性です。つまり、データがフラッシュ・メモリー・ユニットに書き込まれると、電源をオフにしても、そのデータを保持します。

フラッシュ・メモリーのテクノロジーには2つの種類があり、メモリー・チップのオペレーションの管理に使用される論理アーキテクチャーのタイプによって区別されます。

  • NOR型フラッシュ:このタイプのフラッシュ・メモリーは、データの読み書きに「NOT OR」ブール論理ゲートを使用します。NOR型フラッシュは、保管されたセット内のデータのランダムなビットにアクセスする際には高速ですが、書き込み時間が遅く、比較的高価になる場合があります。NOR型フラッシュは、ファームウェアやブート・コードなどのデータの保管に非常に適しています。
  • NAND型フラッシュ:NAND型フラッシュは、「NOT AND」ブール論理ゲートを使用し、より大きなファイルの保存において費用対効果が高くなります。NAND型フラッシュは、シーケンシャル・データ・アクセスには優れていますが、ランダム読み取りについてはNOR型フラッシュよりも低速です。これらの理由から、NAND型フラッシュはコードの直接実行にはあまり適していませんが、長期的かつ大規模なデータ・ストレージには優れたオプションです。

技術的なレベルでは、NAND型フラッシュ・メモリーは、NOT AND論理ゲートと同様に機能するフローティング・ゲート・トランジスタの配置を使用してデータを保管します。各NAND型メモリ・セルには、制御論理ゲートとフローティング論理ゲートの両方が含まれ、薄い酸化被膜によって分離されています。

ファウラー・ノルドハイムのトンネルプロセスを通じて、電子をフローティング・ゲートに閉じ込める電圧で電荷をセルに送ることにより、バイナリ・データをフラッシュ・メモリー内に永続的に保存できます。また、電荷を取り除くことでデータを消去できます。

フラッシュ・メモリーにはNOR型とNAND型の両方の種類がありますが、「フラッシュ・ストレージ」というフレーズはほとんどの場合、NAND型フラッシュを意味します。NAND型フラッシュ・ストレージ・メディアは時間の経過とともに劣化し、数年後には定期的なハードウェアの交換が必要になりますが、NAND型メモリーは、ほとんどの状況で理想的な運用ストレージに求められる多くの基準を満たします。

以下に、いくつかの重要な特性を挙げます。

  • 不揮発性:NAND型フラッシュは、継続的な電力を必要とせずにデータを保持できます。
  • ブロックベース:NAND型フラッシュは、バイト単位のアプローチではなく、大きな情報ブロック単位でデータを書き込みおよび消去します。
  • 大規模に効率的:NAND型フラッシュはブロック・ベースの構造を持つため、大量のデータ・ストレージと大規模なアクセスを必要とするシーケンシャル・コンピューティング・タスクに非常に適しています。NAND型フラッシュは、NOR型フラッシュと比較してより効率的で高密度なオプションです。
  • 耐久性:NAND型およびNOR型フラッシュ・メモリー・ユニットは、HDDよりもはるかに高い耐久性を持っています。フラッシュ・メモリー・ユニットには、HDDの潜在的な故障点となる可動部品が含まれていません。そのため、耐久性を考慮すると、NAND型フラッシュははるかに優れた選択肢となります。NAND型フラッシュは、物理的に輸送する必要があるデータ・ストレージとして信頼性の高い選択肢となっており、ポータブルな外付けハードディスク・ドライブやノートPCなどのデバイスに一貫して使用されています。ただし、ソリッドステート・メモリー・メディアは、可動部品を備えたメモリー・ユニットよりも確実に耐久性がありますが、フラッシュ・メモリー・ユニットが書き換えられる回数は有限です。不揮発性フラッシュ・メモリーは一般的に無期限に安全であると考えられていますが、この種のユニットは使いすぎや一般的な劣化によって時間の経過とともに品質が低下します。ベスト・プラクティスでは、データをフラッシュ・メモリー装置に長期にわたって保存する場合、定期的に検証し、新しいメモリー・ハードウェアに定期的に複製する必要があると定めています。
IBM Storage FlashSystem

IBM Storage FlashSystem:VMwareのコスト、シンプルさ、レジリエンスを最適化

IBM FlashSystemがVMware環境を最適化して、コスト効率、シンプルさ、レジリエンスを実現する方法をご覧ください。このセッションでは、IBM FlashSystemがデータの安全性、アクセシビリティ、性能を強化し、最新のITインフラストラクチャーにとって理想的なソリューションにする方法に焦点を当てます。

ソリッドステート・ドライブとは

フラッシュ・メモリーは、コンパクトなサイズ、高速性、堅牢な耐久性、大容量のストレージという点で貴重であり、多くのデバイスで好まれるソリューションとなっています。これらのデバイスには、メモリー・カード、USBフラッシュ・ドライブ、スマートフォン、ノートPC、デジタル・カメラ、および同様のポータブル機器などが含まれます。ただし、フラッシュ・メモリーは、より大規模で物理的に永続性があるコンピューティングにも好まれています。

オールフラッシュ・ストレージの主要なストレージ・コンポーネントとして使用されるソリッドステート・ドライブ(SSD)は、通常、NAND型フラッシュ・メモリーを使用する半導体ベースのストレージ・デバイスです。各NAND型フラッシュ・メモリー・チップは、グリッドと呼ばれる一連のブロックで構成されます。グリッド内の各ブロックは、ページまたはセクターと呼ばれるメモリー・セルの配列で構成されています。

エンジニアは、保管できるビット数に基づいて個々のメモリー・セルを分類します。シングル・レベル・セル(SLC)は1ビットの情報を保管し、マルチ・レベル・セル(MLC)、トリプル・レベル・セル(TLC)、クアド・レベル・セル(QLC) にはそれぞれ2、3、4ビットの情報が保管されます。

各タイプのセルには、独自のメリットと課題があります。たとえば、SLCは高速ですが価格も高いことで知られており、より手頃な価格のQLCはより高価な代替手段に比べて信頼性が低い場合があります。セルの種類に応じて、SSD内の各グリッドは256KBから4MBのデータを保管できます。

一般的なパーソナル・コンピューティング・システムでは、コンピューターのメインの中央処理装置(CPU)が、メモリーへの読み取りおよび書き込みジョブを指示するコントローラーとして機能します。AFAには、ネットワーク化されたSSDのアレイ全体にわたって、これらのタスクを管理するのに役立つ他のハードウェアまたはソフトウェアを含めることができます。

もともとSSDドライブは、旧式のHDD用に最初に開発されたSATA(シリアルATA)メモリ・ストレージ・インターフェイスと互換性がありました。最大速度は約550~600MB/秒で、従来のHDDよりも高速です。

ただし、比較的新しい不揮発性メモリー・エクスプレス(NVMe)プロトコル用に設計されたSDDは、高速PCIエクスプレス(PCIe)インターフェイスを利用できます。この設計により、データ転送速度は3,500MB/秒から最大14,000MB/秒まで、さらに優れた性能を実現できます。言い換えれば、NVMe SSDは、旧式のSATA SSDテクノロジーよりも約20倍高速ということです。

NVMeドライブは、スループットの向上に加え、レイテンシー・テストでSATAドライブを上回るパフォーマンスを実現し、数千の同時コマンド・キューのサポートを誇ります。そのような理由から、NVMe SSDやこの種のドライブを備えたAFAは、高負荷のゲームやコンテンツ作成、エンタープライズ・ストレージなど、要求の厳しいタスクに最適です。

Gartner社によれば、SSDは、NAND型フラッシュとストレージ・クラス・メモリー(SCM)テクノロジーを中心としたイノベーションによって推進され、構造化データ・ワークロードをサポートする主力ストレージ・プラットフォームとして台頭しています。

オールフラッシュ・アレイ(AFA)を理解する

最新のオールフラッシュ・ストレージは、高度なソフトウェア(場合によっては専用ハードウェア)と高性能なNVMeドライブを統合し、複数のドライブからリソースを効率的にプールします。

さらに一歩進んで、最良のオールフラッシュ・ストレージは、さらに新しいプロトコルであるNVMe over Fabrics(NVMe-oF)を活用し、SAN全体のデータ転送速度とレイテンシーを最大化します。これらのシステムでは、個別のNVMe SSDのアレイに代えてカスタムNVMe-oFモジュールを統合することで、ホストがストレージに直接接続して通信できるようになります。

AFAはリソースをプールすることで、必要な冗長性を備えた十分なストレージ容量を作成し、パフォーマンスとストレージ管理を高速化します。AFAは、データの重複排除、圧縮、スナップショット、複製、シン・プロビジョニングなどの高度なデータ削減技術も使用して、ストレージ効率を大幅に向上させます。

ほとんどのオールフラッシュ・ストレージ・ベンダーは、リソースの使用状況、システムの正常性、その他の関連メトリクスを追跡する責任を負うシステム管理者を支援するために、高度な監視、データ管理、およびデータ保護ソフトウェアも提供しています。これらのツールは、組織がボトルネックを回避し、潜在する技術的な問題やインシデントに迅速に対応する上で役立ちます。

管理ソフトウェア以外にも、Pure Storage FlashBlade、Dell Unity XT、HPE AlletraなどのAFA製品では、オールフラッシュ・ストレージ・システムが変化するワークロードに迅速に適応し、ハイブリッドクラウドVMware環境とシームレスに統合できるようにするプラグインや拡張機能も提供されています。

オールフラッシュ・ストレージ・プラットフォームのアーキテクチャーの種類

オールフラッシュ・ストレージ・テクノロジーに使用される主な2種類のアーキテクチャーは次のとおりです。

スケール・アップ・アーキテクチャー

スケールアップAFAは、既存のアレイにストレージを追加できる古いアーキテクチャーに従っています。

スケールアップ・アーキテクチャーは簡単かつコスト効率の高い方法で容量を増やすことができますが、この方法では中央ストレージ管理コントローラーが単一障害点になる可能性があるため、ボトルネックが発生する可能性があります。

スケール・アウト・アーキテクチャー

スケールアウト・アーキテクチャーを使用するAFAでは、システムにノードを増やすことで、ストレージ容量と計算能力を同時に追加できます。

スケールアウトAFAは、システムが成長しても一貫した性能を保証できるため、ストレージへのニーズが急速に拡大する可能性のあるエンタープライズ・ストレージに推奨される選択肢です。

オールフラッシュ・ストレージのメリット

オールフラッシュ・ストレージ(AFA)は、拡張性からセキュリティーまで、幅広いミッションクリティカルなメリットをもたらします。これらのメリットは、AFAに備わった最も影響力のあるメリットの一部です。

パフォーマンスの向上

AFAは、他のシステムと比較して優れた性能を提供します。最新のAFAは、リアルタイムのデータ処理と分析向けに、比類のないデータ・スループットと超低レイテンシーを提供します。

信頼できる安定性

脆弱な可動部品を備えた従来のHDDと比較して、ソリッドステートSDDで作られたAFAははるかに信頼性が高くなります。SSDはHDDよりもはるかに耐久性があり、ダウンタイムが短く、また製造技術の最新の進歩により、一般的なSDDの寿命が長くなりました。

フットプリントの削減

AFAが物理的に消費するスペースは、同等のHDDシステムよりもはるかに少なくなります。フットプリントが小さいAFAは、必要なデータセンターのラックスペース、電力消費および冷却が少なくて済みます。

効率の向上

AFAによりエネルギー効率が改善し、長期的な運用コストを節約できます。AFAは他の選択肢よりも高価ですが、時間を節約する自動化とスペースを節約する最適化により、初期投資後は時間の経過とともに節約効果が増大します。

オールフラッシュ・ストレージのユースケース

フラッシュ・メモリー・テクノロジーの性能、可用性、価格面での購入しさすさが向上するにつれて、オールフラッシュ・ストレージ(AFA)は多くのユースケースや業種・業務で人気が高まっています。

  • 仮想化:AFAは、仮想マシン仮想デスクトップ・インフラストラクチャ(VDI)を実行するハイパーバイザー・ソフトウェアに、重要なパフォーマンスと機能のサポートを提供する上で不可欠です。仮想化の場合、AFAは、中断のない仮想化ワークロードに必要な最小限のアクセス・レイテンシーで、高いデータ・スループットを維持するために使用されます。
  • ビッグデータと人工知能(AI):AIモデルは、トレーニングとオペレーションに大規模なデータセットを必要とすることでも知られています。AFAは、高度なストレージ・パフォーマンスを必要とする複雑なAIアルゴリズムの実行などのビッグデータ・アプリケーションに適しています。
  • 災害復旧(DR)とバックアップ:従来はコストが高かったものの、フラッシュ・メモリの価格とパフォーマンスの向上により、AFAソリューションはバックアップと災害復旧の実行可能なオプションになりました。AFAの高速な読み取り/書き込みは、多段階バックアップに適しています。
  • 金融サービス:金融テクノロジー(フィンテック)の進歩により、ほぼ瞬時のデータ処理速度が求められる高頻度取引の時代が到来しました。AFAは金融サービス・プロバイダーにとって非常に重要な資産であり、即時のトランザクションとデータ分析を促進します。
  • メディアおよびエンターテインメント:ストリーミング・サービスからオンライン・メディア・マーケットプレイスまで、AFAは、大量の大容量データ・ファイルを保管し、オンデマンドで高速データ転送を実現したいと考えているメディアやエンターテインメント企業にとって価値があります。
  • 医療:医療業界では、データ・アクセスが文字通り命を救うことができます。AFAは、病院や医療従事者に迅速なデータ・アクセスを提供し、タイムリーで効果的な医療活動を促進します。
  • データセンター:現代の生活や業種・業務がますます大量のデータに依存していく中、データセンターはその需要に応えるために常に努力を続けています。AFAは、ダウンタイムを最小限に抑えながら、高速で信頼性の高いデータ・アクセスを促進します。
関連ソリューション
IBM FlashSystem:フラッシュ・ストレージ・ソリューション

IBM® Storage FlashSystemは、サイバー・レジリエンスと強化されたデータ・ストレージ機能を提供します。

Storage FlashSystemの詳細はこちら
エンタープライズ・データ・ストレージ・ソリューション

IBM Storageは、データ・ストレージ・ハードウェア、 ソフトウェア定義ストレージおよびストレージ管理ソフトウェアの製品群です。

データ・ストレージ・ソリューションの詳細はこちら
ITインフラストラクチャー・ライブラリーとコンサルティング・サービス

IBM Technology Expert Labsは、IBMサーバー、メインフレーム、ストレージ向けのインフラストラクチャー・サービスを提供します。

ITインフラストラクチャー・ライブラリー・サービスの詳細はこちら
次のステップ

IBM® Storage FlashSystemは、サイバー・レジリエンスと強化されたデータ・ストレージ機能を提供します。

Storage FlashSystemの詳細はこちら 詳細を取得する