プロビジョニングとは

2023年9月1日

共同執筆者

Michael Goodwin

Editorial lead, Automation & ITOps

プロビジョニングとは

ITおよびコンピューティングにおけるプロビジョニングとは、ハードウェア、ネットワーク、仮想マシン、その他のリソースを含むITインフラストラクチャーをセットアップし、システムやユーザーがリソースとデータを利用できるようにするプロセスを指します。

この用語は、IT業界でさまざまな意味で(時には大まかに)使用されますが、一般的には、何かを利用できるようにすることを意味します。プロビジョニングは、デプロイメント・プロセスの初期ステップであり、構成と混同しないようにする必要があります。サーバー、ネットワーク・コンポーネント、アプリケーション、デバイスなどのリソースがプロビジョニングされると、組織またはユーザーの仕様に従って構成され、ライフサイクル全体にわたってデプロイ、管理、保守が行われます。

効果的なプロビジョニングは、IT環境を安全に保ち、企業がITリソースを最も効率的に活用して、利益と生産性を最大化するのに役立ちます。

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プロビジョニングの種類

IT環境が適切に機能するためには、すべての要素をシームレスに相互運用できる必要があります。この取り組みを成功させるには、適切なプロビジョニングが重要です。プロビジョニングのニーズは組織によって異なりますが、最も一般的なものは次のとおりです。

サーバーのプロビジョニング

サーバーのプロビジョニングは、物理サーバーまたは仮想サーバーがそれぞれの機能を実行するために必要なリソースをセットアップするプロセスです。サーバーには、ファイル・サーバー、Webサーバー、アプリケーション・サーバー、プロキシ・サーバー、ポリシー・サーバーなど、さまざまな種類があり、それぞれに独自のジョブがあります。また、企業ごとに独自のサーバー要件があります。

サーバーのプロビジョニングには、クラウド・ベースかオンプレミスかを問わず、サーバーの使用方法とそれに必要なものを決定することが含まれます。また、ハードウェアのセットアップ、オペレーティング・システムやアプリケーションなどのソフトウェアのインストール、その望ましい状態に新しいマシンを構築するために必要なその他の手順も含まれます。

ネットワークのプロビジョニング

ネットワークのプロビジョニングとは、ルーター、スイッチ、ハブ、ファイアウォールなどの企業ネットワークを構成するコンポーネントをセットアップして、許可されたユーザーやデバイス、サーバーがアクセスできる、機能するネットワークを作成することを指します。

ネットワークのプロビジョニング・プロセスでは、ITチームはIPアドレスを割り当て、ネットワーク(およびそこに接続するハードウェアとデバイス)にアクセスできるデバイスとユーザーIDを定義し、ネットワークの安全性を維持するためのネットワーク・セキュリティー対策を実施します。

アプリケーションのプロビジョニング

アプリケーションのプロビジョニングとサービスのプロビジョニングには、ユーザーが業務を行うために必要なエンタープライズ・アプリケーションとサービスのセットアップが含まれます。これには、ユーザー・アカウントとアクセス認証情報の設定、SaaSプラットフォーム、アプリケーション、データ、その他のリソースへのアクセス権の付与、さらにはさまざまなユーザーや役割に応じてカスタマイズしたアプリケーション構成のプロビジョニングも含まれます。

ユーザーのプロビジョニング

ユーザーのプロビジョニング(またはアカウントのプロビジョニング)は、ユーザー・アカウントとプロファイルの作成、変更、または削除を担当するID管理の一種です。通常、人事チームとITチームの間で処理されます。

ユーザーのプロビジョニングでは、多くの場合、ロールベースのアクセス制御(RBAC)を使用して、アクセス権限と特権を確立し、認証を付与します。RBACは、ユーザーの役割と業務上の作業要件に基づいて、特定のリソースへのアクセスをユーザーに付与します。

ユーザーのプロビジョニングは通常、新入社員のオンボーディング中、または誰かが組織内で新しい役割を引き受ける際に行います。その逆のプロセスであるプロビジョニングの解除は、従業員が会社を辞めたり、退社したりするときに行います。これらのプロセスにより、ユーザーは自分の仕事に必要なリソースやツールに確実にアクセスできるようになります。また、ITリソースへのアクセスが適切に割り当てられていることを確認することで、IT環境の完全性を保護するのにも役立ちます。

IDおよびアクセス管理は、サイバーセキュリティーの重要な要素です。

クラウド・プロビジョニング

クラウドのプロビジョニングは、クラウド環境をサポートするインフラストラクチャーを構築するプロセスです。これには、クラウド・コンピューティングに必要な基盤となるハードウェア、仮想化、ストレージ、ネットワーク・コンポーネントと、ユーザーがアクセスする必要があるクラウド・ベースのリソース、アプリ、サービスのセットアップが含まれます。

クラウドへの移行の過程で組織が遭遇する最大の問題の1つは、高騰するクラウド・サービスの料金です。IBM® Turbonomicプラットフォームを活用することで、オーバープロビジョニングと、それに伴う期待外れのROIを回避できます。

Turbonomicソフトウェアは、クリティカルなアクションをリアルタイムかつ人間の介入なしで継続的に自動化し、スタックのあらゆる層で、コンピュート、ストレージ、ネットワークのリソースを最も効率的にアプリケーションに割り当てます。

デバイスのプロビジョニング

デバイスのプロビジョニングとは、電話やコンピューターなどのIT機器をセットアップするプロセスです。モノのインターネット(IoT)デバイスを管理するためによく行われます。従業員にデバイスを提供する前に実施し、そのデバイスがIT環境内でシームレスに動作することを確認します。さらに、割り当てられたエンド・ユーザーに適したアクセス権とリソースを設定します。

プロビジョニングと構成の比較

プロビジョニングと構成は、デプロイメント・プロセスの中で重要かつ異なる作業です。デバイス、サーバー、ネットワークなどのリソースを構成する前に、一般的な意味でプロビジョニング、つまり「実施」する必要があります。

プロビジョニングによって利用可能になると、ITインフラストラクチャーのリソースが構成され、ビジネスの特定の要件を満たすようにコンポーネントと設定が調整されます。

プロビジョニングにもさまざまな種類があるように、ネットワーク上のファイアウォール、アクセス権または接続の設定、サーバー上のデータベースの構成、アプリケーションの構成など、構成にもさまざまな種類があります。

プロビジョニングも構成も、自動化によって改善することができます。

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プロビジョニングの自動化

従来、ITチームは新たなデプロイメントや新しいユーザーごとに、手動でITインフラストラクチャーのプロビジョニングと構成を行う必要がありましたが、DevOpsワークフローに適合しない、面倒で時間のかかるプロセスでした。インフラストラクチャーが仮想化、コンテナ、ソフトウェアで構成されることが多い今日のIT環境では、ほとんどのプロビジョニングは自動化することができます。プロビジョニングの自動化は、ITインフラストラクチャーを構築するためのより迅速で効率的、かつ一貫性のある方法を提供し、多くの場合、Infrastructure as Code(IaC)によって実現できます。

IaCは、コードとテンプレートを使用したITインフラストラクチャーのプロビジョニング、構成、管理を可能にします。つまり、アプリケーションの開発や導入、新入社員のオンボーディング、新しいネットワークやクラウドの展開が必要になるたびに、開発者はインフラストラクチャー・コンポーネントを手動でプロビジョニング・管理する必要がなくなります。IaCでは、スクリプトを実行するだけでインフラストラクチャーをプロビジョニング、変更、または削除することができます。

プロビジョニングを自動化するメリット

プロビジョニングの自動化ソリューションは、組織の時間とコストの節約に役立ちます。また、次のような方法でIT環境のセキュリティー向上にも役立ちます。

生産性の向上

プロビジョニングの自動化は、プロセスの合理化と従業員の時間管理の最適化に役立つため、組織全体の生産性を大幅に向上させることができます。反復的な手動プロビジョニングの負担から解放されれば、より高いレベルの戦略的業務に注力できることは、ITチームにとって大きなメリットになります。

自動プロビジョニングにより、開発者は新しいアプリケーションやサービスをより迅速に提供できるようになります。そのために必要な環境を自動的かつ一貫してプロビジョニングできます。また、全社的なエンドユーザーが業務の遂行に必要なリソースにアクセスできるようになり、ワークフローの速度低下や生産性における阻害要因を排除できます。

より簡単なスケーリング

ビジネスが成長するにつれて、プロビジョニングのニーズも高まります。自動プロビジョニングにより、サーバーやネットワーク・コンポーネント、デバイス、その他のリソースが意図したとおりに提供およびアクセスされていることを確認し、効率的かつ自信を持って拡張できます。

Turbonomicプラットフォームのフルスタックの視覚化、インテリジェントな自動化、AIを活用したインサイトを通じて、スケールアップまたはスケールアウト時にリソースを最も効率的に使用できるようになります。

コンプライアンスの強化

自動プロビジョニングにより、標準とガバナンスを一元化し、ITエコシステム全体でポリシーと手順を一貫して実装できるため、コンプライアンスをより適切に維持できます。変更が必要な場合、すべてのリソースに自動的に(均一に)ロールアウトできます。

エラーの削減

人力によるあらゆる作業と同様に、手動プロビジョニングは往々にしてヒューマン・エラーの影響を受けます。自動プロビジョニングでは、リソース(およびそれらへのアクセス)が事前定義された基準に従って、一貫してプロビジョニングされます。また、アクセスがどのように定義されたか、認証がどのように許可されたか、どのリソースがいつアクセスされたかに関する自動監査証跡が維持されます。自動プロビジョニングにより、構成ミスを減らし、トラブルシューティングと修正にかかる時間を短縮し、そのようなエラーに伴うセキュリティー上のリスクを軽減できます。

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