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現代ならばDVD-R?フリック入力?~映画『ドリーム』

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この画像は、 映画『ドリーム(2017年9月29日公開)』の1シーンです。ドロシー・ヴォーンが左手に長方形の紙を持っているのはわかりますでしょうか?

コンピューター・ルームでIBM社員と会話するドロシー・ヴォーン ©2016 Twentieth Century Fox

この長方形の紙は「パンチカード」と呼ばれています。パンチカードには80の列があり、それぞれの列に0から9の数字が印刷されています。

映画では、IBMの社員がアル・ハリソンに対して、「人手が足りない」と訴える場面があります。そして、その足りない要員には、パンチカードの担当者も含まれていました。では、このパンチカードは、何のために使うものなのでしょうか。

ドロシー・ヴォーンが使いこなしたIBM 7090の場合は、IBM 721という名称のカード・パンチ(穿孔機)によって、パンチカードを穿孔します(簡単に述べると、パンチカードに穴を開けます)。

実は、穿孔することによって、パンチカードはデータやFORTRANのプログラムを保管したことになります。つまり、パンチカードは記憶媒体なのです。

ただ、紙に穿孔しているわけですから、当然ながらやり直しはできません。1枚のカードの穿孔の途中でエラーがあった場合は、そのパンチカードを廃棄して、改めて穿孔し直す必要がありました。一度しか記録できない記憶媒体ということは、現代ならばDVD-RやCD-Rのようなものと例えればご理解いただきやすいでしょうか?

穿孔されたパンチカードが記録したデータやプログラムは、IBM 711という名称のカード・リーダーによって読み取られます。つまり、パンチカードは記憶媒体であると同時に入力手段でもあったのです。(映画には色鮮やかなIBM 711 カード・リーダーが登場します)

現代ならばスマートフォンのフリック入力やパソコンのキーボードを用いる入力操作と例えることができるかもしれません。

FORTRANのプログラムを用意する場合には、パンチカード1枚がプログラムの1行分となりますので、プログラムの行数分のパンチカードが必要となります。ということは、複雑なプログラムの場合は、千枚単位のパンチカード(千行単位のコード相当)が用意されたことになります。

以下の画像くらいの枚数であれば何とかなるかもしれませんが、並び順を誤るわけにはいかないので、パンチカードを落としたりしないように、細心の注意が必要とされたことでしょう。
*原作(『ドリーム NASAを支えた名もなき計算手たち』ハーパーBOOKS 著:マーゴット・リー・シェタリー 訳:山北めぐみ )の第20章「自由度」で、パンチカードの扱いをめぐる当時のプログラマーの工夫が紹介されています。

新時代の到来を察知して、FORTRANを習得するとともにコンピューターを使いこなしたドロシー・ヴォーン。

原作の「おわりに」によると、ドロシー・ヴォーンがNASAを退職したのは1971年。それは、パンチカードからディスプレイ付きキーボードへと、データ入出力装置の移行を促したターミナル表示装置「IBM 3270」を、IBMが発表する前年のことでした。

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これまでも、そして、これからも社会基盤を支えるIBMのメインフレームは、ブロックチェーン機械学習といった最先端のテクノロジーの基盤として、デジタル時代に求められる信頼を根幹から支えます。


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