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IBM z14と機械学習による新たな価値創造

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今までIBM Zは、SoR(Systems of Record)時代に代表される通り、従来の技術を維持・継承しつつ、お客様の基幹業務を着実に遂行し、お客様のデータや資産をお守りする、究極のエンタープライズ・サーバーとして活躍してまいりました。一方で近年は、急速なデジタル化への対応、日々変化するビジネスニーズへの柔軟性が求められており、新たなビジネス価値を創造するために機械学習技術への期待が益々高まっています。このような状況下、IBMは2017年2月15日にIBM Z上で機械学習ソリューションを利用可能とするIBM Machine Learning for z/OS(以降、IML/zと記述)を発表し、同年3月17日に一般出荷しました。本記事では、IBM Zがお守りするお客様の基幹データを目覚めさせ、ビジネスの最大化をご支援する機械学習ソリューションを紹介したいと思います。

基幹データと機械学習で未来を切り拓く

世の中に存在するデータの80%は、Googleで検索が出来ないと言われています。では、この80%のデータはどこに存在するのでしょうか。まさに、これは、お客様の基幹業務システムに存在するデータであり、その大半はIBM Zによってお守りしている基幹データそのものです。これらの基幹データはお客様の大切な資産で、価値あるものに疑いはありません。しかしながら、その基幹データを利活用し企業競争力を高める洞察を得るために、データ分析に多大なコストが投資され続けているのも事実です。これからの時代は、データ分析にかかるコストを最小化し、人手の分析では気づきもしなかった洞察を得るために、機械学習を活用してビジネスを変革していく必要があります。

IBM Zに存在する基幹データを利用して有益な洞察を得るには、下記のような機械学習のプロセスを継続的に実施する必要があります。

  • 分析対象データの抽出・加工
  • 機械学習モデルの構築・展開
  • 日々の業務トランザクションデータから即時に洞察を得る
  • 分析結果からアクションする

一般的に、機械学習プロジェクトでは、分析対象データを最適に加工する作業に全体の50%〜80%もの時間とコストがかけられていると言われています。また、日々、機械学習業務を運用するためには、多数のシステム間でのデータのコピー、多岐に渡るデータ加工処理、データの格納といったETL(Extract-Transform-Load)処理に数日を要しているのも事実かと思います。一方で、洞察を得るまでの時間がかかればかかるほど、データの鮮度は確実に落ちていき、最適なビジネス活動に繋げることが困難となります。IBM ZとIML/zをご利用頂く事で、基幹データをシステム間で移動する事なく、短時間で正確かつ深い洞察を得ることが可能となり、下記に代表されるビジネスメリットを享受できるようになります。

・不正取引や異常を即時に検知し、事業リスクやコストを低減
・日々変化する顧客の嗜好を考慮し、顧客離れの防止やパーソナライズされた提案
・顧客の支払パターンを判断し、リアルタイムの与信管理
・システム運用時の性能劣化や障害の未然検知

IML/zが提供する3つのキーワード

機械学習業務を即時に実現し円滑に運用していくために、IML/zは3つのキーワードに表した機能を提供します。

・容易さ:容易に基幹データを抽出・加工し、機械学習モデルの構築するための機能
・確実さ:確実な分析結果を得るための機械学習モデルの再トレーニング機能
・シンプルさ:機械学習プロセスを円滑に進めるためのシンプルなユーザインタフェース

一つ目のキーワード「容易さ」についてですが、IML/zは機械学習に関わるデータ加工作業や機械学習モデルの構築を容易にする機能を提供します。前段でも言及した通り、機械学習業務には分析対象データの抽出・加工作業が存在します。これらの作業を容易にするために、IML/zは、Db2に代表されるリレーショナルDBだけでなく、他のデータソースや分散システムのデータベースへの一元アクセスをMDSS(z/OS Mainframe Data Service for Apache Spark)と呼ばれる機能で提供しています。また、IML/zは、オープンソースであるApache Sparkと連携しMlib(機械学習ライブラリー)という豊富な機械学習アルゴリズムを提供します。これらの機械学習アルゴリズムを迅速に決定するためのCADS(Cognitive Assistant for Data Scientists)機能や、機械学習アルゴリズムの入力に必要なパラメータを最適化するためのHPO(Hyper Parameter Optimization)機能を提供し、容易な機械学習モデルの構築を可能としています。

二つ目のキーワード「確実さ」ですが、IML/zは日々変わるデータに対応するために、機械学習モデルの再トレーニングを支援する機能を提供します。継続的に新たな洞察を得るためには、機械学習モデルの性能を監視することが重要です。IML/zは、日々稼働するモデルを監視し、モデルの正確性をフィードバックする機能を提供しています。このフィードバック情報に応じてモデルの再トレーニングを自動で実施し、精度の高い機械学習業務を継続可能とします。日々変わるトランザクショナルデータと、自動で再トレーニングされた機械学習モデルによって、精度の高いスコアリング結果を得られ、有益な洞察の獲得、さらにはビジネスの最大化を可能とします。

最後の「シンプルさ」ですが、IML/zは機械学習プロジェクトを素早く展開できるよう、プロジェクトチーム間で単一のユーザ・インターフェースを提供します。通常の基幹業務プロジェクトではアプリケーション開発者、データベース管理者、インフラエンジニアが携わります。一方で、機械学習プロジェクトには、一般的にビジネスアナリスト、データサイエンティスト、機械学習エンジニアと呼ばれるビジネス分析や統計分析に長けたエンジニアの参画が重要です。複数のエンジニアが円滑に業務を遂行するためには、プロジェクト間で共通のインターフェースを利用し協業できる環境を整える事が必要です。IML/zは、機械学習のスペシャリストが新たなユーザインターフェースの学習を必要としない、Jupyter Notebookと呼ばれるオープンソースを利活用した統合インターフェースを提供します。これにより、プロジェクトチーム間で、機械学習モデルの構築・管理から、日々の運用監視までを一貫して共有する事が可能となります。

z14とIBM Machine Learning for z/OSの価値

ここまで、IML/zによる機械学習ソリューションをご紹介してきましたが、最後に、先日発表されたIBM z14とIML/zとのシナジーについてご紹介します。機械学習業務は、単純に分析モデルを構築して完了でなく、継続的に洞察を得るように洗練していく必要があります。また、機械学習アルゴリズムを実行するにあたり大容量のデータを処理する必要があります。z14では継続的かつ大規模な機械学習業務を遂行できるように、下記の代表的な機能をIML/zと連携して提供していきます。

  • 全方位的暗号化機能による他を寄せ付けないデータセキュリティー
  • インメモリーでの高速な処理を支える32TBの大容量メモリ
  • IML/zで活用される多種多様なオープンソースのサポート
  • 複雑かつ複数の機械学習アルゴリズムを高速に処理させるSIMDプロセッサー(z13から継続発展しz14でも利用可能)

z14とIML/zをご利用いただく事で、基幹系業務処理の安定稼働を確実にお守りしながら、機械学習業務を並行できるのはIBM Zならではの価値と言えます。


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