SAP Aribaとは

2024年5月10日

執筆者

Molly Hayes

Content Writer, IBM Consulting

IBM Blog

Amanda Downie

Inbound Content Lead, AI Productivity & IBM Consulting

SAP Aribaとは

SAP Aribaは、調達と購買のためのインテリジェントなクラウドベースの管理ソフトウェアです。企業の調達先決定から支払いまで(P2P)のプロセスを最適化できるため、効率が高まり、コストが抑えられます。

SAP Aribaは、ドイツのSAP社が提供する高度な調達スイートです。SAP Aribaは、戦略的ソーシング、 サプライヤー管理、調達、運転資本の最適化、請求書管理、支出の可視化など、ソーシングから支払いまでのプロセスを網羅するエンドツーエンドのソリューションです。このSAPソリューションでは、バイヤーとサプライヤーが単一のプラットフォーム上で取引を行うことができ、サプライチェーン・ストラテジーの組織化と統合が実現します。SAP Ariba調達ソリューションの製品群を使用することで、組織ができることは次のとおりです。

  • ワークフローを詳細に可視化することで非効率性を低減
  • サプライヤーとの関係をより効果的に管理
  • 自動化により、請求書発行や買掛金処理などの日常的なタスクを簡素化
  • サプライヤー、ソーシング、調達、およびサプライチェーン管理のプロセスを統合

SAP Aribaは、複雑な購買および調達システムを持つ中規模または大規模な組織に有益で、スタンドアロン・プラットフォームとして、または企業のコアSAP S/4HANAソフトウェアの一部として使用できます。さらに、カスタマイズにより、SAP Fieldglass1(サービスおよび外部労働者)やSAP Concur2(経費および出張管理)など、他のSAPエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)モジュールと連携させることもできます。これらの機能をモバイル・デバイスに拡張するモバイル・アプリケーションが同梱され、組織は、より広範なデジタル・トランスフォーメーションの取り組みの一環としてSAP Aribaを導入できます。

SAP Aribaは、リアルタイムでの情報監視により、企業がより適切な意思決定を行い、明確に定義されたロードマップを作成して収益性を向上できるよう支援します。このソフトウェアによって、企業が環境への影響や倫理的な商慣行に関するサプライヤー・ガイドラインを施行できるため、組織のサステナビリティー基準を満たすこともできます。SAP Aribaネットワークは、何百万もの企業やサプライヤーをつなぐグローバルなクラウドベースのプラットフォームであり、インテリジェントなベンダー発掘を促進し、サプライチェーンのコラボレーションを深めます。また、カスタマイズされた予算およびコンプライアンスのベンチマークに対応します。

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SAP Aribaの進化

このクラウドベースのソフトウェアは、インターネットに対応した企業間(B2B)調達プラットフォームとして、1996年にAriba社によって開発されました。2005年、B2Bプラットフォームのうち最初期にIPOを行ったAriba社は、「B2Bインターネット・ブームの申し子」と呼ばれました。 3

ERPソフトウェアを専門とするドイツの多国籍企業であるSAP社は、2012年に総額43億米ドルで Aribaを買収しました。4SAP社は、2015年以降モバイル・デバイスで厳選されたAriba機能を提供しているほか、近年は機械学習人工知能(AI)などの技術に多額の投資を行い、ソフトウェアの機能を進化させています。SAP社によると、2022年時点で、Aribaは毎年540万の組織における、3兆7,500億米ドルを超える商品およびサービスの交換を円滑化していました。5

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SAP Aribaの主な機能

SAP Aribaは、広範なサプライチェーン・ソリューションとビジネス・プロセスを単一のクラウドベース・ツールセットに統合し、組織のアジャイル化に貢献します。

SAP Aribaは、オンボーディング、評価、サプライチェーン全体での関係管理のための各種ツールを使用して、複数のワークフローを統合プラットフォームに編成できます。高度なコンプライアンス監視機能は、支出、契約、規制基準に関連する内部ポリシーと手順を監視し、施行するために役立ちます。また、他のクラウドベースのSAP製品と同様に、SAP Aribaも強力なHANAデータベースに依存しているため、堅実なレポートおよび分析ツールが生成され、支出パターンやサプライヤーのパフォーマンスなどの主要メトリクスに関するインサイトが得られます。

SAP Aribaの主要な機能は次のとおりです。

  • オートメーション
  • ERPシステムとの統合
  • 調達先決定から支払いまで
  • サプライヤー管理
  • SAP Aribaネットワーク

オートメーション

SAP Aribaは、サプライチェーンの管理と調達プロセスの開始に必要な手作業の削減に重点を置いています。このソフトウェアは、次のことに自動化を適用します。

  • 購買依頼書と発注書の作成
  • 請求プロセスの合理化
  • カタログをリアルタイムでサプライヤーと同期し、製品情報を常に最新の状態に維持
  • 調達プロセスを監視し、組織の予算やサステナビリティーの目標を確実に遵守

ERPシステムとの統合

SAP Aribaは単独で使用することもできますが、SAP ERP製品とシームレスに統合し、ビジネスの業務全体でデータを共有できるように作られています。SAP S/4HANAのビジネスソリューション群とともにSAP Aribaを使用すれば、企業がP2Pシステムから財務や販売などの部門に情報を即座に伝達できるため、全体的な効率が高まり、潜在的な混乱が軽減されます。

調達先決定から支払いまで

SAP Aribaは、調達先決定から支払いまでのプロセス全体を単一のプラットフォーム内に統合し、単一のユーザー・エクスペリエンスを提供します。組織はこのソフトウェアで、提案依頼書の作成、ベンダーの調達、契約の締結、入札の一斉通知、購買プロセスの完了、請求書の送付や支払い、混乱や追加ニーズに関するサプライヤーとのコミュニケーションを実行できます。これらのプロセスの一部を自動化することで、ソフトウェアは財務上の不一致の可能性を低減し、内部監査と外部監査の両方のための詳細なデータ証跡を作成します。

サプライヤー管理

SAP Aribaは、自動サプライヤー・オンボーディングやサプライヤーのパフォーマンス管理ツールなど、サプライヤーのライフサイクルとパフォーマンスに関する複数のソリューションを提供することで、サプライヤーのリスクを軽減します。SAP Aribaを使用すると、サプライヤーはAribaネットワークを通じてデータを自己報告し、バイヤーはリスク監視やブランド評判エクスポージャーレポートにアクセスできるようになります。これらの機能を使用すると、企業が従業員に優先サプライヤーからの購入を奨励することや、カテゴリー、部門、所在地全体にわたってサプライヤー設定をカスタマイズすることもできます。

SAP Aribaネットワーク

SAP Aribaネットワークは、500万を超えるバイヤーとベンダーを抱えるグローバル・サプライヤー・ネットワークです。コラボレーションのためのネットワークであり、統合されたデジタル・マーケットプレイス内の個人、企業、サプライチェーン・システムをつなぎます。SAPビジネス・ネットワークにより、さまざまな取引パートナーに正確な最新情報を提供し、それによって透明性を促進します。ネットワーク上で、購入者はサプライヤーを見つけて比較し、注文書を記入し、関連するドキュメントをアップロードして読み、需要と供給の変動をリアルタイムで伝達できます。

SAP Aribaのユースケース

SAP Aribaソリューションは、幅広いビジネス・ケースを対象に、P2Pプロセスの効率性、透明性、コンプライアンスを維持することに重点を置いています。このプラットフォームは、一般に次のような用途で使用されます。

利益相反の軽減

SAP Aribaソリューションには、本人と代理人の問題を回避するための広範なプロセス、制御、ワークフローが含まれています。これはエージェンシー問題とも呼ばれ、購買エージェントが会社を代表して行動し、取引を確保しなければならないというプレッシャーを感じた場合に発生しうる、特定の利益相反です。

契約書

企業はSAP Aribaを使用して契約管理とライセンス契約の整理を行い、契約データを一元的なリポジトリに統合します。また、自動ワークフロー機能により、契約レビュープロセスを合理化できます。

請求書と支払いの管理

企業はAribaを使用して請求書と支払いを電子的に管理し、請求書と発注書および領収書を自動的に照合して、正確さと一貫性を確保します。また、支払いのリアルタイムトラッキングにより、効果的なキャッシュフロー管理とコスト削減が可能になります。

調達とコンプライアンス

SAP Aribaは、ガイド付き購入プロセスにより企業を優先サプライヤーに導き、同時に特定の調達基準が確実に満たされるようにします。

支出分析

SAP Aribaは高度な支出管理を容易にし、企業が支出パターンを分析し、P2Pプロセスのどの時点でもコスト削減の機会を特定できるようにします。このプラットフォームは予算編成と承認のワークフローをサポートし、支出がより広範な財務目標に確実に沿うようにします。

サプライヤーの識別

クラウドベースのAribaネットワークは、何百万もの新規サプライヤーのグローバル・システムの代表的存在です。Aribaにより、企業は新しいベンダーを迅速に発見することや、SAPが提供するインテリジェントなバイヤーとサプライヤーのマッチング・プロセスを活用することができます。6

サプライチェーン・マネジメント

SAP Aribaは、バイヤーとベンダー間のコラボレーションを促進します。これは、組織や個々の取引先が予測や注文をリアルタイムで共有できることを意味します。これによって可視性が向上し、よりデータに基づいたサプライチェーン計画を実現できます。

サステナビリティとESG

SAP調達ソリューションを使用することで、企業はベンダーと販売者に対して特定の基準を設定し、サプライヤーが持続可能性への取り組みや環境、社会、ガバナンス(ESG)の目標に沿っていることを確認できます。

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