データセンター・セキュリティーの根本的な目的は、保存されたデータの機密性、完全性、可用性を維持し、データ・プライバシーを守りながら事業中断を回避することです。
データセンターへの脅威には、意図的な悪意ある攻撃、自然災害、意図しないインシデントや事故などが含まれます。 そのため、包括的なデータセンター・セキュリティー戦略では、ネットワーク・ハードウェア、電源システム、サーバー、建屋そのものを含む施設のあらゆる側面を対象にします。
人々と企業は膨大なデータを生成し、日常的に利用しています。その量は日々指数関数的に増えており、特に人工知能(AI)や機械学習(ML)など、データ中心のテクノロジーの台頭により、この傾向は加速しています。
銀行口座や健康記録などの機微な個人情報から、重要な企業の知的財産(IP)、高度な国家機密、さらにはテキスト・メッセージやEメールまで、データセンターには価値の高い情報や、個人のプライバシーに関わる情報が幅広く保管されます。そのためデータセンターは、サイバー犯罪者にとって格好の標的となるだけでなく、障害が発生し得る脆弱なポイントにもなり得ます。したがって、確実に保護する必要があります。
データセンターが停止すると、重要な業務運用、アプリケーション、サービスが中断する可能性があります。ダウンタイムが長引くほど、金銭的損失も拡大します。 さらに深刻なのは、データセンターの停止が、医療、公益事業、交通、インフラストラクチャーなどの重要サービスに危険な状況を引き起こしかねないことです。
火災や洪水のような事象でもダウンタイムやデータ損失が発生し得ますが、データセンターでは標的型の攻撃に特に注意が必要です。 内部脅威がアクセス権限を悪用して企業データを不正に使用することもあれば、外部の脅威がシステムに侵入して大きな混乱を引き起こすこともあります。
データセンターには、物理サーバーと仮想サーバーが数十万台規模で存在することもあります。いずれもハッカーに狙われ得るため、状況に合わせたセキュリティー・ポリシーが必要です。
データセンター・セキュリティーの重要性は、次の4つの主要な柱で捉えられます。
データセンターには、企業の知的財産(IP)からお客様のクレジット・カード情報まで、価値の高いデジタル資産が保管されています。こうした情報は、ハッカーやその他のサイバー犯罪者にとって魅力的な標的です。攻撃者は、元の所有者に身代金を要求して返還したり、個人的な利益のために悪用したりする可能性があります。
バックアップとデータの冗長化により、部分的または全面的な停止が発生した場合でも、重要なデータが完全に失われたりアクセス不能になったりしないようにできます。
また、データセンター・セキュリティーは、負荷が高まる局面でも事業継続性を確保するうえで重要です。安全性の高いデータセンターなら、日常的な運用の中でも迅速でスムーズなデータ・アクセスを提供し、業務停止を回避できます。さらに、一部の局所的なサイバー攻撃や自然災害が発生した場合でも、事業継続を支えます。
例えば、ニューヨークの銀行支店で洪水が発生し、現地のオンサイト・サーバーとデータが破損したとしても、事故現場から離れた場所にある安全なオフサイト・データセンターに保管されたバックアップからデータを復元できます。
データセンター・セキュリティーは、規制遵守の維持においても重要な役割を担います。医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(HIPAA)、一般データ保護規則(GDPR)、California Consumer Privacy Act(CCPA)などの規制では、企業や組織が機微なデータをどのように収集し、取り扱えるかが定められています。これらの法律は、厳格なガイドラインと、場合によっては重い罰則を通じて、お客様データの保護を担保します。データ・セキュリティー侵害が発生した場合、データの不適切な取り扱いについて組織が責任を問われる可能性があります。
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火災や洪水、物理的な侵入者、リモートからの攻撃者まで、データセンターはさまざまな脅威と課題に備える必要があります。
事業のダウンタイムや利用者との関係悪化に伴う具体的なコストの算出は難しいものの、2025年データ侵害のコストに関する調査ではいくつかの推計が示されています。侵害の平均コストは、世界平均でUSD 444万、米国平均でUSD 1040万です。
データセンターが直面する主な課題と脅威には、次のようなものがあります。
データセンターは、物理的または仮想的に不正アクセスを試みる人々から、境界を保護する必要があります。データセンターは、保存された重要データを盗んだり、身代金目的で利用したり、破壊したりする可能性のあるサイバー犯罪者や攻撃者、さらにはテロリストにとっても、よく知られた標的です。
ハッカーがクレジット・カード番号や銀行のパスワードなどの金融情報を狙う一方で、国家主体の攻撃者が、国家機密や極秘の防衛文書といったさらに危険な情報を標的にする可能性もあります。サイバー犯罪者は、リモートからデータセンターを標的にするだけでなく、敷地への不法侵入によって現地でのアクセスを試みることもあります。
権限のない利用者がデータセンターに保管されているデータにアクセスするだけでも深刻ですが、データが盗まれるとなればさらに重大です。機器の盗難により、データセンターとそのお客様のサービスが停止する可能性があります。データの盗難は、業務中断だけでなく、恐喝やなりすましなど、より深刻な事態を招きかねません。
データセンターにとって最大の脅威は意図的な攻撃ですが、火災、洪水、暴風雨などの自然災害もデータセンターに大きなリスクをもたらします。データセンターには、一般的なオフィスビルよりも大量の電力を必要とし、はるかに多くの熱を生み出す繊細な機器が収容されています。
物理的脅威と自然災害は、データセンターに保管されているデータだけに影響するわけではありません。ハードウェアとインフラストラクチャー自体にも影響します。また、データのバックアップと復旧計画が同一施設に保管され、インシデントで複数のサーバーが影響を受ける場合、事業継続性も脅かされます。データセンターのハードウェアは、交換にコストと時間がかかり、精密な構成と調整も必要です。火災、洪水などの災害が発生すると、被害を受けたデータセンターが数カ月、場合によっては数年にわたり停止する可能性があります。
データセンターは、ルーター、スイッチ、サーバーなど、接続されたコンピューティングとストレージのリソースからなる大規模なネットワークを収容するために構築されています。
これらのシステムを保護するために、データセンターのセキュリティー・チームは、問題となる前に脆弱性を特定して修復できる必要があります。また、既存のセキュリティー対策を監視し、データ漏えいやランサムウェア感染など、実際に発生した問題に迅速に対応できる必要があります。
こうした脅威に備えるため、多くのデータセンターは、Open Compute Project(OCP)が提示するデータセンター・セキュリティー要件に準拠しています。OCPは、データセンター製品の設計とベスト・プラクティスの促進および共有に取り組む非営利団体です。IBM、Meta、Intel、Nokia、Microsoft、Google、Nvidia、Cisco、Goldman Sachsなど、400社を超える企業が参加しています。
OCPのデータセンター・セキュリティー要件は次のとおりです。
OCPのような要件を満たすために、組織はさまざまなデータセンター・セキュリティーのツールとテクノロジーを導入します。データセンターのセキュリティー対策は、所在地、用途、その他の要因によって異なります。ただし、現代のほとんどのデータセンターでは、安全性とコンプライアンスのために、いくつかの基本的な対策が組み込まれています。
例えば、侵入検知システムは不正アクセスを検知するためにネットワーク・トラフィックを監視し、警報システムは施設などの物理的な場所を保護します。火災検知や消火システムなど、他のデータセンターの物理セキュリティー対策は、悪意ある攻撃者への対策にとどまらず、防御策の範囲を広げます。これらの対策は、データ損失につながり得る自然災害やその他の事故から、データセンターのインフラストラクチャーを保護します。
大別すると、データセンター・セキュリティーのテクノロジーは、物理セキュリティー、ネットワーク・セキュリティー、一般的なサイバーセキュリティーの3つの主要な柱に分けられます。
データセンターの物理セキュリティー対策は、データセンターの施設そのものを強化します。例には次のようなものがあります。
データセンターは性質上、利用者や組織がデータにアクセスして取得できるよう、ネットワーク・アクセスを許可する必要があります。しかし、ネットワーク・アクセスは幅広い脆弱性も招くため、次のようなネットワーク・セキュリティー機能で対処する必要があります。
ネットワーク固有の保護に加えて、データセンター・セキュリティーには、次のようなより広範なサイバーセキュリティー対策も含まれます。
データセンターのセキュリティー・チームは、次のようなサイバーセキュリティー・ソフトウェア・ソリューションも導入する場合があります。
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