オブザーバビリティーとは、外部アウトプットまたは信号に基づいてシステムの内部動作に関する洞察を得る能力を指します。オブザーバビリティーの主な目標は、ITチームにシステムの性能を理解し、問題を特定し、効果的にトラブルシューティングを行うために必要なツールを提供することです。
この記事では、「オブザーバビリティーは大規模システムまたは複雑なアーキテクチャーにだけ関係し、有益である」という誤解を紐解きます。
このブログ・シリーズでは、これまでに以下のオブザーバビリティーに関する俗説が事実ではないことを説明してきました。
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この誤解に伴う問題は、小規模組織やチームがオブザーバビリティー・プラクティスの採用を思いとどまる可能性があることです。とはいえ、多くの企業にとって、そのアプリケーションは事業そのものであり、オブザーバビリティー・フレームワークがなければ、問題を診断し、システムをタイムリーに最適化する能力が制限される可能性があります。
例として、小規模システム・アプリケーション内のWebアプリケーションを見てみましょう。単純なWebアプリケーションでも、基本的なロギングとメトリクスを実装すれば、オブザーバビリティーからメリットを得ることができます。ユーザー・インタラクション、リクエスト/レスポンス・タイム、エラー率を追跡して、開発者は異常を検知し、改善点を特定できます。これにより、ユーザー・エクスペリエンスが向上し、最終的にアプリケーションの成功率を高めることができます。
オブザーバビリティーの価値は、システム動作に関するインサイトを得て、パフォーマンスのボトルネックを特定し、問題を効果的にトラブルシューティングすることにあります。単純なプリケーションでも、クリティカル・コンポーネントをプロアクティブに監視し、異常を早期に検出することで、オブザーバビリティーからメリットを得ることができます。
さらに、マイクロサービス・アーキテクチャーの場合を考えてみましょう。各マイクロサービスはそれ自体では比較的単純かもしれませんが、その間の相互作用と依存関係はすぐに複雑化する可能性があります。このようなシナリオでは、さまざまなサービスでリクエストを追跡し、遅延を測定し、パフォーマンスのボトルネックをピンポイントで特定するため、オブザーバビリティーが重要になります。
急拡大している新興企業や中小企業は、オブザーバビリティーから大きなメリットを得ることができます。そのような企業は、システムの複雑さが増すにつれて、新たな課題や潜在的な障害に直面します。こういった組織は、オブザーバビリティーを早期に採用することで、監視とトラブルシューティングに強固な基盤を構築し、成長をスムーズにし、予期せぬ問題が発生するリスクを最小限に抑えることができます。
個人プロジェクトに取り組んでいる各開発者でさえ、オブザーバビリティーからインサイトを得ることができます。リアルタイム監視を使用して、開発中およびテスト中に関連するイベントとメトリクスを確認することで、問題を早期発見し、さらに堅牢で信頼性の高いアプリケーションを実現できます。
オブザーバビリティーの重要性に関する注目すべき事例は、金融サービス会社がソフトウェアのグリッチのため、1時間もしないうちに4億米ドル以上の損失を出した2012年の事件です。この壊滅的な障害の原因は、コードのデプロイメント・エラーでした。この事件は、金融システムなど、一見小さなエラーが深刻な結果をもたらすことがある業界におけるオブザーバビリティーの重要性を浮き彫りにしています。
オブザーバビリティーは、あらゆる規模とアーキテクチャーのシステムに不可欠な洞察と診断機能を提供します。これは、システムの性能、信頼性、ユーザー・エクスペリエンスの向上を意味します。組織の規模に関係なく、ソフトウェア・エンジニアリングと監視プラクティスの不可欠な要素として、オブザーバビリティー・ソリューションの実装を検討してください。これは、変化し続ける今日のテクノロジー主導のランドスケープの中で、競争力と回復力を維持するための最良の方法の1つです。
前例のない好況期における高性能:2020年のロックダウン中、世界中でオンライン・コマースが前例のない規模にまで急増しました。この年、GittiGidiyor社のモバイル売上収益は82%増加し、ブラック・フライデー期間中には全体の売上高が4~5倍に増加することに対応できました。
患者結果を改善:Mayden社は、臨床医と患者の可能性を変えるデジタル・テクノロジーを生み出しています。オブザーバビリティーを使用してメンタル・ヘルス・サービスの提供をサポートしており、主力製品であるiaptusは、英国で500万人を超える患者にメンタル・ヘルス・サービスの提供に貢献しています。
IBMのオブザーバビリティー・ソリューションであるIBM Instanaは、クラウドネイティブ向けに特別に構築されており、モバイルとWeb、アプリケーション、インフラストラクチャー全体の論理的および物理的な依存関係のコンテキストで、高忠実度のデータ(1 秒単位の粒度やエンドツーエンドのトレースなど)を自動的かつ継続的に提供するように設計されています。当社のお客様は、リアルタイムのオブザーバビリティーを使用して具体的な成果を達成しています。
次回の投稿にご期待ください。オブザーバビリティーに関するもう1つの一般的な誤解「オブザーバビリティーは高コストである」を解き明かします。オブザーバビリティーがもたらすより幅広いメリットと用途を発見できるでしょう。
問題の原因を迅速に特定し、修正します。 リアルタイムの高精度データにより、動的なアプリケーションおよびインフラストラクチャーの環境を完全に可視化できます。
オブザーバビリティーを活用して、クラウドのリソースをプロアクティブに最適化し、パフォーマンスを確保し、コストを節約します。
異種の環境、アプリケーション、ツールセットからのデータを利用して依存関係と関連性を分析し、アプリケーション環境の全体にわたる可視性を提供します。