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IBMの未来をイノベーションの歴史の上に築く

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1世紀以上もの間、テクノロジーはIBMの根幹であり続けています。科学を現実の問題に応用することで、ビジネスと社会の両方に有益な進歩をもたらすことができると私たちは信じています。そして、そのような問題が時代とともに変化していくように、IBMも変化してきました。IBMは、お客様の価値とイノベーションを妨げるあらゆる障害を克服するために、自己改革を繰り返してきました。

IBMの科学者とエンジニアはそのような絶え間ない改革の中心的存在でありつづけてきました。彼らはコアとなる原理に導かれて、IBMと世界にとって価値があるイノベーションを生み出してきました。

私たちのビジネスモデルの一部である研究活動へのコミットメントは、私たちがお客様と世界に信頼されるテクノロジーを作り続けることを意味します。その具体例の一つとして、私たちは年間特許取得数において、米国企業を何十年もリードしてきました。2022年1月12日に、このマイルストーンをIBMが29年連続で達成したことが発表されました。

特許調査会社IFI CLAIMS Patent Servicesが発表した2021年の米国特許取得件数ランキングで、IBMは合計8,500件以上の特許を取得して、首位を獲得しました。

 

私たちは、この成果とリーダーシップを誇りに思います。しかし、登録された特許の数で私たちが推進するイノベーションのすべてを語ることはできません。私たちの優先事項は、常に、コンピューティングの最先端と、ビジネス、科学、職業、そして社会との関係をリードすることです。

今日、持続的な成長を生み出すモデル、将来のパンデミックや環境変化、そしてエネルギーと食糧の安全を確保することなど、多くの主要な社会課題が突きつける要求に応えるために、かつてないほどイノベーションが必要とされていると私は思います。そのために、私たちは科学的発見の加速、オープンなコラボレーション、問題の効率的な解決、科学とビジネスの新たな最先端の領域へと推し進める能力を必要としています。

この未来は、ハイパフォーマンス・コンピューティング、AI、量子コンピューティングの融合によってもたらされ、ハイブリッド・クラウドを介して統合されるでしょう。これらの技術の融合はコンピューティングの飛躍的な変化を意味し、その成果は私たちが体験したことのないものになるでしょう。同時に、これらの進歩は、複雑な問題に対する解決策を発見するスピードと規模を指数関数的に向上させられます。私たちは、これを「Accelerated Discovery(発見の加速化)」と呼んでいます。


「私たちの優先事項は、常に、コンピューティングとビジネス、科学、職業、社会との関係における最前線をリードすることです。」


しかし、これは一朝一夕で実現できることではありません。強力なイノベーションは、協力的なエコシステム、難解な技術課題や材料開発に関する研究への長期的な投資へのコミットメント、オープンアプローチの実施によって実現します。

私たちはこれらの原則を実践してきた長い歴史があり、2021年には最も困難なハード・テクノロジーの課題に取り組み、そして、実現しました。

いくつかの例をあげましょう。私たちはパートナー企業と協力して、半導体用の 2ナノメートルのナノシート技術の実証に初めて成功しました。この技術により、指の爪のサイズのチップ上で最大500億個のトランジスタのサポートが可能となり、電力効率が大幅に向上します。また、サムスンとの協業により、従来の半導体設計を覆すチップの試作を成功させ、これまで実現不可能と考えられていたエネルギー密度や性能レベルを達成するための基礎を築きました。

2ナノメートルのナノシート画像

透過型電子顕微鏡で見た、2nmナノシートデバイスの列

そして、量子コンピューティングの実用化・大規模化に向け、2020年に策定した野心的なロードマップを、私たちは忠実に実行しました。IBMが開拓している新世代の量子産業の成長に欠かせない、初めて100量子ビットの壁を超えた127量子ビットの IBM Eagleプロセッサーをリリースしました。

127量子ビットのIBM Eagleプロセッサーを発表し、将来の量子プロセッサーを搭載する次世代システムIBM Quantum System Twoの設計をプレビューするとともに、古典コンピューターと量子ハードウェア間のI/Oオーバーヘッドを大幅に削減する実行モデルでありアーキテクチャーであるQiskit Runtimeを発表しました。記事を読む。

 

基本的な技術の進歩と新しい科学的境界の探求に満ちた未来を実現し続けるために、私たちはこのアプローチへのコミットメントを深めています。

イノベーションのためのオープンコミュニティー

私たちの戦略の一環として、私たちはすでに強固で長年にわたるオープンコミュニティへの取り組みを倍増させます。イノベーションは、巨大なテクノロジー企業や、破壊的な新興企業など、どこからでも生まれる可能性があります。ソフトウェアでは、オープンソースの成長により、イノベーションがどこから生まれ、どのように収益化されるかが再定義されました。IBMはオープンソースで長い歴史を持っており、それは、今日も続いています。私たちが先駆的に取り組んできたサーバーレス・コンピューティングは、Red Hatが大きく成長したことにより、急速にハイブリッド・クラウド業界をリードするプラットフォームとなりましたが、これはオープンコミュニティへの取り組みの一例にすぎません。

私たちは、イノベーションのコミュニティーを成長させることにも重点を置いています。最も成功した技術やイノベーションは、補完的な組織が協力し合うことで生まれることが多いのです。多くの例のうち一つであるCleveland Clinic とIBMの協業では、ハイブリッド・クラウド、AI、量子コンピューティングにおけるIBMの技術と専門知識を用いて、Cleveland Clinicが公衆衛生に関する喫緊の課題に対する解決策の発見を支援する予定です。

Cleveland Clinic + IBM Discovery Acceleratorは、病原体の研究を促進し、ヘルスケアのための次世代技術者を育成するために設定されたコラボレーションです。記事(英語)を読む。

 

ドイツに設置されたIBM Quantum System Oneの画像

ドイツのフラウンホーファー研究機構で、IBM Quantum System Oneの設置に取り組むドイツIBMのエンジニア

このようなコラボレーションによって、テクノロジーは真に深遠な問題の解決に寄与します。ドイツ最大の研究組織であるフラウンホーファー研究機構、イギリスの主要なAIとハイパフォーマンス・コンピューティングの研究施設であるthe Hartree Centre、日本の東京大学と慶應大学など、私たちのテクノロジーを採用する他の組織と連携して、真に深遠な問題を解決する取り組みを行っていきたいと考えています。今後も、世界各地で、私たちは多くの科学コミュニティーとパートナーシップを築きながら、発見のスピードを加速させていきます。

特許申請の枠を超えた科学発見を推進

今後、私たちのビジネスや社会全体にとって最も重要な分野にイノベーションの取り組みを集中させるため、全社的なアプローチを強化します。今後、私たちのビジネスや社会全体にとって重要な分野でのイノベーションの取り組みに注力するために、全社的なアプローチを強化していきます。そこにはハイブリッド・クラウド、AI、量子コンピューティング、システム製品、半導体、セキュリティーが含まれています。

これらの分野は、私たちの顧客、産業界、そして世界に大きな影響を与えると信じています。そして、エコシステムとのコラボレーションの可能性が最も高い分野だと考えています。

IBMは今後も米国で最も強力な特許ポートフォリオを持つ知的財産大手であり続けますが、今後の重点的な取り組みの一環として、特許に対して、より選択的なアプローチを取ることになります。米国の特許取得数で一位を保ってきたおよそ30年の歴史はIBMの誇りでありますが、これからの新しい時代では、特定の年に最も多くの特許を取得するという立場は優先事項ではなくなります。その代わり、私たちの会社にとって重要な技術分野を成長させることが、私たちの焦点となります。

世界が今日直面している問題には、かつてないほど速やかに行動することが求められています。私たちは、私たちが取り組んでいる最先端のテクノロジーをスケールさせ、あらゆる業界のパートナーと一緒に展開することによって、科学の進歩を促進することが私たちの義務であると考えています。

イノベーションはIBMの本質であり、私たちの顧客と世界をより良くするためのエンジンとして機能します。私たちは、昨年、大きな前進を遂げましたが、2022年には更に多くのことを成し遂げたいと考えています。


本記事は「Building on our history of innovation for the future of IBM(written by Darío Gil)」を抄訳し、一部編集したものです。(抄訳:立花隆輝黒澤巧

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