サービスとしてのハードウェア(HaaS)とは
サービスとしてのハードウェア(HaaS)とは、企業がハードウェアを直接購入するのではなく、必要なハードウェアをマネージド・サービス・プロバイダー(MSP)からサブスクリプションでレンタルまたはリースする調達モデルです。
サブスクリプション・モデル(通常は変動価格制)を利用することで、企業は、コンピューター、ネットワーク機器、自動化ソリューションなど、他の方法では価格的に手が届かないようなさまざまな機器を導入できます。
企業(HaaS契約ではエンドユーザーと呼ばれる)がHaaSデバイスの使用に対して月額料金をMSPに支払うと、通常はMSPがオンプレミスでの設備の設置と保守、関連するアップグレードの提供、保証対応、契約終了に伴う解約および撤去を行います。
HaaSは、サービスとしてのインフラストラクチャー(IssS)やサービスとしてのプラットフォーム(PaaS)と並んで、中小企業が多額の初期費用を支払うことなく、大企業と同じ最先端のハードウェアにアクセスできる費用対効果の高い方法として普及しています。
サービスとしてのインフラストラクチャー(IaaS)は、サーバー、仮想マシン(VM)などのITインフラストラクチャーのリソースをインターネット経由、従量課金制で提供するサービス・モデルです。
HaaSと同様、IaaSモデルを使用すると、必要な最新のテクノロジーを実際に購入するよりもはるかに少ないコストで利用できます。また、同様のサービス・レベル契約(SLA)条件に基づいて運用され、提供しているリソースの保護、更新、保守については、サービス・プロバイダーが責任を負います。ただし、HaaS とは異なり、IaaSはコンピューティング・リソースをほぼすべてパブリックまたはプライベートクラウドを通じて提供し、オンプレミスに設置されることはほとんどありません。
サービスとしてのプラットフォーム(PaaS)は、 アプリケーション開発のための完全なオンデマンドのクラウド・コンピューティング・プラットフォーム(ハードウェア、ソフトウェア、インフラストラクチャーなど)を組織に提供するサービス・モデルです。
HaaSと同様、PaaSモデルも、オンプレミスで独自のプラットフォームを構築・保守するコストや複雑さを伴わずに、VM、コンテナなど、あらゆる最新のアプリケーション開発テクノロジーおよび管理テクノロジーのメリットを享受する機会を提供します。
HaaS とは異なり、PaaS プロバイダーは、サーバー、ネットワーク、データベースなど、ユーザーが料金を支払うコンピューティング・リソースをプロバイダー自らのデータセンターでホストします。HaaSサービスモデルは幅広い目的で物理ハードウェアを提供しますが、PaaSは最新のアプリケーション開発環境をサポートするために必要なコンピューティング・リソースの提供のみに焦点を当てています。
HaaSプロバイダーは、HaaS契約の条項においては通常「物理インフラストラクチャー」と呼ばれる、プロバイダーが所有するハードェア・コンピューティング・リソースの使用量を顧客に課金します。顧客は月額料金を支払い、多額の先行投資を行うことなくハードウェアを使用できます。
組織は、従業員が最新のデスクトップPCおよびノートPCを使用できるようにする必要がありますが、テクノロジーは常に変化しています。1年や2年で古くなってしまうかもしれないものに多額の先行投資をするのは無駄遣いかもしれません。HaaSモデルでは、組織は最新のデスクトップPCやノートPCをリースし、インストールとメンテナンスをアウトソーシングすることさえできます。テクノロジーが変化した場合、一部のHaaS契約においては、プロバイダーは古いモデルを新しいモデルと交換する必要があります。
デスクトップPCやノートPCと同様に、ルーター、スイッチ、その他のネットワーク関連機器も、高度に接続された先進的な職場環境を維持するうえで欠かせません。残念ながら、これらの機器も高価であり、しかも常に急速に進化し続けています。HaaSサービスモデルは、組織が従業員や顧客に対して常に最新のテクノロジーで接続できるようにする一方で、多額の先行投資や、新モデルの登場によって購入済み機器が陳腐化する可能性を回避するために役立ちます。
クラウド・ソリューションは、その容易さと拡張性により現代のデータ・インフラストラクチャー環境において支配的ですが、一部の企業ではセキュリティー上の理由から、データをオンプレミスに保管する必要があります。特に人気の高いHaaSストレージ・ソリューションはネットワーク接続ストレージ (NAS)です。これは、顧客の敷地内にある中央サーバーで、ユーザーが Wi-Fi またはイーサネット・ケーブル経由で伝送制御プロトコル/インターネット・プロトコル(TCP/IP)ネットワークを通じてデータを保管およびアクセスできるようにするものです。他のほとんどのHaaSソリューションと同様に、NASは、オンプレミスのストレージ・ソリューションで、サーバー自体がユーザーのローカル・ネットワークまたは建物内に物理的に配置されています。
ノートPCやデスクトップPCといった主要なコンピューティング・デバイスが機能するには、プリンター、モニター、キーボード、マウス、スキャナーなど多くの周辺機器が必要です。HaaSモデルでは、これらのデバイスを前払いで購入するのではなく、リースします。これにより、組織は周辺機器の更新と保守についてサービス・プロバイダーの専門知識によるメリットが得られ、常に最新のモデルを使用できるようになります。
HaaS は、多くの場合、高度に専門化されたニーズや要件を持つ業種にサービスを提供します。例えばヘルスケア分野では、医療画像処理、電子カルテ(EHR)に使用される特殊な機器やデータ・ストレージを、HaaSフレームワークにより入手できます。HaaSモデルを使うと、医療従事者は多額の初期費用を支払うことなく、こうした専門的で高価な機器を利用できるようになります。
サービスとしてのハードウェア(HaaS)は、さまざまな規模、さまざまな業種の企業にとって必要不可欠なものです。この仕組みにより、企業はハードウェアの管理を適格なサードパーティに委託して、中核業務に専念できます。最近の報告書によると、世界のHaaS市場規模は2022年に700億米ドルに達し、今後5年間は年平均成長率(CAGR)25%で成長すると見込まれています。1
しかし、HaaS モデルには課題も伴います。ハードウェアのインストールと保守をサードパーティーと調整するのはコストがかかり、複雑さを伴います。また、規制の厳しい業種では、セキュリティーやコンプライアンスの問題が発生する可能性もあります。
多くの企業は、HaaSのメリットはそのリスクを上回ると判断しており、MSPはヘルスケアや法律といった専門的な業界の顧客を安心させるために、セキュリティーおよびコンプライアンス機能を常に向上させています。結局のところ、HaaSがビジネスに合っているかどうかは、長所と短所の両方を比較検討し、大局的なレベルで判断すべき問題です。ここでは、HaaSの長所と短所を詳しく見ていきます。
サービスとしてのハードウェア(HaaS)は、さまざまな目的でさまざまな種類の企業で使用されています。ここでは、商品の配送に使用される車両の管理から、リモートワーカーの接続を維持する高度なビデオ会議機能の提供まで、最も一般的なユースケースをいくつか紹介します。
ピザの配達チェーンから航空会社に至るまで、さまざまな種類の企業がコア・ビジネスを運営するために車両フリートを利用しています。HaaSを利用することで、あらゆるメーカーやモデルの車両をMSPが所有し、サービスを提供するため、コックやパイロットなどのスペシャリストは訓練を受けた仕事に集中できるようになります。
オフィス環境とその土台となるテクノロジーは常に進化していますが、ほとんどの企業は最新のツールや技術ソリューションを確実に揃えることを目指しているわけではありません。HaaSは、プリンター、コピー機、テレビ、その他オフィス空間に不可欠なハードウェアを企業がわずかな所有コストで揃えるためのクリティカルなソリューションです。
現代の組織では、従業員を最新のモバイル・テクノロジーに常時接続しておく必要があり、そのためにHaaSモデルに注目することが多くなっています。HaaSモデルは、最新かつ最先端のスマートフォンをユーザーに提供し、企業のIT部門が更新とセキュリティーの確保を行う負担を軽減します。
HaaSプロバイダーは、製造地点から船、飛行機、トラックにより輸送し、顧客に届けるまで追跡および管理できるよう支援します。HaaSプロバイダーは、リアルタイムのステータス更新を提供するIoT(モノのインターネット)センサーや、在庫を最適化するAIツールなどの最新テクノロジーをサブスクリプション・ベースで活用することで、ユーザーの所有コストをなくします。
様々な都市、タイムゾーン、さらには大陸にオフィスを持つ企業にとって、従業員が最新のリモート会議ツールを使用してつながりを維持することは必要不可欠です。ZoomやMicrosoft TeamsなどのSaaSソリューションは、依然としてWebカメラ、ヘッドセット、スクリーンなどのハードウェアなしでは利用できません。HaaSプロバイダーは、クライアントが最新の通信接続デバイスを確実に利用でき、デバイスがクライアントのプロセスに安全に統合されるようにします。
IBM Cloud Infrastructure Centerは、IBM zSystemsおよびIBM LinuxONE上で稼働するプライベートクラウド・インフラストラクチャーを管理するために設計されたOpenStack互換ソフトウェア・プラットフォームです。
ハイブリッドクラウド環境全体に安全なAI対応インフラストラクチャーを提供します
安全性と柔軟性を備えたクラウドで、ビジネスの成長に合わせてリソースを無理なく拡張できます。
1. HaaS market report (2025 edition), Cognitive Market Research, May 2025
2. 13th annual Allianz Risk Barometer (2024), Allianz, January 2024