執筆者

Alice Gomstyn

Staff Writer

IBM Think

Alexandra Jonker

Staff Editor

IBM Think

データ検証とは

データ検証とは、データがクリーンで正確であり、利用可能な状態にあることを確認するプロセスです。

有効なデータとは、許容される制限や範囲内に収まり、指定されたデータ形式に準拠し、不正確さがなく、さらに組織独自の検証基準を満たしているものを指します。

データ検証はデータ管理ワークフローにおける確立されたステップです。不正なデータはデータ分析に深刻な悪影響を及ぼす可能性があるからです。しかし、組織が前例のない規模でデータ収集を行い、データ駆動型の意思決定人工知能(AI)の取り組みを推進するようになったことで、その重要性と緊急性は飛躍的に高まっています。

データ検証が重要な理由

現在、企業は日常的にテラバイトやペタバイト規模の大規模データセットを蓄積しています。これらの情報はIoT(モノのインターネット)デバイスやソーシャルメディアなど多様なデータソースから収集され、データウェアハウスやその他のターゲット・システムに移動されます。しかし、こうした多岐にわたるソースと大規模なデータ移行の組み合わせは、多くの問題を引き起こす要因となり得ます。たとえば、形式や整合性の不一致、重複データ、不完全なデータ項目、データ入力エラー、さらにはデータ・ポイズニングまで発生する可能性があります。

これらのデータ品質の問題は、データ完全性を損ない、根拠に基づいた意思決定を危険にさらす可能性があります。そして、無効なデータはデータ・アナリストにとって頭痛の種となるだけでなく、AIモデルを扱うエンジニアやデータサイエンティストなどにとっても問題となります。

機械学習モデルや生成AIモデルを含むAIモデルは、トレーニングと性能のために信頼できる正確なデータを必要とします。効果的なAI導入が重要な競争優位性となる今、企業は不正なデータによってAIの取り組みが危険にさらされることを許容できません。企業はデータ検証プロセスを活用して、データ分析やAIに利用できる十分な品質を確保しています。

さらに、データ検証は規制遵守との関係においてますます重要になっています。例えば、EU人工知能法は、「高リスク」なAIシステムのデータ検証が厳格なデータ・ガバナンスの実践に従うことを求めています。

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データ検証の仕組み

データ検証には、ビジネス・ルールやデータ検証チェックの策定と実施が含まれます。

組織ごとに異なるルールやデータ検証手法を使用していますが、最も一般的なデータ検証チェックの種類は次のとおりです。

  • コード・チェック
  • 整合性チェック
  • データ型チェック
  • フォーマット・チェック
  • 範囲チェック
  • 一意性チェック

コード・チェック

コード・チェックは、データ値が有効かどうかを許容される値の一覧と比較して判定します。例として、国コード、国際標準図書番号(ISBN)コード、事業を分類するための北米産業分類システム(NAICS)コードなどがあります。

整合性チェック

整合性チェックは、入力データが論理的であり、他の値と矛盾していないことを確認します。例えば、既婚カップルのデータベースでは、婚約日が結婚日より前である必要があります。

データ型チェック

データ型は、特定のカラムにおける有効なフォーマットを定義します。データ型の例としては、テキスト、数値、日付などがあります。このチェックでは、長さ、精度、スケールが選択されたデータ型と一致しない値や、指定されたデータ型に違反する値を特定します。

フォーマット・チェック

フォーマット・チェックは、電話番号、メールアドレス、日付など、特定のデータ書式要件を持つカラムに対して実装されます。

範囲チェック

範囲チェックは、数値データが事前に定義された最小値と最大値の範囲内に収まっているかを確認します。例えば、許容される自動車タイヤの空気圧は30〜35 psi(ポンド毎平方インチ)の範囲になるかもしれません。

一意性チェック

一意性チェックは、すべてのデータ入力が一意であり、重複値が存在しないことを求められるカラムに適用されます。

その他のデータ検証チェックには、文字数が正しいかを確認する長さチェック、必須フィールドが空白でないことを確認する存在チェック、データが定義済みのスキーマに準拠していることを確認するスキーマ検証などがあります。

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データ検証、データ・クレンジング、データ品質管理の比較

データ検証は、多くの場合データ・クレンジングと同時に語られます。データ・クレンジングとは、生データセット内の誤りや不整合を修正することです。場合によっては、データ検証がデータ・クレンジングの一部と見なされることもあれば、別個のプロセスとされることもあります。

データ検証とデータ・クレンジングはいずれもデータ品質管理(DQM)の要素であり、これは組織内で高品質なデータを維持するための実践の集合です。補完的なDQMプロセスには、データ・プロファイリングデータ品質モニタリングメタデータ管理などがあります。

データ検証ツール

データ検証は手作業でも実施可能ですが、骨の折れる時間のかかる作業になり得ます。さまざまなデータ・ツールを利用することで、データ専門家はデータ検証プロセスを加速、自動化、効率化することができます。

表計算ソフト

Microsoft Excelのようなスプレッドシート・ソフトウェアには、ドロップダウン・リストの作成、カスタム数式、特定ルールに適合する値への入力制限といったデータ検証機能があります。例えば、ユーザーは文字数制限や書式要件を満たさない値を入力できないようにすることが可能です。スプレッドシート・プログラムは、小規模データセットの管理や検証に最も効果的です。

スクリプト

データ専門家は、PythonやSQLなどのオープンソースツールやプログラミング言語を使用してスクリプトを実行し、データ検証プロセスを自動化できます。ExcelユーザーはVBA(Visual Basic for Applications)プログラミング言語を用いて、カスタムのデータ検証ルールを作成し、検証プロセスを自動化することができます。

データ統合

データ統合プラットフォームは、複数のソースからデータを収集・統合し、分析、運用、意思決定に利用できる一貫した形式に変換します。データ検証はデータ統合プロセスにおける一般的なステップです。特にETL(抽出、変換、ロード)によるデータ統合アプローチは、厳格なデータ検証で知られています。

データ・オブザーバビリティー

データ・オブザーバビリティー・ソリューションは、組織全体のデータ・エコシステムにわたるデータの健全性を監視し、可視性を提供するダッシュボードを備えています。継続的でAIを活用したモニタリングと分析により、データ異常やその他の問題をほぼリアルタイムで検出・解決できます。主要なデータ統合プラットフォームには、組み込みのデータ・オブザーバビリティー・ツールが搭載されています。

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