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人種間の平等の改革に関する米国連邦議会へのIBM CEOの書簡

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※この記事は米国時間2020年6月9日に掲載したブログ(英語)の抄訳です。
 
IBMの最高経営責任者(CEO)であるアービンド・クリシュナは、以下の書簡を米国連邦議会に送付しました。この書簡は、米国における人種間の平等を促すための詳細な政策提案に言及したものです。また、クリシュナは、法執行機関によるテクノロジーの責任ある利用について述べる中で、IBMは汎用的な顔認識および分析ソフトウェア製品を廃止すると伝えました。
 


 
Booker上院議員、Harris上院議員、Bass下院議員、Jeffries下院議員、Nadler下員議員各位
 
公民権法が成立するよりも10年以上前の1953年9月、IBMは機会均等の支持を表明しました。当時のIBM社長だったトーマス・J・ワトソンJr.(Thomas J. Watson, Jr.)は、全社員に向けて以下のように記しました。
 
「この国の国民一人一人に、アメリカで暮らし、働く平等な権利があります。これは、人種や肌の色、信条に関係なく、与えられた仕事を全うするために必要な個人の資質や才能、経歴を持った人財を雇用するという当社の方針です。」
 
ワトソンは、IBM社内でジム・クロウ法を施行することを拒否して、この声明を行動で裏付けました。それにもかかわらず、70年近くたった今でも、ジョージ・フロイド氏、アマード・アーベリー氏、ブリオナ・テイラー氏をはじめとするあまりにも多くの方々の残酷で悲劇的な死が、人種差別の撤廃が急務であることを伝えています。
 
これを実現するために、IBMは正義と人種間の平等を求めて、3つの政策分野に焦点を当てて米国連邦議会と連携したいと考えています。それは、「警察組織の改革」、「テクノロジーの責任ある利用」、「スキルおよび教育機会の拡大」です。IBMの提案は次のとおりです。

警察組織の改革――警察の誤った対応への責任をより追及する新しい連邦規則

連邦議会は、警察による誤った対応の事案について、連邦裁判所により多くの訴訟を提起し、また警察が憲法上の権利を侵害した時に、個人が損害賠償を請求することを妨げる限定的免責の原則を修正するべきです。また、警察の誤った対応を連邦政府が記録する制度を確立して、実力行使に関する方針を州および各地域が見直して更新するよう奨励、または強制するための措置を講じるべきです。IBMはまた、サウスカロライナ州のティム・スコット議員が提案するWalter Scott Notification Actのような法案を、米国連邦議会が検討することを強く要請します。これらの法案は、連邦政府の補助金を受けている州に対し、法執行機関による武器の使用に関してさらなる詳細を司法省に報告することをを義務付け、国民が事件の正確な状況を精査、分析できるよう働きかけています。
 
これらの提案の一部は、先日導入されたJustice in Policing Act of 2020に含まれています。IBMは、このような提案を発表する上で皆様が早期にリーダーシップを発揮することを歓迎します。また、超党派による法案の立法化に向けて、両陣営の皆様および連邦議会議員の方々と連携する用意があります。
 
テクノロジーの責任ある利用に関する方針――テクノロジーは透明性を高め、警察がコミュニティーを守るための一助となり得ます。しかし技術が差別や人種間の不公平を助長するようなことがあってはなりません。
 
IBMは現在、汎用的な顔認識および分析ソフトウェアを提供していません。大量監視や人種的分析、基本的人権や自由の侵害、さらに当社の価値観や「信頼性と透明性に関するIBMの基本理念」に合致しない目的の場合、それがどのようなテクノロジーでも使用することにIBMは断固として反対しており、許容することはありません。それは他社が提供する顔認識技術についても同様です。米国の法執行機関が顔認識技術を使用すべきか否か、そしてもし使用するならどのように使用すればよいのかについて、国民的議論をスタートさせる時期に来ているとIBMは考えています。
 
法執行機関が市民の安全を守る上で、AI(人工知能)は強力なツールとなります。しかし、特に法執行機関がAIシステムを使用する際は、その提供企業や使用者は、AIシステムが偏見を助長するものではないと確認し、その確認内容について監査、報告されるように図っていくという共通の義務を有しています。
 
最後に、国の政策として、ボディー・カメラや最新のデータ分析技術など、警察活動の透明性と説明責任を高めるテクノロジーを積極的に取り入れ、活用するようにしていく必要もあります。

機会の拡大――有色人種の経済的機会拡大のための鍵となるのが、求められるスキル獲得のための訓練と教育です。

米国民のすべてが市場価値のあるスキルを獲得し、訓練を受けられるようにするための、よりオープンで公平な道筋を作っていく必要がありますが、それが急務となっているのは有色人種のコミュニティーにおいてです。IBMにおいて現在特に必要とされているのは、私たちが言うところの「ニュー・カラー」業務を担う人財ですが、このような業務に求められるのは、従来のような4年制大学の学歴を必要としない、特化したスキルです。このような業務は、サイバー・セキュリティーからクラウド・コンピューティングに至るまでの成長著しい分野において、現在も高い需要があります。米国連邦議会において、次のようなプログラムの数や対象者を広げるための政策を是非ご検討いただきたく思います。
 
P-TECH――2010年代の始めにIBMが立ち上げたP-TECHは、9年生から14年生(日本での高校3年間と2年制高等教育の2年間相当)向けの学校モデルです。生徒は高校卒業の資格を得ると同時に、STEM(科学・技術・工業・数学)分野の準学士号を無償で得ることができ、学生ローンを抱えることもありません。現在、世界中の220のP-TECH校で15万人の生徒が学んでおり、中でも米国においては、教育機会が十分でない地域に住む有色人種の生徒に力を入れた取り組みを行っています。ブルックリンからシカゴ、ダラスからボルティモアに至るまで、現在これらP-TECHは若者たちに真の機会と雇用を生み出し続けています。このプログラムを全米に広げていくべきです。
 
ペル・グラント――現在、ペル・グラントは有色人種の学生が大学に入学するために重要な手段となっています。しかし需要がある「ニュー・カラー」業務においては、大学以外のスキル・トレーニングや業務スキル認定プログラムのための連邦政府による補助金は、現在なきに等しい状況です。ペル・グラントの対象者を、犯罪歴のある者も含め、4年生大学以外にも広げるべきです。これにより、経済的に困窮する学生が、それぞれの生活環境に合った形で、大学とは異なる教育研修プログラムを通じて必要なスキルを獲得することができるのです。
 
IBMとその社員は、常に建設的に問題解決に取り組んでおり、これらの提案も同様の精神で行いました。これまで述べた施策は第一歩に過ぎないことは承知しています。しかしIBMは、公平性と正義を追求する米国の取り組みに役立ちたいと考えており、この国を一つにまとめる政策を進め、国家の理念を追求するため、皆様と協力したいと考えています。
 
アービンド・クリシュナ

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