テクノロジー
IBM、特許取得件数で四半世紀を超えて首位を維持
2019年1月9日
カテゴリー IBM Research | テクノロジー
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著者:IBM Hybrid Cloud担当SVP 兼IBM Researchディレクター、アーヴィン・クリシュナ(Arvind Krishna)
IFI CLAIMS Patent Servicesは本日、IBMが米国特許取得の年間件数で26年連続の首位となったことを発表しました。この1年にIBMは、人工知能、クラウド、量子コンピューティングの研究に関する3,000件を超える特許をはじめとして、過去最高の9,100件を取得しました。

IBMの研究員Priya Nagpurkar(左)とDan Williams(右) がWilliamsの取得した特許についてディスカッションする様子。
当社の研究はさまざまな分野において、企業がテクノロジーを実用化するずっと以前から始まっており、新たな知見に向けた研究の精神は、四半世紀を超えて数々の特許が認められた分野をリードするための推進力になっています。
この年、当社は1,600件に及ぶAI関連の特許で業界を牽引しました。これらの特許の中には、Project Debaterに寄与する自然言語処理技術および機械学習技術に関するものも含まれています。このようなイノベーションは、私たちがAIとやり取りする方法を一変させて、私たちがツールとしてAIを利用し、より有意義な洞察を獲得する能力を高めるのに役立ちます。
当社はまた、テクノロジーにより私たちの健康状態を向上させ、安全性を高める方法も探求してきました。補聴器から義肢にいたるまで、人工装具に組み込まれた電子部品と情報伝達をするための「スマート」ウェアラブル機器向けに、各種手法の特許を取得しています。このような特許により、装具が装着する人のニーズにより近付き、迅速に適合するようになることが期待されます。
さらに、この年の重要な特許には、ブロックチェーンの基盤技術向けのものがあります。暗号鍵を利用して、記録されたトランザクションを暗号化し、ユーザーが共有できるようにする技術です。ユーザーがアクセス権限を持つデータタイプに応じて、別々の鍵を別々のユーザーセット毎に提供することができます。例えば、ある鍵を利用して医療のトランザクションへのアクセスを提供し、別の鍵で金融のトランザクションへのアクセスを提供できます。
またIBMは、量子コンピューターのパフォーマンスを向上させるコンポーネントを小型化する新しい方法など、量子コンピューティングにおいても重要な発明について特許を取得しました。この発明により、従来分離していた素子を量子コンピューティングの単一の素子に統合できる可能性があります。
私たちは、気候変動が地球に及ぼす影響と、テクノロジーがその影響を緩和し、管理を支援する能力があることを常に心に留めています。そのためIBMの研究者たちは2018年、植物の種の特定やあらゆる病気の診断および治療法の推奨において科学者たちを支援することができるよう、機械学習と画像解析を利用した診断ツールの特許を取得しました。さらに当社では、破壊をもたらす可能性のある気温の変化を特定し、監視する早期警報システムも開発しました。このような気温の変化は、とりわけ、酸素濃度と海洋生物の栄養素に影響を及ぼす可能性があります。
これほど優秀な発明家、科学者、研究者たちと働けることは光栄であり、このような同僚たちがそれぞれの分野で実現した業績や貢献が評価されるのを見るのはとても嬉しいことです。
特にIBMフェローである浅川智恵子が本日(米国時間2019年1月8日)、全米発明家殿堂に殿堂入りしたことを誇りに思っています。
浅川智恵子は、この栄誉を受ける23人目のIBMerであり、初の女性IBMerです。彼女はIBMにおいてアクセシビリティーの研究を推進しており、視覚障がい者がそれぞれの環境の中でよりスムーズに行動できるよう支援しています。彼女の研究は世界中の研究者による傑出したイノベーションとともに、ビジネスと社会をよりスマートに、より安全に、より持続可能にするための方法を将来へと導いています。
※この記事は米国時間2019年1月8日に掲載したブログ(英語)の抄訳です。
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