IBM Partner Ecosystem

キー・パートナーに訊く | 加賀有樹(株式会社ソルパック)

記事をシェアする:

今年初めてIBM Champion*の称号を手にしたという株式会社ソルパックの加賀有樹さんに、「プライベートでも家族ぐるみで古くからお付き合いいただいています」と語る日本IBM の磯部博史とご対談いただきました。

* IBM Championとは、テクノロジー分野で活動される世界中の技術者や開発者、ビジネスリーダーの中から、IBMのソリューションやソフトウェアに積極的に関わり優れた貢献をしていただいた方を、「オフィシャル社外貢献者」として認定し表彰するIBMの公式制度です。


(写真右) 加賀有樹(かが ゆうき) | 株式会社ソルパック コンサルティング事業部 ソリューション営業課 マネージャー
(写真左) 磯部 博史(いそべ ひろふみ) | 日本IBM テクノロジー事業本部 サステナビリティ・ソフトウェア事業部 ソリューション・リード

 

<もくじ>

  1. なにはさておきポップコーン
  2.  2人の出会い「あきたスマートシティ・プロジェクト」
  3.  IBM Championになったきっかけ
  4.  実績とノウハウ。Maximoとマシュマロ
  5.  あの熱を社内の若手にも経験して欲しい、感じさせたい

磯部: これ、気になっちゃって気になっちゃって。

まずはポップコーン作りましょうよ。 バーナーコンロで作るの、久しぶりだな。

 

加賀:

そうですよね。普段キャンプに行くと、こういうのは子どもたちが大喜びでやるから、僕ら大人は準備だけってことが多いですもんね。

 

磯部: じゃあ加賀さん、調理よろしくお願いします!

でも実際、加賀さんはキャンプ先でも、他のメンバーがちょっと面倒くさがるようなことなんかをいつも率先してやってくれますよね。みんな本当に感謝しています。

 

加賀: いえいえそんな。でもそう言ってもらえると嬉しいですね。ありがとうございます。

…あ、そろそろいい感じみたいです。じゃあトッピングの「焦がしバター醤油パウダー」をかけて…アチチッ!

今回の対談は、キャンプ大好きなお二人に因んで、東京メトロ茅場町駅から徒歩1分の体験型アウトドアカフェ「REWILD OUTDOOR TOKYO(リワイルド アウトドア トーキョー)」で行いました。
緑あふれる店内ではキャンプグッズを使っての調理などもできて、文字通りの「都会のど真ん中のオアシス」を感じさせてくれるお店です。

 

磯部: そもそも加賀さんとの初対面はいつでしたっけね?

 

加賀: 私も今回の話をいただいて思い出してみたんですけど、磯部さんとの最初の出会いは2012〜13年で、僕がソルパックに入社して5年くらい経った頃だったと思います。

それまでのSE職から営業職に鞍替えして、営業として初めて行った出張先の秋田でお会いしたんじゃないですかね。

 

磯部: そうでした。秋田市環境部様が中心となって主導された「あきたスマートシティ・プロジェクト」のときですね。

400以上の地域公共施設電力使用量を収集して一覧表示・一元管理し、電力の効率利用につなげていくというもので、現在日本各地で取り組みが進む地域創生やスマートシティに先鞭をつけたものでしたね。

IBM Maximoがデータ管理システムの基盤で私も開発担当者として参加していて、ソルパックさんにはMaximoの導入や運用部分でご参加いただいていましたね。

参考 | 2015年8月 PROVISION 86号『お客様インタビュー:地域の資源を賢く使う!“環境立市あきた”が実践する市民本位の環境・エネルギー政策

 

加賀: それでたしか、とある晩にプロジェクトメンバーの誰かから今度キャンプに行くって話を聞いて、「ご一緒させていただけますか?」とお願いさせていただいたんです。

それ以前にもIBMの方たちとスキー旅行に行ったことはあったんですけど、そこから本格化して、気がつけば僕も「TOC」の正式メンバーになっていました。

 

磯部: あの頃のTOCメンバーはほとんどが独身で、毎月のようにキャンプに行っていましたよね。家庭を持ち小さな子どもがいるメンバーが増えていって最近は少しキャンプに行く頻度が下がっていますけど。コロナもありましたし。

ちなみにTOCという名前は「Tivoli Outdoor Club: チボリ・アウトドア・クラブ」の略で、もう20年近く続いているキャンプ愛好家のコミュニティーです。中心メンバーが「Tivoli」」というIBMのソフトウェアの開発部隊だったので、この名前になっています。

TOCキャンプの様子。中央の赤いジャケットが加賀さん。画面一番左が磯部さん。

 

磯部: 加賀さんは今年、サステナビリティ・ソフトウェア分野でのIBM Championになられたんですよね。発表から2カ月ほど経ちましたが、率直に言って今はどんな感じですか?

そもそもはどんな経緯でチャンピオンになられたんでしたっけ?

 

加賀: 経緯はですね、稲見さんという「ライフタイム・チャンピオン」という稀有な称号をお持ちのIBM Championから、「IBMのコミュニティーに深くコミットして活動されているんだから、応募してみませんか?」とお声かけいただいたのがきっかけです。

チャンピオンとしての活動はまだ正直よくわかっていない部分もありますけど、すごくポジティブに感じています。

先日参加した「IBM Championウェルカムイベント」でも、製品やジャンルの違うさまざまなチャンピオンたちの話を聞いたり一緒にディスカッションをしたりしていく中で、「これから新しい可能性がもっともっと広がっていくだろうな」と強く感じましたね。

参考 | 【開催レポート】IBM Championウェルカムイベント

 

磯部: IBM Championとして「こんな活動をしてみたい」と考えていることはありますか?

 

加賀: まずはこれまで通り、日本Maximoパートナー会の開催支援ですね。磯部さんも参加された2月冒頭のパートナー会はものすごく盛り上がりましたよね。

来日中のMaximo営業責任者に、日本のMaximo導入企業から聞いている声や、僕たちMaximoエコシステム・パートナーの困りごとをしっかり伝えられて、とても意義深い場となりました。参加したパートナー企業の皆さんも皆喜んでいました。

少し具体的にお話しすると、MaximoのOpenShift対応やコンテナ化は基本的にはいいことだけれど、中堅中小企業のお客様の中には、それに適応するのに時間が必要な方たちも少なくない。そうした状況をどれだけちゃんと把握しているのか。そしてどうそれに対処していくのか——。課題を明確にし、実践的な話しができました。

 

磯部: このようにエコシステム全体で議論して解決策を模索することがとても大事だと思います。

私も、日本のお客様もこれからどんどん「Fit to Standard*」の考え方に変わっていくべきだと思うし、それを必要としているお客様が間違いなく多いと感じています。

とは言うものの、製品のサポート延長やSaaS版を用意して、すぐにその実践をスタートできないお客様をご支援していくことは大切ですよね。そうした取り組みがしっかり行われていることが確認できた、とてもよいパートナー会でした。

* Fit to Standardとは、業界標準かつグローバル標準のパッケージを選び、システム導入時にアドオン開発を行わずに、業務内容を標準機能に合わせること。短期間低コストでの導入実現や保守の簡易化、システムの迅速かつ柔軟な変更を可能とする「経営戦略」とも考えられている。

 

加賀: そうですね。あ、ところでそろそろマシュマロ焼きませんか?

対談も後半に差し掛かり、ここで脳を活性化すべくキャンプの定番スイーツ「焼きマシュマロ(スモア)」を作って食べることに。

 

加賀: 美味しい。薄いチョコレートも合いますねえ。今度のキャンプで試してみよう。

 

磯部: やっぱりこういうマシュマロ台があるといいですね。

普通のたき火でやると夢中になり過ぎた子どもたちが火傷しかねないし、やっぱり火力調整も難しいから。

 

加賀: なんだか「仕事の話はそろそろ終わりにしますか〜」って気分になりますね(笑)。普段、キャンプに行くとまず仕事の話しはしませんから。

 

磯部: 愚痴はこぼしますけどね(笑)。まあ今日はもう少し仕事しましょうかね。

加賀さんはEAM(企業資産管理)製品とMaximoの今後について、どう思われていますか。

 

加賀: まず、中堅中小企業をもっと手厚く支援していくこと、ソルパックの設立当社からのパーパスですし、日本のビジネスの根幹を支えているのは中堅中小の製造業ですから。

そして老朽化したインフラを多数管理していかなきゃならない日本社会においては、現存施設をどれだけ長く使えるようにしていくかはとても大きな問題で、メンテナンスの効率化・適正化が欠かせません。

こう考えていくと、日本の中堅中小企業に、EAM(企業資産管理)製品が持つ力をちゃんと活用してもらうことが、絶対に欠かせないと思うんです。もっとMaximoの持つ力をしっかりと活用していって欲しいですね。そしてMaximoのSaaS版の展開は、今年の弊社の重要施策でもあるんです。

 

磯部: 人手不足を背景に、技能維持・品質維持が難しくなっているという実情もありますよね。私は、この問題を比較的安価に解決できるのもMaximoならではだと思っています。

そして他のEAM製品と圧倒的に異なるのは、やっぱり長年にわたり世界中の様々な業種のアセット要件に対応してきたという実績とノウハウです。公共インフラ分野やエネルギー産業など、世界中の障害や誤作動が許されない分野での導入実績の多さは、信頼性の高さの表れですから。

 

加賀: SaaS版により月額数十万円のランニングコストで、高い信頼性と最新のテクノロジーで高度なアセット管理ができるようになったというのが大きいですよね。以前と比較すると初期費用が1/10程度、システム構築期間も半分以下程度と、はるかに低くなりました。

さらに、ソルパックには10年以上のさまざまな業界・業種でのMaximoビジネスの経験があるので、Fit to Standardの考え方の上でも、必要となればいつでも助言可能という強みがあります。ただ一方で、大規模なアセット管理をされるお客様には、従来型のIBM Maximo Application Suite(MASがふさわしいということも強調しておきたいです。

Maximoで社会の流れを変える一端を担っていきたいですね。

参考 | インテリジェントな資産管理、モニタリング、安全性、信頼性を単一プラットフォーム内で実現 – IBM Maximo

 

磯部: Maximoって、日本でもそうですけど、世界中で社会インフラを支えているんですよね。

ここで積み上げられてきたノウハウを中小企業の方がたにも活用していただきたいし、それができるかできないかが、今後勝負の分かれ目となっていくのかもしれません。

参考 | 事例から見るIBM Maximoが選ばれ続けている理由

 

磯部: じゃあ最後に、今年の目標について聞いてみたいと思うのですが、何かあります?

 

加賀: はい。目標というか希望に近いかもしれないですけど、今年は海外イベントに発表者側として参加したいなと思っています。

もうかなり前の話ですが、現在の「IBM ミドルウェア・ユーザー研究会」の前身組織だった「Tivoliユーザー研究会」の発表員として、IBMの海外カンファレンスに参加したことがあるんです。

そのとき、「うわっ、すごいなこの規模! これだけの人たちがこのIBM製品やブランドに力を注いでいるのか」と圧倒されましたし、同時に、自分もその一員として、活動やコミュニティーの価値を高めていきたいと思いました。

あの熱を社内の若手にも経験して欲しい。感じさせたいって気持ちがあります。

 

磯部: 具体的にいつ頃、どの海外イベントに参加したいってありますか?

 

加賀: 先日のキックオフでも語られていた10月ラスベガスのTechXchangeですかね。あるいは8月のMaximo World 2024か。

いずれにしてもまだなんの準備もしていないので、これから中身を考えていくこととなりますが。

 

磯部: いいですね! 私も参加したいと思っているので、アメリカでもポップコーン作りましょう。

最後に、加賀さんにリクエストがあるんです。

 

加賀: なんでしょう?

 

磯部: 海外では、Maximoのユーザー会とパートナー会は分かれていなくて、一緒に開催しているんですね。それで、加賀さんには、Maximoのパートナー会とユーザー会の合同開催を検討してもらいたいなと思っています。

ユーザー様とパートナー様の両者が、それぞれのノウハウを共有してネットワークを広げていくことは、日本社会にとってもいいことだと思うんですよ。

両者と深いつながりを持っている加賀さんが音頭を取っていただければ、きっといい場になるはずです。

 

加賀: なるほどですね。僕はMaximoの運用業務を受託している会社の社員としても、チャンピオンという立場でも、Maximoユーザーの皆様にアプローチしやすいですし、パートナー会はもともと運営メンバーですからやりやすいですね。

では、発起人としての合同開催を検討してみます。

 

磯部: はい。ぜひお願いします。Maximo盛り上げていきましょう!

じゃあ、対談はここまでとして、ここからは次回のキャンプの計画を建てることとしましょうか。

 


TEXT 八木橋パチ

この記事を読んだあなたへのおすすめ

キー・パートナーに訊く | 武藤元美(株式会社福岡情報ビジネスセンター)

IBM Maximo Application Suiteで回復力と責任ある排出管理を促進

キー・パートナーに訊く | 「Innovation Studio 東京への期待」伊藤瑞穂(株式会社イグアス)

 

More IBM Partner Ecosystem stories

OEC新オフィス「未来の杜 Play Field」から広がるつながりとウェルビーイングな社会

IBM Partner Ecosystem

コンピューター商用化の創成期から現在まで、大分を拠点に先端テクノロジーを駆使する総合情報処理サービス企業として業界をリードしてきた株式会社オーイーシー(OEC)が、先日大分市のソフトパークに本社新社屋を新設。同時に旧社屋 ...続きを読む


バリュー・ディストリビューターのご紹介『エヌアイシー・パートナーズ株式会社』

IBM Partner Ecosystem

エヌアイシー・パートナーズ株式会社は 2002年4月にディストリビューター事業を開始した日本情報通信株式会社 パートナー事業部を起点とし、日本情報通信グループの広範なソリューションに対する理解と高度な技術力を提供する I ...続きを読む


イノベーションを起こす方法をイノベーションしなければならない(From IBVレポート「エコシステムとオープン・イノベーション」より)

Client Engineering, IBM Data and AI, IBM Partner Ecosystem

不確実性が増し、変化が絶え間なく続く時代には「イノベーション疲れ」に陥るリスクがある。誰もがイノベーションを起こしていると主張するならば、結局、誰もイノベーション(革新的なこと)を起こしてなどいないことになるだろう 当記 ...続きを読む