電子商取引は人々に便利な自宅でのファッション・ショッピング体験をもたらし、顧客は都合のよいときに商品を注文したり返品したりできるようになりました。 しかし同時に、何百万トンもの物品が埋立地に送られ、毎年数百万トンの二酸化炭素が排出される中、驚くほどの量の廃棄物が排出されています。 より良い方法を模索する中誕生したのが、スタートアップ企業「Turnr社」でした。
Turnr社の創設者兼CEOであるLinus Robertsson氏は次のように説明します。「eコマースにおける返品は、衣料品小売業者と持続可能性を重視する買い物客の双方にとって、長い間頭痛の種でした。ほとんどの人は、サイズが間違っていれば商品を返品し、改めて正しいサイズで商品をし直そうとは考えません。つまり、返品は返金で手続きは終了し、店舗と顧客の双方が損失を被ることになります。 買い物客に返品ではなく交換を促すことで、この傾向を変えることができることに気付きました」。
同時に、Turnr社は、顧客間(C2C)中古品市場が確立したモデルを活用し、より持続可能な収益を可能にする機会を見出しました。 Robertsson氏はさらに詳しく次のように述べています。「店でセーターを購入する場合、その服は誰かが試着した可能性が高いということを私たちは知っています。 そこで何千マイルも倉庫に送り返して、そこで再梱包するのではなく、新しい買い物客に直接返品を転送してはどうでしょう」
衣料品電子商取引の返品のための新しいプラットフォームに関するTurnr社のビジョンは急速に具体化しつつありましたが、この革新的なスタートアップ企業はそれを確実に実現するための支援を必要としていました。 このコンセプトを成功させるために不可欠となる優れた顧客エクスペリエンスと買い物客のインサイトを提供するには、適切なテクノロジー基盤が必要でした。
「Turnr社のビジョンを深く掘り下げる中で、買い物客と小売業者の両方に価値を提供できる新たな機会を特定しました」とRobertsson氏は言います。「例えば、買い物客が現金払い戻しではなくストアクレジットを選択した場合、元の購入額以上の特典が得られるという『逆割引』のアイデアを考案しました。 また、小売業者における消費者行動に関するインサイトを抽出し、国際配送を自動化することを目指していました。 これらすべてには、24時間365日利用可能で世界規模に拡張できる、基盤となるテクノロジーが必要です。 スタートアップ企業にとって、それは気が遠くなるような、それでいて刺激的な挑戦でした」。
可能にしたシームレスな拡張。
Turnr社のプラットフォームを利用した顧客間の返品。
Turnr社は、B2Bのスタートアップ企業にIBMリソースへの独自のアクセスを許可し、その成長を後押しするStartup with IBM Accelerator Swedenプログラムに応募しました。 このプログラムは、競争的環境を打破したり、伝統産業やテクノロジー分野の持続可能性に大きな影響を与えたりすることを目指すスタートアップ企業を対象にしたものです。
「Startup with IBM Acceleratorプログラムを知った私たちは、すぐにこれだと感じました」とRobertsson氏は当時を思い返します。 「IBMからの指導、専門知識、テクノロジー、ネットワーキングにアクセスできる機会は、絶対に逃したくありませんでした。 プログラムの対象企業に選出されたときのうれしさは忘れません」。
契約の一環として、Turnr社はIBMのエクスパートと共にプラットフォームを見直し、信頼性、柔軟性、拡張性などの基準に照らしてアーキテクチャーを評価しました。 このスタートアップ企業はプラットフォームをIBM Cloud®に移行し、プログラムを卒業するまで無料のクレジットを受け取りました。
「IBMチームとの連携を開始した当初、開発者の中には、このような大企業と協力することに不安を感じていた人もいました」とRobertsson氏は言います。「IBMは当社の俊敏性についてこれるのかという点が疑問でした。 私たちは、IBM AcceleratorプログラムがIBM内部のマイクロサービスのように運用され、イノベーション速度とペースを合わせられることをすぐに実感しました。IBMチームがありきたりのアドバイスをせず、開発者とその知識を尊重してくれたことに本当に感謝しています。 これぞ真のコラボレーションだったと感じています」。
Turnr社は、Startup with IBM Accelerator Swedenチームと緊密に連携し、IBM Cloud Container Registry 、IBM Cloud Databases for PostgreSQL 、IBM Cloud Kubernetes ServiceなどのIBM Cloudサービスを使用してプラットフォームを設計およびリリースしました。 Robertsson氏は次のように付け加えています。「IBM Cloud に切り替えてKubernetesを追加する最大のメリットの 1 つは、世界規模の拡張と世界トップ・クラスのユーザー・エクスペリエンスが可能になったことです。 こうしたことは、IBMと連携するまで不可能なことでした」。
Startup with IBM Acceleratorプログラムを卒業して以来、Turnr社のビジネスは、革新的なソリューションで、顧客からの返品という課題に対するeコマースにおける弱点を打破し、ますます力強いものとなっています。
「当社の取引件数は前月比21%、前年比944%のペースで増加しています」と Robertsson氏はコメントしています。 「Startup with IBM Accelerator Wednesdayチームとの連携が、当社の成功の中心的な役割を果たしました。IBM Cloudのおかげで、私たちは一貫して優れたユーザー・エクスペリエンスを提供しながら、これからもプラットフォームを拡張して新しい機会に挑戦できるでしょう」。
現在、Turnr社の顧客にはDjerf AvenueとHUBSO Group ABもいます。IBM Cloudを持ちてビジネスを展開する同社は、衣料品小売業者がコストを削減し、新たな収入源を逃さず、買い物客のロイヤルティを高め、循環経済を促進できるよう支援しています。
「私たちは、持続可能性を最重要視するブランドと連携できることに興奮しています」とRobertsson氏は言います。 「当社のC2C返品モデルをいち早く導入した販売業者にはHUBSO社があり、同社のA-DSGN、Sanne Alexandra Shop、LXAといったブランドでご利用いただいています。2022年には、IBM Cloudによるサポートを受けながら、C2C返品による輸送距離を1,244,000km(77,000 マイル)も削減しました。 これは環境負荷を既に大幅に削減しましたが、その影響は当社の顧客ベースが拡大するにつれてさらに大きくなるでしょう」。
Turnr社は現在、次なる成長段階をより良いものとするため、IBM Business Partners Shibuya and Arrowから、IBM Cloudサービスや市場投入サポートを追加するかを検討しています。
Robertsson氏は次のように結論付けています。「当社は、顧客に画期的なインサイトを提供するために、返品データの使用方法を継続的に強化しています。 例えば、推奨事項を生成するために使用するAIモデルでは、IBM Watsonを組み込むことを検討しています。 IBMのテクノロジー・ポートフォリオとIBMパートナー・エコシステムの幅広さは、返品プロセスを根本から見直すのに役立ち、ブランド、その顧客、そして地球に価値を提供します」。
Turnr社は、機能不全状態にあった返品システムを是正するために2020年に設立されました。本社はスウェーデンのストックホルムにあります。 同社は、完全な逆物流プロセスを自動化、簡素化、強化するためのコントロールと柔軟性を現代のファッション・ブランドに提供することを目指しています。 Turnr社は、IBM Cloudテクノロジーに基づいたホワイト・ラベルのモジュラー返品プラットフォームを提供するIBMのビジネス・パートナーです。
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2023年3月、米国で作成。
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