Technology

Watson Health:事実を明らかにするために

記事をシェアする:

著者:ジョン・ケリー(Dr. John E. Kelly III)
IBM シニア・バイス・プレジデント コグニティブ・ソリューションおよびリサーチ担当

私たちIBMには誇りに思うことが数多くあります。Watson Healthの先駆的な取り組みもその1つです。しかし、残念なことに事実が歪められたり正しく伝わっていない報道が見うけられました。最近では8月11日に報道されたThe Wall Street Journalの記事が、IBMによるAIの医療への活用には「十分な」進捗が見られないと伝えています。そこで、事実を明確にお伝えしたいと思います。

記事で伝えられたとおり、IBMが医療に重点を置いていることは事実です。その理由は2つあります。まず、最も重要な点は、AIが医学的な問題の解決と、医療業界の業務サポートに大きく貢献できることが明らかであること、そしてもうひとつはAIの導入が増えるにつれ、この分野に大きなビジネスチャンスが生まれるとわたしたちが考えていることです。

次世代のAIテクノロジーをがん治療などの重要な医療課題に適用して、世界中の人々がより快適に、長く健康でいられるようにすることが、IBM Watson Healthの目標です。IBMは、患者の治療にあたる世界中の医師を支援するために、次の3つの特徴的なツールを作成しました。

わたしたちはMemorial Sloan KetteringやMayo Clinicなど先進的ながん研究所と緊密に協力してこれらのツールを発展、改良させています。現在、これらのツールは世界中の230の病院と保健機関で利用されていて、ツールが適用された患者の数は今年上半期で2倍に増え、84,000人に達しました。

私たちIBMは常々、より良い治療と結果を患者に提供するために医師を支援することが、テクノロジーの役割であると信じています。そのため、私たちが自問した最初の質問は、「Watsonは、患者に対してより良い意思決定を行えるようにがん専門医を支援できるのだろうか?」ということでした。論文審査を受けた研究でも、これらのツールを使用している研究からの定期的なフィードバックでも、その答えは「YES」であることがこれまで何度も明らかになっています。

患者にメリットがないなどという意見は、報道機関に対して世界中の多くの医師が伝えているはずの事実と、医療機関自らが公表しているコメントの双方を無視していることになります。この点は、自ずと明らかになるでしょう。

  • Mayo Clinicの医師は、アメリカ臨床腫瘍学会の年次総会で、Watson for Clinical Trial Matchingを採用した後、乳がんの治験への参加が80%増加したというポスター発表を行いました (患者数6.3人/月、それまでの18カ月は患者数3.5人/月)。詳しくはこちら
  • Dr. Thaddeus BeckおよびHighland Oncology Groupのチームは、Watson Clinical Trial Matchingによって臨床試験のマッチングにかかる時間が78%削減されたと報告しています。詳しくはこちら
  • トレーニング・パートナーであるMemorial Sloan KetteringのDr. Mark KrisやMSKのがん専門医と緊密に協力することで、世界のがんの発生率と有病率の最大80%に相当する13種類のがんについてWatson for Oncologyのトレーニングを行っています。
  • Dr. SomashekharおよびManipal Hospitalは、今年初めのAnnals of Oncologyで、総合腫瘍症例検討会において乳がんの診断一致率が93%であったことを発表しました。また、この検討会は、複雑な症例のすべてにWatson for Oncologyを使用したところ、患者の症例の9~11%の推奨治療法が変わっていると述べています。詳しくはこちら
  • Dr. Michael Kelleyおよび退役軍人局は、Watson for GenomicsについてのIBMとの契約を延長しました。これまでに、ステージ4のがんを患っている約3,000人の退役軍人が、このツールによる支援を受けています。
  • Dr. William Kimおよびノースカロライナ大学のがん治療センターLineberger Cancer Centerは、Watson for Genomicsによって32%の患者に、反応が期待できる新しい変異体が見つかったことを発表しました。詳しくはこちら

IBMは直面する大きな問題に屈することなく挑んできました。一晩で片付くような簡単なものではないことは承知しています。世界初の商用コンピューターを製作したことも、人類を月へ送ったことも、最近で言えば地球上で最も速く賢いスーパーコンピューターを開発したことも、すべて全力で成し遂げてきました。

最後にもう一度申しあげますが、IBMは、AIおよびその他のテクノロジーの医療への適用促進に全力を注いでいきます。世界中の患者に影響を与えられる可能性があることも含め、これはとても貴重な機会です。わたしたちの取り組みは始まったばかりです。信念を曲げず、世界中のパートナーやクライアントと協力して前に進んでいきます。

More Technology stories
2019年9月17日

開発者、研究者、教育者向けのツールで量子コンピューティング・スキルを開発

IBMは、2016年に実際の量子コンピューティング・システムを公開して以来、より多くの人が量子コンピューティン […]

さらに読む

2019年9月17日

変革し続ける企業のCTOに求められる役割と新しいデジタル・テクノロジーへの目利き力

現在のCTO(Chief Technology Officer)には、従来とは次元の異なるスピードでの改革や、 […]

さらに読む

2019年9月1日

なぜ第一生命は「AI活用」に踏み込んだのか?コンタクトセンターの“大改革”の舞台裏

第一生命は、コールセンターの業務改善に向けてIBM Watsonを採用。AIコンタクトセンター支援システムを導 […]

さらに読む