イノベーション

「ニューノーマルへの適応とDX実現への貢献に向けて」IJDSイノベーション開発センターの活動とは

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日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社(IJDS)のイノベーション開発センターは、2014年7月に日本IBMが札幌に設立した国内初のニアショアセンター(国内のリモート開発センター)を母体として、金融分野のお客様を中心にITサービスを提供しています。現在、デジタル・トランスフォーメーション(DX)に対する企業の取り組みが加速する中、新型コロナウイルス拡大に伴いニューノーマルへの迅速な適応が業態を問わず求められています。本記事では、お客様に継続性のあるサービスを提供していくために実施した、IJDS イノベーション開発センターにおけるニューノーマルへの適応とDXの取り組みについて紹介します。

イノベーション開発センターの特徴

IJDSイノベーション開発センターは、2020年7月からサービスを金融以外の業界のお客さまへ拡大しました。お客様の基幹系システム安定稼働を目指し、システムのデザインから開発保守とそれらを支えるIBM製品の開発保守といったITサービスを、多様なエンジニアが提供しています。

イノベーション開発センターでは、日本全国のお客さま向けのリモート開発形態として、一定の品質と生産性、そして、タイムリーなコミュニケーションを可能とし、お客様から信頼されるとともに安心していただけるサービスの提供に取り組んできました。また、センターPMOとして一貫したサービスを横串で推進する体制により、DX人材の育成やプロジェクト品質管理を支えており、エンジニアのスキルや経験の見える化と動的なアサインを目指し運営をしています。

また、国内の品質管理チームや中国やフィリピンの開発センターとも協業し、プロジェクトの品質や生産性維持向上に取り組むとともに、ニューノーマルへの適応など幅広いナレッジ共有を行い、更なるサービスレベルの向上に取り組んでいます。

リモート開発形態として国外からサービスを提供するオフショアを想起される方が多いと思います。札幌というニアショアにあるイノベーション開発センターは、当然ながら日本語でコミュニケーションができる国内のエンジニアがサービスを提供します。例えるならば「行間が分かる」リモート開発チームであり、以下のメリットを提供できます。

  • セキュリティ・ポリシーや輸出規制等による国外開発不可やカントリーリスクの回避
  • 業界および業務知識を活用した開発力
  • お客様サイトとの連携のしやすさ

図1:イノベーション開発センターの札幌拠点

図1:イノベーション開発センターの札幌拠点


 

ニューノーマルへの適応

2020年の新型コロナウイルスの世界的な拡大に伴い、イノベーション開発センターでは従来通りのサービス提供や課題解決のためのプロジェクト活動が困難になりました。つまり、イノベーション開発センターの各拠点にあるプロジェクトルームに開発チームが集結して、ミーティングや開発を行えなくなったのです。

そこで、ニューノーマルにシフトするお客様に継続性のあるサービスを提供するために、開発プロセスやプロジェクト管理プロセス、ミーティングのオンラインへの切り替えなど、試行錯誤しながら品質や生産性の維持と向上を目指しました。

その結果、これまでに培った、リモートからの開発、コミュニケーションのためのツールやプロセス、ノウハウを活用することによって、2020年4月上旬に28%だった在宅勤務は、5月末に73%にアップ、2ヶ月で数百名規模へとシフトを実現しました。プロジェクトルームに開発チームが集結しなくても、お客様へのサービス提供が可能となったのです。

実現における主なポイントは以下の3つです。

  • お客様の理解とサポート
  • オンサイトチームとの信頼関係
  • リモート開発ツール、プロセス、ノウハウの実績活用

この他にイノベーション開発センターのプロジェクトサイドから、シフト勤務や作業の切り出しなどのご提案をおこないました。

当初は、コミュニケーションの量や質、生産性や品質の低下を心配するお客様やオンサイトチームも少なくありませんでした。しかし、センターの活用事例をプロジェクト間で連携し適用するなどの施策を実施した結果、複数のお客様から「迅速な適応のおかげでシステムの継続的な開発と保守を実現できた」「業務継続へのリスク低減に繋がった」など評価をいただいています。

一方で、セキュリティーが課題などで在宅勤務へのシフトが実現できていない領域のプロジェクトも残存するため、日本IBMが提唱するDynamic Delivery(IBMが提唱するリモートでのシステム開発にとどまらない、次世代を見据えたITサービスの高度化を実現するフレームワーク)の更なる促進で、お客様と共にDXを推進していきたいと考えています。

2020年は企業や大学でリモート化が進展したことから、東京圏から転出と地方へ転入が増加し、ポストコロナにおいてニューノーマルが加速しました。札幌は転入先の1つであり、IT人材のポテンシャルも高く、自然が多く、働き方という側面でも仕事と趣味の両立がしやすい環境が整っています。例えば、夏は家族とのキャンプ場やグランピング先、冬はスキー場そばの宿泊先からチームとのミーティングに参加するなど、近い将来このようなダイナミックな働き方も日常になるでしょう。

DX推進には、多様で柔軟な視点での取り組みが必要であり、地方創生や社会貢献という側面でもIT技術の活用が求められます。イノベーション開発センターは、今後も多様性と柔軟性を実現・推進しながら、お客さまのDXに貢献していきます。

図2:イノベーション開発センターの在宅勤務割合

図2:イノベーション開発センターの在宅勤務割合

 

DXへの取り組み

日本アイ・ビー・エムデジタルサービスが考えるDXでは、デジタル・トランスフォーメーションのタイプとして、業界変革型DX、企業変革型DX、それらの実現を支えるIT変革型DXと3つの分類をしています。

イノベーション開発センターでは、それらの中でもIT変革型DX領域への取り組みに重点をおきお客様のDXへの貢献を目指しています。IT変革型DXにおけるシステム開発の変革には、4つの領域があり、それぞれデジタル技術を活用し変革していくことが可能となります。

  • 情報連携・コラボレーション
    例)リモート開発で培ったノウハウとプロセスのもとで、各種リモートコラボレーションツールを活用した非同期コミュニケーションの実現
  • セキュアな環境
    例)DaaSによるRemote接続によるセキュアな開発環境の活用
  • 開発の自動化
    例)DevOpsツールチェーンの適用による開発保守プロセス(修正、テスト、ビルド、デプロイ・・)の自動化
  • 開発のインテリジェント化
    例)プロジェクト管理のインテリジェント化を実現するCognitive PMOの開発と適用

これらをシステム開発の現場へ適用し、システム開発のモダナイゼーションを実現するDX人材の育成にも取り組みを行うことで、ニューノーマルへの適応を推進しています。

また、お客様のDXを推進するためには、基幹系システムの安定運用がベースにあってこそ可能となります。レガシーと称される数十年の長期にわたり、継続的で安定したサービスをお客様の基幹系システム向けに提供することは、今後も求められる普遍的な領域です。そのため、開発センターとしてのDXへの取り組みは、以下の2つを軸に推進しています。

  • 基幹系システムの安定稼働(開発プロセスのスピード化、効率化としての変革推進)
  • データを活用しお客様業界変革型DX、企業変革型DXを実現するシステム開発

DXの推進そのものが加速される中で、イノベーション開発センターがこれまで提供してきたITサービスも変革は不可避です。その一方で、お客様がDXを推進していくためのベースとなる基幹システムの安定稼働と維持管理も求められます。私たちは、この両輪を同時に推進することでお客様のDXへの貢献が可能となると考えています。

イノベーション開発センターはITベンダーとしてのサービス変革を推進し、私たち自身のトランスフォーメーションとサービスの高度化の早期実現を目指すことで、お客様のDXへのニーズを一緒にデザインし、アジャイルに実現していくことへ貢献してまいります。

図3:IJDSにおけるシステム開発のD X(IBM Dynamic deliveryを基に作成)

図3:IJDSにおけるシステム開発のD X(IBM Dynamic deliveryを基に作成)

 

長川 智雪
著者:長川 智雪
日本アイ・ビー・エムデジタルサービス株式会社 イノベーション開発センター事業部長 執行役員

金融機関の基幹システム構築や移行などのプロジェクトを中心にプロジェクトマネージャーとして従事。2019より日本IBMのニアショア開発センター(現イノベーション開発センター)をリードしている。

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