テクノロジー・リーダーシップ

キャリアを豊かにする「メンタリングとテクニカル・コミュニティ」の存在

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井上 裕美

著者:井上 裕美
Partner, GBS Japan Government Industry Leader

入社以来、公共特に官公庁のお客様のプロジェクトに従事し、大規模または先進的なプロジェクトの統括プロジェクト・マネージャーとして様々なプロジェクトを管理してリードしてきました。現在はGovernment Industry Leaderとしてビジネスのシェア拡大へ向けてリードしています。

業務の傍らプロジェクト・マネージャー(PM)のプロフェッションのコミュニティや学会活動、また若手のコミュニティのリーダーやCOSMOS(女性技術者)コミュニティでも幅広く活動しておりました。今回は、様々なコミュニティで人と繋がることで得ることのできる「キャリアを豊かにするメンタリングとコミュニティの存在」について語ります。

 

キャリアを豊かにする自ら繋がる、メンタリングの重要性

メンタリングという言葉を聞いて、日常的にこの言葉を使って、意識して活動している人はどれほどいるでしょうか。メンタリングは、”メンター”と”メンティ”の関係として、キャリアについて仕事だけでなくワークライフバランスも含めて、メンターに様々なアドバイスや話をしてもらうことで成り立ちます。メンタリングを開始するにあたり、通常、マッチングしたケースでスタートすることもありますが、やはりメンタリング自体は、自身が本当にメンタリングをしてもらいたいと思えるメンターを自身で見つけて、長期的に、また継続的に実施を続けることが、一番キャリアを継続する上で重要だと思います。

私にはこれまでのキャリアの中で、たくさんのメンターと出会い、最初にメンターになっていただいた方とは、もう10年以上のお付き合いになります。仕事をする上で何を大切に考えるかの軸を教えていただいており、その考えは今も変わっていません。

最初にメンターになっていただいた方は男性でしたので、私は最初の出産のタイミングの時に、女性のメンターを紹介いただき、その時には最初の出産、子育ての時に必要なヒントをアドバイスいただきました。

また出産から復帰後は、私はプロジェクトマネージャー(PM)をプロフェッションとしてキャリアを積んできましたので、PMプロフェッションを高めるために、PMとして必要な要素を教えていただける方を紹介いただき、数々のトラブルプロジェクトをどうリカバリーしたか、PMのプロフェッションとしてのキャリア育成に必要な観点をメンタリングしていただきました。

そしてその次には、日本だけでなく、海外のメンターを紹介いただき、日本とは違った女性の活躍の観点やグローバルにおける女性の活躍の視点でのヒントをアドバイスいただき、今や複数のメンターとつながっています。

キャリアを育成する上で、コンフォートゾーンとストレッチゾーンという考え方があります。コンフォートゾーンは自身が安全に心地よくいられるゾーンですが、メンターによって自身の価値観や考え方に少しのスパイスをもらうことで、ストレッチゾーンへ入り込もうとするチャレンジを与えられます。そして気がつけば、そのストレッチゾーンは、いつの間にかコンフォートゾーンとなっており、自身が心地よいと感じるコンフォートゾーンは広くなっているのです。

私にとってメンターとメンティの関係は決して1:1の関係だけではなく、N:Nで構成され、それによって、それぞれのメンターの尊敬するポイントや、学びのポイントを多方面から吸収できます。ですからメンターになっていただく人は、自身の次のキャリアパスの階層ではなく、必ず2つ上の階層の人にお願いをしており、これを推奨します。

これは次のステップを考えている間に、次のステップが近いところまで来てしまうよりも、その上の階層にいるメンターのアドバイスを長期的に受けることで、自身の物事を見る観点が広がります。

実際にメンタリングは、制度として形式的に実施すると長続きしないこともあります。メンタリングは、受け身で実施するものではなく、そして形式的に行うものでもなく、人と人とが新たに繋がるパスのきっかけとしても自分自身で様々なメンターを探して繋がっていくアクションを自ら起こすことが大切なポイントです。メンタリングは少しの何気ない時間を使ってのコミュニケーションでも十分であり、継続して積み重なれば無意識に自身のコンフォートゾーンは大きくなっていくのです。

メンターとの出会いは簡単ではない、自ら探しにアクションを起こす

私が携わっている日本IBM女性技術者コミュニティ「COSMOS」は、テクノロジーとイノベーションの世界で活躍する女性を支援することを目的として、全社横断的なコミュニティとして活動を続けています。テクニカルリーダーを目指す女性を増やすため、女性技術者のモチベーション向上やネットワーキングの拡大、パイプラインの増大などを目的に実施しています。

メンタリングは、自ら行動を起こして繋がるアクションを起こすべきだと考えていますが、自分にあったメンターを探すというのはそう簡単ではないと思います。日本IBMには、COSMOSコミュニティの存在があり、メンターを探すための行動を起こす方法を知らない人のために、そのきっかけ作りとして、身近な女性技術者からメンターを紹介したり、海外の女性技術者リーダーをメンターに紹介しています。当然、そこから長期的に継続的に実施できるかどうかは、メンティ側がどのようにその機会を有効に使うかによってきますが、まずはなかなか知り合えない人とのパスをつなぐきっかけ作りをコミュニティを通じて実施しています。

私自身は、COSMOSでの活動を通じて、改めてPMプロフェッションの意義、テクニカルな職種として必要な要素を、他の職種の人からフィードバックをもらうことで発見がありました。
PMに求められる要素は、様々な管理要素はもちろんのことですが、PMのプロフェッションは重要なテクニカルプロフェッションの一つです。

メンターを探すためのアクションを起こすには、このようなコミュニティを利用するだけでなく、外部のコミュニティにも幅広く参加してメンタリングを始めるきっかけを作っていくことが重要だと思います。
私自身これからも、人と人とつなぐコミュニティの存在を活用し、女性技術者としてPMプロフェッションのキャリアを豊かにし続けていきたいと思います。

様々なコミュニティとつながりで、自身のキャリアを豊かにする

日本IBMには前述の通り、女性技術者コミュニティ(COSMOS)だけでなく、様々な社内コミュニティがあります。私はこれまで若手技術者コミュニティ(Japan Technical Council)のリーダを担当し、その後、女性技術者コミュニティ(COSMOS)、またプロジェクト・マネージャー(PM)のプロフェッションとしてのコミュニティや、外部の団体との連携が行われる学会活動に携わっています。
様々なコミュニティに参加し、活動することで、自身のキャリアはこれまで以上に、より一層豊かになりました。

コミュニティというのは、日々の業務を遂行する上で出会う人とはまた違った観点での人を知る機会とネットワーキングを持つことができます。その範囲は、社内だけでなく社外にもパスは拡大し、これまでの価値観を変えて、まさにダイバーシティの考え方を改めて学ぶ機会が多いと感じます。多種多様な職種や組織の人がつながるコミュニティに関わることで、利害関係なく枠を超えて活動することができる場というのは、自分自身も職種やキャリアの歩み方におけるフィードバックを受ける機会を得ることができます。そのフィードバックを受けるかどうかで、これまで気がつかなかった観点を知ることとなり、自身のキャリアを豊かにできる重要な要素だと考えます。

例えば、私はPMのプロフェッションとして長年キャリア形成してきましたが、テクニカルなコミュニティの場で、改めてIBMのPMのプロフェッションとしての強みについて、他のテクニカルな職種の人からフィードバックを受けると、これまで無意識に実施していたことが、改めてキャリアにおける強みだと気がつくことができました。キャリアを考えるときにコミュニティの存在は有効です。

皆さんも今一度「自身のキャリアを見直すきっかけとして」メンターを探してみませんか?

IBM 女性技術者コミュニティ COSMOS のメンバー

IBM 女性技術者コミュニティ COSMOS のメンバー

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