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IBM i 7.5, 7.4 TR6 および IBM i Merlin を発表

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2022年5月3日、新たなメジャー・リリースであるIBM i 7.5、およびテクノロジー・リフレッシュであるIBM i 7.4 TR6を発表しました。さらに「Merlin」という全く新しい製品も発表しました[1]

今回の発表内容では多くの機能拡張・追加がありますが、ここでは、いくつかのハイライトを取り上げます。今後、ブログや他サイトを通して、詳細な情報を提供していく予定です。

IBM i 7.5 :パート1

IBM i 7.5のストーリーを2つのパートに分けてお伝えします。リリースについては、 サポート・ページに詳細がありますので、そちらをご確認ください。

Db2 機能拡張

Db2 for i は、プラットフォームの中核であり、これまでも、そしてこれからも、中核であり続けるでしょう。昔は、メジャー・リリースのたびに、Db2 の新機能が大きな話題になっていました。

Db2の話題は絶えません。IBM i の他の部分と同様に、Db2 も年に 2 回、時にはそれ以上の頻度で新機能を発表しているからです。7.5におけるDb2の機能に触れる前に、データベース・エンジニアやSQLプログラマー向けに、SQL DDL生成の改善、SQLスクリプトでCLを使用する機能の改善、SQL HTTP関数の使いやすさと新機能など、7.4での機能も紹介します。7.4の機能拡張に関しては、7.5と同様にサポート・ページがあります。

IBM i 7.5 でのDb2 の機能拡張は以下です。

  • BOOLEAN:Db2 for iは、7.5にてデータ型としてSQL標準のBOOLEANをサポートします。そして、RPGやJSONもすぐにBOOLEANを活用することができます。
  • 2進基数索引 (Binary Radix Index) の最大サイズが16TBに大幅に向上:以前の制限(7TB)でも問題なかったのでしょうが、IBM i を使用して膨大なデータ量を扱うワークロードに取り組んでいるお客様が大勢います。最大サイズの拡張は、そのようなニーズを先取りしています。
  • Ragged flash サポート:フラッシュコピーをご利用のお客様は、保留中のトランザクションが常にフラッシュ コピーのターゲットであるサーバーにロールバックされるということをよくご存じでしょう。データに変更を加えている場合、つまりフラッシュコピーが行われたときにDb2でトランザクションが実行されていた場合、ターゲットのデータがソースと完全に同じであることを確認することはできませんでした。7.5では、Db2が保留中のトランザクションをロールバックしないように、フラッシュコピーに指示することができるようになりました。これにより、フラッシュコピーが発生した時点と全く同じ時点から開始することができるようになりました。これはお客様からの大きな要望であり、7.5でこれらのオプションが利用できます。

Db2 ミラー機能拡張

IBM Db2 Mirror for i は、IBM i 7.4 のリリースで初めて導入されました。これまでにご採用いただいたお客様では、アプリケーション環境に継続的な可用性をもたらすというメリットを感じていただいています。7.5 では、Db2 Mirror がその潜在能力を十分に発揮できるような3 つの大きな特長を提供します。

  • 混合リリースのサポート:ミラーリングされたペアの2つのIBM iインスタンスは、異なるメジャー・リリース・レベルであることが可能です。これは、片方のシステムを7.5 にアップグレードしている間、もう片方の 7.4 システムでアプリケーションを実行し継続できる「ローリング・アップグレード」を可能にする重要な要素となっています。新しい 7.5 のインスタンスを立ち上げると、ミラーリングされたペアに再接続し、すべての作業を 7.5 システムに移動し、もう片側のシステムをアップグレードして、再同期して完了です。つまり、あるリリース・レベルから別のリリース・レベルに移行する際のダウンタイムはゼロです。1つのシステムを一定期間 7.4 のままにしておき、タイミングの良いときに移動することもできます。もちろん、7.4のシステムとペアリングしている間は7.5のシステムでできないことがあるかもしれませんので、異なるリリースで長期間放置することはお勧めしませんが、多くのクライアントにとっては、数時間から数日で十分です。
  • Active/Read-Only モード:多くのお客様は、Db2 Mirrorを使用して、一方のシステムを「アクティブ」なシステム、つまりトラン ザクションが実行される本番システムとし、もう一方のシステムを緊急時にすぐに引き継ぐことができるように準備しておき、この2番目のシステムをロックダウンして、本番システムにミラーされるような変更ができないようにしたい、と考えています。7.5 では、このような動作を Db2 Mirror で制御することができます。
  • Db2 Mirror バージョン管理サービス:内部的には、コードレベルや関数の違いを追跡する機能を保持しています。それが、上記の 「混合リリース・サポート」を可能にした理由です。Db2 Mirror では、この機能を外部化し、アプリケーションがコードレベルや関数の違いを追跡できるようにしました。この機能は、Db2 Mirror の 7.4 バージョンでも利用可能です。

セキュリティー機能拡張

セキュリティー管理をより容易にするるために行った7.5での変更の数々には驚かされるばかりです。一般的には、それらは2つのカテゴリーに分類されます。

  • パスワード:より強力な暗号化方式(SHA2-512)で暗号化できるようになりました。また、潜在的なパスワードがすべてのパスワード規則に適合するかどうかを、パスワードを変更せずにAPIで確認することができます。また。認証に失敗したときに「悪意ある人物」がユーザーIDやパスワードを間違えたかどうかを判断できないようにします。
  • デフォルト 「*PUBLIC」権限の値を「*USE」に変更:システム全体を通して、*PUBLICが*CHANGEになった状態で出荷された多くのオブジェクトを発見しました。システムの保全性に穴を開けるものではありませんでしたが、監査役にそれを説明するのは難しいことでした。そこで、多くの場所で*USEに変更しました。これにより、物事の動作が変わる可能性は極めて低いのですが、監査は以前よりも簡単になるはずです。

IBM i 「Merlin

IBM i 7.5に加え、正式名称「IBM i Modernization Engine for Lifecycle Integration」も合わせて発表しました。IBMは、お客様がクラウドに対応したモダンな世界への移行を支援するために製品開発に取り組んできました。

IBMの多くの製品名と同様に長い名前ですが、「Merlin」と呼称し、いくつかの方法で製品に展開されています。それについては、今後のブログ記事で書くことになると思いますが、「Merlin」が何かについて少しお話ししましょう。

Merlinは「ウィザードの達人」です。ITの世界では、ウィザードが何かをするための道具(アプリケーション)であり、簡単にしてくれるものであることは、多くの方に周知されています。

Merlinはツールの集合体です。 Merlinで最初に紹介するツールは、「IBM i Next Gen Apps」アプローチによるソフトウェア開発を支援するツールです。

Merlinの最初のリリースはコードを開発することに重点を置いており、統合開発環境(IDE)を備え、DevOpsアプローチ(DevOps環境のセットアップや、IBM iの開発を既存のDevOps環境に統合するためのウィザード)を使用し、サービスを使用して機能の公開と利用を容易にすることを意味しています。そして、これらすべてをブラウザー・インターフェースで実現します。

これらのツールを開発者ごとにPCにインストールするのではなく、OpenShiftのコンテナで実行し、一度セットアップすることで、ユーザー(このツールの初期セットではプログラマー)はブラウザでそれを利用することがきるようになります。

このMerlinの初期リリースの機能は、長いロードマップの始まりに過ぎません。私たちは、お客様がIBM iの現代的な活用方法を簡略化するのに役立つツールを提供したいと考えています。何が必要かを見極め、次のステップについてのアイデアを提供し始めます。

IBM i 7.5 :パート2

なんと、時間を見てください!また、文字数が!これだけ大きな発表が揃いますと、短い記事は書けません。 他の大きなハイライトについても紹介します。

  • Power10システムのオンチップ 「Nest Accelerator (NX) 」を使って、いくつかの方法で ZLIB 圧縮を実装しています。「SAV/RST に最新の圧縮アルゴリズムを追加してほしい」というご要望に応じた機能です。
  • IBM i 7.5のパーティションで最大48コアをフルサポート。SMT8では最大384スレッドになります。さらに、それ以上の規模が必要な場合は、IBM ラボ・サービス・チームが、パーティション内で240プロセッサーと1920スレッドに設定するサポートをします。
  • IBM iの一機能であるジョブ・スケジューラーは、*YEARLYをサポートしています。
  • Access Client Solutions (ACS)には、SQL Scriptタブ、定義されたグループ内のシステムなど、複数のものを一度に操作しやすくするための新機能が多数搭載されています。
  • 新しいIBM i Navigatorは、サポートされているどのリリースでも動作しますが、7.5の発表と同時に、Performance Data Investigatorを含む大きな新機能が利用可能になりました!新しいIBM I Navigatorはデフォルトで利用可能です。このパワーとシンプルさをぜひ体感ください。

それでは、今回はこの辺で終わりにします。また次回をお楽しみに。

日本でのイベント情報


[1]IBM iの取得方法や、過去オプションで提供していた一部のライセンスがOS標準として提供されることについても発表しておりますが、当記事での記載は割愛します。


*本記事は、Announcing IBM i 7.5, 7.4 TR6, IBM i Merlin(著者: Steve Will, IBM i Chief Architect)の抄訳に、日本で企画されるイベント情報を追加したものです。


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