Client Engineering
クライアント・エンジニアリング事業紹介セミナーレポート
2022年05月24日
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「IBMは進路の選択肢になりうるのかどうか。その判断材料をお届けすること。それがこのセミナーの目的です。」
IBM人事部門所属で、「徹底解説 クラウドエンジニア、デザイナー、データサイエンティストご紹介セミナー」のファシリテーターである根本は、最初にセミナーに参加している学生の方がたにそうお伝えしました。このセミナーレポートを書いている私も、根本に倣い、誰に向けた何を目的としているのかを最初に示しておきます。
「IBM クライアント・エンジニアリング(以下「CE」)が何者なのかを知っていただくこと。そして『何かを一緒に行うに足る』組織であるかの判断材料をお渡しすることが目的です。」
村澤 賢一 (むらさわ けんいち)
1999年新卒にて米PwC Consultingの日本法人に入社。3年後M&Aにて日本IBMの一員に。複数事業部でのマネージャー職を経て、2021年7月よりテクノロジー事業本部 CE事業の日本地区統括リーダーに就任。
IBMでの20年を「大変なときもあったが、チャレンジを一杯させていただきあっという間だった」と振り返る。好きな言葉は「No Challenge, No Life.」。
根本 亮 (ねもと りょう)
1998年新卒にて株式会社伊勢丹に入社。2001年に日本IBMのインサイドセールス部門の立ち上げに伴い設立されたIBM e-communicationsに転職。2011年、経営統合にて日本IBMの一員に。非対面営業、対面営業を経験した後、2015年に人事に異動。
2020年より日本IBMの採用全般のBrandingを担当。IBMでの20年は「人、仕事、テクノロジー。未知との遭遇に溢れた日々」と振り返る。好きな言葉は「大切なものは目に見えない」
IBMが変化したところと変化していないところ
テクノロジーで社会を支え続けるために
根本: 今日はしゃちほこばったプレゼンテーションではなく、会話形式でCEのこと、そしてCEのリーダーである村澤さんについてお伺いさせていただきます。よろしくお願いします。
IBM社員となって20年ということですが、この年月の間にIBMが変化したところと変化していないところを教えてください。
村澤: 根本さん、今日はどうぞよろしくお願いします。まず変わっていないところですが、IBMは毎年、R&Dに巨額を投じ続けています。それは「今」に対応するためだけではなく、「未来」のための研究開発に力を入れ続けているからです。
社会を進化させ、世の中を前進させるために必要な「付加価値の創造」を一貫して続けているところは、IBMが一貫してまったく変わっていないところですね。
一方の変化しているところですが、これは社内制度や事業構成などの「会社の形」ですね。営利企業ですから持続可能とするには収益が欠かせません。そのために、経済情勢や社会情勢を常に意識しながら、スピード感を持って会社の形を変え続けています。そしてその背後には、それを可能とする意思決定プロセスの変化があります。
根本: なるほど。それでは「変化が常態」というそんなIBMで、今何が起きているのでしょうか? また、社会や未来をどのように捉えているのでしょうか?
村澤: これまで社会を支えてきた構造に大きな変化が起きようとしている、その「大変革前夜」が今だという認識です。「サステナビリティー」や「メタバース」という言葉は、その一端を示しているキーワードではないでしょうか。
IBMは100年以上にわたり「テクノロジーで社会を支えてきた」という自負があります(注: 日本では今年85年)。テクノロジーはIBMの軸であり、そこは変わりません。ただ、社会の再構築に見合う形へと「支えかた」は見直す必要があるでしょう。
社会の前進を早めるためには、単独ではうまくいきません。より幅広により深く、パートナーの皆さまとご一緒させていただけるよう、それを念頭においた事業構成へと変革を進めています。
デジタル技術で「タガ」を外すには
テクノロジー事業本部とCEの役割
根本: 村澤さんがリードしているのはCEという新しい事業であり、その所属はテクノロジー事業本部となっています。今の話において、それぞれどのような位置付けとなるのでしょうか。
村澤: テクノロジー事業本部の最大のミッションは、ITそしてデジタル技術を活かし、社会基盤と事業基盤の刷新を進めることにあります。
どんな組織にも「タガ」というものがありますよね、枠組や外枠をしっかりと支えるものです。このタガの多くは過去の経験から導き出されているものですが、その中にはもはや「単なる思い込み」に過ぎなくなったものが少なからず紛れ込んでいます。
デジタル技術にはそれが思い込みであったことを気づかせる力、つまり「タガを外す力」があるのですが、それをご理解いただくには「触れてみなければ分からない」というところもあるのです。
根本: いよいよCEの出番でしょうか?
村澤: その通りです。先程申し上げたように、社会の枠組みをアップデートしていくことは、IBM一社でできることではありません。
パートナーとして認め合い共創を進めていくには、これまでIBMとの接点が薄かった方がたにも我われを知っていただき、ファンになって頂く必要があります。
根本: 具体的にイメージしやすい例などありますか?
村澤: そうですね、これまでは直接的な共創を行うことの少なかった複数企業がパートナーとなり、再生プラスチック材を中核とする循環経済基盤の整備を通じ、資源循環社会の実現をスピードアップしようという取り組みなどは分かりやすいのではないでしょうか。
無償でここまで取り組んでくれるのか!
社会の枠組みを変え前進させていくために
根本: CEについてもう少し詳しくそして深く聞かせてください。まずはこのちょっと分かりづらい名前について。
村澤: そう、なかなかニュアンスが伝わりづらいですよね。「エンジニアリング」という言葉に重工業や機械をイメージされる方も多いかもしれませんが、我われは「クライアントと共に付加価値の共創を続けていくチーム」という意味でこの名称を用いています。
そして「クライアント」という言葉が示すのは、既存のIBMの顧客だけではなくあらゆる顧客、組織を指し示しています。何度も繰り返すようですが、社会の枠組みを変え前進させていくには、これまで以上に縦横無尽のパートナーシップが必要です。
日系コンピューター企業や情報システム会社の皆さま、グローバルのコンサルティングファームなど、あらゆる方たちと手を取り合って一緒にやっていきたいですね。
根本: なるほど。CEがスタートしたのは2021年からということですが、これまでの経緯や手応えについて聞かせてください。
村澤: 「無償でここまで取り組んでくれるのか!」と、以前からIBMとお付き合いいただいていたお客さまからは驚きの声をいただいており、好評です。
事業がスタートしたのは2021年の年初で、私が就任したのは半年後の昨年7月となります。就任当時は全部で20人ほどの組織でしたが、就任後はIBM外の多岐にわたる企業からさまざまなスキルと経験を持ったプロフェッショナル80人強を中途入社でお迎えし、現在は100名を超える組織となっています。
IBMには数多くの事業部が存在していますが、80%以上が中途入社という組織はおそらく私たちだけでしょうね。
「思考の粘り強さ」と「試行の粘り強さ」
唯一無二の絶対解がない時代に
根本: 今年は新卒の募集を開始しました。その理由は?
村澤: 今、我われCEでは、多種多様なプロフェッショナルたちに、自由闊達に互いの意見を交わしながらスキルを発揮していただいています。その結果、認知多様性 – すなわち脳や神経における個性や知覚処理方法の違い – という、これからの組織プラットフォームに欠かせない大変重要な要素を拡充することができました。
しかしまだ、ジェネレーションに基づく認知多様性は足りていません。
Z世代やアルファ世代が持つ社会課題への強い関心や、それに対する行動力などを、CEというチームにもっと取り入れて根付かせていきたいんです。
根本: なるほど、そういうお考えからなんですね。それでは、村澤さん自身がチームに求めている人物像があれば教えてください。
村澤: 分かりました。まず、今のこの社会には「唯一無二の絶対解」がありません。あらゆることを試し、その中から可能性のありそうなものを磨き上げながら「正解らしきもの」へと近づかせる、あるいは近づいていくという行動が欠かせません。「100試しても1つも形にならない」なんて厳しい結果も、まったく珍しくもないのが今という時代です。
そんな中で私が求めているのは、2つの「しこう」の粘り強さを持つ方です。まず1つ目のしこうは「思考の粘り強さ」、もう1つが「試行の粘り強さ」です。新しいものを考え抜く。その新しい考えをためらいなく試す。考えて考えて考える。試して試して試す。これができる人です。
今回はクラウドエンジニア、デザイナー、データサイエンティストを募集していますが、職種やロールはあくまでも個人の持つ属性の一つに過ぎません。チームが求めているのは、根っこの部分で粘り強さを持つ人です。
根本: よく分かりました。それでは村澤さん、最後にIBM、そしてCEへの応募を検討されている方がたにメッセージをお願いします。
村澤: 「このタイミングで社会に羽ばたけるなんて、本当に幸せな世代で羨ましいな。」というのが私の皆さんへの正直な気持ちです。
それと言うのも、私が新卒入社した20世紀終わりからその後の21世紀はじめにかけては、会計制度の改定に伴い、日本企業の経営管理モデルが大きく変化した時代でした。でも今は、その比ではないレベルの変革が起きようとしているからです。
あの頃は、先達が作り上げてきたものを守破離することで、新しい形ややり方を作っていくという時代でした。前例を踏襲するところからスタートしていたのです。でも今は、もっと「これまで」にとらわれないアイデアを生みだし、それを現実とするデザインを考え、実社会に実装していくことができます。実にチャレンジングですが、これほどまでにエキサイティングな時代も無かったのではないでしょうか。
皆さんと共創できる日を楽しみにしています。
いかがでしたか。当レポートが、CEというチームが共創相手に相応しい組織であるかの判断の一助になれば幸いです。
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