IBM Data and AI

2020年のAI: 試用から採用へ

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AIは、世界中の人々の興味をかき立て、注目を集めています。しかし、その関心の高さとは裏腹に、2019年のビジネス界における人工知能の導入率は高くありません。ほとんどのビジネス・リーダーがAIを競争上の強みになるものと考えているといいますが、一部の業界ウオッチャーによると、企業での導入は最近まで20%未満でした。

しかし、2020年に入り、AIへの関心だけでなく、その導入率も上昇傾向をたどると見ています。この上昇傾向は、IBMが委託し実施された新しいグローバル・サーベイでも再確認されました。この調査「From Roadblock to Scale: The Global Sprint Towards AI」は、4,500人以上のテクノロジーの意思決定者を対象に、米国、ヨーロッパ、中国におけるAIのデプロイの現状と将来を測定し、状況と課題をさらに把握することを目的として実施されました。以下で説明するとおり、状況は劇的に変化しようとしています。

AIの導入率が上昇傾向に

Roadblocks to Scale」調査の結果では、まだ課題があるものの、データのディスカバリーや管理の進歩、スキル訓練、AIの説明可能性により、多くが予想していたよりもAI導入率の上昇が速いと示されています。

例えば、AIを導入済みであると答えた回答者は、大企業(従業員1,000人以上)で45%、中堅企業(従業員1,000人未満)では29%でした。これらは、業界ウオッチャーが見積もっていた数値よりも大幅に高いものです。本調査のより重要なデータには、以下が含まれます(エグゼクティブ・サマリーはこちら。英語)

数値からみる調査結果

  • スキル: いくつかの障壁により、依然として企業はAIの導入に至っていません。回答者の37%がビジネスにおけるAI導入の障壁として「AIの専門知識の不足」を挙げており、「データの複雑さやサイロ化」(31%)、「AIモデルの開発ツールの不足」(26%)が続きます。
  • 信頼性: 信頼性はAIのデプロイの根幹をなすものです。世界中のすべての調査対象国の回答者のうち78%が、AIのアウトプットが公正かつ安全で信頼性が高いと確信できることが、非常に重要または極めて重要であると答えています。また、AIが判断に至った経緯を説明できることが重要とされています(全世界の回答者の83%)。
  • データ: 現在AIテクノロジーを実装済みの企業は、ハイブリッド・クラウド(導入率38%)またはハイブリッド・マルチクラウド(導入率17%)を使用する傾向にあります。これは、AIの成功がデータによるものだからです。また、データはどこにでも、あらゆるクラウドに存在するためです。

ビジネス界におけるAIジャーニーの動向

私たちはお客様とのやり取りや本調査の結果から、独自のAI構築/開発や、既製のAIアプリケーションの稼働により、企業はAIを導入するだけでなく、企業全体にAIを拡張するようになると予想しています。例えば、本調査によると、現在AIをデプロイ済みの回答者の40%が特定のAIベースのプロジェクトまたはAI支援プロジェクトのPoC(Proof  of Concept)を実施中であり、40%がチャットボットやバーチャル・エージェントなどの既製のAIアプリケーションを使用しています。

私たちは日々、AIを採用したお客様の興奮を目の当たりにしています。最近のお客様事例をいくつか紹介します。リーガル・ソフトウェア開発会社のLegalMation社 (英語)は、IBM WatsonとIBMの自然言語処理テクノロジーを活用して弁護士の日常的な訴訟業務の一部を自動化することで、書面による証拠開示(written discovery)のプロセスを数時間から数分に短縮するなどの成果をあげました。

世界的なデジタル代理店、Wunderman Thompson Data社は、Watson StudioとWatson Machine Learningを使用して、自社のハイブリッド・マルチクラウド環境全体に保管されたテラバイト単位のデータにアクセスし、分析し、モデルを実行しています。Wunderman Thompson Data社は、Watson Machine Learningを用いる作業の一環として、IBM AutoAIを使用してモデルを自動化し、自社のデータ・セット全体から何万もの特徴量を分析しています。

Morning Consult社が実施したレポートから得られた洞察やお客様とのやり取りを振り返ってみると、AI採用の障壁がこれまでの最大の懸案事項でした。これこそ私たちが、AI採用に立ちはだかる障壁を下げ、企業がAIを利用しやすくするよう取り組んできた理由です。

企業がAIを使用して実際の問題を解決できるよう支援する経験豊富な技術専門家のグローバル・グループ、 Data Science Elite Team (英語) を2018年に立ち上げたのも、そのためです。AIモデルのバイアスを緩和するWatson OpenScaleや、AIによってAIモデルを構築するためのWatson AutoAIのようなイノベーションを世に出したのも、そのためです。また、あらゆるクラウド上でWatsonを実行できるようにする、いままでに類のないコンテナ・ベースのデータ分析プラットフォーム、Cloud Pak for Dataを生み出す後押しとなったのです。私たちは、オープン・グルプ(The Open Group) (外部サイトへリンク。英語)The Linux Foundation (外部サイトへリンク。英語)などのいくつかのオープン・スタンダード団体との強固なデータ・サイエンスの取り組みにより、スキル訓練とサポートをまったく新しいレベルへと引き上げるということも行ってきました。

2019年はAIにとって実りのある年でしたが、2020年は新たなレベルのコミットメントをもたらし、すべての関係者に新たな成果をもたらす年になろうとしています。

 


Rob Thomas
General Manager, IBM Data and AI

 

原文:AI in 2020: From Experimentation to Adoption (https://www.ibm.com/blogs/think/2020/01/ai-in-2020-from-experimentation-to-adoption/)


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