テスト駆動開発(TDD)は、対応する機能を実装する前にソフトウェア・テストを作成するソフトウェア開発のアプローチです。
開発者は各テストで合格するために必要な最小限のコードを書き、その後テストとコードの両方を改善してから、新しいテストや新しい機能へと進みます。
テスト駆動開発は、本質的に開発者に開発のペースを落とし、短いフィードバックサイクルの中でコードを検証・改善することを促します。必須ではありませんが、DevOpsチームは、初心者から経験豊富なプロフェッショナルまで、幅広いプログラミング言語でTDDを活用することを推奨しています。例えば、JavaやPythonなどのプログラミング言語、アプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)、およびプログラム・アプリケーションがあります。
このスタイルでプログラミングを行うことで、コーディング、テスト(自動化されたユニットレベルのテスト)、コード設計の関係が強化されます。テスト駆動開発は当初の開発時間を増加させる可能性がありますが、コードの機能性や柔軟性を向上させ、結果的に全体の時間を節約できることが実証されています。
TDDを活用する開発者は、エラーを即座に特定して対処することで、小さな問題が大きな課題に発展するのを防ぐことができます。テスト駆動開発では、開発者にコードを検証しつつ改善することを求めるため、最終的な品質チェックや修正が効率化されます。
代替的なテスト手法としては、すべての自動テストを書く前に本番コードを書く方法や、本番コードを書く前にテスト・スイート全体を書く方法があります。これらの方法は必ずしも非効率というわけではありませんが、特に大規模で複雑なプロジェクトにおいては、必要なデバッグ時間が増えることが示されています。
テスト駆動開発は新しい本番コードの作成に広く用いられていますが、従来の手法や他の技術で開発されたレガシー。コードのデバッグを改善するためにもよく活用されています。
テスト駆動開発は、開発よりも先にテストを行うことで、従来の開発プロセスを逆転させます。反復的なアプローチとして、テスト駆動開発はテスト可能なワークフローを促進し、ユニット・レベルで高品質なコードを実現することで、コードの品質と可読性を向上させます。開発者がユニット・テストを行う際は、個々のアルゴリズムのような小さなロジックの一部に焦点を当てます。テストに合格させることを目的にコードを書くことで、よりクリーンで耐久性の高いコードになるだけでなく、ドキュメントの改善にもつながります。
IBMニュースレター
AI活用のグローバル・トレンドや日本の市場動向を踏まえたDX、生成AIの最新情報を毎月お届けします。登録の際はIBMプライバシー・ステートメントをご覧ください。
ニュースレターは日本語で配信されます。すべてのニュースレターに登録解除リンクがあります。サブスクリプションの管理や解除はこちらから。詳しくはIBMプライバシー・ステートメントをご覧ください。
テスト駆動開発には2つの主要なレベルがあります。
受け入れTDD(Behavior-Driven Development〔BDD〕とも呼ばれる)では、プログラマーは1つの受け入れテストを書き、そのテストに合格するために必要な新しいコードを実行します。受け入れテストは、カスタマー・テストまたはカスタマー受け入れテストと呼ばれることもあります。
それらは一般的に、製品の利害関係者によって示される最小限の機能に必要なテストケースとして理解されます。ATDDは、詳細で実行可能な要件を特定することを目指します。受け入れテストは、FitnesseやRSpecなどのさまざまなテスト・ツールを使用して実施できます。
単にTDDと呼ばれることもある開発者TDDでは、コーダーはATDDテストに対する自分の解決策を評価するために個々のテストを書きます。開発者TDDでは、JUnitやVBUnitなどのテスト自動化ツールが使用されます。
テスト駆動開発の手法を採用する場合、コーダーはまずソフトウェアの各要素や機能を確認するテストを書き、その個々のテストに合格するために必要なコードを記述します。完了するとソフトウェアは再度テストされ、テストに合格した場合は、必要な要素だけを残すようにコードが改善されます(このプロセスはリファクタリングと呼ばれます)。その後、開発者はこのプロセスをソフトウェアの各後続機能に対して繰り返します。
テスト駆動開発のプロセスは、5つのステップに分けられます。
簡単に言えば、テスト駆動開発のプロセスは「レッド・グリーン・リファクター」サイクルと呼ばれる反復可能なループに従います。サイクルのステップは次のとおりです。
テスト駆動開発の正確な起源は不明ですが、テストを先に書き、本番コードを後から書くという考え方は、1990年代半ばまでは一般的な手法ではありませんでした。それ以前のテストフレームワークでは、開発者が自分のコードベースを直接テストすることはできませんでした。しかし、ソフトウェア・エンジニアリングが進化するにつれて、特に急速に変化する利害関係者の要件に対応するために、DevOpsチームはより迅速で柔軟な手法を求めるようになりました。
テスト駆動開発は、さまざまな新しいテストフレームワークとともに進化し、またモジュール型のコンポーネントとして他のさまざまなフレームワークにも採用されています。特筆すべきは、TDDがExtreme Programming(XP)の概念に含まれている点です。XPは、ソフトウェアの品質と開発者の生活の質の双方を向上させるために開発されたアジャイル・ソフトウェア開発フレームワークです。
ソフトウェア・エンジニアで、アジャイル・コミュニティーの主要人物で、XPの創始者でもあるKent Beck氏は、テスト駆動開発を『再発見』した人物として知られています。Beck氏は次のように語っています。
「TDDの最初の説明は、プログラミングに関する古い書籍にありました。入力テープを取り、期待する出力テープを手作業で入力し、実際の出力テープが期待した出力と一致するまでプログラムを書く、と記されていました。私がSmalltalkで最初のxUnitフレームワークを書いた後、この記述を思い出して試してみました。それが私にとってのTDDの起源です。TDDを年配のプログラマーに説明すると、よく「当たり前だ。ほかにどうやってプログラミングするんだ?」と言われます。だからこそ、私は自分の役割をTDDを『再発見』したことだと表現しています」。
テスト駆動開発の進化における注目すべき日付には、次のものがあります。
Extreme Programmingの要素として、テスト駆動開発はより良いコードを生み出すだけでなく、より優れた開発者を育成するうえでも有益であることがわかっています。TDDは、コーダーが自分のプロジェクトに対する理解を深め、プログラム設計を推進する助けにもなります。各機能を実装する前にテストケースを中心に据えることで、開発者はその機能がクライアントやユーザーにどのように利用されるかをイメージしなければなりません。このアプローチは、実装に先立って製品インターフェースを位置付け、開発者がよりユーザー中心のアプリケーションを作成するのに役立ちます。
テスト駆動開発の追加的なメリットには、次のようなものがあります。
テスト駆動開発(TDD)には多くのメリットがありますが、課題がないわけではありません。これらの課題の深刻さはプロジェクトによって異なったり、さまざまな手法で軽減できたりしますが、TDDの欠点としては次のようなものがあります。
インテリジェントな資産管理とサプライチェーンのための AI を活用したソリューションを使用して、より回復力のあるビジネスを構築します。
IBMと共に、豊富なデータと強力なAIテクノロジーを活用し、最適化プロセスを統合して、ビジネス・オペレーションを変革します。
IBM Cloud Pak for Business Automation は、運用管理と自動化のための統合ソフトウェア・コンポーネントのモジュール式セットです。