組織は、人間の意思決定を支援するために人工知能(AI)と機械学習(ML)にますます依存するようになっています。これにより、一流の組織は顧客とのやり取りを改善し、商品やサービスの市場投入までの時間を短縮できます。しかし、これらの組織がAI/MLモデルを運用して重要なビジネス・プロセスで使用するにあたっては、AI/MLモデルを信頼できることが前提です。信頼できるAIは、さまざまな業種・業務でAIをうまく導入するための要件となっています。
最近では、AIモデルが人間の健康、富、幸福に関わるバイアスのかかった不公平な決定を下した場合、組織は意図しない理由でニュースに取り上げられる可能性があります。重大なブランド評判のリスクに加え、欧州AI規制法など、企業が遵守しなければならないデータおよびAI規制も世界各地および業界全体で増加しています。
AIモデルとその洞察を信頼するためには、使用されているデータを信頼できる必要があります。適切なデータ・ファブリック・ソリューションは、これらの柱を自然にサポートし、信頼できるAIモデルの構築に役立ちます。
今後のAIまたは機械学習モデルを構築するか、現在のモデルを改善するライフサイクルにおける次の3つの重要なステップを検討してください。
第一に、すべての関連データへのアクセスと洞察が必要です。
調査によると、ほとんどの組織では最大68%のデータが分析されていません。しかし、AI実装を成功させるには、適切な利害関係者がセルフサービスで利用できる、高品質で正確なデータへの接続が必要です。社内外の異種のソース(オンプレミス、パブリッククラウド、プライベートクラウド)からデータを集約する機能がなければ、必要な情報がすべて揃っていないという理由で、低品質なAIモデルを構築することになります。
次に、データ自体が信頼できることを確認する必要があります。信頼できるデータ・セットには、次の2つの要素があります。
Gartner社によると、AIプロジェクトとMLプロジェクトの53%が本番前の段階で行き詰まっています。。AIライフサイクルのすべての段階を検討することにより、AIを運用化できます。自動化された、統合データサイエンス・ツールは、AIモデルの構築、デプロイ、監視に役立ちます。このアプローチは、モデル・ライフサイクルの各段階での透明性と説明責任の確保に役立ちます。しかし、そのためには、公平性、堅牢性、事実の収集などのためのガードレールを確保する必要もあります。
多くの場合、データサイエンティストは、倫理的基準や規制基準を満たすために必要なすべてのドキュメンテーションを生成できるという見通しを嬉しく思っていません。ここで、IBM FactSheetsなどのテクノロジーが役立ちます。これにより、AIライフサイクルの各段階にわたってモデルに関するメタデータやその他の事実を取得するために必要な手作業が軽減されるからです。AI ガバナンス・ソリューションを使用すると、標準のオープンPythonライブラリーとフレームワークを使用するデータサイエンティストは、モデルの構築とトレーニングに関する事実を自動的に収集できます。
同様に、モデルがテストおよび検証段階にある間にも事実を収集できます。これらすべての情報がエンドツーエンドのワークフローに組み込まれ、チームが倫理基準および規制基準を満たしていることが確認されます。
ほとんどの組織には、多数のデータサイエンス・ツールが存在し、情報のガバナンスと管理が困難になっているだけではなく、ますます厳格化するセキュリティー、コンプライアンス、ガバナンスの規制要件の遵守が求められています。自動化されたスケーラブルなAIガバナンスを使用することで、モデルの透明性を高め、追跡可能性と説明責任の両方を確保するように設計された、一貫性のある繰り返し可能なプロセスを推進できます。コラボレーションの向上、モデル予測の比較、モデルのリスクの定量化、モデル性能の最適化、バイアスの特定と軽減、ドリフトなどのリスクの軽減、モデルの再トレーニングの必要性の軽減を実現できます。
最終的には、データ管理と、適切なタイミングで適切なデータへのアクセスをユーザーに提供することが、AIとAIガバナンスの成功の鍵となります。データ・ファブリック・アーキテクチャーは、データ統合の複雑さを最小限に抑え、組織全体のデータ・アクセスを簡素化してセルフサービスのデータ消費を促進することで、これを実現します。
IBM Cloud Pak for Dataを使用すると、さまざまなチームがさまざまな段階でモデルを操作できるようにするワークフローを形式化できます。データサイエンス・チームに適切なアクセス権を付与することだけが目標ではありません。モデル・リスク管理チーム、ITオペレーション・チーム、および基幹業務の従業員にも適切なアクセス権が必要です。
また、トレーニング・データからペイロード・データ、グラウンド・トゥルース データまで、さまざまなデータセットとソースを、適切なレベルのプライバシーとガバナンスを保ちながら処理することもできます。重要なのは、各データ・セットとモデルからのメタデータのキャプチャを自動化し、それを中央カタログに保存できることです。IBM Cloud Pak for Dataを使用すると、これを一貫して大規模に実行し、オープンソースまたはサード・パーティーのツールを使用して構築されたモデルに適用できます。
AIの潜在的なメリットは、業界リーダーの戦略傾向に反映されています。IBM Institute for Business Value(IBV)の2025年CEOスタディによると、CEOの68%がAIによって自社のコア・ビジネスの側面が変化すると回答し、61%が競争上の優位性は誰が最も先進的な生成AIを持っているかによって決まると回答しています。しかし、クライアントとの信頼関係を確固たるものにするためには、特に重要な場面でAIが使用される場合に、AIライフサイクル全体にわたって適切な管理を行うことが重要です。
直感的なグラフィカル・インターフェースでスマートなストリーミング・データ・パイプラインを作成、管理できるため、ハイブリッド環境やマルチクラウド環境でのシームレスなデータ統合を促進します。
データ・パイプライン用の可観測性ソフトウェア、IBM Databandをご紹介します。メタデータを自動的に収集して履歴ベースラインを構築し、異常を検知し、データ品質の問題を修復するためのワークフローを作成できます。
IBMのデータ統合ソリューションを活用して、生成AIへの取り組み、リアルタイム分析、ウェアハウスのモダナイゼーション、運用上のニーズに合わせて、レジリエンスがあり高性能でコスト最適化されたデータ・パイプラインを構築しましょう。