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建設業におけるインフラ・建物の維持管理DXソリューション活用
2022年06月01日
カテゴリー IBM Consulting | IBM Sustainability Software | デジタル変革(DX)
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インフラ・建物の維持管理の生産性向上は喫緊の課題
我が国における、道路、河川、トンネル、橋梁などの社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備されたため、今後20年間で、建設後50年以上経過する施設の割合は加速度的に高くなる見込みであり、一斉に老朽化するインフラを戦略的に維持管理・更新することが求められています。
それを踏まえて国土交通省では、平成 26年5月に策定した「国土交通省インフラ長寿命化計画」に基づき「メンテナンスサイクルの構築」「将来の維持管理・更新費の抑制」「メンテナンスの生産性向上」にかかる取組を推進しています。
維持管理・更新費については、機能健全性が著しく低下した後に処置をする「事後保全」に対して、一定の機能健全性を保持・回復する「予防保全」を繰り返した場合は年間費用が約5割削減されると試算されており、予防保全型へのインフラメンテナンスへの転換が非常に重要であるとされています。
また、建物・構造物のライフサイクルコストについては、建設後に発生する費用は約7割以上を占めると言われています。一般的に維持管理は手間がかかるため、ヒト・モノ・カネを多く投資する必要があります。過去に施工管理経験を有する筆者が携わったインフラ・リニューアル工事は、固有の工法が多く、その経験や技術をもった技能労働者が必要であるため、特殊性が高い工事であるといえました。
インフラを管理する地方公共団体においては、技術者としての人的資源が不足していることや、そもそも技能労働者数も減少傾向にあるため、「メンテナンスの生産性向上」は喫緊の課題であるといえます。その打ち手として、PPP/PFI、コンセッションといった民間企業の技術・ノウハウ等の活用する手法の導入や、デジタル化・新技術導入の促進として、維持管理情報のデータベース化を進めるとともに、受発注者間でのデータ共有によるメンテナンス作業の効率化などを国土交通省は推進しています。
インフラに限らず、ビルなど建物としての維持管理においても、中長期修繕計画に対する作業管理などはアナログ中心であることや、昨今の人手不足などの状況から、ビル管理業務に係る生産性向上・効率化、現場におけるDXが喫緊の課題であるとの声をお客様からよくお伺いします。
維持管理領域の課題解決における建設業のお客様の重要な役割とは
建設業のお客様は、設計、施工管理のいわゆる建設生産領域が事業の中心ではあると思いますが、昨今の維持管理領域の課題解決に向けて重要な役割を担うと考えています。
- 第一に、維持管理領域におけるBIM/CIMの活用が本格化していくと、フロントローディングで準備すべきBIM/CIMモデルやそれに付随する属性データなども、発注者や維持管理主体者が活用したいものに対応する必要性が高まる。
- 第二に、担い手不足への対応、民間ノウハウ活用などから、官民連携が社会的課題の解決策として今後も拡大すると予想されますが、建設業のお客様における多様な修繕・リニューアル工事実績、マネジメント力、地域の専門工事業者との繋がりなど活用できるノウハウが多岐に渡るため、この領域のトップランナーとして社会課題解決に貢献。
石油・電力・ガスプラントや各種工場で長年お客様にご利用頂いているIBM Maximoが、インフラ・建物の維持管理のDXソリューションとしてもご活用頂けます
インフラ・建物の維持管理における課題を解決するDXソリューションとして、IBM Maximoが活用できます。
- 資産管理
- 作業管理
- サービス管理
- 契約管理
- 資材管理
- 調達管理
などの機能はもちろんのこと、
これらに、画像解析・分析、予防保全、遠隔監視、作業安全管理などAI・IoT、センサー技術、近年積極的に活用されているドローンなどと組み合わせながら維持管理のPDCAの効率化、高度化を実現することができます。
近年、橋梁、道路、鉄道などインフラ構造物や建物の維持管理にIBM Maximoを導入頂く事例が増加しており、維持管理現場の効率化にとどまらず、本来の目的でもあるインフラ・建物の長寿命化にも貢献しております。
建設業のお客様におけるIBM Maximo活用の方向性
1.PPP/PFI、コンセッション、再生可能エネルギーなど運営主体者としてIBM Maximoを活用
PPP/PFI、コンセッション、再生可能エネルギーなど、運営主体者としての事業に積極的に取り組まれている建設業のお客様も多いと思われます。
例えば、道路、空港、上下水道などのコンセッション事業においては、維持管理における点検や作業項目が非常に多いため、資産管理、作業管理の効率化のためにIBM Maximoがご活用いただけます。
また、風力や太陽光発電のように遠方で且つ複数の設備を保持している場合などは、同様の目的でIBM Maximoがご活用いただけますし、センサー機器と組み合わせることで予防保全の基盤としてもご活用いただけます。
2.BIM/CIM設計・施工情報をMaximoへ連携
IBM MaximoはBIM/CIMからデータ連携可能なアダプターを有しており、COBie(Construction Operations Building Information Exchange:スペースや設備などの管理資産情報に関連する国際標準です。 BIMによる構築された資産の設計、建設、管理へのアプローチと密接に関連しています)を介して、フロア・設備・点検項目などの属性データを、さらにはBIM形状データを連携することができます。
例えば発注者や管理主体者がインフラや建物の維持管理にMaximoを活用している場合は、必要なBIM/CIM設計・施工情報を連携できます。また、維持管理において必要な設備情報やその点検項目などを、フロントローディングとして設計・施工段階でBIM/CIMに属性情報として与えることで、これまで維持管理段階に入ってはじめて情報を付与していた作業負荷が削減されるため、発注者や管理主体者には大きなメリットがあります。建設業のお客様においては受注競争力の強化にもつながると考えています。
さいごに
今回、建設業のお客様向けにIBM Maximoの活用の方向性をご紹介させて頂きました。
インフラ・建物の維持管理の生産性向上、長寿命化、予防保全の高度化は、社会課題として取り組むべきことですので、個別の案件に限らず維持管理のソリューション・プラットフォームとして多くのステークホルダーに活用頂くという目線もあると考えています。
インフラ・建物の維持管理の目線でIBM Maximoにご興味がありましたら、是非お問い合わせください。
奥村 拓也
日本アイ・ビー・エム株式会社
IBMコンサルティング事業本部
インダストリアル・プロダクツ・サービス事業部
マネージング・コンサルタント
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