IBM Support

Power Systems AIX: FAQ集 - NIM

Flashes (Alerts)


Abstract

QAシステムでよく聞かれるNIM関連の質問についてまとめました。
このドキュメントの対象バージョンは、AIX 7.1、7.2、7.3 です。

Content

 

Q1. NIMマスター、NIMクライアント、LPP_SOURCE、SPOTなど、NIMリソース間にコードレベルの条件はありますか?
A1. NIMリソースの依存関係について

NIMマスターはNIMクライアント、SPOTと同等かそれ以上のレベル(リリース・保守・fix・ファイルセット作成日)である必要があります。

NIMマスター >= NIMクライアントのレベル
NIMマスター >= SPOTのレベル

例)   [NIMマスター]      [NIMクライアント/SPOT]

OK 7.2 TL02 SP4+fixes     >=   7.2 TL02 SP4+fixes,7.2 TL02 SP4,7.1 TL05
OK 7.2 TL02 SP4 (7200-02-04-1914)  >   7.2 TL01 SP5 (7200-01-05-1845), 7.1 TL5 SP3 (7100-05-03-1846)
NG 7.2 TL02 SP4        <   7. 2TL03 SP5,7.2 TL02 SP4+fixes
NG 7.2 TL02 SP4 (7200-02-04-1914)  <   7.2 TL03 SP4 (7200-03-04-1938),  7.1 TL5 SP5 (7100-05-05-1939)


※ NIMクライアントのOSレベルが低い場合であっても、NIMマスターより作成日が新しい場合は非サポートです。
NIMマスターはファイルセット作成日を含めてNIM クライアント以上のレベルである必要があります。 

詳細情報は以下のマニュアルをご参照ください。

[ファイルセットの作成日の検査] 
AIX7.1

https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.1?topic=updates-checking-fileset-build-dates
AIX 7.2
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.2?topic=updates-checking-fileset-build-dates
AIX 7.3
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=updates-checking-fileset-build-dates

※ VIOSがクライアントの場合のNIMマスターのレベル要件は以下をご参照ください。

Minimum NIM master levels for VIOS clients



<サポートされるリストア手段>
[前提]
SPOT のソフトウェアレベルは、サポートされる H/W レベルを満たす必要があります

① マイグレーションやTLアップグレード/SPアップデートを伴わないmksysbリストア
  • SPOTとmksysbのソフトウェアレベルは同一
  • LPP_SOURCEを指定する場合、LPP_SOURCEのソフトウェアレベルはSPOT、mksysbと同一のレベルを指定

② マイグレーションを伴うmksysbリストア
  • mksysbより上位レベルのSPOT, LPP_SOURCE を使用
  • SPOTとLPP_SOURCEのソフトウェアレベルは同一
  • bosinst.dataのcontrol_flowスタンザで以下を指定
"CONSOLE  = Default"
“ACCEPT_LICENSES = yes”
"INSTALL_DEVICES_AND_UPDATES = yes"
"MKSYSB_MIGRATION_DEVICE = network"
“PROMPT = no”
INSTALL_METHOD = migrate”
“EXISTING_SYSTEM_OVERWRITE = yes”
“RECOVER_DEVICES = no”  
※ NIMによるマイグレーションを伴うmksysbリストアは以下をご参照ください。
[NIM インストールによる mksysb 移行の実行]
AIX 7.1
AIX 7.2
AIX 7.3  
※ mksysb 移行でカスタマイズするbosinst.dataのcontrol_flowスタンザの要件については以下のマニュアルをご参照ください。
[mksysb の移行でカスタマイズ済みの bosinst.data ファイルを使用するための要件]
AIX7.1
AIX7.2
AIX7.3
※ bosinst.dataのcontrol_flowスタンザの記載については下記の<リストア時の注意点>に記載のリンクをご参照ください。
[Tips] NIMによるマイグレーションを伴うmksysbリストアの際に smit で対象マシンに mksysb、lpp_source、spot リソースを割り当てる方法は以下をご参考ください。
smit で mksysb マイグレーション・リストアのリソースを割り当てる場合は2段階操作が必要です。
1) smit の alloc 操作でmksysbを対象のマシンに割り当て
# smit nim_alloc
 - 対象マシンを選択  
- 対象のmksysbリソースを選択
alloc操作のご参考リンク
[SMIT からのリソース・グループの割り当て]
AIX 7.1
AIX 7.2
AIX 7.3
2) smit の bosisnt で rte リソースでで lpp_source、spot を対象のマシンに割り当て
# smit nim_bosinst
 - 対象マシンを選択
  - Installation Type で rte を選択し、対象のlpp_source、spot を選択
3) 対象リソースの割り当てを確認
  以下のコマンドで対象マシンにmksysb、lpp_source、spot が割り当てられていることを確認
 
# lsnim -l <対象マシン>

③ TLアップグレードまたはSPアップデートを伴うmksysbリストア
  • mksysbより上位レベルのSPOT, LPP_SOURCE を使用
  • SPOTとLPP_SOURCEのソフトウェアレベルは同一
  • bosisint.dataのcontrol_flowスタンザで以下を指定
"CONSOLE  = Default"
“ACCEPT_LICENSES = yes”
"INSTALL_DEVICES_AND_UPDATES = yes"
“PROMPT = no”
“RECOVER_DEVICES = no”
 

※TLまたはSPアップデートを伴うmksysbリストアの情報は以下をご参照ください。

NIM Setup Guide
(抜粋)

The bosinst.data resource
Install_devices_and_updates run an update_all operation after the install is complete.
For example if you have a 5300-05 lpp_source and SPOT, but are installing a 5300-04 mksysb image,
after the restore the system will run an update_all operation against the lpp_source, in this case updating the system to 5300-05.

 

<リストア時の注意点>

  •   LPP_SOURCEのソフトウェアレベルがmksysbより新しい場合、リストアされるイメージのファイルセットレベルは、bosinst.dataのcontrol_flowスタンザで"デフォルト(INSTALL_DEVICES_AND_UPDATES=yes)では、LPP_SOURCEのレベルに上書きされます。
  • mksysbリストア時にbosinst.dataのcontrol_flowスタンザで"INSTALL_DEVICES_AND_UPDATES"を"no"に変更したbosinst.dataをbosinst_dataとして割り当てると、mksysb取得時のファイルセットのレベルでリストアできます。
  • bosinst.dataのcontrol_flowスタンザが"ALL_DEVICES_KERNELS=yes"設定の場合、すべての新しい devices.* ファイルセットがインストール・ソースから導入されます。
  • AIXインストール時に作成されたbosinst.dataは/var/adm/ras/bosinst.dataにあります。
    これをコピーして、必要に応じて変更を加え、NIMのbosinst_dataリソースとして定義してください。
    bosinst_dataが定義されていなかったり利用できない場合は、mksysb内の/bosinst.dataが使用されます。
    mksysb 時に /bosinst.data が存在しない場合は、/var/adm/ras/bosinst.data が /bosinst.data にコピーされて一部が変更されます。
  • mksysbからSPOTを作成しない場合、LPP_SOURCE、NIMクライアントへPTF適用の度にSPOTの更新が必要です。

bosinst.dataのcontrol_flowスタンザの詳細については以下のマニュアルをご参照ください。

[bosinst.data control_flow スタンザの説明]
AIX 7.1

https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.1?topic=file-bosinstdata-control-flow-stanza-descriptions
AIX 7.2
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.2?topic=file-bosinstdata-control-flow-stanza-descriptions
AIX 7.3
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=file-bosinstdata-control-flow-stanza-descriptions


bosinst.dataについてのその他詳細は、"Q11.NIMでのbosinst.dataの使用方法は?"をご参照ください。


Q2. NIMマスターやNIMクライアントで必要なサービスは何ですか?
A2. NIMマスター、NIMクライアントに必要なサービスについて

NIMの動作に必要なサービス、デーモンは以下になります。

 【NIMマスター】
  bootps
  nimesis(nim,nimreg)
  tftpd
  NFS・・・portmap, nfsd, mountd, statd, lockd

 【NIMクライアント】
  bootpc
  rshd/nimsh
  NFS・・・portmap, biod, statd, lockd

(参考 Firewallの環境では以下を確認する必要があります。

NIM Communication within a Firewall Environment

 


Q3. NIMのネットワークでRoutingを設定するにはどうしたらよいですか?
A3. Routingの設定方法

下記コマンドでRoutingの設定が可能です。

【コマンド】

# nim -o change -a routing1='Network2 Gateway1 Gateway2' Network1

※ Network1のゲートウェイがGateway1、Network2のゲートウェイがGateway2です。

smitの高速パスnim_mkrouteからもRoutingの設定が可能です。
smitの高速パスnim_rmrouteからRoutingの削除が可能です。

NIMマスターとNIMクライアントが同じネットワークにいる場合はRoutingの設定は必要ありません。


Q4. mksysbリソースからSPOTリソースを作成する際に注意事項はありますか?
A4. mksysbからのSPOT作成について(AIX5.3から)

AIX5.3からmksysb(AIX4.3.3.75以降)リソースを使用しSPOTを作成する事が出来ます。
mksysbから作成されたSPOTはmksysb内のデバイスのブート・イメージのみが含まれるため、インストール・イメージから作成されるSPOTに比べ小さくなります。
また、この方式ではLPP_SOURCEリソースは必要ありません。
mksysbから作成されたSPOTにはmksysb_source属性が付加されます。
mksysb_source属性には、SPOTの作成に使用されたmksysbリソース名が設定されます。
  • 作成方法
【コマンド】
# nim -o define -t SPOT -a source=mksysbリソース名 -a server=サーバー -a location=SPOT配置ディレクトリ SPOTリソース名


【SMIT】

# smit nim_mkres_spot_only
SPOT を作成
[入力フィールド]
* リソース・サーバー       [master]
* インストール・イメージ用の入力デバイス [mksysb1]
* SPOT 名           [spot1] +
* SPOT ディレクトリー     [/export/spot] /

または以下でも可能です。

【SMIT】

# smit nim_mkres
 
リソースの定義
[入力フィールド]
* リソース名     [spot1]
* リソース・タイプ       spot
* リソースのサーバー       [master] +
* リソースのロケーション      [/export/spot] /
  • 制限事項
    mksysbから作成したSPOTはmksysbのbos_inst操作のみサポートされており、スタンドアロン・クライアントでのmaintおよびdiagなど、その他の操作はサポートされていません。
    また、mksysbから作成したSPOTに対するcust操作もサポートされていません。


詳細情報は以下のマニュアルをご参照ください。

[mksysbリソースからのSPOTリソースの作成]
AIX 7.1

https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.1?topic=resources-creating-spot-resource-from-mksysb-resource
AIX 7.2
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.2?topic=resources-creating-spot-resource-from-mksysb-resource

AIX 7.3
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=resources-creating-spot-resource-from-mksysb-resource


Q5. NIMクライアントに割り当てられたリソースの割り当てを解除するにはどうしたらよいですか?
A5. リソースのdeallocateの方法

リソースのdeallocateの方法は以下となります。

【コマンド】

# nim -Fo deallocate -a ResourceType=ResourceName

全てのリソースをdeallocateする場合は以下のように"subclass=all"と指定します。

# nim -Fo deallocate -a subclass=all

【SMIT】

# smitty nim_mac_res


"ターゲット名"で[対象のNIMクライアント名]を選択、
"割り当てられたネットワーク・インストール・リソース"で[対象のリソース名]を選択

 

  • マシンのresetとリソースのdeallocateを実行する場合は以下の手順になります。

【コマンド】

# nim -Fo reset
# nim -Fo deallocate -a subclass=all
 

【SMIT】

# smitty nim_mac_op
 

"ターゲット"で[NIMクライアント名]を選択、"実行する操作"で[reset]を選択、
"マシンの NIM 状態のリセット"で下記を設定し実行する。

Deallocate All Resources? :  はい
強制実行する         :  はい
 
  • インストールに失敗してNIMクライアントにリソースが割り当てられたままの場合は、マシンをresetしてリソースのdeallocateを実施する必要があります。

Q6. 初期インストール時に追加のファイルセットをインストールするにはどうしたらよいでしょうか?
A6. 初期インストール時に追加ファイルセットのインストール方法

初期インストール時に追加のファイルセットをインストールする方法には、ファイルセットを直接指定する方法とバンドルで指定する方法の2つがあります。

【SMIT】

# smitty nim_mkres (installp_bundle)

 

スタンドアロン・クライアント上に基本オペレーティング・システムをインストール
[入力フィールド]
* インストール・ターゲット lpar1
* インストール・タイプ rte
* SPOT aix7203sp4_spot
LPP_SOURCE [aix7203sp4_lppsource] +
インストールする追加バンドル []   + ←バンドルを指定する場合はここに記述
-または-
インストールする追加ファイルセット[]    + ←ファイルセットを指定する場合はここに記述
 

(バンドルは無視されます)

以下、バンドルの作成方法について記述します。

バンドルはファイルセットの集まりで、実体はファイルセット名が記述されたファイルです。
NIMで使用するバンドルは以下の手順で作成することができます。

【SMIT】

# smitty nim_config_adv

→インストールのための NIM システム・バンドルの作成
注:「インストールのための NIM システム・バンドルの作成」を選択するとバンドル作成が開始されます。

【コマンド】

# /usr/lpp/bos.sysmgt/nim/methods/m_setup -v


また、バンドルはユーザーが独自に作成することも可能です。

以下は下記構成のinstallp_bundleリソースを作成する場合を例にした手順です。

バンドルファイルの配置場所  :/export/installp_bundle
installp_bundleリソース名 : HACMP
バンドルに含まれるパッケージ : bos.adt.libm
                 bos.adt.syscalls
                 rsct.compat.basic.hacmp
                 rsct.compat.clients.hacmp

 

1.バンドルファイルを作成します。
【コマンド】

# mkdir /export/installp_bundle
# vi /export/installp_bundle/HACMP.bnd
I:bos.adt.libm
I:bos.adt.syscalls
I:rsct.compat.basic.hacmp
I:rsct.compat.clients.hacmp


2.installp_bundleリソースを定義します。
【コマンド】

# nim -o define -t installp_bundle -a server=master -a location=/export/installp_bundle/HACMP.bnd HACMP

【SMIT】

# smitty nim_mkres (installp_bundle)
 
リソースの定義
[入力フィールド]
* リソース名 [HACMP]
* リソース・タイプ installp_bundle
* リソースのサーバー [master]    +
* リソースのロケーション [/export/installp_bundle/HACMP.bnd] /

3.指定したファイルセットがLPP_SOURCEに含まれているか確認します。
 含まれていないファイルセットがあれば追加します。
【コマンド】

# nim -o showres <LPP_SOURCE名>


【SMIT】

# smitty nim_list_media_sw


4.ファイルセットをLPP_SOURCEに追加します。
【コマンド】

# nim -o update -a source=/dev/cd0 -a installp_bundle=HACMP -a gencopy_flags=X <LPP_SOURCE名>

【SMIT】

# smitty nim_update_add
ソフトウェアを LPP_SOURCE に追加
[入力フィールド]
ターゲット LPP_SOURCE aix7203sp4_lppsource
追加するソフトウェアのソース cd0
追加するソフトウェア・パッケージ [] +
-または-
追加するパッケージが入っている installp バンドル [HACMP] +
gencopy フラグ
コピー中の一時記憶域用のディレクトリー [/tmp]
 スペースが必要な場合にファイルシステムを拡張する はい +
 複数ボリュームを処理する いいえ +

バンドルファイルの詳細については以下のマニュアルをご参照ください。

[ソフトウェア・バンドルのパッケージ化]
AIX 7.1

https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.1?topic=packaging-software-bundles
AIX 7.2
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.2?topic=packaging-software-bundles
AIX 7.3
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=packaging-software-bundles


Q7. インストール時に「インストール後にNIMクライアントを残す」で「はい」と「いいえ」に設定した場合はどのような違いがありますか?
A7. 「インストール後にNIMクライアントを残す」の設定による違い

「インストール後にNIMクライアントを残す」の設定によらず、インストール時にNIMクライアント側で実施される動作は以下になります。
  • /etc/hostsにNIMマスターとNIMクライアント(インストール対象)のホスト名とIPアドレスが登録されます。
  • /etc/niminfoファイルが新規に作成されます。
「インストール後にNIMクライアントを残す」の設定によるNIMクライアント側の違いは以下になります。
【rteインストール時】
  • 「インストール後にNIMクライアントを残す」を「はい」に設定した場合
    • ホスト名にNIMマスターで登録されているNIMクライアントのホスト名が設定されます。
    • NIMのインストールで利用したネットワークデバイスにNIMインストール時のIPアドレスが残ります。
    • rshを利用した場合、/.rhosts ファイルは作成されます。
    • nimshを利用した場合、/.rhosts ファイルは作成されません。
  • 「インストール後にNIMクライアントを残す」を「いいえ」に設定した場合
    •  ホスト名は"localhost"が設定されます。
    • NIMのインストールで利用したネットワークデバイスにIPアドレスは設定されません。
    • /.rhosts ファイルは作成されません。

 【mksysbインストール時】

  • 「インストール後にNIMクライアントを残す」を「はい」に設定した場合
    • ホスト名にNIMマスターで登録されているNIMクライアントのホスト名が設定されます。
    • NIMのインストールで利用したデバイスにNIMインストール時のIPアドレスが残ります。
    • 接続にshell(rsh)を利用した場合は、/.rhosts ファイルは作成されます。mksysb内に/.rhostsが存在する場合は、NIMマスターのエントリーが追加されます。
    • 接続にnimshを利用した場合は、/.rhosts ファイルは新規に作成されません。ただし、mksysb内に/.rhostsが存在する場合はそのままリストアされます。
  • bosinst.dataのRECOVER_DEVICESがyesならばNIMのインストールで利用した以外のネットワークデバイスのIPアドレスは復元されます。
    • NIMマスターのみに必要なファイルセット(bos.sysmgt.nim.master、bos.sysmgt.nim.spot)は削除されます。
  • 「インストール後にNIMクライアントを残す」を「いいえ」に設定した場合
    • ホスト名にmksysbに保存されているホスト名が設定されます。
    • bosinst.dataのRECOVER_DEVICESがyesであれば、NIMのインストールで利用したデバイスにもmksysbに保存されているIPアドレスが設定されます。
    •  /.rhosts ファイルは新規に作成されません。ただし、mksysb内に/.rhostsが存在する場合はそのままリストアされます。
    • bosinst.dataのRECOVER_DEVICESがyesであれば、全てのネットワークデバイスにバックアップ取得時のIPアドレスが設定されます。


「インストール後にNIMクライアントを残す」を「いいえ」に設定してインストール後、再びNIMクライアントとして使用する方法は以下になります。
【コマンド】

# niminit -a name=クライアント名 -a master=NIMマスター -a pif_name=使用するネットワークインターフェース \
-a platform=プラットフォームタイプ -a netboot_kernel=カーネル


【SMIT】

# smitty niminit
ネットワーク・インストール管理のクライアント・ファイルセットの構成
[入力フィールド]
* マシン名 [lpar1]
* 1次ネットワーク・インストール・インターフェース [en0] +
* ネットワーク・インストール・マスターのホスト名 [nim_master]
ハードウェア・プラットフォーム・タイプ chrp
ネットワーク・ブートに使用するカーネル [mp] +
クライアントによって使用される通信プロトコル [] +

【mksysbインストール時】

  • NIMクライアントとして登録した状態で取得したmksysbイメージから作成したmksysbリソースを使用してリストアした場合は、そのままNIMクライアントとして使用することが可能です。
  • NIMクライアントとして登録していない状態で取得したmksysbイメージから作成したmksysbリソースを使用してリストアした場合は、rteインストール時と同様の操作が必要になります。


Q8. NIMマスターのディスク容量はどのように見積ればよいでしょうか?
A8. NIMマスターのディスク容量見積りについて

rootvgとは別にNIM用のVGを作成すると、NIMリソースの管理に便利です。
容量を考慮する必要があるリソースとしてはLPP_SOURCE、SPOT、mksysb、savevg、dumpなどがあります。

LPP_SOURCE
・・・ インストールに使用するAIXメディアのサイズ+追加のファイルセット
  AIXメディアから必要なソフトウェアだけを選択すればサイズを小さくすることが出来ます。

SPOT
・・・ LPP_SOURCEから作成する場合は1SPOTあたり100〜300MB程度と書かれていますが、
  バージョンが上がるごとにSPOTのサイズは大きくなる傾向にあり、AIX 7.1以降は、500MB〜1GB程度
  AIX 7.2では1GBを超えることもあります。
  mksysbリソースから作成する場合はLPP_SOURCEから作成するSPOTより小さくなります。

mksysb
・・・mksysbイメージを取得する対象マシンがrootvgで使用しているサイズ程度

savevg
・・・savevgイメージを取得する対象マシンがバックアップ対象VGで使用しているサイズ程度

dump
・・・ダンプイメージを取得する対象マシンのダンプイメージを保存するのに必要なサイズ

(参考)
AIX 7.2 TL0 で作成した時のLPP_SOURCE、SPOTのサイズ
・LPP_SOURCE・・・5177 MB
・SPOT   ・・・963 MB

上記LPP_SOURCEとSPOTを使用して、以下の導入時設定で新規インストールした直後のmksysbのサイズ
・mksysb  ・・・1650 MB
・導入時設定
 言語環境              :Ja_JP
 Graphic Software        :yes
 Install all devices and kernels          :yes

上記mksysbイメージのmksysbリソースから作成したSPOTのサイズ
・SPOT   ・・・288 MB

異なったTLのLPP_SOURCEが必要な場合、LPP_SOURCEの管理の仕方で必要な容量が変わってきます。

  • LPP_SOURCEにはsimages属性を持っているものと、simages属性を持っていないものの2種類があります。
    BOSインストールに必要なファイルセットが含まれているLPP_SOURCEにはsimages属性が有り、BOSインストールに使用することが出来ます。


    一方、アップデート用のファイルセットしか含まれていないLPP_SOURCEなどにはsimages属性が無く、BOSインストールに使用することは出来ません。

    simages属性の有無は"lsnim -l LPP_SOURCE名"で確認できます。
    "simages=yes"と表示されればsimages属性が有り、simagesの行が表示されなければsimage属性は有りません。



【各TL毎にBOSインストール可能な(simages属性がある)LPP_SOURCEを作成する場合】
 ・・・インストール時の操作は容易ですが、多くのディスク容量を必要とします。


【1つのBOSインストール可能な(simages属性がある)LPP_SOURCEとTL毎にsimages属性を持たないLPP_SOURCEを作成する場合】
 ・・・インストール時の手順は増えますが、ディスク容量は少なくてすみます。

例)AIX 7.2のTL02,TL03,TL04を管理する場合

【各TL毎にBOSインストール可能な(simages属性がある)LPP_SOURCEを作成する場合】
下記の3つのLPP_SOURCEが必要になります
1.AIX 7.2+TL02 (simages属性が有る)
2.AIX 7.2+TL03 (simages属性が有る)
3.AIX 7.2+TL04 (simages属性が有る)
インストール時は上記の3つから必要なLPP_SOURCEを使用してインストールが可能です。

【1つのBOSインストール可能な(simages属性がある)LPP_SOURCEとTL毎にsimages属性を持たないLPP_SOURCEを作成する場合】
下記の4つのLPP_SOURCEが必要になります。
1. AIX 7.2 (simages属性が有る)
2. TL02   (simages属性が無い)
3. TL03   (simages属性が無い)
4. TL04   (simages属性が無い)

インストール時はAIX 7.2のLPP_SOURCEを使用してインストール後、必要なTLのLPP_SOURCEを使用してアップデートする必要があります。


Q9. NIMでマイグレーションをするときの手順は?
A9. NIM環境でのマイグレーション手順

マイグレーション(バージョン/リリース)手順は以下になります。

1.NIMマスターをマイグレーション後の NIM クライアントをサポートするレベルに更新
2.導入メディアからLPP_SOURCE、SPOTを作成
3.NIMクライアントにてpre_migrationスクリプトを実行

  • pre_migrationスクリプトは下記を実施し、NIMクライアントの/home/pre_migration.<date>ディレクトリに情報が置かれます。
    • 除去するデバイスのファイルセットをリスト
    • 除去する他のファイルセットをすべてリスト
    • マージされない保存済みの基本構成ファイルをリスト
    • マージされる構成ファイルをリスト
    • ファイルセットのバージョンの整合性を確認
    • インストール済みファイルセットのリストをすべて作成
    • ブートする論理ボリュームのサイズとロケーションを検査
    • rootvg のメジャー番号が 10 であるか検査
    • bos.net.ipsec.keymgt ファイルセット用の DB ディレクトリーが欠落していないか検査
    • Kerberos が使用されているか判別
    • ディスク・サイズとメモリー・サイズを検査
    • IBM Power Systems 7025/7026 システムのファームウェア・レベルを検査
    • システム上に (multibos コマンドによって作成された) スタンバイ BOS が存在しているかどうかを検査
    • スタンバイ BOS に、論理ボリュームに関する hd* の命名規則が使用されているかどうかを検査
    • ディスク制御ブロック内の AIX のレベルがシステム上のバージョンとリリースと一致するか検査
    • bos_hd5 論理ボリュームがブート論理ボリュームである場合は、bos_hd4 論理ボリュームと bos_hd2 論理ボリュームが存在するかどうかを確認
    • AIX の古いバージョンから移行する場合は、正しい更新が適用されているかどうかを検査
    • システムのプラットフォームを確認
    • 移行前にシステム・バックアップを作成するように勧告表示
  • post_migration スクリプトは下記を実施し、NIMクライアントの/home/post_migration.<date>ディレクトリに情報が置かれます。
    • ファイルセットのバージョンの整合性を確認する。
    • 移行前にインストール・リストをチェックし、移行の必要がありそうなファイルセットがまだ他にあればユーザーに伝える。
    • 保存済み構成スクリプトと移行済み構成スクリプトを比較し、差異を保存する。

※ pre_migration、post_migrationの詳細は以下のマニュアルをご参照ください。

[BOSの移行前および移行後の検査]
AIX 7.1

https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.1?topic=aix-bos-premigration-postmigration-checks
AIX 7.2
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.2?topic=aix-bos-pre-migration-post-migration-checks
AIX 7.3
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=aix-bos-pre-migration-post-migration-checks

手順は以下で実行します
 3-1. マイグレーション対象のNIMクライアントにSPOTを割り当て
 3-2. NIMクライアントにてNIMマスターのSPOTがあるディレクトリをNFSマウント
 3-3. NIMクライアントにて/
/lpp/bos/pre_migrationを実行

4.NIMマスターでマイグレーションインストールを実行します。
マイグレーションインストールの実行には、NIMのbos_inst操作時にBOSINST_DATAリソースで指定する方法と、インストールプログラムの起動後に、インストールの設定でインストール方法を設定する2つの方法があります。

【BOSINST_DATAリソースを使用する場合】
 1. bosinst.dataファイルのINSTALL_METHODにmigrateを設定します。
 ※ BOSINST_DATAリソースについては「A11.NIMでのbosinst.dataの使用方法」を参照してください。


【コマンド】

# grep INSTALL_METHOD <bosinst.dataファイル名>
INSTALL_METHOD = overwrite, preserve, migrate, erase_only
INSTALL_METHOD = migrate


 2. BOSINST_DATAリソースを使用してbos_inst操作を実行します。 【SMIT】

# smitty nim_bosinst (RTE)
スタンドアロン・クライアント上に基本オペレーティング・システムをインストール
[入力フィールド]
* インストール・ターゲット lpar1
* インストール・タイプ rte

* SPOT aix7203sp4_spot
   LPP_SOURCE [aix7203sp4_lppsource]   +

インストール中に使用する BOSINST_DATA [BOSINST_DATAリソース名] +
インストール中に使用する IMAGE_DATA []   +

【インストールの設定でインストール方法を設定する場合】
 1.インストールプログラムが起動後、インストールの設定で"Migration Install"を指定します。

Installation Settings

1.System Settings:
Method of Installation ............. Migration Install
Disk where you want to Install ..... hdisk0

5.インストール完了後、NIMクライアントにてpost_migrationスクリプトを実行します。
post_migrationスクリプトを実行するとNIMクライアントの/home/post_migration.<date>ディレクトリに情報が置かれ、マイグレーションが成功したことを確認できます。

NIMクライアントにて/usr/lpp/bos/post_migration を実行します。

 

※ NIMによるマイグレーションを伴うmksysbリストア、TLアップグレードまたは SPアップデートを伴う mksysb リストアについては A1 内 “<サポートされるリストア手段>”  ②、③をご参照ください。


Q10. NIMでアップデートをするときの手順は?
A10. NIM環境でのアップデート手順

アップデート手順は以下になります。
アップデートには既存のLPP_SOURCEにアップデート・ファイルセットを追加する方法と、新規にアップデート用のLPP_SOURCEを作成する方法の2つの方法があります。
新規にアップデート用のLPP_SOURCEを作成する方法はNIMクライアント毎にTLを変えたい場合に便利な方法です。

【既存のLPP_SOURCEにアップデート・ファイルセットを追加する方法】

1.LPP_SOURCEをアップデートします。
【SMIT】

# smitty nim_update_add
ソフトウェアを LPP_SOURCE に追加
[入力フィールド]

ターゲット LPP_SOURCE aix7203sp4_lppsource
追加するソフトウェアのソース cd0
追加するソフトウェア・パッケージ [all]   +

2.アップデートしたLPP_SOURCEをクリーンアップします。
【SMIT】

# smitty nim_lppmgr
LPP_SOURCE 内の不要なソフトウェア・イメージを除去する
[入力フィールド]

ターゲット LPP_SOURCE aix7203sp4_lppsource
プレビューだけ行う いいえ +
重複ソフトウェアを除去する はい +
置き換えられた更新を除去する はい +
言語ソフトウェアを除去する はい +
保存する言語 [Ja_JP]
非 SIMAGES ソフトウェアを除去する いいえ +

3.アップデートしたLPP_SOURCEから"bos.rte.install"をNIMマスターへインストールします。

4.アップデートしたLPP_SOURCEを使用してNIMマスターをアップデートします。
【SMIT】

# smitty nim_update_all
インストール済みソフトウェアを最新レベルに更新 (すべて更新)
[入力フィールド]

* インストール・ターゲット master
* LPP_SOURCE aix7203sp4_lppsource
  インストールするソフトウェア update_all

5.アップデートしたLPP_SOURCEを使用してSPOTをアップデートします。
【SMIT】

# smitty nim_update_all
インストール済みソフトウェアを最新レベルに更新 (すべて更新)
[入力フィールド]
* インストール・ターゲット aix7203sp4_spot
* LPP_SOURCE aix7203sp4_lppsource
  インストールするソフトウェア update_all

6.アップデートしたLPP_SOURCEから"bos.rte.install"をNIMクライアントへインストールします。

7.アップデートしたLPP_SOURCEを使用してNIMクライアントをアップデートします。
【SMIT】

# smitty nim_update_all
インストール済みソフトウェアを最新レベルに更新 (すべて更新)
[入力フィールド]

* インストール・ターゲット lpar1
* LPP_SOURCE aix7203sp4_lppsource
  インストールするソフトウェア update_all

【新規にアップデート用のLPP_SOURCEを作成する方法】

1.新規にアップデート用のLPP_SOURCEを作成します。
【SMIT】

# smitty nim_mkres (lpp_source)
[入力フィールド]

* リソース名 [aix7203sp4_sp5_Update_lppsource]
* リソース・タイプ lpp_source
* リソースのサーバー [master] +
* リソースのロケーション [cd0] /

2.新規に作成したLPP_SOURCEから"bos.rte.install"をNIMマスターへインストールします。

3.新規に作成したLPP_SOURCEを使用してNIMマスターをアップデートします。
【SMIT】

# smitty nim_update_all
インストール済みソフトウェアを最新レベルに更新 (すべて更新)

[入力フィールド]
* インストール・ターゲット master
* LPP_SOURCE aix7203sp4_sp5_Update_lppsource
  インストールするソフトウェア update_all

4.新規に作成したLPP_SOURCEから"bos.rte.install"をNIMクライアントへインストールします。

5.新規に作成したLPP_SOURCEを使用してNIMクライアントをアップデートします。
【SMIT】

# smitty nim_update_all
インストール済みソフトウェアを最新レベルに更新 (すべて更新)
[入力フィールド]

* インストール・ターゲット lpar1
* LPP_SOURCE aix7203sp4_sp5_Update_lppsource
  インストールするソフトウェア update_all


Q11. NIMでのbosinst.dataの使用方法は?
A11. NIMでのbosinst.dataの使用方法

bosinst.dataファイルはインストールの自動化やデバイスの構成などのインストールプログラムの動作の制御、インストールターゲットのディスクやインストール後の言語環境などを指定することが出来ます。
 

NIMでbosinst.dataを使用するにはbosinst_dataリソースを作成する必要があります。

bosinst_dataリソースの作成手順を以下に示します。

下記構成のbosinst_dataリソースを作成する場合を例にした手順です。
 bosinst_dataディレクトリ:/export/bosinst_data
 bosinst.dataファイル  :bosinst.data.1
 bosinst_dataリソース  :bosinst_data_1

1.bosinst_dataディレクトリの作成
【コマンド】

# mkdir /export/bosinst_data

2.bosinst.dataファイルの作成
テンプレートは"
/<SPOTディレクトリ>/<SPOT名>/bosinst.data
"です。

# cp /export/spot/aix7203sp4_spot/bosinst.data /export/bosinst_data/bosinst.data.1
# vi /export/bosinst_data/bosinst.data.1

3.bosinst_dataリソースの作成
【SMIT】

# smitty nim_mkres (bosinst_data)
リソースの定義
[入力フィールド]

* リソース名 [bosinst_data_1]
* リソース・タイプ bosinst_data
* リソースのサーバー [master]  +
* リソースのロケーション  [/export/bosinst_data/bosinst.data.1] /
コメント [] 
複製のソース []    +

 
bosinst.dataファイルの属性をいくつか紹介致します。

control_flowスタンザ

【PROMPT】
デフォルトはyesになっておりnoにするとインストールの自動化ができます。
インストールの自動化(インストール時に設定のプロンプトが表示されない)をするには、control_flow,target_disk_data,localeスタンザの各変数を設定しておく必要があります。

【INSTALL_METHOD】
インストール方式を設定します。
新規および完全上書きインストール時はoverwriteを、マイグレーション時はmigrateを指定します。

【IMPORT_USER_VGS】
システムがインストールされた後にユーザー・ボリューム・グループを自動的にインポートするかどうかをyesおよびnoで設定します。

【ACCEPT_LICENSES】
ソフトウェア使用条件を受諾するかどうかを指定します。
noに設定した場合は、インストール後にソフトウェア使用条件の受諾を促すプロンプトが表示されます。
yesに設定した場合は、ソフトウェア使用条件の受諾を促すプロンプトは表示されません。


【MKSYSB_MIGRATION_DEVICE】
設定される場合、mksysb イメージを移行のために復元するのに使用されるデバイスを指定します。 デフォルトはブランクです。
OSバージョンアップを伴うmksysbリストアの場合は "network"を指定します。


【RECOVER_DEVICES】
デバイスを再構成するかどうかを指定します。デフォルト値はDefaultです。
mksysbインストールの場合、ODM構成データベースがイメージに保管されています。
yesに設定するとmksysbが作成されたマシン上のデバイス情報を元に、デバイスを構成しようとします。
同じシステムにリストアし、デバイス構成を復元したい場合はyesを設定します。
noに設定すると、mksysbに保管されている情報は使用せず、新たにデバイス情報を作成します。
別のシステムにリストアする場合や、デバイス構成を復元しない場合はnoを設定します。

詳細はテクニカル・フラッシュ Power Systems AIX: FAQ集 - mksysb -の「RECOVER_DEVICES」を参照してください。

https://www.ibm.com/support/pages/node/648219


【EXISTING_SYSTEM_OVERWRITE】
インストール・プログラムが既存のボリューム・グループを上書き可能かを確認します。
noの場合はVGに属していないディスクのみがインストールに使用可能です。
yesの場合はrootvgに属しているディスクが優先的に使用されます。
anyの場合はすべてのディスクがインストールに使用されます。

target_disk_dataスタンザ

PVID → PHYSICAL_LOCATION → SAN_DISKID → CONNECTION → LOCATION → SIZE_MB → HDISKNAMEの順に変数をチェックし、一致するディスクが発見された時点でそれ以降の変数はチェックせず、そのディスクをインストールに使用します。
 

localeスタンザ

BOSINST_LANGはインストール時に使用する言語を指定します。
CULTURAL_CONVENTIONはインストールする1次ロケールを指定します。
MESSAGESはインストールするメッセージ・カタログのロケールを指定します。
KEYBOARDはインストールするキーボード・マップを指定します。

各スタンザの変数の詳細については以下のマニュアルををご参照ください。

[bosinst.data ファイル]
AIX 7.1

https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.1?topic=system-bosinstdata-file
AIX 7.2
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.2?topic=system-bosinstdata-file
AIX 7.3
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=system-bosinstdata-file


以下に設定例を提示します。(記載されていない変数はデフォルト値を使用)

【同じシステムへのリストアを自動化する場合】

control_flow:
INSTALL_METHOD=overwrite
PROMPT=no
EXISTING_SYSTEM_OVERWRITE=yes
RUN_STARTUP=no
RECOVER_DEVICES=yes
ACCEPT_LICENSES=yes
IMPORT_USER_VGS=yes
target_disk_data:
HDISKNAME=hdisk0
locale:
BOSINST_LANG = en_US
CULTURAL_CONVENTION = Ja_JP
MESSAGES = Ja_JP
KEYBOARD = Ja_JP@alt

Q12. NIM takeover 操作方法は?
A12. NIM takeover 操作方法

AIX V5.3からNIMにtakeoverコマンドが追加されました。takeover 操作を実行すると、alternate_master(代替マスター)として構成されているマシンが NIM 環境を制御できるようになります。

代替マスターは、そのデータベースで定義されている各クライアントの /etc/niminfo ファイルを更新することによって、各クライアントの現行マスターになろうとします。
この操作では、ターゲットの alternate_master にあるデータベースの更新が試みられます。

takeover 操作のコマンド行構文は次のとおりです。
takeover 操作のターゲットは、alternate_master でなければなりません。
【コマンド】

# nim [-F] -o takeover -a Attribute=Value ... TargetName

代替マスターの設定方法:
以下のマニュアルをご参照ください。

「代替マスターの初期化」
AIX 7.1

https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.1?topic=support-initializing-alternate-master
AIX 7.2
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.2?topic=support-initializing-alternate-master

AIX 7.3
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=support-initializing-alternate-master

NIMのtakeover実行時の注意点:
NIMクライアントが2つ以上のネットワーク・インターフェースを持っている場合、NIM Masterのtakeoverに失敗する場合があります。
以下に、失敗する場合の概要と確認方法、回避策について解説します。

概要:
takeoverコマンドにてNIMクライアントの接続先をNIMマスターサーバーからNIM Alternateマスターに切り替える際、NIMクライアント定義のホスト名とAIXのhostnameに指定されたホスト名が一致していない場合、0042-001、0042-175のエラーが出力され失敗します。

確認方法:

1. NIMクライアント定義のホスト名の確認方法
【コマンド】

# lsnim -l <nimclient名> |grep if
if1 = ent_nim nimclient1 00XXXXXXXXXX ent0

2. AIXに指定されているホスト名の確認方法(該当のNIMクライアントから実行)
【コマンド】

# hostname
ibmaix

1.と2. のホスト名が異なる場合は、takeoverコマンド実行時に失敗します。

回避策:
以下のいずれかの作業をNIMクライアント側で行う必要があります。

1. ホスト名の変更
takeoverコマンドを使用する際、hostnameコマンドで出力されるホスト名とNIM環境で使用するNICに対するホスト名を一致させる必要があります。ここではAIXのホスト名をNIMクライアント名にあわせます。
【コマンド】

# hostname nimclient1

1.の設定が出来ない環境において2.の対応で回避可能となります。

2. NIMマスターの変更
以下のコマンドを使用し、個々のNIMクライアントに対してNIMマスターサーバーを指定することでAlternateマスターサーバーへ引き継ぐ事が可能です。
【コマンド】

# nim -o change -a force=yes -a new_master=XXXX

各クライアントの現行マスターの確認方法:
NIMクライアントの/etc/niminfoファイルの"NIM_MASTER_HOSTNAME"に設定されているNIMマスターが現行のマスターになります。
【コマンド】

# cat /etc/niminfo | grep NIM_MASTER_HOSTNAME
export NIM_MASTER_HOSTNAME=<現行マスター>

※ NIM takeover失敗の事象はIV92231として障害報告されています。
7100-04-05-1720、7200-00-05-1720、7200-01-03-1720では修正されています。
詳細についてはサポートにご確認ください。

IV92231: DUPLICATE NIM CLIENT OBJECTS AFTER SWITCHING TO ALTERNATE MASTER


 


Q.13  NIM で Virtual I/O Server の mksysb取得をする手順は?
A.13  NIM での Virtual I/O Server の mksysb取得

VIOS の mksysb バックアップを backupios コマンドで NIM サーバー上の NFS ファイルシステムに取得する場合、いくつかの前提条件があります。

1. VIOSとNIMの依存関係に問題がないことを確認
2. NIMのファイルシステムがエクスポートされており、マウントされていることを確認
3. Virtual I/O ServerがNIMへの root 書き込みアクセス権限を持っていることを確認

mksysbを取得するには、backupiosコマンドを実行します。 
【コマンド】

# backupios -file /home/backup/VIOS_filename -mksysb


mksysbを取得したサーバーとは別のサーバーにリストアする際、リストアしたサーバーではmksysbの仮想デバイス情報がリセットされます。

mksysb イメージを使用して、NIM サーバーからVirtual I/O Serverをリストアできます。
1. mksysbリソースの登録
2. SPOTリソースの作成 *A5.参照
3. mksysbリソースとSPOTリソースからインストール

1. mksysbリソースの登録
取得したmksysbをリソースとしてNIMに登録します。
【SMIT】

# smitty nim_mkres (mksysb)
リソースの定義
[入力フィールド]

* リソース名                  [NAME_mksysb]
* リソース・タイプ             mksysb
* リソースのサーバー           [master]+
* リソースのロケーション        [/export/mksysb/VIOS_filename]/

2. SPOTリソースの作成
A5.mksysbからのSPOT作成について(AIX5.3から) を参照してください。
また、SPOTはmksysbリソースからではなく、ios_mksysbリソースから作成する必要があります。

3. mksysbリソースとSPOTリソースからインストール
作成したmksysbのリソース名とSPOTのリソース名を選択して、インストールを実施します。

【SMIT】

# smitty nim_bosinst (ios_mksysb)
 スタンドアロン・クライアント上に基本オペレーティング・システムをインストール
[入力フィールド]

* インストール・ターゲット          NIM_Client
* インストール・タイプ             mksysb
* SPOT                          SPOT_name
  LPP_SOURCE                 []  +
  MKSYSB                        NAME_mksysb


また、NIMにios_mksysbリソースを登録することによってNIM管理リソース同様、HMC経由の起動が可能になります。
インストールするVIOSクライアント、NIM管理リソースとして利用するHMCは、あらかじめNIM管理オブジェクトとしての登録が必要です。

ios_mksysbリソースをNIMに登録してリストアを実施する方法を以下に示します。

1. ios_mksysbリソースの登録
2. SPOTリソースの作成 *A5.参照
3. ios_mksysbリソースとSPOTリソースからインストール

1. ios_mksysbリソースの登録
取得したmksysbをios_mksysbリソースとしてNIMに登録します。
【コマンド】

# nim -o define -t ios_mksysb -a location=/export/ios_mksysb/VIOS_filename -a server=master  ios_mksysbName

【SMIT】

# smitty nim_mkres (ios_mksysb)
リソースの定義
[入力フィールド]

* リソース名                 [NAME_iosmksysb]
* リソース・タイプ            ios_mksysb
* リソースのサーバー          [master]+
* リソースのロケーション       [/export/ios_mksysb/VIOS_filename]/

また、以下のnimコマンドでNIMマスターからもmksysbを取得することが可能です。
【コマンド】

# nim -o define -t ios_mksysb


2. SPOTリソースの作成
A5.mksysbからのSPOT作成について(AIX5.3から) を参照してください。
また、SPOTはmksysbリソースからではなく、ios_mksysbリソースから作成する必要があります。

3. ios_mksysbリソースとSPOTリソースからインストール
作成したios_mksysbのリソース名とSPOTのリソース名を選択して、インストールを実施します。
【SMIT】

# smit nim_mgmt_obj_op

SMITコマンドから、インストール・クライアントであるVIOS、bos_instを選択します。

ネットワーク・インストールの実行
[入力フィールド]

管理オブジェクト名           NIM_Client
インストール・タイプ       mksysb
* SPOT                    [NAME_SPOT]+
* IOS_MKSYSB              [NAME_iosmksysb]+

mksysb イメージを使用する NIM クライアントへの基本オペレーティング・システムのインストール (SMIT から)
AIX7.1

https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.1?topic=umiibosnc-using-mksysb-image-install-base-operating-system-nim-client-using-smit
AIX7.2
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.2?topic=umiibosnc-using-mksysb-image-install-base-operating-system-nim-client-using-smit

AIX7.3
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=umiibosnc-using-mksysb-image-install-base-operating-system-nim-client-using-smit



mksysb イメージの作成によるリモート・ファイル・システムへのVirtual I/O Serverのバックアップ


ios_mksysb を使用した仮想入出力サーバーのインストール
AIX.7.1

https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.1?topic=nim-installing-virtual-io-server-using-ios-mksysb
AIX7.2
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.2?topic=nim-installing-virtual-io-server-using-ios-mksysb
AIX7.3
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=nim-installing-virtual-io-server-using-ios-mksysb

ios_mksysb イメージを使用した NIM クライアントへの基本オペレーティング・システムのインストール (SMIT から)
AIX7.1

https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.1?topic=umiibosnc-using-ios-mksysb-image-install-base-operating-system-nim-client-using-smit
AIX7.2
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.2?topic=umiibosnc-using-ios-mksysb-image-install-base-operating-system-nim-client-using-smit
AIX7.3
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=umiibosnc-using-ios-mksysb-image-install-base-operating-system-nim-client-using-smit

 


Q.14  NIM 環境への管理オブジェクトの追加とは?
A.14  NIM 環境への管理オブジェクトと追加手段について

NIM管理オブジェクトは、HMCやVIOS、CECなど個々のLPARなどシステム環境の制御をNIMで可能にすることでオブジェクトです。
NIM管理オブジェクトを登録することで、ネットワーク・インストール、保守モードでの起動、やLPARの再起動などをNIM上で操作することができるようになります。
NIM管理オブジェクトを利用することで、NIMでviosupgradeコマンドを使用するVIOSのアップグレード、Live Kernel Updateなど、最新の機能が利用できます。

NIM管理オブジェクトには以下のオブジェクトを登録することができます。

・ ハードウェア管理(HMC)
・ 中央電子処理装置(CEC)
・ Virtual I/O Server (VIOS)
・ Integrated Virtualization Manager (IVM)
・ Blade Center 管理モジュール・オブジェクト(BCMM)
・ nas_filer 
・ IBM® Power Virtualization Center (PowerVC) 

NIM管理オブジェクトを利用するには、NIMマスターにdsm.core ファイルセットを導入する必要があります。

VIOSのNIM管理オブジェクトへの追加を以下の手順で示します。
VIOSのNIM管理オブジェクトの追加には、VIOSのLPAR IDと事前にHMC、CECのNIM管理オブジェクトへの登録が必要です。

【コマンド】

# nim -o define -t vios -a if1="NIM_net VIOS_host 0" -a mgmt_source=CEC_name -a identity=1 VIOS_host

【SMIT】

# smit nim_mkmgmt_obj
 [入力フィールド]

* 管理オブジェクト名                                 [VIOS_host]

  1 次ネットワーク・インストール・インターフェース
    NIM ネットワーク                                  NIM_net
    ホスト名                                         [VIOS_host]
    ネットワーク・アダプターのハードウェア・アドレス [0]
    ネットワーク・アダプターの論理デバイス名          ent

登録したリソースはコマンドで確認できます。
【コマンド】

# lsnim -l VIOS_hostname

[NIM 環境への管理オブジェクトの追加]
AIX7.1

https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.1?topic=nim-adding-management-object-environment
AIX7.2
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.2?topic=nim-adding-management-object-environment

AIX7.3
https://www.ibm.com/docs/ja/aix/7.3?topic=nim-adding-management-object-environment

Working with NIM Management Objects

 


[{"Product":{"code":"SWG10","label":"AIX"},"Business Unit":{"code":"BU058","label":"IBM Infrastructure w\/TPS"},"Component":"Not Applicable","Platform":[{"code":"PF002","label":"AIX"}],"Version":"Version Independent","Edition":"","Line of Business":{"code":"LOB08","label":"Cognitive Systems"}}]

Historical Number

B568B35379FE1344492572AD003DCAAB

Product Synonym

対象システム:System p

Document Information

Modified date:
25 December 2022

UID

jpn1J1013337