量子コンピューターのある近未来

量子コンピューターでは、解くべき問題をモデル化・定式化できれば、超並列計算で、ビッグデータなしでも、解答の可能性を探索することができます。その意味で我々は量子コンピューティングを「可能性のコンピューティング」と呼んでいます。

それがビジネスのどのような領域で適用されるのか、世界中で検討されています。いま有望とされているのは、ロジスティクスの最適化、金融のリスク管理、量子化学の分野です。まずは、これらの比較的モデル化・定式化しやすい分野から始まります。しかし、そこから活用分野はさらに広がっていくと見ています。

「可能性のコンピューティング」が、ビジネスに与えるインパクトはAIの興隆に匹敵するほど強烈です。たとえば、事業戦略の策定にあたって、周辺環境の変化、顧客や競合の動きは不確実であり、かつそれらと自社の打ち手の組み合わせは莫大な数になりえるでしょう。そのなかから、事業ライフサイクルを通じた収益を最大化する打ち手を探し出すのです。正直にいうと、これは、現段階では「空想」に近いのですが。いまハードウェアやソフトウェアの研究開発が猛スピードで進んでいます。我々はそれらと並走してビジネスでの適用に関する研究開発を進め、このような「空想」の実現に近づいていきます。

鍵となるのは解くべき問題の定義です。他社の先行事例や過去の成功体験に学ぶだけではなく、自身の視点からさまざまな事象の本質を見極めて、適切なフレームの中に切り取り、それを構造化して表現するスキルが重要になります。

量子コンピューターとは?

量子コンピューターとは、量子力学の原理を使ったまったく新しいタイプのコンピューターです。現在のコンピューターで使わ れている最小の情報単位は、1か0のどちらかを表す「ビット」ですが、量子コンピューターで使われるのは、同時に1と0の両方であり得る「量子ビット」で す。例えば、量子ビットが2つある場合、以下の4つの状態の重ね合わせを表現できます。
(0,0), (0,1), (1,0), (1,1)

量子ビットの数が増えると、重ね合わせとして保持できる状態はexponentialに増えるので、1量子ビットの場合と比べて10量子ビットの場合は約1,000倍、50量子ビットの場合は1125兆倍にもなります。
量子コンピューターは重ね合わせの状態に対する計算が可能なので、従来のコンピューターよりも高い並列計算能力をもつ可能性を秘めていると言えます。

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