スマート・シティーとは、テクノロジーとデータ収集が、生活の質の向上だけでなく、都市運営の持続可能性や効率の向上にも役立っている都市エリアのことです。官公庁・自治体が利用するスマート・シティー・テクノロジーには、情報通信技術(ICT)やモノのインターネット(IoT)があります。
ICT、IoT、その他のスマート・テクノロジーがますます重要な役割を果たす都市運営の分野として、交通、エネルギー、インフラがあります。都市がシステムや構造を更新してこれらのテクノロジーを組み込むにつれて、よりスマートになります。しかし、正確にどの都市がスマート・シティーとみなされるべきか、あるいは「最もスマートな」都市の役割を主張すべきかについては議論の余地があります。
IBMニュースレター
AI活用のグローバル・トレンドや日本の市場動向を踏まえたDX、生成AIの最新情報を毎月お届けします。登録の際はIBMプライバシー・ステートメントをご覧ください。
ニュースレターは日本語で配信されます。すべてのニュースレターに登録解除リンクがあります。サブスクリプションの管理や解除はこちらから。詳しくはIBMプライバシー・ステートメントをご覧ください。
身体の神経系が、人間が周囲の世界にどう反応するかを統制しているように、進化するテクノロジーは、都市が地域の都市環境の変化に対応できるように造られています。
リアルタイムのデータを含むデータを収集するテクノロジーは、スマート・シティー構想とそれが約束するメリットの中核をなすものです。データに基づく洞察は、地方自治体が都市計画を改善し、廃棄物管理から公共交通機関まで幅広い都市サービスを展開するのに役立ち、住民の生活の質の向上につながります。
より効率的な都市サービスは、炭素排出量の削減にもつながり、気候変動に対処する世界的な取り組みに貢献すると同時に、地域の空気の質も改善します。さらに、スマート・シティー・ソリューションでは、より良いインフラと技術革新が雇用創出とビジネス・チャンスを促進するため、経済成長の原動力となる可能性があります。
米国運輸省は、スマート・シティーとコミュニティーの特徴として、次の3点を挙げています。1
センサーのネットワークは、さまざまなアプリケーションや都市サービスに利用できるデータを収集し、統合します。
接続性により、自治体職員は地域社会と直接交流や、都市のインフラを監視および管理することができます。
官公庁・自治体はオープン・データの理念を掲げており、運営データや計画データを定期的に一般市民と共有しています。
都市環境を改善するためのテクノロジーやデータに基づく取り組みは、少なくとも1960年代までさかのぼります。当時、カリフォルニア州ロサンゼルスの自治体職員がデータを収集し、コンピューター・プログラムを使って、介入を必要とする貧困地域を特定しました。2
「スマート・シティー」という用語は、1990年代に学術文献に登場し始め、その定義は長年にわたって進化し、拡大してきました。McKinsey Global Instituteが2018年に発表した報告書によると、かつて市当局はスマート・シティー・テクノロジーを「水面下で」活用していましたが、現在ではスマート・シティー・ソリューションには都市住民の関与が増えています。これらの利害関係者は、デジタル・プラットフォームやインタラクティブなモバイル・アプリを通じて重要なデータを収集および共有でき、スマート・シティー・エコシステムにおいて重要な役割を果たしています。 3
今日、スマート・シティー・ソリューションは、都市部が人口増加に関する課題に対処するのに役立つとして、しばしば宣伝されています。国連は、2050年までに世界人口の3分の2が都市に住むようになると予測しています。
民間部門における効率と持続可能性を向上させる新しいテクノロジーは、次のようにスマート・シティー・ネットワークも強化しています。
情報通信技術には、データに関連するさまざまなテクノロジーが含まれます。米国商務省標準化技術研究所(NIST)は、ICTをデータと情報の取得、保存、検索、処理、表示、表現、提示、整理、管理、セキュリティー、転送、交換を包含するものと定義しています。
モノのインターネット(IoT)とは、センサー、ソフトウェア、ネットワーク接続を内蔵し、データの収集と共有を可能にする物理的な機器、車両、家電製品、その他の物理的なオブジェクトからなるネットワークを指します。「スマート・オブジェクト」とも呼ばれるこれら接続されたデバイスは、シンプルな「スマート・ホーム」や「スマート・ビルディング」デバイスから、スマートウォッチのようなウェアラブル、交通システムに組み込まれたテクノロジーまで多岐にわたります。Wi-Fi(無線接続)はIoT(モノのインターネット)機能を支え、公衆Wi-FiはしばしばIoT(モノのインターネット)を活用した都市サービスにおいて重要な要素と考えられています。
自動化(オートメーション)とは、テクノロジーを使用して、最小限の人間の入力でタスクを実行することです。スマート・シティー・プロジェクトでは、自動化により、モノのインターネット内にあるコネクテッド・デバイスによって送信されるリアルタイム・データに対し、都市の応答性が向上します。例えば、自動化により、光と動きを関知するセンサーからのフィードバックに応じて、街路灯を点灯・消灯することができます。このようなシステムは、街灯が不要になると自動的に消灯し、エネルギー効率と都市運営の持続可能性を促進します。
スマート交通は、スマート・シティー計画の要です。モノのインターネット、人工知能、地理位置情報などのその他のテクノロジーにより、地方の官公庁・自治体や民間部門のパートナーはリアルタイム・データを収集できるようになりました。このデータは、公共交通機関の改善や交通渋滞の緩和、二酸化炭素排出量の削減、都市居住者や通勤者の生活の質の向上に役立てられています。
スマート交通システムで使用されるスマート・シティー・テクノロジーは、市当局がどの市営車両が故障するリスクがあるかを予測し、積極的に修理を指示することが可能です。また、駐車場の空き状況を評価し、運転者に情報を提供するスマート・パーキング・システムが強化されます。さらにリアルタイムの交通データを使用して交差点での信号変更のタイミングを調整することで、AIを搭載した効率的な交通管理アプローチを促進します。スマート交通システムはまた、電気自動車や自律走行車の利用をサポートし、炭素排出量の削減と交通の流れの改善にも貢献しています。
AIのようなスマート・シティー・テクノロジーは、エネルギー供給会社がセンサーとソフトウェアを備えた電力網であるスマート・グリッドを管理するために利用されています。高度なソフトウェアと分析ツールにより、コネクテッド・デバイスを通じて提供されるデータを分析し、エネルギー消費のパターンを特定し、将来のエネルギー使用を予測することができます。これはプロバイダーが事前予防的に停電を回避したり、顧客のニーズを満たしたりするのに役立っています。スマート・エネルギーはまた、再生可能エネルギー源とエネルギー効率の高いテクノロジーの統合をサポートし、気候変動の緩和にも貢献します。
また、スマート・エネルギー・テクノロジーは、石油・ガス事業で消費される二酸化炭素排出量、廃棄物、資源を削減することができます。例えば、以下のような例が挙げられます。
スマート・インフラには、スマート交通とスマート・エネルギーの両方が含まれます。また、水道などのユーティリティーへのスマートなアプローチや、ケーブルやデッキなどの輸送を支援する構造物や機器のメンテナンスも対象です。他のスマート・テクノロジーと同様に、センサーや接続されたデバイスから収集されたデータは、意思決定者が潜在的な問題の早期発見や、事前対策に活用されます。この場合、データはインフラ資産に関する問題が深刻化する前に特定されるため、問題が事前に対処され、地域住民の効率性と生活の質の改善にもつながります。
どの都市がスマート・シティーとして認められるか、また「最もスマート」都市がどこなのかは、参考とする情報源よって異なります。ヨーロッパ、アメリカ大陸、アジアの都市は、さまざまなランキングで順位を争っています。しかし、明らかなのは、世界中の地方の官公庁・自治体がさまざまなスマート・シティー・ソリューションを採用しているということです。ニューヨーク市やシンガポールなど国際的な商業都市から、テネシー州チャタヌーガや中国の浙江省などの地域大国まで幅広く含まれています。
浙江省では、中国の他の多くの場所と同様に、電気自動車用の充電ステーションが至るところに設置されるようになっています。同省には100万以上の充電ステーションがあると言われています。チャタヌーガでは、スマート・シティー・プロジェクトとして、さまざまな組織と協力し、センサー・ネットワークを通じて大気の質を監視する活動が行われています。このプロジェクトは、市の大気質に関する取り組みを支援し、医療専門家に貴重な情報を提供します。
しかし、スマート・シティーのイノベーションは単独で起こるわけではありません。都市計画者、非営利団体、企業が定期的に集まり、世界的なイベントでアイデアやソリューションを発表しています。このような交流の中でも特に重要なイベントの一つは、バルセロナを拠点とするスマート・シティーエキスポ世界会議であり、このイベントは「世界中の都市イノベーションを集合させる」という目標を掲げて行われています。