モデルベース・システムズ・エンジニアリング(MBSE)とは
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複雑なデジタル・エンジニアリング・システムのイメージ画像

公開日:2023年12月2日
寄稿者:Amanda McGrath、Alexandra Jonker

モデルベース・システムズ・エンジニアリング(MBSE)とは

モデルベース・システムズ・エンジニアリング(MBSE)は、モデルを使用して、構想・設計から検証および妥当性確認、デコミッショニングに至るまでの、システムのライフサイクル全体をサポートする手法です。

テキストベースのドキュメントや手動プロセスに依存する従来のエンジニアリング手法とは異なり、MBSEでは、デジタル・モデリングとシミュレーションを駆使してシステムを設計します。これらのモデルは、システム・コンポーネントとコンポーネント間の接続を表現する視覚的かつインタラクティブな方法を提供します。このアプローチは、複雑なシステムやインターフェイスに特に役立ちます。

デジタル・モデルは、アップデートも簡単です。MBSEは、従来の方法よりも効率的であるだけでなく、明確さを高めて、エラーのリスクを軽減し、エンジニアリングチームやその他の関係者間のコミュニケーションと意思決定の質の向上を図ることができます。これにより、プロジェクトのライフサイクルのすべてのフェーズを通じて、情報の一貫性を確保することができます。

MBSEのメリット

モデルベース・システムズ・エンジニアリングのプロセスには、複雑なシステムやサブシステムを設計するにあたっての、従来のエンジニアリング・アプローチにはないメリットがあります。

コミュニケーションとコラボレーションの強化

モデルの視覚的でインタラクティブな性質は、さまざまな利害関係者が開発プロセスをより深く理解し、開発プロセスに貢献するのに役立ちます。

品質と精度の向上

MBSEは、トレーサビリティーを向上させることで、ドキュメント中心のシステムによくあるエラーを低減し、一貫性を維持します。モデルは信頼できる唯一の情報源を提供し、すべての利害関係者が同じ情報に基づいて作業できるようにし、システム・レベルの問題を迅速に特定できるようにします。

効率とスピード

MBSEは問題の早期検出と修正を可能にし、開発時間とコストの大幅な削減を可能にします。シミュレーションと迅速なイテレーションによって分析の時間を短縮し、自動化を促進します。

複雑なシステム構築に貢献

MBSEは、「システム・オブ・システム」、つまり複数のシステムのリソースをプールして、より複雑なシステムを構築するプロジェクトに役立ちます。システム内の複雑な関係性や依存関係を明確かつオープンに表現できるからです。

拡張性と柔軟性

MBSEは、さまざまな規模や複雑さのプロジェクトに適応可能であり、幅広いアプリケーションに適した汎用性の高いアプローチです。また、製品ライフサイクル全体を通して、製品開発をサポートすることもできます。

MBSEの主要なコンポーネント

MBSEには、3つの主要なコンポーネントがあります。1つは、システム・アーキテクチャー・モデル(SAM)で、プロジェクトの信頼できる唯一の情報源として機能します。2つ目は、SAMが要件に一致するかどうか、および計画どおりに動作するかどうかを判断するエンジニアリング・シミュレーション・ソフトウェアです。最後に、クラウドベースまたは物理的な集中計算センターがすべての機能を実行し、結果を保存します。これらのコンポーネントが合わさってデジタル・スレッドを構成し、1つのモデルのアップデートが行われると、その後、システム内の他のすべてのモデルがアップデートされることが保証されます。

MBSEのワークフロー

モデルベース・システムズ・エンジニアリングのプロセスは、システム開発を構想から完成まで導く、相互に接続された一連のフェーズです。

まず、利害関係者は、システムの目的とシステムが動作するコンテキストを定義します。これらのニーズは、具体的な測定可能なシステム要件に変換されます。MBSEツールとデータ・モデリングにより、これらの要件を捕捉する詳細なモデルを構築することができ、全体的な目的との一貫性を確保することができます。システム・アーキテクチャーの設計を通じて、システムの全体的な構造が開発されます。

アーキテクチャーの準備ができたら、個々のコンポーネントのより詳細な設計が始まります。MBSEはシステム動作のシミュレーションを容易にし、エンジニアが仮想環境で設計をテストして、改良できるようにします。物理プロトタイプを構築する前に問題を特定し、解決するのに役立ちます。

ここから、一貫性を確保するための参照としてモデルを使用して、システムを構築およびアセンブルします。その後、検証、テスト、妥当性確認のプロセスが実行され、システムが意図したとおりに動作することが確認されます。MBSEモデルを展開すると、メンテナンス作業や将来のアップグレードに使用できるので、システムがライフサイクルを通じて変化し続けるニーズを満たすことができるようになります。

MBSEのユースケース

MBSEのアプローチは、多くの業界、特にソフトウェア開発やソフトウェア・エンジニアリングで活用されています。主な例としては、次のようなものがあります。

航空宇宙業界

NASAは、MBSEを採用している代表的な組織です。宇宙探査機や衛星システムのような複雑なプロジェクトでは、MBSEを活用して、さまざまなシステム間の複雑な相互作用を処理し、さまざまなミッションのシナリオをシミュレートして、宇宙探査に付随するリスクを大幅に低減しています。

自動車産業

Ford社やBMW社などの大手自動車メーカーは、車両の設計にMBSEを取り入れています。このアプローチは、高度なエレクトロニクスやソフトウェアを含む、ますます複雑になる現代の自動車製造のマネジメントに役立っています。

防衛

米国国防総省(DoD)は、防衛システムの開発にMBSEを導入しています。これには、兵器システムから監視および通信ネットワークに至るまで、さまざまなものが含まれます。

通信

電気通信分野の企業は、MBSEを使用して複雑なネットワーク・システムを設計および管理しています。これには、5Gなどの新興テクノロジーのためのインフラストラクチャーの開発が含まれます。MBSEは、ネットワーク・レイアウトの最適化と信頼性の高い高速通信の実現に役立っています。

MBSEで使用されるツール

MBSEでは、システムズ・エンジニアリングのアプローチとして、単純な図作成アプリケーション、スプレッドシート、モデリング・ツール、ワークフロー・プラットフォームから高度なソフトウェアに至るまで、さまざまなツールや言語が使用されています。例としては、次のようなものがあります。

  • SysML(システムズ・モデリング言語):SysMLは、UML(統一モデリング言語)を拡張し、システムズ・エンジニアリング向けに調整されたグラフィカル・モデリング言語です。システムのコンポーネントと動作を視覚化するのに役立つさまざまな図を用いて、システムを表現する標準化された方法を提供します。
  • MBSEソフトウェア・ツール:MBSEのための特別に設計されたソフトウェア・ツールは、SysMLモデルを構築、編集、管理するための環境を提供します。コラボレーション、バージョン管理、他のエンジニアリング・ツールとの統合を容易にします。
  • シミュレーションおよび分析ツール:MBSEでは、テストおよびシステム分析にシミュレーション・ツールがよく使用されます。デジタルツイン(ライフサイクルにまたがるオブジェクトやシステムを仮想空間に表現する方法)は、システムがさまざまな条件下でどのように動作するかを確認するための動的なコピーとして機能します。
  • 要件管理ツール:複雑なプロジェクトでは、システム要件を追跡することが最も重要であるため、すべてのシステム要件が取得・追跡され、システム設計と互換性があることを確認するためにツールが使用されます。
MBSEを活用できるプロジェクト

MBSEを導入することで、複雑さを管理し、大規模なチーム間のコミュニケーションを促進できるため、そのような大規模で複雑なプロジェクトにおいて特に有益です。小規模なプロジェクトにおいても、コミュニケーションを改善して、エラーを軽減することができます。MBSEは段階的に実装することも可能であり、プロジェクトのスケールに合わせて簡単に追跡および管理できます。デジタル・エンジニアリングやその他のエンジニアリング領域で大きく役立つ可能性があります。

MBSEとサステナビリティー

MBSEを導入することで、効率的にリソースを配分し、廃棄物を削減し、エネルギー効率の高いシステムを設計することができるため、SDGs(持続可能な開発目標)の推進にも役立ちます。包括的かつ統合されたシステム・シンキングに重点を置くことで、技術面における健全性のみでなく、環境にも責任のあるソリューションを開発をサポートします。

エンジニアはMBSEを通じて、設計を実行する前に、設計が環境に与える影響をモデル化して、シミュレーションできます。これにより、開発プロセスの初期段階で潜在的な環境リスクを特定し、軽減することができます。また、再生可能エネルギー源と持続可能な材料をシステム設計に取り入れることで、環境に優しいソリューションを促進することができます。MBSEは、設計と運用の効率を最適化することで、エネルギーと資源の消費を抑えて、CO2の排出量やその他の環境負荷の削減に貢献します。これにより、新規プロジェクトの環境フットプリントを制限することができます。

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