BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは

オフィスにいるビジネス・パーソンのカップル

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは

BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)とは、コア以外のビジネス機能またはプロセスを処理するために、外部サービス・プロバイダーを雇用する方法のことです。

そのためビジネス機能またはプロセスを実行するために外部サービス・プロバイダーとの契約が必要になります。BPOは、情報技術対応サービス(ITES)と呼ばれることもあります。現代の社会でアウトソーシングされるプロセスはITに依存していることが多いからです。

BPOは製造業界で初めて使用され、企業はBPOによりサプライチェーン管理の業務タスクを外部委託することで効率性を高めました。今日では、企業が顧客体験を向上させ、競争上の優位性を獲得するために革新的な新しい方法を採用するのに伴って、BPOサービスはヘルスケア、資産管理、エネルギー、製薬、eコマースなどの業界で使用されています。

一般的に企業はコア以外のビジネス機能、つまりビジネスにとって不可欠ではあるものの、コアとなる価値提案の一部ではなく、企業や業界を超えて共通しているタスクを外部に委託します。会計、ITサービス、部品調達、調達、品質保証、人事管理といったバックオフィス機能(社内のビジネス機能)がこれに該当します。営業、マーケティング、カスタマー・サポートなどのフロントオフィス(顧客対応)の業務も含まれます。こうした業務には、チャットボットなどの新しいテクノロジーも利用されます。

従来、企業は主にコストの削減、時間の節約、パフォーマンスの向上を目的として一部の機能を外部委託してきました。そういったメリットは依然としてBPO市場の主な推進力になっていますが、デジタル・トランスフォーメーションの傾向によって、コスト削減戦略を超える取り組みを重視する企業が増えています。今では、社内で利用できないテクノロジーや専門知識へのアクセスが重視されるようになってきています。

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なぜ今、日本企業にBPOが必要なのか

日本企業でBPOの重要性が高まっている背景には、主に以下の3つがあります。

  • 労働人口減少による人材不足
  • デジタル化に伴う業務の複雑化
  • AI活用を前提とした業務変革の加速

労働人口減少による人材不足

日本では労働人口の減少が加速し、特にバックオフィスやIT領域での慢性的な人手不足が続いています。自社での専門スキルを持った人材育成にもコスト制約があり、外部の専門事業者が持つ知識・スキルを活用する必要性が高まっています。

デジタル化に伴う業務の複雑化

近年はAIやクラウドを活用したデジタル化が進み、業務プロセスやITシステムは複雑化しています。こうした中で、BPOは単なるコスト削減手段ではなく、業務プロセスそのものを継続的に改善する“戦略的パートナー”としての役割が強まっています。

AI活用を前提とした業務改革の加速

生成AIの活用が本格化する中、人手中心の運用からデジタル・アセットを活用したサービスモデルへの転換が進んでいます。日本企業においては、人手作業の単純な代替や断片的な業務の自動化ではなく、人が持つ力を拡張し、エンドツーエンドで自律的に業務が実行される仕組みを構想することが重要です。

導入事例

BPOとAI

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やAI(人工知能)といった新しいテクノロジーの普及が、BPOプロセスに影響を及ぼしています。テクノロジーの進歩によって、比類のないレベルの効率、精度、拡張性がもたらされており、BPOは多くの組織にとって競争上の優位性となります。

RPAは、従来人間が行っていた反復的なルールベースのタスクを自動化します。人間の行動を再現するようにプログラムされたソフトウェア・ボットを導入することで、プロセスを簡素化し、人間の作業者がもっと複雑なタスクに集中できるようにします。こうしたワークフローの合理化によってエラーが減り、プロセスの実行が加速します。

統合分析は、データ・インサイト・ソリューションを日常のワークフローやアプリケーションに結び付け、ビジネス・インテリジェンスを強化しています。機械学習(ML)はAIのサブセットであり、データとアルゴリズムを使用して人間の学習プロセスを模倣することに特化しています。こうして継続的に精度が向上することで、データ処理と分析は大きく進歩することになりました。機械学習は、膨大な量の構造化データおよび非構造化データから貴重なインサイトを抽出できるため、意思決定の向上に貢献します。

AIの別の分野である予測分析では、数学的および統計的モデルを使用してデータ・パターンを識別し、予測を生成します。統合分析は運用をより深く可視化し、新たなトレンドを特定するのに役立ちます。そのため、組織は情報とデータに基づいた意思決定を下して、優位性を維持できるようになります。

ビジネスの成功においてはテクノロジーがきわめて重要な役割を果たすため、組織はAI、自動化、新興テクノロジーの専門知識を持つBPOパートナーを探しています。そうしたパートナーがテクノロジーのギャップを埋め、組織が業界の中で競争力を維持できるよう支援します。

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BPOの機能方法

BPOの適切な機能を特定するには、強力なビジネス・プロセス管理と組織のプロセスを完全に理解する必要があります。通常、機能やプロセスのアウトソーシングは以下のステップで行われます。

BPO導入の決定

組織は、企業規模と業種、市場規模と経済力、全体的なニーズと目標など、いくつもの要因に基づいてこれを決定します。例えば、スタートアップや中小企業は、社内に専門知識を持つスタッフがいないことがあるため、いくつもの機能のアウトソーシングを決定する可能性があります。大規模な組織になると、サードパーティ・ベンダーのほうがタスクの実施が効率的または効果的になるという理由で、アウトソーシングを決める場合もあります。

アウトソーシングするタスクの特定

組織は、アウトソーシングに最適なビジネス機能を選択し、アウトソーシングがテクノロジー上の要件と現在のプロセスに与える影響を考慮しなければなりません。プロセスやワークフローから財務や税金、企業文化に至るまで、この新しいビジネス・モデルが自社にどんな影響を与えるかを評価する必要があるということです。

BPOプロバイダーの選択

組織は、どのベンダーが妥当な料金と所要時間で最高のアウトソーシング・サービスを提供するかを判断する必要があります。組織のニーズとサービス・プロバイダーの評価によっては、ある業務の全体が1つのベンダーに委託される場合があります。あるいは、業務を複数のベンダーに分割することもできます。ベンダーの提案を要件や期待に照らし合わせて比較すると、この決定に役立ちます。

契約形態の決定

組織は、固定価格契約と時間/資材契約のどちらをベンダーに対して用意するかを決定しなければなりません。サービス・プロバイダーが固定価格契約に同意した場合、アウトソーシングされる業務に費やされた時間やリソースの分量にかかわらず、固定の金額が支払われます。時間/資材契約の場合は、作業中に使われた時間とリソースに基づいてプロバイダーに報酬が支払われます。

あるいは、契約が業務実績に基づいて決まる場合もあります。契約の形態にかかわらず、提供されるサービスの品質を簡単に評価できるように、サービス・レベル契約(SLA)を確立する必要があります。

アウトソーシングされた役割の移管

ワークロードをベンダーに移行する計画を作成して実装します。スムーズな移行には、社内およびベンダーとのコミュニケーションが欠かせません。

ベンダーの実績の評価

組織は、契約に記載されている目的や目標に照らしてベンダーの実績を定期的に(通常は四半期または年ごとに)評価する必要があります。効率、精度、顧客満足度といった観点を評価する指標などが評価の項目に含まれます。これは、組織が契約を更新、修正、または終了する判断を下すときに役立ちます。


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BPOのメリット

BPOは組織に貴重なメリットをもたらし、中核的な目的に欠かせない高度なスキルを備えた専門的な役割に割く比重を高くすることができます。例えば、以下のようなメリットがあります。

  • イノベーションへのアクセス:提供するサービスのスペシャリストである多くのBPOベンダーは、競合他社に対する優位性を維持し、クライアントに最大の価値をもたらすために利用できる最新のテクノロジー・ソリューションに投資しています。そうすることで、企業はコストを最小限に抑えながら、より複雑なプロセスを処理するAI、高度な分析、自動化ソリューションといった最先端の技術を利用することができます。

  • 効率的なグローバル・プレゼンス:アウトソーシング・プロバイダーは、顧客に多言語で24時間いつでもサービスを提供できるため、組織が現地オフィスに人員を配置しなくても済みます。さらに、拡張を模索している組織の場合、地域のBPOベンダーと提携すると地元の市場について理解を深めたうえで、拡張プロセスを合理化することができます。

  • 効率と標準化の向上:BPOプロバイダーの多くは、支払い処理、コールセンター、会計などコア以外の業務の専門家です。そのため、自社で対応するよりも効率的で専門性の高い業務を行うことができます。

  • コア・ビジネスのコンピテンシーへの集中強化:コア以外のコンピテンシーをアウトソーシングすることで、組織ではリソースが解放されます。これらは、企業価値を高め、競争上の優位性をもたらす、ビジネス上の差別化要因に焦点を向けさせることができます。

  • コスト削減:諸経費の発生は避けられませんが、さまざまな機能をサードパーティ・ベンダーに外部委託することで、組織は人材配置やトレーニングに関連する社内の人件費を削減できます。また、正社員を維持するよりもコスト効率の高い、サービスごとの支払いのプランを利用することもできます。オフショア・アウトソーシングを通じて、組織は低コストの労働市場と税制優遇を利用し、収益を改善することができます。

    BPOの種類

    BPOは、利用するアウトソーシング企業の所在地と提供されるサービスの種類に応じて分類できます。

    場所に基づくBPO:

    • ニアショア・アウトソーシング:契約先のベンダーが、隣接している国または地域で事業を展開している場合です。例えば、米国の企業がメキシコにアウトソーシングするなどが該当します。

    • オフショア・アウトソーシング:これは、組織が近隣の国以外の国または地域のプロバイダーと契約することです。例えば、ドイツ企業がフィリピンのベンダーと契約するなどが該当します。

    • オンショア・アウトソーシング:国内アウトソーシングまたはローカル・アウトソーシングとも呼ばれ、組織とサービスプロバイダーの双方が同じまたは地域で事業を展開している場合です。

    サービスの種類に基づくBPO:

    • ナレッジ・プロセス・アウトソーシング(KPO):コアとなる情報関連の事業活動を第三者、またはその特定分野の専門知識を持つ同じ組織内の別のグループにアウトソーシングすることです。研究開発(R&D)、データ・技術分析、コンサルティング・サービスなどがあります。

    • リーガル・プロセス・アウトソーシング(LPO):KPOの下位分類で、法務関連の高度な業務のアウトソーシングを伴います。例えば、法的契約書や特許申請書の起草と改訂、法務調査、クライアントへの助言などです。

    • RPO(リサーチ・プロセス・アウトソーシング):KPOのもうひとつの下位分類で、調査および分析機能のアウトソーシングです。RPOに関与する組織としては、バイオテクノロジー企業や投資会社などがあります。

    BPOプロバイダーの選択

    組織のアウトソーシング・ニーズを満たすBPO業界のサービスプロバイダーを選ぶには、徹底的な計画が必要です。専門知識と経験を適切に兼ね備えた、妥当な価格のベンダーを選ぶことが目的です。BPOプロバイダーを評価して選択する際に従うべき一般的な手順は次のとおりです。

    • 要件を定義する:ベンダーの選定には、最初からすべての利害関係者が関与するようにしてください。各部門は、アウトソーシングする機能に関連する要件と要求を含む概要を説明する必要があります。そうした機能をアウトソーシングする主な目的と予測されるリスクも考慮しなければなりません。

    • 提案依頼書(RFP)を発行する:RFPとは、業務内容につて説明し、資格のあるベンダーから入札を募る文書です。一般的に役割に対する要求や契約条件は、RFPに記載されます。

    • ベンダーを選定する:提案を評価します。候補となったベンダーの長所と短所を評価し、提案された要件および目的と照らし合わせて、ベンダーから提供される付加価値を評価します。

    • 契約を交渉する:ベンダーが決まったら、契約の締結を始めます。契約条件はあらかじめRFPに詳細に記載されているので、ほとんどの条件に関しては既に合意が得られているはずです。サービスのパラメーターと納期を利害関係者の全員が明確に理解していることを確認してください。

    • ワークロードを移譲し、定期的に業績を評価する:ベンダーへのサービスの移行については、事前に確立された計画に従ってください。効率的な事業運営を維持し、協力関係を促進するために、社内の関連チームや外部のサービス・プロバイダーと定期的に連絡を取り合います。SLAに概要が示されている主要業績評価指標(KPI)に照らしてベンダーの業績を監視・評価し、その評価を利用して契約更新が必要かどうかを決定します。

      BPOに伴うリスク

      BPOには多くのメリットがありますが、リスクもいくつか伴います。組織のビジネス・プロセスを外部のサービス・プロバイダーにアウトソーシングすると、作業品質、データ・セキュリティー、および職場文化の互換性について疑問が生じます。そのプロバイダーが別の地域にある場合は特にそうです。BPOは、以下のリスクをもたらす可能性があります。

      • コミュニケーション上の障壁が生じる:言葉の壁は、オフショア・アウトソーシングにおけるビジネス活動を制限し、コミュニケーション不足やサービス提供の遅れにつながる可能性があります。

      • 業務中断の可能性が高くなる:海外にアウトソーシングする場合、プロバイダーが事業を展開している国または地域の政情不安や自然災害といった問題が発生すると、組織の事業活動を中断させる可能性があります。

      • 外部サービス・プロバイダーへの依存が過度になる:BPOベンダー1社と長期にわたって仕事をすると、そのベンダーへの依存が過度になる場合があります。ベンダーは多少なりとも組織の一部となるので、必要になった場合でも、ベンダーを入れ替えるのは必ずしも容易ではありません。業者がそれを知って、その状況を逆に利用することも考えられます。
      • 規制遵守の問題が生じる:BPO企業は、サードパーティであっても、クライアント組織の規制要件に準拠しなければなりません。規制違反があった場合、組織は関連当局から罰則を受けるリスクがあります。職場の文化や規範が異なれば、コンプライアンスを海外にアウトソーシングしている場合は特に、コンプライアンスから外れる可能性が高まるかもしれません。

      • セキュリティー上の問題が発生する:ビジネス・プロセス・アウトソーシングでは、機密情報をベンダーと共有する必要があるため、セキュリティー・リスクが増大することも少なくありません。ほとんどのコミュニケーションと情報共有はインターネット上で行われるので、攻撃者にとってはそれが侵入口となる可能性があります。また、セキュリティー標準の調整に最善を尽くしたとしても、サードパーティ・ベンダーがデータ・プライバシー・プロトコルとセキュリティー対策を遵守していることを確認するのは、社内チームの場合よりも難しいことがあります。国または地域が異なればセキュリティー要件やデータ・プライバシー・ポリシーも異なるので、他の国または地域にアウトソーシングする組織にとってはデータ・セキュリティーに対する脅威となる可能性があります。

      • 予期せぬコストが発生する:組織は、アウトソーシング・サービスのコストを常に正確に見積もれるとは限りません。為替の変動、ハードウェアまたはソフトウェアのアップグレード、納期の遅延などによって、予期せぬ間接コストが発生する可能性があるからです。アウトソーシングの財務的な意味を評価する際には、このような隠れたコストも考慮することが重要です。

      FAQ(よくある質問)

      BPOとITOは何が違うのですか?どちらを導入すべきですか?

       

      BPOは人事・経理・カスタマー・サポートなどの業務運用を外部化し、日常オペレーションの効率化と品質安定を目的とする仕組みです。一方、ITOはシステム運用やインフラ管理などのIT基盤を外部パートナーが担い、可用性・セキュリティー・運用負荷を最適化します。優先順位は、課題の所在によって変わります。障害や老朽化、セキュリティー強化などIT基盤に問題がある場合はITO、日々の業務負荷や人手不足が主因であればBPO、もしくはその両方を同時に進めるケースもあります。

       

      BPOとBPR(業務改革)はどう違い、どのように使い分けるべきですか?

       

      BPRは「何をするかを変える」、BPOは「誰がするかを変える」もので、両者は競合するものではなく、組み合わせることで効果を発揮します。大きなプロセス変更が必要な領域ではBPR→BPOの順で進めると効果的です(BPO→BPRにしてしまうと、不要なプロセスや問題のある工程がそのまま外部化するリスクがあるため)。現行業務の運用負荷が課題であれば、BPO単独でも導入可能です。

       

      AI BPOとは何ですか?従来のBPOと何が変わるのですか?

       

      AI BPO(AI First BPO)は、音声認識、分類、照会、要約などのタスクにAIや生成AIを組み込むBPOモデルです。従来のBPOでは人が担っていた判断業務や調査作業を AI が補助することで、処理速度や精度が向上し、人は例外処理や品質管理に集中できます。またAI BPOには、デジタルワーカーを取り入れたり、AIを使うことを想定したBPRを行うことも含まれます。これにより、スケールと応答性が向上し、より高度な業務にも対応できるようになります。

       

      BPOの費用はどのように決まりますか?

       

      BPOの費用は、処理量、求められる SLA、必要なスキルレベル、自動化の比率などで構成されます。一般的に、導入初期には業務移管・手順整備・教育などの初期費用が発生し、稼働開始後は月額の運用費用(人件費・改善活動・レポーティングなど)が発生します。コスト/件の最適化や自動化比率の向上で、長期的な費用対効果が高まります。個社の要件によって大きく異なってくるため、まずはご相談ください

       

      BPOベンダーは何を基準に選ぶべきですか?

       

      選定では、業務ドメインの知見、SLAとガバナンスの運用力、情報セキュリティー水準、改善提案力、業務状況の見える化・報告の透明性、AIやRPAとの統合力、スケール拡大の実績が重要です。特に、運用開始後の改善力と透明性の高いレポーティングは、長期的なパートナーシップの成否を大きく左右します。

      執筆者

      Mark Scapicchio

      Editor, Topics & Insights

      IBM Think

      Matthew Finio

      Staff Writer

      IBM Think

      Amanda Downie

      Staff Editor

      IBM Think

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