【このレポートでわかること】
※レポートではエージェント型AIの5つの実用例とアクション・ガイドを掲載。ぜひダウンロードしてご覧ください。
【関連情報】 |
90% | の経営層が、AIエージェントは従業員のポテンシャルを引き出すと考えている。 |
75% | の経営層は、AIエージェントは業務スピードを加速させると予測している。 |
81% | の経営層が、エージェント型AIの活用において、人の存在は依然として不可欠であると認識している。 |
エージェント型AIが競争環境を一変させる
エージェント型AIに注目が集まっています。
エージェント型AIとは、人間の監督なしに、定められた目的を自律的に達成できるAIシステムであり、目的に応じた複数のAIエージェントで構成されます。
エージェント型AIの導入で企業が目指すのは、競争優位性の獲得です。
エージェント型AIを導入することで、オペレーションは自律的に学習と適応を繰り返し、リアルタイムで最適化されるようになります。これは単にオペレーションのスピードと効率が向上するというだけではありません。
エージェント型AIは将来起こりうる課題を先回りして予測し、従業員一人ひとりに合わせた 体験を提供し、イノベーションを推進します。
つまり、エージェント型AIの導入は、AIをはじめとするテクノロジーの役割を、単なるタスクの自動化から、常に学習・適応しながらプロセス全体を最適化し続ける「オーケストレーション」へと進化させることを意味するのです。

しかし、AIエージェントの導入で成功の鍵を握るのはテクノロジー的な側面だけではありません。
あらゆる業務取引やコミュニケーションにおいて、人間とAIの相乗効果を生み出せるかにかかっています。
人間による監督や関係構築、意思決定、そして何より創造性の発揮が、次世代のインテリジェント・オペレーションにおいて、これまで以上に重要な役割を果たすようになるのです。
IBM Institute for Business Value(IBM IBV)が新たに実施した調査では、組織のオペレーションに劇的な変化が進みつつあることが浮き彫りになりました。調査の対象になったのは、6カ国の業界横断的なオペレーションを担当する経営層750人です。
経営層の80%以上が、グローバル・ビジネス・サービス(GBS)の自動化を戦略上の主要な必須事項に挙げ、その達成のためにAIエージェントが役立つと考えています。また、86%の経営層は、2027年までに、AIエージェントを活用したプロセス自動化とワークフロー改革がより効果的になるだろうと予想しています。
新しい働き方のパラダイムを受け入れる
すでに、従業員、サプライヤー、顧客が取引における主要な接点としてAIアシスタントとやりとりしていると、経営層の半数以上が述べています。とはいえ、これはほんの始まりに過ぎません。現場では今まさに、AIエージェントの導入が急速に進んでいます。
実際、76%の経営層が、インテリジェントなワークフローの自律型自動化を実現するために、AIエージェントを活用した概念実証(PoC)の開発、実行、拡大に取り組んでいると回答しています。
さらに、83%は、2027年までに、AIエージェントが業務指標や取引履歴、社外のデータ・ソースを学習し、先を見越した提案を行うようになると期待しています。
また、84%の経営層は、AIエージェントが人間とシームレスに協働するようになると見込んでおり、3分の2の経営層は、すでに従業員がAIエージェントについて実用的な知識を持っていると述べています。
ただし、AIを企業全体にわたって大規模に導入している組織はまだ少数であるため、この見解はやや楽観的かもしれません。
しかし、勢いは明白です。
28%の組織がAIによる自動化をプロセス単位の拡張に活用しており、10%が企業全体への本格展開を進めています。
そして1つ確実なのは、エージェント型AIへの投資や取り組みが最も盛んに行われているのは、まさに「オペレーション」の領域だということです。
経営層の87%が、2027年までに、エージェント型AIの導入によって従業員の働き方が見直されると考えています。また90%は、AIエージェントが従業員によるより深い分析を可能にし、リアルタイム分析や最適化に貢献すると期待しています。
その恩恵は、予測的財務計画のほか、在庫状況や各種制約に応じた顧客注文へのダイナミック・プライシング(動的価格設定)など、さまざまな領域に及ぶとみられています。
しかし、どれだけAIエージェントが進化しようとも、引き続き中心的な役割を果たすのは人間、すなわち従業員です。
経営層の85%は、2027年までに従業員がAIエージェントとのやりとりを通じてデータを分析し、複雑な問題を解決しながら、AIエージェントからの提案に基づいてデータドリブンな意思決定を行うようになると予測しています。
そして、人間は、AIには代替できない領域、例えばエンパシー(共感)や、顧客・パートナーとの体験設計、そして本格的な対話や関係構築といった高度なコミュニケーションに専念するようになるのです。
最適な成果を導く
エージェント型AIのフレームワークとガードレール(安全対策)、そして強固なデジタルID管理の組み合わせがあれば、企業の中核機能は安全かつ適切に制御されます。
AIエージェントは時間も場所も問わず稼働し続けるため、自動化されたオペレーションに停止時間は不要となります。
AI主導の自律型自動化は、ビジネス成果を促進する強力なツールとなります。
パーソナライゼーションを例にとれば、およそ3分の2の経営層が、AI主導の自動化が、自社の顧客体験(69%)、従業員体験(64%)、ビジネス・パートナー体験(66%)のパーソナライゼーションに貢献していると述べています。AIエージェントは、学習してリアルタイムで応答を調整することにより、生成AIの創造力を増幅させ、大規模なパーソナライゼーションを可能にするのです。
現在、多くの組織はエージェント型AIについて調査中、もしくは試験利用の段階にありますが、その将来に対する経営層の期待は高まっています。実際、75%の経営層が、今後2年以内にAIエージェントが取引処理やワークフローを自律的に実行するようになると述べています。

また、タッチレス(人間の介入を必要としない)なワークフローやプロセスも普及に勢いがついています。85%の経営層が、AI主導の自動化によって、2027年までにタッチレスなオペレーションが大幅に進展し、さまざまな業務領域にわたって多様な形で活用されるようになると見込んでいます。
最短で価値を実現し、つまずきを回避する
自律型オペレーションの拡張は、組織の戦略そのものを見直す大規模な取り組みであり、高い実行力が求められます。
事実、テクノロジーがビジネスに深く浸透する中で、81%の経営層が「自社が差別化を図れるかどうかは、適切な専門人材を適切なポジションに配置し、適切なインセンティブを提供できるかにかかっている」と考えています。
一方で、経営層の74%は、テクノロジーの急速な進化がスキル・ギャップを拡大すると懸念しています。さらに、68%は変革の障壁としてスキル不足を挙げ、51%は自動化の取り組みにおいてAIに関する専門性の乏しさに悩まされています。
このような人材不足は、AIソリューションの自社開発(DIY)を非常に困難なものにしています。DIYには、専門人材だけでなく、インフラや保守、そして時間への多大な投資が必要です。たとえ既成のAIソリューションを導入するとしても、多様なデータ・ソースやシステムのオーケストレーションが必要となります。
このオーケストレーションも一筋縄ではいきません。
実際、82%の経営層はテクノロジーの違いが原因で、ビジネス・パートナーとの相互接続性の確立が困難になっていると答えています。
こうした背景から、多くの企業はマネージド・サービスに関心を寄せています。成果報酬型契約を採用したマネージド・サービスへの総支出は、2024年の12%から2027年には21%へと2倍近くに増える見込みです。
また、さまざまな職務領域にわたる業務プロセスのアウトソーシングも真剣に検討されています。
具体的には、調達部門の発注や買掛金処理、予測分析、人事部門の採用、デジタル・アシスタントによる従業員向けセルフサービスなどは、完全自律型またはタッチレスな自動化の有力候補です。それと同時に、これらの領域は、アウトソーシングの有力候補としても注目されています。
アクション・ガイド
自律型自動化の普及は目前に迫っています。その価値を種々の業務オペレーション全体で活用するには、人財を新たな方向へ導き、プロセスを見直し、必要なケイパビリティーをアップデートする必要があります。
- タスクではなく、成果をオペレーティング・モデルの軸にする
- 安全に本格展開するために準備する
- 価値実現までの時間を短縮する
本レポートをダウンロードし、エージェント型AIによって業務オペレーションがどのように進化していくのかを探りましょう。また、エージェント型AIの実用例やすぐに実行できる具体的なアクション・ガイドも解説しています。
著者について
Jean-Stéphane Payraudeau, Managing Partner, Offering Management, Assets, IBV, and Industry CoCs IBM ConsultingKaren Butner, Global Research Leader, AI and Automation and Supply Chain Operations, IBM Institute for Business Value
Khalid Siddiqui, Finance and Supply Chain Transformation, Global Business Process Operations Offering Leader, IBM Consulting
Neeraj Manik, Senior Partner, Americas Intelligent Business Operations Leader, IBM Consulting
発行日 2025年5月12日