Oracleとは

2024年6月5日

執筆者

Molly Hayes

Content Writer, IBM Consulting

IBM Blog

Amanda Downie

Inbound Content Lead, AI Productivity & IBM Consulting

Oracleとは

米国ベースのIT企業Oracleは、リレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)Oracle Databaseを含むビジネス指向の製品とサービスを幅広く提供しています。

カリフォルニアで1977年創立の同社は、世界でも大手のソフトウェア/ハードウェア企業の1つとなっています。1約50年前の創業以来、Oracleは膨大な数の情報技術(IT)ソリューションを開発し、広範なポートフォリオにわたって企業を買収してきました。特に有名なのは、ビジネス・インテリジェンス・サービスや金融サービスに提供されるクラウドベースのエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)製品や、Solaris、Java、Oracle Linuxなどのシステムです。Oracleは、同社のプラットフォームやデータベースを稼働するのに特化したサーバーやネットワーク・ソリューションも製造販売しています。Oracle Databaseは、米国で商業的にリリースされた中で最初のSQLベースのリレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)です。2

同社はオープンソース・テクノロジーに多額の投資を行っており、オープンソース製品の開発とテストに資源を貸与し、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)などの主要プラットフォームは「オープン・バイ・デザイン」であると頻繁に強調しています。3Oracleの製品やサービスは世界中で、政府機関、通信会社、医療現場といった、データのセキュリティー、冗長性、複雑なワークロード管理がクリティカルとなる環境で利用されています。

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Oracleの歴史

Oracle Corporation社は、1977年にLarry Ellison氏、Bob Miner氏、Ed Oats氏によってカリフォルニアでSoftware Development Laboratories社という名前で設立されました。リレーショナル・データベース・モデルの概要を説明した英国の研究論文に触発された創設者たちは、このシステムには可能性があると信じていました。2年後、同社は構造化照会言語(SQL)を使用した最初の商用リレーショナル・データベースであるOracleをリリースしました。4同社は1982年に最初の製品にちなんで社名を変更し、1986年に上場してニューヨーク証券取引所(NYSE)においてOracle Corp(ORCL)社として取引されています。

創業から40年の間に、Oracle社は製品やサービスを拡大するために膨大な数の企業を買収してきました。注目度の高い買収先には、PeopleSoft社、Siebel社、BEA社、Sun Microsystems社、Netsuite社、Cerner社などがありました。

同社は2010年に、Javaプログラミング言語を開発したソフトウェア開発会社であるSun Microsystems社を買収し、コンピュータシステムとソフトウェアの世界にさらに深く関与するようになりました。この買収により、同社は広大なハードウェア事業にも参入し、オペレーティング・システムSolarisとJavaを同社の管轄下に置きました。5また、人気のオープンソースデータベースMySQLも買収しました。

2020年、Oracleは長年本社を置いていたカリフォルニア州レッドウショアズからテキサス州オースティンに移転しました。2021年には、医療記録企業のCernerを買収し、同社史上最大の買収を行いました。6フォーブス誌によると、2023年時点で、同社の四半期収益は2億ドルを超え、大幅な成長を続けています。72023年の秋、同社はFusion Cloudサービス全体の生成AIのユースケースに多額の投資を行うと発表しました。8

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Oracle Databaseとは

Oracle Database はOracleの主力製品です。これは、世界中の組織がデータの管理と保存に使用している、人気のデータベース管理およびウェアハウス・システムです。

操作とクエリにSQLを使用するものであり、商用リリースとして提供された中で最初のデータベースです。Oracle Databaseは、LinuxまたはMicrosoft Windowsで稼働します。

Oracle Databaseの特長は次のとおりです。

高度な分析:Oracle Databaseはビッグデータと高度な分析をサポートしています。システムはデータを読み取って処理し、予測分析や自動システムを迅速に実行できます。

高いデータ可用性:Oracle Databaseは、データ複製、バックアップ、サーバー・クラスタリングなどの機能を備え、高レベルの運用パフォーマンスを実現するように設計されています。

拡張性:Oracle Databaseは単一のサーバー上でも、大規模な分散型データベース上のどちらでも稼働します。

セキュリティー:Oracle Databaseは、暗号化とセキュリティーリスク監視により、プライバシーとインテグリティーを保護するためのさまざまな機能を備えています。

Oracle Databaseは現在、4つのエディションがあり9、それぞれがさまざまなレベルの機能を提供しています。

Enterpriseエディション:大規模組織向けに設計されたOracle Database Enterprise Editionは、大量のオンライン・トランザクション処理(OLTP)とクエリ集約型のデータ・ウェアハウジングをサポートしています。高度な分析、セキュリティー、または機能性のために、さまざまなOracleオプションとパック10で強化することができます。

Expressエディション:Oracle Database Expressは、Oracle Databaseの無料のエントリーレベル・エディションです。インストールと管理が簡単で、どのコンピューターでも使用できます。このエディションは、より高度なOracle Database製品へのアップグレードを容易に行えるよう設計されています。

Personal Edition:Oracle Databaseのこのエディションには、データベースのEnterprise Editionのほぼすべてのコンポーネントが含まれていますが、サポート対象は単独使用の開発環境です。このエディションは、Oracle Databaseのすべての機能を活用できるので、ソフトウェア開発者にとってコスト効率の高い方法です。

Standard Edition:Oracleの基本機能を備えたOracle Database Standard Editionは、ワークグループにも、部門レベルでも、Webアプリケーションにも適しています。

主要なOracle製品とサービス

クラウドアプリケーション

Oracle Fusion Cloud Application Suite11は、特定のビジネス・ユースケース向けのSoftware-as-a-Service(SaaS)アプリケーション・ファミリーです。これには、財務、プロジェクト管理、およびコンプライアンス向けのOracle Fusion Enterprise Resource Planning(ERP)スイートが含まれます。このスイートはまた、サプライチェーンと製造(SCM)、人的資本管理(HCM)、販売に特化したプラットフォームも提供しています。クラウドERPは、高等教育や消費財のカスタマー・エクスペリエンスといった領域向けに、業界固有のアドオンも提供しています。Oracle E-Business Suiteを使用することで、企業はあらかじめ組み込まれたテンプレートによってデータ入力とデータ管理を簡素化できます。

クラウド・インフラストラクチャー

Oracle Cloud Infrastructure(OCI)は、従来のビジネス・アプリケーションだけでなく、人工知能(AI)機械学習などの最先端テクノロジーもサポートするクラウド・プラットフォームです。分散型クラウドプラットフォームには、マルチクラウド・ソリューション、パブリッククラウド・オプション、ハイブリッドクラウドまたは組織のデータセンターでのみ稼働する、専用クラウドのオプションがあります。OCIは、アプリケーションを実行してデータを分析すると共に、情報を安全に保存するためのツールを提供しています。このプラットフォームは、オートメーション、分析、ネットワーキング、およびストレージ用のOracleアプリケーション、カスタムアプリケーション、独立系ソフトウェアベンダー(ISV)のアプリケーションをサポートしています。

ハードウェア

Oracleの広範な設計システムは、拡張性を念頭に置いて構築されています。X86ベースやSPARCベースのサーバー群、Javaアプリケーションを実行するための設計システム、ストレージやネットワーキングのソリューションなどがあります。Oracle Databaseの稼働に特化して開発された設計システム、Oracle Exdataプラットフォーム12は、データベース・サーバー、ストレージ、ネットワークを結合したものです。

ミドルウェア

Oracleは、ローコードWebアプリケーション・ビルダーOracle Application Express(APEX)など、開発者がアプリケーションの統合やデプロイをするのを支援するミドルウェア製品とツールを広範に提供しています。同社のOracle Fusion Middlewareは、エンタープライズ アプリケーション向けのツールファミリであり、データ統合ビジネス・インテリジェンス、コンテンツ管理のための製品スイートです。Fusion Middlewareは、モノのインターネット(IoT)機能、ビッグデータ統合、コンテンツ管理に向けたインフラストラクチャーを実現するものです。

ソフトウェア

Oracleは、従業員がコア・ビジネス機能が管理できるよう支援するバックオフィス・ソフトウェアなど、企業向けの幅広いオンプレミス・アプリケーション13を作成し、ライセンスを提供しています。注目すべきサービスには、次のようなものがあります。

  • 人事、財務管理、キャンパス・ソリューション向けのERPであるPeopleSoft
  • 注文管理、ロジスティクス、その他のビジネス機能を網羅するOracle E-Business Suite
  • レポート作成と分析のためのOracle Business Intelligence(OBIEE)
  • 大規模組織での高度なDevOpsデータオペレーションに向けたOracle Enterprise Manager。

Oracle Databaseのユースケース

組織は、機密性の高いデータレイクの維持管理や、大規模なリアルタイム金融取引の追跡など、さまざまな業界やユースケースでOracle Databaseを使用しています。Oracle Databaseの最も一般的なユースケースには、次のようなものがあります。

ビジネスアプリケーションとバックオフィス管理

ERP、 カスタマー・リレーションシップ管理 (CRM)、 人事管理 (HRM)などのアプリケーションにOracle Databaseを使用する組織では、企業の日常業務に関する最新の洞察をインタラクティブに得ています。

データ管理とデータ・ウェアハウジング

組織では、膨大な量の貴重な構造化データを保管し管理する中央リポジトリーとして、あるいは分析やレポート作成を容易にするデータウェアハウスとして、Oracle Databaseを利用しています。

Eコマースプラットフォーム

組織で利用されるOracleのeコマースプラットフォームでは、製品カタログ、在庫、取引データを管理するためのバックオフィスソリューションを提供しています。

金融および保険サービス

金融会社や保険会社は、Oracle社の安全で暗号化されたデータベースを使用して、支払いの管理、取引の追跡、潜在的なリスクの監査を行っています。

官公庁・自治体および非営利団体

国防総省14などの政府機関や公共部門の企業は、Oracleを使用して公共の記録や機密情報を含むデータを安全に管理しています。

医療サービス

医療業界でOracleのデータベースとソリューションを使用する組織では、予測的洞察を得ることで、業務を合理化し、データインテグリティーを維持し、多数のワークフローを最適化しています。

オンライン・トランザクション処理(OLTP)

eコマース、オンライン銀行、通信会社といった組織では、Oracle Databaseで、多数のデータベース・トランザクションを多数の人がリアルタイムで実行できるほどの容量を利用しています。

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