IBM Consulting

新しい働き方、新しいツール、新しい文化

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リモートワークだからこそ、新しいつながりが生まれる

「IBM Qの10年。まだまだ進化しますよ!」
「皆さん、明日から3連休ですね。台風が近づいていますので気をつけて下さい。休める方は是非ゆっくり休んでください。」
「皆さん、今日が第三四半期の最終日です。最終日まで、契約交渉、プロジェクトのデリバリー、本社サポート部門など、多くの皆さんの対応に心から感謝します。」

これらはみな、日本IBM社長である山口明夫が、社員とのコミュニケーション専用Slackチャンネル(#yamaguchi-channel)に投稿した一文です。社員達は思い思いに拍手やいいね!などの絵文字で反応しています。

これまで、社長と社員がこの様な他愛もないコミュニケーションをする方法はありませんでした。しかしこの#yamaguchi-channelができてからは、社長としての日々のあれこれや社員に対する感謝、社内での注目して欲しいイベントの宣伝など、社長が「社長」としてではなく「一人の人」として様々なメッセージを投稿し、社員たちが思い思いに絵文字でリアクションをしたり、スレッドで直接コメントを返したりするという新しい双方向のコミュニケーション・スタイルが出来上がりました。

以前から山口はこのようなコミュニケーションをしたかったそうです。しかしこれまでは、エグゼクティブから頻繁にメールが届くと社員が混乱してしまう可能性があるとか、社内ブログだと結局見てもらえないなど、よい手段が見つからずにいました。そこに登場したのがSlackです。社員が日常的に利用するSlack上に#yamaguchi-channelを作ることによって、社長と社員の新しい関係性が生まれました。

IBM社内ではインターネットが普及するよりもずっと前から世界中のIBMをつなぐコミュニケーション・プラットフォームが構築され、使われてきました。メインフレームからNotesへと引き継がれ、今はSlackがその中核を担っています。そうしたベースがあったためか、社員がSlackに馴染むのも早かったように思います。実は明確にいつSlackが導入されたのかはっきりと覚えていないのですが、Slack導入後、その活用が瞬く間に広がったのはよく覚えています。Slackが標準でインターフェースを提供する様々なツールと連携し、リモート下でのプロジェクト活動を円滑にすることにもSlackが大いに活用されています。

Slackの大きな役割

「リモートワークによって組織のサイロ化が進行してしまう」という調査もあるようですが、IBMにおける状況は寧ろ逆でした。リモートワークによって場所の制約から解放されたことで、サイロを壊し、部署横断での活動を活発にしていったのです。ここでもSlackが大きな役割を果たしています。

一つの事例が、Slackチャンネルを活用したオンライン・コミュニティーです。物理的に会えない日々が続き、廊下でばったり出くわして雑談するような、会社での偶発的なコミュニケーションが失われてしまいました。業務外での関わりが減り、新しい人脈を築くことが難しくなりました。この状況を逆手に取って、Slack上に「オンラインサロン」を作成しました。

興味のあるテーマでオープンなパブリックチャンネルを作成し、コミュニティーを運営しています。対面ではないからこそ、年齢や組織、職種などに関係なく気軽に参加しやすくなっています。テーマは、人材育成やグラフィック・レコーディング、コーチング、共働き家庭での工夫等と様々です。完全オンラインのコミュニティーによって、これまで時間や場所に制約がありなかなか参加することが難しかった社員にとっても、多様な仲間と繋がることのできる機会が広がり、オフラインのコミュニティー以上に自由で開かれたコミュニティーの実現が可能になりました。Slackの雑談の中で実際に企画が生まれ、オンラインイベントとして実現することもあります。これまでの世界であれば敷居の高かったコミュニティー参加がSlackを活用することによってより身近になり、新しい社員間の交流の場を生み出しています。

人間同士の垣根だけではなく、人間とBotの垣根も低くなりました。今や多くのFAQ Botや業務処理BotがSlack上に常駐しており、社員は誰かに話しかけるようにしてFAQ Botに質問し(Botにはキャラクター設定がされています)、誰かに仕事を依頼するようにして業務処理Botに処理を依頼します。WebブラウザベースのBotでは「BotのURLがわからなくなって使わなくなる」ということも起こりがちでしたが、Slack Botなら常に所在が明確です。FAQ Botに「元気?」や「お腹すいた」等の声掛けをする社員もいますが、もちろんその場合の切り返しも用意されています。相手がBotだとわかっていたとしても、励ましの返信が返ってくるのは嬉しいものです。

今回ご紹介した内容は、社内活用事例のほんの一部です。IBMは日本だけでなく世界中でSlackを活用しており、同期、非同期双方で使用可能なコミニュケーションツールの浸透により国をまたいだコミュニケーションの敷居もますます低くなりました。今やIBM社員は世界中で自身の関心に応じてSlack上のコミュニティーやダイレクト・メッセージで連携しあっています。面識がない相手との連絡も問題ありません。

リモートワークは企業文化のアジリティーを高めるチャンス

Slackというビジネス用のメッセージ・プラットフォームのコアな機能そのものはシンプルですが、使い方次第で上記のように、企業のカルチャーそのものを変革していく力を持っています。

日本IBMは新型コロナウイルスが流行する前から日常的にリモートワークを取り入れており、Slackを始めリモートワークに役立つツールの導入には積極的でした。そのため、昨年からの感染予防対策で物理的な制限が強化されている中でも、ほぼ100%のリモートワークをスムーズに実施することができました。これまでの長年のリモートワーク導入に対する知見やノウハウが、今回の未曾有の事態で多くのお客様のお役に立てるのではないかと考え、「Dynamic Delivery」というフレームワークにまとめています。詳細は下記の専用サイトまたは担当の黒田・太田のインタビュー記事をご参照ください。

Slack社と共にお客様の変革を推進します

コロナ禍は長期化しており、もはや「一時しのぎ」の発想では成り立ちません。2021年10月現在、緊急事態宣言は解除されましたが、感染リスクがなくなるわけではなく、今後も三密を避けるなどの感染対策の継続が必須です。これはまさに「ニューノーマル」であり、企業活動もそれを前提として考える必要があります。在宅勤務の推奨だけに留まらず、これを機に、新たなサービスを検討すること、より柔軟で開かれたアジャイル・カルチャーを作っていくこと、そしてSDGsの達成を加速することまでも視野に入れていくことが求められています。

そうした中、IBM自身の変革事例を元にSlackの潜在力を最大限引き出し、お客様の変革の原動力としていただけるように、この度Slack社とのサービスパートナーシップを締結しました。IBMは、Slack社とともに、お客様のデジタル変革のご支援や新しい働き方の実現に向けた取り組みを進めています。新しい働き方の導入・定着のために、IBMが持つ業界知識や、これまでお客様の業務改革・デジタル改革をご支援するなかで蓄積してきた知見を活用しながら、Slackを起点とした新しい働き方をご提案し、その実現をSlack社と協業しつつご支援します。

Slackを活用することで、組織横断のコミュニケーションや社外との連携を一元的に実施することが可能となります。また、Slack上に蓄積した情報を社内の財産として共有し、検索することで、開かれた集合知に全ての社員がアクセス可能となります。メッセージベースの意見交換やファイル共有、必要に応じて音声通話や画面共有での認識合わせ、さらにはビデオや音声の録音、共有もSlack上ならワンクリックです。

また、Slackは2,500を超える豊富なビジネスアプリとの連携機能により、既存システムと接続することで様々な情報をSlackに集約することができるため、作業の効率化や自動化が可能です。さらに、その柔軟性を活かし、AIやアナリティクスを組み入れた高度な業務プロセスを構築することも可能です。

柔軟で拡張性が豊富なSlackを活用すると「こんなことまで可能なのか」という意外な発見をご提供出来ると思いますので、ぜひご期待ください。

執筆者

倉島 菜つ美

倉島 菜つ美
日本アイ・ビー・エム株式会社
技術理事
IBMコンサルティング事業本部
インタラクティブ・エクスペリエンスCTO

中井 真代

中井 真代
日本アイ・ビー・エム株式会社
ラーニング・コンサルタント
IBMコンサルティング事業本部
ラーニング・オーガナイゼーション・イニシアティブ

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