ヘルプデスクとは

ヘルプデスクとは、企業が顧客をリアルタイムにサポートできるようにするソフトウェア・ツール、もしくは人間のエージェントで構成されたチームのことです。

ヘルプデスクは、主に次の2つの役割を果たします。

  1. 製品やサービスに関する顧客からの質問への回答
  2. 技術サポートとソリューションを通じた顧客サポート

ヘルプデスク・システムは、単一のインターフェース内でサポート・リクエストの効率的に整理します。これには、顧客の問題の整理や、エスカレーションを防ぐための自動化および分類機能が含まれます。またヘルプデスクのエージェントは、複数のエンゲージメントを相互参照して、エンド・ユーザーに最適なソリューションを迅速に提供することが可能になります。

ヘルプデスクのメリット

ヘルプデスクは、サポートチームとそのユーザーにとってのユーザー・エクスペリエンス(UX)を大幅に改善させます。特に、ITサポートの生産性を高めることは、ソリューションと顧客満足度に貢献します。ここではサポート担当者とその顧客にとってメリットとなるヘルプデスクの5つの要素をご紹介します。

  1. ナレッジ・ベース:関連するドキュメントを通じて、顧客の問い合わせに答える情報を提供します。最新のナレッジベースには、ライブ・エージェントと話す前に顧客が必要とするソリューションに導く自動化が含まれます。
  2. タグ付けと分析:担当者がサービス・リクエストをより的確に検出し、解決するためのインサイトを提供します。これにより、顧客のニーズに関する重要な情報が明らかになり、新しい製品の提供、ドキュメントの作成や新たなITサービス・プロトコルにつながる可能性があります。
  3. マルチチャネル・サポート:複数のチャネル(例:電話、ビデオ、電子メール、チャットなど)を統合し、担当者が一元管理できるようにすることで、顧客サポートを強化します。これにより、サポート・チケットがさまざまなチャネルの中で「行き来」したり、ITやリソースのなかで「見失われる」のを防ぐことができます。
  4. サポートの自動化:担当者による反復的な作業(例:タグ付け、ヘルプデスクのチケット管理)を自動化することで、サポート対応と解決ワークフローの迅速化が可能になります。
  5. パフォーマンスの監視:ヘルプデスクのマネージャーによる顧客エンゲージメントの質と量の追跡と報告ができるようにします。部門の成果を評価し、将来のベンチマーク指標を確立させることに役立ちます。
ヘルプデスクの主なユースケース

デジタル・トランスフォーメーションが進むにつれ、大企業から中小企業に至るまで、ヘルプデスクの重要性はますます高まっています。したがって、ヘルプデスクのエコシステムは、機敏性と適応性の両方が求められています。ここでは、最新のヘルプデスクが最も役立つ3つのシナリオをご紹介します。¹

  1. 顧客向けのセルフサービスWeb、モバイル、 音声チャネルを通じて、AIを活用し自動化されたヘルプデスク・サポートを提供します。これには顧客の質問への回答、ナレッジ・ベースやFAQでの回答検出、また必要に応じて人間の担当者にルーティングできるチャットボットなどが含まれます。
  2. 従業員向けのセルフサービスAIを活用して、社内サポートを自動化し、人事(HR)とITに関する問い合わせに、24時間いつでも迅速に回答します。自動化されたセルフサービス・ポータルは、従業員がより早くタスクを完了できるようにし、生産性の向上に貢献します。
  3. 共同アシスタンス:チャットボットと人間のサポートを統合することで、顧客からの複雑な問い合わせをより迅速かつ徹底的に解決します。このタイプのヘルプデスク・ソリューションでは、人間のサポート担当者に問題をルーティングする前に、チャットボットを主要なコンタクト・ポイントとして使用します。
ヘルプデスクのベスト・プラクティス

ヘルプデスクが進化するにつれて、サポート担当者とチームは効率を維持するために、能力を拡張する必要があります。外部とのコミュニケーションの範囲を拡大するだけでなく、内部でのコラボレーションを強化することが必要になる場合もあります。ここでは部門および組織の成長に向けて、カスタマー・サポートチームを強化するための2つの方法をご紹介します。

  1. チーム間のコラボレーション:ヘルプデスクによっては、より大規模なチームや、複数のチームやレベル間のコラボレーションが求められます。このような場合、チームの役割、ルール、手順を明確に定義し、クリアに実行することが欠かせません。
  2. 専門的なトレーニング:文化的感受性と言葉遣いのトレーニングにより、分散したヘルプデスクのチームメンバーは、よりよく連携し、お互いを理解できるようになります。また、業界に特化したトレーニングは、エージェントが多様な顧客をより適切にサポートすることに貢献します。
ヘルプデスクの通説

ヘルプデスクが今日のビジネス・エコシステムにおいて重要性を増す中、多くの誤解も生まれています。ここでは、カスタマー・サポートを始める前に知っておくべき4つの通説をご紹介します。

  1. 自助努力ではうまくいかない:努力し自分で解決することで、時間の節約になることもあります。Programming Insider(ibm.com外部へのリンク)によると、顧客がエラー・コードを調べたり、ブラウザを切り替えたり、デバイスを再起動するだけで、ヘルプデスクのチケットが最大25%も自己解決できるようです。
  2. ヘルプデスクのチケットは必須ではない:問題がどんなに小さくても、大きくても、サポートを依頼する場合はチケットを作成する必要があります。こうすることで、ヘルプデスクの担当者は、自分の作業内容を追跡できるだけでなく、類似する今後の解決策を保存できます。
  3. 問題の説明は必須ではない:一般的な説明では不十分です。多くのインシデント・フォームには、問題を指定するためのスペースが設けられています。「行き来」するコミュニケーションを排除し、迅速に解決するには、問題についてしっかりと説明することが重要です。
  4. ヘルプデスク担当者は皆が専門家である:多くのヘルプデスク担当者は、IT機能の基本的な知識しか持っていません。しかし、担当者の真の価値は、可能な限り最善の解決策を導くことで、質の高いカスタマー・サービス・エクスペリエンスを提供する能力に表れます。
ヘルプデスクの未来

ネイティブ自然言語処理(NLP)や自然言語理解(NLU)などの高度な言語機能を備えたチャットボットは、ヘルプデスク・システムの未来を牽引しています。最近の調査では、ITの意思決定者(ITDM)の58%がチャットボットを導入したことがある、もしくは導入の過程にあることが明らかになりました。³

バーチャル・アシスタント、チャットボット・ツールボックス、自動化アグリゲーター、プラットフォームに特化したチャットボットなどの新しいツールは、ヘルプデスクを常時カバーし、問題をより迅速に解決します。実際、チャットボットにより平均処理時間(AHT)が10%削減され、ITサービス管理(ITSM)に関連するコストが削減されています。¹

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