生成AI(Generative AI)について学んだとしても、それが財務・会計(F&A)の将来にどのような影響を与えるのか、十分に理解していないかもしれません。その名の通り、生成AIは画像、音楽、音声、コード、ビデオ、テキストを生成すると同時に、既存のデータを解釈・操作することができます。F&Aのリーダーにとっては、ナラティブ、コメント、業績報告などの財務データを変換・活用する可能性があることを意味します。AIの導入はハードルが高く感じられるかもしれませんが、新しい基盤モデルの柔軟性と拡張性により、企業はF&Aプロセスの戦略的中核にAIを組み込み、導入を加速させることができるでしょう。
F&A向けの新しい生成AIソリューションや独自のAI基盤モデルに触れると、その選択肢の多さに圧倒されることもあるでしょう。選択するモデルがF&Aユースケース全体の導入を効果的に加速し、価値実現までの時間を短縮できると確信して選ぶことが重要です。
財務報告のナラティブ(および解説)は、企業の財務実績に関する有意義な洞察と文脈的理解を提供する上で極めて重要な役割を果たします。現在は金融アナリストがこれらのナラティブを作成していますが、この方法は非常に時間がかかります。今後は、綿密な分析や批判的思考、効果的なコミュニケーション能力を必要とする手作業のプロセスから、業務効率を合理化し改善するAI搭載プロセスへと変革していく必要があります。
IBMは、企業がレポートや文章・解説を作成する際に、以下のような課題に直面することが多いことを認識しています。
これらの課題にもかかわらず、F&A業務に生成AIを戦略的に導入することで、生産性の向上と業務の合理化が可能になると私たちは確信しています。
たとえば、財務報告書の文章や解説を生成する際に、生成AIがサイクル・タイムをどのように改善できるかを示しました。図1は、完了までにほぼ2週間かかっていた財務プロセスを示しています。図2は、生成AIをプロセス全体に適用することで高速化され、リアルタイムで文章や解説が生成される様子を示しています。
F&A資産を手動で検索する代わりに、AIを活用することで、競合他社との比較における企業の業績、実行すべき主要な施策、想定されるアナリストからの質問や企業の回答など、必要な洞察を収集・分析する時間を短縮できます。AIは財務諸表、メモ、開示資料、その他の関連データを分析し、それを解釈・翻訳して、質問に対して文脈に沿った回答を提供します。図3は、対話型AIテクノロジーがもたらす付随的なメリットを示しています。
生成AIを活用して財務報告向けの解説文やナラティブを作成することには、次のようなメリットがあります。
生成AIやその他の機能は現在すでに利用可能かもしれませんが、可能な限り総合的かつ戦略的な視点で取り組み、最も有望なF&A施策を展開するために、情報技術部門などの関係者とともに適切な生成AIテックスタックを評価・検討することをお勧めします。図4は、F&A組織全体にこれらの新機能を効果的にデプロイする際に考慮すべきアプリケーション、モデル、インフラストラクチャーを反映した生成AIの予備的なテックスタック(またはアーキテクチャー)を示しています。
中核となるプロセス全体にわたるF&A機能への生成AIの導入を検討する場合、このテクノロジーが万能薬ではないことを理解することが重要です。AIはすべての問題を解決したり、人間の専門知識に取って代わるものではありません。むしろ、F&Aチームの能力を強化し、より効率的で正確かつ洞察に富んだ業務を可能にし、戦略的な取り組みに集中できるようにするツールとして捉えるべきです。
ビジネス価値を最大化するために、F&Aの実務者は、目的を明確に理解し、段階的かつ具体的なロードマップに基づいて生成AIを活用する必要があります。F&Aの専門家が推奨する重要なポイントは以下の通りです。
大規模な生成AIを導入・運用する際には、生成AIに関するIBMのセンター・オブ・エクセレンスが、安全に信頼できるAIを導入し、IBM watsonxや各種AI製品ポートフォリオ、独自仕様またはサードパーティモデル(あるいはその組み合わせ)を活用するための適切なAIツールキットの選定を支援します。さらに、トランスフォーメーションに向けた戦略的ロードマップの構築をサポートし、生成AIが大きなビジネス価値をもたらし、業務効率を向上させることを可能にします。
このブログシリーズ「生成AIによる財務の未来」では、F&A専門家が生成AIをどのように活用し、F&A機能を効率化・強化できるかについて、さらに詳しく解説しています。